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「こほんっそれじゃあ本題に、戻しますね。」

ひとまず、猫用ピンクのフリフリドレスの件はいったん脇に置いておくことにするぜ。

あぁどうかいりこの人がピンクのフリフリドレス終わった頃には忘れていてくれ。その代わり針鼠の着ぐるみは諦めて着てやる(泣)

「陛下があなたの溺愛している娘さん達の夫とアレス帝国の繋がりの決定的な証拠を別口でもう掴んでいるようで、近日中には処罰が下るということでしたが、その話を聞いてから少し日が経っているのでもう処罰が下っているかもしれません。」

「そうですか。娘達はどうなるかご存知ないですか。」

「すいません。娘さん達についてはどうなるかについては何も言っておられなかったのでなんとも…………。ただ、今回のことにアメリー家自体は関わっていないのは調査済みということだったので、アメリー家が罪に問われることはないそうです。ただ……………。」

アメリア嬢の姉達とその夫達一族を庇うとどうなるかわからない……………か。まあ、そうだよな。
侯爵、どうするんだろうな。アメリア嬢のこともあるしな。

侯爵はしばらく目を閉じて考えていたようだった。父親としての顔と侯爵という立場としての顔が混ざりあったような表情だった。
しばらくすると、侯爵は覚悟を決めたのか、いりこの人に一言言った。

「アメリアに会わせていただけないでしょうか。」

とうとう侯爵とアメリア嬢が話をするのか。侯爵はどんな結論を出すのだろう。そして、その結論に対して侯爵の奥さんはどんな反応をするんだろう。その先にアメリア嬢とセオを繋ぐ未来があれば嬉しいし、丸く収まるのが一番である。

………しかし、それは無理なんだよな。丸く収まるっていうのは姉二人ともうまいこと和解できてこそのはずだ。

いりこの人をそっと見る。いりこの人は黙ったまま頷いて私を抱き上げるとメリアさんに私を預けた。そして侯爵を連れてアメリア嬢のいる牢屋に向かって歩き始めた。

………………あとは見守ることしかできないんだよな。

「大丈夫さ、あんたがそんな顔してたんじゃあランド様が悲しむから止めるんだ。」

………メリアさん。

「止めないならコルトを呼ぶ。」

………………………………………。

「に゛ゃぁぁぁぁぁぁぁァァァァァっ(いやだぁぁぁぁぁァァァァっ)!」

ぎっぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァっ!
何て恐ろしい魔法の言葉なんだあぁぁぁァァァァァァァァァァっ!

「あははははは!ようやく元のあんたに戻ったね。」
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