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争奪戦開幕
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マスターソン公爵様にも私の能力が認められたことにより、マスターソン公爵家でも私とアルフレッド様の婚約の打診をしてもらえることになった。
家格だけならマスターソン公爵家の方が上なのです、家格だけなら…。
しかし!スチュアート家は、レイモンド様が嫡男なわけです。
公爵家次男と、侯爵家嫡男…微妙に跡継ぎの方が有利にも見えるわけです。
そこで私が考えたのは…き!せ!い!じ!じ!つ!!!…既成事実です…?
家出して、マスターソン家へ転がり込み、少なくとも一夜はご当主に内緒で、アルフレッド様の部屋で二人きりで過ごしました。
それを既成事実として使えないかと聞いてみました。
「一番の問題は、君の家が、アルフレッドを取るか、レイモンド殿を取るかなんだよね…。」
公爵様から言われてしまいました。
結局、父さまがレイモンド様を取る場合、10歳児が一晩、男性と過ごしたからといって、何だと言うのだ?
10歳児だぞ?!10歳!と言ってしまえばそれまで。
それに対し、ハッキリ手を付けましたとはマスターソン家としては言えない。
何故なら!それは単に不埒なとなるだけでなく、ロリコンだと世間に認めることになるから。
散々あれこれ話し合ったわけですが、最後の最後に公爵様は、隠し札を出してきました。
公爵様の従兄弟に頼むというものです。
それで私を王子妃候補の中へ入れてもらい、王妃主催の茶会へ呼んでもらうというものでした。
もちろん、本当に王子妃候補にされても困るので、アルフレッド様と私が婚約したがっているけど、既に侯爵家嫡男からの申し込みがあり、横槍になってしまうのど、その申し込みを白紙に戻す為にと協力を仰ぐというわけです。
先ずは早急に公爵様に動いていただき、この線でという事になりました。
そして私は、王妃様主催の茶会の招待状が届くまでは、このまま公爵家に雲隠れ…と行きたいところですが、大騒ぎになってしまっても大変なので、明日になったら公爵様が、父さまへ会いに行き、私が客間に籠城して出てこないと話してもらうことになりました。
最初の晩は、公爵様は何も知らず、私はアルフレッド様の部屋に泊まり込み。
翌日の晩は、公爵様にバレ、客間に泊まるように言われ、客間に移ったものの、翌日、家へ帰るように促そうとしたら、籠城と。
それで公爵様は、父さまに「暫く公爵家で預かるから」と言う方向に持っていってもらうことに。
ここは父さまは公爵様に文句は言えない事でしょう。
それが長くなった時に、どうなるかは不明。
その前に茶会の招待状が来れば良しと。
公爵様が、父さまに会いに行った日、公爵様と一緒に、父さまも公爵家へやってきてしまいました。
そこは可能性としては予想もしていたので、計画通り、「私はスチュアート家の兄弟と婚約なんてしない!断ってくれるまで帰らない!」と言い張りました。
問題は!それを聞きつけたレイモンド様がやってきてしまった事です。
え!?だってレイモンド様、私に恋愛感情なんて欠片も抱いていないでしょ!?そんな事は分かっているよ?!
なのに何でレイモンド様がそこに拘るの?!と思っていたら…。
「マリーナちゃん、私のことが嫌いなの?そんなに嫌なの?
それともアンドリューの方が良い?」
「レイモンド様は嫌いではありませんが、それは恋愛感情ではありません。
アンドリュー様も嫌いではないですが、アンドリュー様には嫉妬深い女性が周囲に居るので、アンドリュー様とは無いですね。」
「マリーナちゃん、確かにお互いに恋愛感情ではないかもしれない、今は。
でも貴族の結婚ってそんなものでしょ?
