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うーーーん、うーーーーん?

ずっと考え込んでいた私をクライドさんはいつの間にか戻ってきたいりこの人に返却した。
返却された私はいりこの人の顔を見る。

大丈夫だったか?心配したんだぞ!もう無茶はするなよ!

尻尾でいりこの人の腕をばちんばちんしながら肉球を顔に押し当てた。

ぷに。ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに。

………おお、もち肌だぜ。極上のさわり心地。

いつの間にかさっきまで考えていたことを忘れて無心でもち肌を堪能していた。

なんて最高のさわり心地なんだぜ!

ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに。

ぷにぷにぷにぷに……ぷに………にゃあ?

片手で頬っぺたをむにっとつままれた。

ひゃへれらいろー?

「なんていってるんだ?」

いりこの人はとても楽しそうである。

「よく伸びるなこの頬っぺた。」

みょーーーーーーーーん。

頬っぺたは気持ちいいくらいみょーーんと伸びていく。いりこの人はご機嫌で私のよく伸びる頬っぺたを伸ばしていた。

はらひへふれえー。

「すまない、わからない(笑)」

じとおぉーーーーーーーーーっ。

クライドさんは呆れた顔でこちらを見ていた。セオはいつものごとく爆笑中だ。

ひひはへんはらひへふれーー!

必死に苦情申し立てする私と気付かぬ振りで頬っぺたを伸ばすいりこの人の攻防戦はクライドさんの鶴の一声で終わった。

「ランド様。」

クライドさんの背中から黒いものがまた放出された。

うわーーすごーーい(棒読み)
いりこの人と私から冷や汗がだらだら出てくる。

「手を。」

いりこの人は頬っぺたを伸ばしながら固まっていたが手を離した。

次の瞬間ものすごい音がした。

ゴチーーーーーーーン!

「痛っ!」

セオ、まだ爆笑してたのか?クライドさんの背中の黒いものに気付こうぜ。

セオの頭の上には巨大なたんこぶができていた。

「何で私だけなんですかねえ。」

涙目でそう言ったセオにクライドさんはニーーーーッコリ笑った。その黒い笑顔にセオは顔をひきつらせていた。

「ランド様は解呪をされたばかりですから免除です。」

「それならついでに見逃してくださいませんかねえ(汗)」

クライドさんの笑みが深くなる。セオといりこの人と私は数歩後ろに下がった。こういうときのクライドさんはヤバいのである。クライドさんは指をボキボキ鳴らしながらセオに近寄った。もちろんセオは近付く度に一歩下がっていく。

あぁ、これはあのパターンだな。

いりこの人と私の心は一致した。

「………………私そういえばしなければならなきことが………。」

「逃がすと思いますか?フフフフフフフ!」

うわーセオ幸運を祈るぜ(汗)
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