婚約破棄なんてどうでもいい脇役だし。この肉うめぇ

19

翌日の夜、昨日の続きを始めた私はとうとう山賊達の牢屋にたどり着いた。正直公爵令嬢のいた牢屋よりくさい、くさすぎる。うげぇ。

「俺達どうなるんでしょうかね？」

「どうってどうにもならんだろ。まさか王弟殿下が林の中で馬車を止めて降りてくるとは思わんだろ。」

「確かにあれには驚きやした。しかもニヤっと不気味に笑ってこう言うんすよ」

「「「「君達ここで何してるの？僕のクスリの実験台になりたくて待機してる変わり者さんかい？」」」」

…………ひえ～っ！やっぱり王弟殿下って変人だぁ。

「あれは恐すぎる。」

「恐すぎるっす。」

「やべえやつと出会っちまったと思ったぜ。思わず襲いかかってしまったぜ。」

「その日あの若いの用事があるとかで来なかったしな。」

「あいつがいれば…」

「そうそうあいつがいればなんとかなったんだがな。」

「おらあいついても無理だと思うっす。やべえっす。」

なるほど、いりこの人その日いなかったのか。

「…というかあいつってどこ出身なんすか？何も聞いたことないんすけど。」

「あー俺も少し前にであったばかりでな、今回腕を見込んで参加してもらったんだ。」

「そんなに強いんすか？」

「強いなんて言葉じゃ言い表せないほどだ。どこでなにしてたかも不明。滅多に口も開かない無表情のワケわからんやつ。」

……よく仲間に入れたな。散々な言われようだな。

「それを差し引いてもあの強さは仲間に入れておいた方が得だと思ったんだかな。」

…そういうことか。でもあの人のことあんまりわからなかったぜ。これ以上いても意味ないな。今日はもう帰ろ～っと。