それでもそこからお互いに思いやって、育むものではないの?」
「…確かに政略結婚なんてそんなものです。
でも!私、まだ10歳ですよ…その歳で既にそんな冷めた考えは持ちたくありません。」
正直に言ってしまえば、だから政略結婚とか嫌で、それから逃げるために偽装婚約をしようとしているわけですよ。
レイモンド様が偽装婚約してくれるのでしたら、別にレイモンド様でも良いのですけどね。
でもレイモンド様が望んでいるのは政略結婚で、駒としての私に価値を見出しているわけです。
私はそれは嫌…。
そして今現在、そこまで正直に話せるほどには、レイモンド様との信頼関係は無い。
あ、何故かアルフレッド様とはあるんですけどね。
とにもかくにも、取り敢えず今回は、籠城を貫き、レイモンド様にも一旦、お帰り頂きました。
そうこうしているうちに、公爵様のご尽力により、王妃様より私の実家と、そしてアルフレッド様のところへ、茶会の招待状が届きました。
私が公爵家に籠城している事は、バレていますので、当日はアルフレッド様が立て籠もり犯(私)を連れてくるようにとのご命令?でした。
そして一応レイモンド様にも招待状は送られたようです。
レイモンド様は、アンジェリカ様をエスコートする模様。
ヤバいな…アンジェリカ様は、アルフレッド様狙いです…。
うん、私は現地では、適当なところで雲隠れしよう…。
当日まで公爵家に籠城中の私です。
冷静に考えると、私って凄い迷惑な我が儘小娘なのでは?!
23歳の私に戻ると、本っと!ダメなやつじゃない!
まあでも10歳児ということで、許してもらおう。
10歳児だし籠城しているので、準備は当日朝からになってしまいました。
でも!安心してください!髪は夜、自分で入浴したときに、ちゃんとパックしておきました!
髪をしっかり洗ったあと、椿油を髪に湿布し、布で覆ってしばらく放置。
そして特に地肌にはオイルが残らないように、しっかり洗い流し、髪もベタつかないように、ある程度しっかり洗い流し。
髪を乾かしたあとは、コームでしっかり梳かして、ツヤツヤのストレートヘアの出来上がり。
それをセットアップしてもらおうと思ったら!髪がサラサラ過ぎて、ピンとかで留まらないと言われてしまいました…。
そうなると簡単な髪しかできないけど、ツインテールは子供っぽくて嫌なので…まあ子供ですけど…高い位置でのポニーテールに太めの髪留めをつけてもらいました。
ドレスは、敢えて!グリーン無地で上半身はボートネックにオフショルダー、他はスッキリしていて、ウエスト下に切り替えがあり、スカート部分も無地。
それを自分で改造し、7ヶ所ほど縦に二つずつ並んだ穴を裾まで空け、そこへリボンを通してレースアップにしました。
そして正面だけは、レースアップを縮めて上まで無地のオーバースカートをカーテンのように上げてしまいました。
下には白地に青バラが全体に描かれたアンダースカートを着用し、更にその下には裾にレースのフリルの付いたペチコートを着用しました。
でもフープが入っていたり、何重にもなってボリュームを出すタイプのペチコートではなく、普通の。
それには大切な理由があったのでした。
マスターソン家のホールでアルフレッド様に合流し、エスコートしていただいて、馬車に乗り、王宮へ向かいました。
今回は王宮でも正面から入って右手奥のずっと奥。
夜会なども開かれる大きなホールの外側に広がる芝生の広場です。
その向こうには大きな池があり、芝生の広場が面した部分は別として、池の周りには林があります。
ラッキー…。
到着して入ると、予想通り冷たい視線とひそひそ…というには随分大きな声が、あちらこちらから聞こえてきました。
「あれが先日、アルフレッド様が劇場へ連れてきていたとかいう、どこかの貧乏伯爵家のご令嬢?」
「えぇ~何か別にそんな可愛くないじゃない!っていうか子供でしょ?!」
「何で王妃様の茶会へ来ているの?!」
「何でもスチュアート家のご令息ともどちらのご令息か分からないけど、縁談話が上がっているって聞いたけど?!」
「え~!何で~?!」
「私、レイモンド様とカフェに居る所を見ましたわ!」
「何なの?!あの子は?!」
何かそこまで言われちゃうと、一緒にいるアルフレッド様にも申し訳ない…。
私は自由が欲しいだけなんですけどねぇ~。
先ずはアルフレッド様にエスコートされて、王妃様と二人の王子様への挨拶に向かいました。
挨拶のために並ぶのですが、家格が高い家からなので、公爵家であるアルフレッド様といる私は、並ぶこと無く挨拶に。
「アルフレッド、お久しぶりね。
その子が噂のご令嬢かしら?あなたが夢中になっているという?」
王妃様がニコニコしながらアルフレッド様を揶揄いはじめ、王子様お二人も便乗して話しかけていらっしゃいました。
私は挨拶をした後は、ひたすらアルフレッド様の斜め後ろで頭を下げておりました。
すると、第一王子のエドワード様が、私に話しかけてきました。
