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牢屋に行くための扉を器用に前足で開けると、簡単に開いた。
前もって鍵は開いていたから出来たことだ。普段は厳重に鍵が掛かっていて簡単には開かないようになっているこの場所に入るのは少しワクワクするぜ!

トコトコトコトコトコトコトコトコと軽やかな音をたてて、もうそろそろいいだろうと思ったのでいりこの人を迎えに来た私。

なんか騒がしいぜ。何だなんだ?

ひょこっ!

あ、いりこの人と目があった。

「…………………………屍をっ!」

…………………………………………………。

あぁそういうことか。定番といえば定番だよな。
“娘を嫁にほしければ私の屍を越えていけっ!”ってな、ははは(苦笑)

私はこうはならなかったぜ。
むしろ、どうぞどうぞ貰ってやってくださいと言わんばかりだったぞ。なんとも複雑だが。

よし!いりこの人、助けてやるからな!

「来るな!」

聞こえない、聞こえないぜ♪

さあ、楽しい突撃の時間だぜーーっ!!

数歩後ろに下がって助走つけよう!

とーーつーーげーーーきーーーーだーーーーーーー!

ドドドドドドドドドドドドっ!

ぴょーーーーーーーーーーん!

着地地点、侯爵の頭の上。

「み、見えない!前見えない!」

そうだろ、そうだろ(にやり)

あ、アメリア嬢やっほーーー!またささみくれよな!セオと一緒になってくれたらささみ食べ放題だあぁぁぁぁあぁぁっ!

「ぶっ!」

さあ、いりこの人、アメリア嬢に伝言よろしく!

「アメリア・アメリー嬢、私の婚約者がこう言っていました。」

「?」

「またささみくれよな、セオと一緒になってくれたらささみ食べ放題だ」

「ぷっ!」

「私の婚約者らしいといえば、彼女らしいのですが…くくっ!」

「顔がぁぁぁっ!いたたたっ!」

次はセオをターゲットにするか!

キラーン!

「あ、婚約者様?私は結構ですのでねぇっ!」

逃げるセオ。だが………………。

て・お・く・れ!(にやーん)

とうっ!

べちゃっ!

着地点、セオの背中。

バリバリバリバリっ!

いえーーーーい♪♪

セオの背中には引っ掻き傷という名前の芸術作品。
もちろん服はボロボロ。

いりこの人を困らせるからこうなるんだぜ!
ついでにアメリア嬢を泣かせた罪も晴らせたぜ!けけけっ!

アメリア嬢には通じたらしい。
アメリア嬢の元に行くと頭を撫でてもらえた。

「ありがとう、ふふふ」

えへん!

二足歩行状態で猫の姿で威張るとなぜか微笑ましそうな目で見られるのは何でなんだ?

あ、いりこの人も撫でてくれ!

「本当に危なっかしいなっくく!」

笑いながら撫でてくれる。

「今のジャンプはよかったぞ。」

あ、しゃべり方元に戻ったぜ!その方がいりこの人らしいぞ!
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