上 下
4 / 329

4

しおりを挟む
大変な目に遭った。殿下に追いかけ回され続け1年いくかいかないかでとうとう捕獲される羽目に…。まさかモンスター用の捕獲檻を使うとは思わなかった。私モンスター扱いかよ。いつの間に用意したのやら。しかも殿下の機嫌が大変よろしいようで嬉々として私を荷物の如く小脇に抱えている。ちょ、どこ行く気だよ。おろせーっ。

チャック広めたのまさか王様だったとは……。

執務室へ小脇抱えられたまま入るとまさかの制作中または完成済みの同人誌の山。しかもジャンル問わず。思わず同人誌に向かって拝んでしまったではないか。

とりあえず近くにあるやつにてを伸ばしてみるが届かん…くそう(泣)。これでは目の前にニンジンぶら下げられた馬ではないか。読みたい読みたいぞ何とかして読んで見せる。
同人誌ゲットしようとあがいている私を殿下が面白そうに見ている。というか王様の手元の紙、書類だと思ってたら作成中の同人誌だ。近くにいる王妃様の手元にあるのも同人誌。まさか国のトップが同人誌作成してるとは。神ですか。
「陛下」
殿下が王様に声をかけると王様はすぐに顔を上げた。年取ってもイケメンって男からすれば羨ましいことこの上ないよな。王妃様も美人だし。
「とうとう捕獲出来ました(笑)」

…………………。くそう(泣)。

「「ぶっ!」」

爆笑中の王様と王妃様。
この怒りは殿下の顔に引っ掻き傷を残して発散させてくれる。
ニャーッ。不思議と昔から出来てしまう猫化で子猫になると殿下の腕から脱出後、殿下の顔面に向かってジャーンプ!

ぶらーん。

キュートな子猫姿の私の顔を鷲掴んで捕まえるとは。大人しく引っ掻かれていればいいものを…。
殿下の手に捕まえられながらじたばたと抵抗する私はこの後結局、自分が見たものや妄想した内容を絵にする事が得意だったこともありそのまま同人誌作成を手伝うことに。
王様曰くプロに頼んでみたがなかなか思ったようなのが出来なかったらしい。ちなみに私が自分で同人誌を作らなかった理由はストーリーを考えるのが面倒だったからである。
私は読む専門だ。
でも内容は王様と王妃様が考えてくれるのだし、まっいいか。


そういえば小脇に抱えられていたとき猫化すれば逃げられたのでは………。気付かなければよかった。
……というか人前で猫化してヤバくないか、私。何も言われてないから大丈夫だよね多分。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなたのことなんて、もうどうでもいいです

もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。 元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。

【完結】浮気現場を目撃してしまい、婚約者の態度が冷たかった理由を理解しました

紫崎 藍華
恋愛
ネヴィルから幸せにすると誓われタバサは婚約を了承した。 だがそれは過去の話。 今は当時の情熱的な態度が嘘のように冷めた関係になっていた。 ある日、タバサはネヴィルの自宅を訪ね、浮気現場を目撃してしまう。 タバサは冷たい態度を取られている理由を理解した。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

家に代々伝わる髪色を受け継いでいないからとずっと虐げられてきていたのですが……。

四季
恋愛
メリア・オフトレスは三姉妹の真ん中。 しかしオフトレス家に代々伝わる緑髪を受け継がず生まれたために母や姉妹らから虐げられていた。 だがある時、トレットという青年が現れて……?

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

処理中です...