「マリーナ嬢は、アルをどう思っているのかな?」
「とても優しくて素敵なお兄様とお慕いしております。」
「アルが素敵なお兄様ねぇ?でも君はマスターソン家のレイモンドとも親しくしていると聞いているけど?」
「ジョージ!ここで言う事ではありませんよ?」
第二王子のジョージ様が不穏な事を言い、それを王妃様が諫めたのですが、ジョージ様は悪びれる様子もなく。
私も周囲の聞き耳もあるので、良い機会だと思い、臆さず答えました。
「王妃様、ありがとうございます。ジョージ殿下、レイモンド様には先日、良くして頂きました。
でもそれだけです。
レイモンド様とはまだ片手でも余るほどしかお会いしたことはありません。
それに私はレイモンド様の弟君と同じ歳です。
きっと幼い妹と同じように思ってくださったのだと思います。」
「…そうね…そういう事にしておきましょう。」
そして私たちは、王族三人の前を辞しました。
「これでミッションは大方終わりでしょうか?」
アルフレッド様に聞いた。
「そうだね~あとは僕たちの仲睦まじい様子を周囲に見せつけておけば大丈夫だよ!」
そう言って二人で歩いていた時でした。
突然、背後からまたまた私は突き飛ばされ、何とか転ばずにバランスを取り、振り返ると、アルフレッド様の腕に纏わりつくアンジェリカ様と、苦笑いでそれを止めもせずに見つめるレイモンド様…またかい!
アンジェリカ様は、何かを早口でまくし立て、アルフレッド様を引き摺るようにして行ってしまいました。
「何か…ごめんね~マリーナちゃん…アルフレッドの代わりにここからは私がエスコートするよ。」
ごめんねって…狙っていたのでは?と勘繰る私。
でもそれを言うわけにもいかないし、冷たい態度をとるわけにもいかず、考えあぐねていると、それを見た、周囲の私に冷たい視線を刺しまくっていたご令嬢の皆様が、レイモンド様を取り囲み始めました。
あ、何か、ラッキー?今のうちに逃げよう!私!
取り囲まれたレイモンド様に、ニコッと笑顔だけ返し、踵を返してその場を離れました。
家格だけならマスターソン公爵家の方が上なのです、家格だけなら…。
しかし!スチュアート家は、レイモンド様が嫡男なわけです。
公爵家次男と、侯爵家嫡男…微妙に跡継ぎの方が有利にも見えるわけです。
そこで私が考えたのは…き!せ!い!じ!じ!つ!!!…既成事実です…?
家出して、マスターソン家へ転がり込み、少なくとも一夜はご当主に内緒で、アルフレッド様の部屋で二人きりで過ごしました。
それを既成事実として使えないかと聞いてみました。
「一番の問題は、君の家が、アルフレッドを取るか、レイモンド殿を取るかなんだよね…。」
公爵様から言われてしまいました。
結局、父さまがレイモンド様を取る場合、10歳児が一晩、男性と過ごしたからといって、何だと言うのだ?
10歳児だぞ?!10歳!と言ってしまえばそれまで。
それに対し、ハッキリ手を付けましたとはマスターソン家としては言えない。
何故なら!それは単に不埒なとなるだけでなく、ロリコンだと世間に認めることになるから。
散々あれこれ話し合ったわけですが、最後の最後に公爵様は、隠し札を出してきました。
公爵様の従兄弟に頼むというものです。
それで私を王子妃候補の中へ入れてもらい、王妃主催の茶会へ呼んでもらうというものでした。
もちろん、本当に王子妃候補にされても困るので、アルフレッド様と私が婚約したがっているけど、既に侯爵家嫡男からの申し込みがあり、横槍になってしまうのど、その申し込みを白紙に戻す為にと協力を仰ぐというわけです。
先ずは早急に公爵様に動いていただき、この線でという事になりました。
そして私は、王妃様主催の茶会の招待状が届くまでは、このまま公爵家に雲隠れ…と行きたいところですが、大騒ぎになってしまっても大変なので、明日になったら公爵様が、父さまへ会いに行き、私が客間に籠城して出てこないと話してもらうことになりました。
最初の晩は、公爵様は何も知らず、私はアルフレッド様の部屋に泊まり込み。
翌日の晩は、公爵様にバレ、客間に泊まるように言われ、客間に移ったものの、翌日、家へ帰るように促そうとしたら、籠城と。
それで公爵様は、父さまに「暫く公爵家で預かるから」と言う方向に持っていってもらうことに。
ここは父さまは公爵様に文句は言えない事でしょう。
それが長くなった時に、どうなるかは不明。
その前に茶会の招待状が来れば良しと。
公爵様が、父さまに会いに行った日、公爵様と一緒に、父さまも公爵家へやってきてしまいました。
そこは可能性としては予想もしていたので、計画通り、「私はスチュアート家の兄弟と婚約なんてしない!断ってくれるまで帰らない!」と言い張りました。
問題は!それを聞きつけたレイモンド様がやってきてしまった事です。
え!?だってレイモンド様、私に恋愛感情なんて欠片も抱いていないでしょ!?そんな事は分かっているよ?!
