婚約破棄なんてどうでもいい脇役だし。この肉うめぇ

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そしてその翌日の夜、性懲りもなく公爵令嬢のところに例の猫の姿でとことこ歩いて行くと公爵令嬢が怒鳴り散らしてないのに驚いた。

とてとてひょこっ！

じぃー。

視線を感じたのかボーッと牢屋上部の窓から見える月を眺めてた公爵令嬢はこちらを向いた。

…じぃー。ため息一つ。

「また来たの？物好きね。私のところに来ても何もないわ。」

今日は落ち着いてるな。

「にゃん？(どうして落ち着いてるの？)」

とことこよっこいせっと。
なんとか牢屋の隙間から入ると公爵令嬢の膝の上に上ってみる。

「にゃー。(獣キライなんでしょ？)」

公爵令嬢は何も言わずにそっと猫の姿の私の頭を撫でる。
今にも泣き出しそうな顔。しばらくそうしていると語り始めた。

「猫のあなたに言ったって仕方ないのでしょうけど、本当に王弟殿下を害するつもりはなかったのよ。」

あっそれ王弟殿下自分で突っ込んでいったやつだからあんたの責任違うし。むしろ嬉々として突っ込んでいったのが目に浮かぶし。なんたって変人殿下だし(たった今私が決めた)。

「私本当にシエル様のことお慕いしていたの。」
「あの人だけだったのよ。私自身のことを見てくださったのは。」

公爵令嬢は出会った日のことを思い返した。