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授業が終わって、いつもは自分の家の馬車に乗って王城に向かい同人誌制作の手伝いをしているのだが今日は休みなのでゆっくり寄り道しながら歩いて帰るか。
普通の令嬢なら馬車に乗って寄り道なりして帰るのだろうがそこは私なので今日は大人の猫の姿でゆっくり帰宅中。
だって猫の姿の方が好きだし。貴族間の付き合いって大変なんだもん。時々ご飯もらえるしね。ぺろり。

ルンルン気分で歩いていると林の方から複数の人の気配がしている。猫になると人や動物の気配に敏感になる。少し覗いてみるとそこには山賊のような格好の男達。それにしては気配が暗殺のプロのようだか。
「………」
「………」
口ではなく手合図で喋っているため何を言っているのかはわからない。たださっきからいろんな貴族の馬車が通るのに襲わない所を見ると目印のようなものがあるのかもしれない。誰かを襲う気でいるのは確かだ。

………………ん?

このなんとも堪らん美味しそうな香りは…。そこだっ!
しゃがんでいる若そうな山賊姿の男の腰掛け鞄に顔を突っ込んで香りの元を探す。見つけた!

ぱくりモグモグ…いりこだあぁぁぁぁ!

あまりの美味しさに一心不乱に食いついていたら鞄が開いた。
あ、見つかっちゃったてへ。

……………………………。
なんか言えやこら。

なにも言わず硬直している若い山賊Aはしばらくしてため息ひとつこぼすと鞄の中のいりこを一つ手に取ると私の前にフリフリと……。
ぺしん!ぺしぺしぺしぺしっ!
ガブガブ!
ゴクンうまうま。

しばらくそうしていると来る予定の馬車は来なかったみたいで普通の町民の格好に着替えて帰って行った。あの若い山賊姿の男は名残惜しそうに最後のいりこを一つ私にくれると頭を撫でて去っていった。

うまいうまいって結局誰を狙ってたんだろう???
まっいっか。


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