なのに何でレイモンド様がそこに拘るの?!と思っていたら…。
「マリーナちゃん、私のことが嫌いなの?そんなに嫌なの?
それともアンドリューの方が良い?」
「レイモンド様は嫌いではありませんが、それは恋愛感情ではありません。
アンドリュー様も嫌いではないですが、アンドリュー様には嫉妬深い女性が周囲に居るので、アンドリュー様とは無いですね。」
「マリーナちゃん、確かにお互いに恋愛感情ではないかもしれない、今は。
でも貴族の結婚ってそんなものでしょ?
それでもそこからお互いに思いやって、育むものではないの?」
「…確かに政略結婚なんてそんなものです。
でも!私、まだ10歳ですよ…その歳で既にそんな冷めた考えは持ちたくありません。」
正直に言ってしまえば、だから政略結婚とか嫌で、それから逃げるために偽装婚約をしようとしているわけですよ。
レイモンド様が偽装婚約してくれるのでしたら、別にレイモンド様でも良いのですけどね。
でもレイモンド様が望んでいるのは政略結婚で、駒としての私に価値を見出しているわけです。
私はそれは嫌…。
そして今現在、そこまで正直に話せるほどには、レイモンド様との信頼関係は無い。
あ、何故かアルフレッド様とはあるんですけどね。
とにもかくにも、取り敢えず今回は、籠城を貫き、レイモンド様にも一旦、お帰り頂きました。
そうこうしているうちに、公爵様のご尽力により、王妃様より私の実家と、そしてアルフレッド様のところへ、茶会の招待状が届きました。
私が公爵家に籠城している事は、バレていますので、当日はアルフレッド様が立て籠もり犯(私)を連れてくるようにとのご命令?でした。
そして一応レイモンド様にも招待状は送られたようです。
レイモンド様は、アンジェリカ様をエスコートする模様。
ヤバいな…アンジェリカ様は、アルフレッド様狙いです…。
うん、私は現地では、適当なところで雲隠れしよう…。
当日まで公爵家に籠城中の私です。
冷静に考えると、私って凄い迷惑な我が儘小娘なのでは?!
23歳の私に戻ると、本っと!ダメなやつじゃない!
まあでも10歳児ということで、許してもらおう。
10歳児だし籠城しているので、準備は当日朝からになってしまいました。
でも!安心してください!髪は夜、自分で入浴したときに、ちゃんとパックしておきました!
髪をしっかり洗ったあと、椿油を髪に湿布し、布で覆ってしばらく放置。
そして特に地肌にはオイルが残らないように、しっかり洗い流し、髪もベタつかないように、ある程度しっかり洗い流し。
髪を乾かしたあとは、コームでしっかり梳かして、ツヤツヤのストレートヘアの出来上がり。
それをセットアップしてもらおうと思ったら!髪がサラサラ過ぎて、ピンとかで留まらないと言われてしまいました…。
そうなると簡単な髪しかできないけど、ツインテールは子供っぽくて嫌なので…まあ子供ですけど…高い位置でのポニーテールに太めの髪留めをつけてもらいました。
ドレスは、敢えて!グリーン無地で上半身はボートネックにオフショルダー、他はスッキリしていて、ウエスト下に切り替えがあり、スカート部分も無地。
それを自分で改造し、7ヶ所ほど縦に二つずつ並んだ穴を裾まで空け、そこへリボンを通してレースアップにしました。
そして正面だけは、レースアップを縮めて上まで無地のオーバースカートをカーテンのように上げてしまいました。
下には白地に青バラが全体に描かれたアンダースカートを着用し、更にその下には裾にレースのフリルの付いたペチコートを着用しました。
でもフープが入っていたり、何重にもなってボリュームを出すタイプのペチコートではなく、普通の。
それには大切な理由があったのでした。
マスターソン家のホールでアルフレッド様に合流し、エスコートしていただいて、馬車に乗り、王宮へ向かいました。
今回は王宮でも正面から入って右手奥のずっと奥。
夜会なども開かれる大きなホールの外側に広がる芝生の広場です。
その向こうには大きな池があり、芝生の広場が面した部分は別として、池の周りには林があります。
ラッキー…。
到着して入ると、予想通り冷たい視線とひそひそ…というには随分大きな声が、あちらこちらから聞こえてきました。
「あれが先日、アルフレッド様が劇場へ連れてきていたとかいう、どこかの貧乏伯爵家のご令嬢?」
「えぇ~何か別にそんな可愛くないじゃない!っていうか子供でしょ?!」
「何で王妃様の茶会へ来ているの?!」
「何でもスチュアート家のご令息ともどちらのご令息か分からないけど、縁談話が上がっているって聞いたけど?!」
「え~!何で~?!」
「私、レイモンド様とカフェに居る所を見ましたわ!」
「何なの?!あの子は?!」
何かそこまで言われちゃうと、一緒にいるアルフレッド様にも申し訳ない…。
私は自由が欲しいだけなんですけどねぇ~。
先ずはアルフレッド様にエスコートされて、王妃様と二人の王子様への挨拶に向かいました。
挨拶のために並ぶのですが、家格が高い家からなので、公爵家であるアルフレッド様といる私は、並ぶこと無く挨拶に。
「アルフレッド、お久しぶりね。
その子が噂のご令嬢かしら?あなたが夢中になっているという?」
王妃様がニコニコしながらアルフレッド様を揶揄いはじめ、王子様お二人も便乗して話しかけていらっしゃいました。
私は挨拶をした後は、ひたすらアルフレッド様の斜め後ろで頭を下げておりました。
すると、第一王子のエドワード様が、私に話しかけてきました。
「マリーナ嬢は、アルをどう思っているのかな?」
「とても優しくて素敵なお兄様とお慕いしております。」
「アルが素敵なお兄様ねぇ?でも君はマスターソン家のレイモンドとも親しくしていると聞いているけど?」
「ジョージ!ここで言う事ではありませんよ?」
第二王子のジョージ様が不穏な事を言い、それを王妃様が諫めたのですが、ジョージ様は悪びれる様子もなく。
私も周囲の聞き耳もあるので、良い機会だと思い、臆さず答えました。
「王妃様、ありがとうございます。ジョージ殿下、レイモンド様には先日、良くして頂きました。
でもそれだけです。
レイモンド様とはまだ片手でも余るほどしかお会いしたことはありません。
それに私はレイモンド様の弟君と同じ歳です。
きっと幼い妹と同じように思ってくださったのだと思います。」
「…そうね…そういう事にしておきましょう。」
そして私たちは、王族三人の前を辞しました。
「これでミッションは大方終わりでしょうか?」
アルフレッド様に聞いた。
「そうだね~あとは僕たちの仲睦まじい様子を周囲に見せつけておけば大丈夫だよ!」
そう言って二人で歩いていた時でした。
突然、背後からまたまた私は突き飛ばされ、何とか転ばずにバランスを取り、振り返ると、アルフレッド様の腕に纏わりつくアンジェリカ様と、苦笑いでそれを止めもせずに見つめるレイモンド様…またかい!
アンジェリカ様は、何かを早口でまくし立て、アルフレッド様を引き摺るようにして行ってしまいました。
「何か…ごめんね~マリーナちゃん…アルフレッドの代わりにここからは私がエスコートするよ。」
ごめんねって…狙っていたのでは?と勘繰る私。
でもそれを言うわけにもいかないし、冷たい態度をとるわけにもいかず、考えあぐねていると、それを見た、周囲の私に冷たい視線を刺しまくっていたご令嬢の皆様が、レイモンド様を取り囲み始めました。
あ、何か、ラッキー?今のうちに逃げよう!私!
取り囲まれたレイモンド様に、ニコッと笑顔だけ返し、踵を返してその場を離れました。
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