私は逃げます

恵葉

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婚約の申し込みは

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アルフレッド様と観劇およびカフェデートをした翌日、昼前から大姉さまがやってきました。

母さまと兄さまがいるところで、いきなり聞かれました。

「マリーナ!アルフレッド様とはどういう関係なの?!
昨日、二人でデートをしていたって本当なの?!」

「シンシア…確かにマリーナはアルフレッド様と出掛けたけど、でもレイモンド様とも出掛けているし…なのに何でそんな慌てて来ているの?」

「凄い噂になっているのよ!
マリーナがレイモンド様と仲睦まじくデートをしていたって噂が先に流れて、でも弟さんとマリーナは同じ歳だから、弟さんのお相手候補に上がっているのかしら?くらいだったのよ。
そしたら!昨日は今度はアルフレッド様と観劇に行って、しかも凄い仲良さそうにずっとベッタリとしながら劇を見ていて、更にカフェでは凄いイチャイチャして、挙句の果てに公衆の面前でキスまでしていたっていうじゃない!
そりゃもう落ち着いて何て居られないでしょ?!」

「え?!イチャイチャ!?キス???」

「どういう事になっているの?!」

いきなり暴露された私は、言葉も出ずに、遠い目になってしまいました。

「えっとですねぇ…アルフレッド様とは出会ってから、何というか、妙に馬が合うというか…。

それでたまたま劇のチケットが手に入ったからとお誘いがありまして。
劇場でイチャイチャはしていないですよ…。
ボックス席で、ソファが微妙に狭かったので、私がアルフレッド様の膝の上に座っていたんです。
何せお子ちゃまですから…。
それを見ていた方々は勘違いなさったのかと。
だって考えてもみてください!私、10歳ですよ!
大姉さまだって兄さまが10歳の時に、例えば何かを見に行って、兄さまに見えないって言われたら、抱き上げて見せてあげていませんでしたか?
そういう事ですよ。

カフェの件は…ふざけて食べさせあいっこをしていたら、アルフレッド様が更にふざけて私の頬についたクリームを舐めただけです。」

本当は違うけど、そう言ってごまかした。
それでも仲がかなり良いとは思ってもらえるだろうから、ほどほどが良いのよ、こういうのは。


しかし!どうやらほどほどでは済まなかったらしい…。

我が家へというか、私への婚約の申し込み兼見合い話が舞い込んできた。

父さまと母さまに呼ばれ、父さまの書斎へ行った。

私がソファに座ると、開口一番、いきなり言われた。

「お前に婚約話と見合い話が来ている…。」

「え!?私にですか?!私、まだ10歳ですが?」

とか言いながらも、内心はアルフレッド様、仕事が早いなぁとか思っておりました。


「10歳と言えば、婚約者が決まり始める人も珍しくないので、別に早くはない。」

「それでお相手はどなたなのですか?」

これまた内心では、アルフレッド様だと思い込みながら聞きました。


「スチュアート家からだ…。」

「え?!何故?!
それにスチュアート家の…どなたから???」

「スチュアート家の令息としか分からん…。」

「“分からん!”じゃなくて父さま?」

「ご当主にも直接確認したが…スチュアート家へ嫁に来て欲しいという意向でな。
レイモンド殿でもアンドリュー殿でも良いらしい…何なら甥御殿たちも用意すると言われた…。
家格で言ったら我が家は簡単に断れる立場に無い。
何でこうなったんだ???」

「…分かりません…何ででしょう…。」

「とにかく…現状ではお前の嫁ぎ先はスチュアート家にほぼ決まりだ。
後は相手が誰になるかだけの問題だ。
日程を決めて、スチュアート家へ行って、相手を選んで来い。」

「でも…あの…。」

「何だ?何か都合が悪いのか?」


それまでずっと黙って父さまの隣に座っていた母が、ためらいながら口を開いた。

「あの…旦那様…この子、昨日、マスターソン公爵家のアルフレッド様とお出掛けしておりまして。
何でもかなり親密な様子をあちこちにばら撒いてきたようなのです…。」

「それで…あの…アルフレッド様とは…その…カフェで口づけも…。」

言いかけた瞬間、父が目を剥き、次の瞬間、私の身体が吹っ飛んだ。

「何ぃ!公衆の面前でそのような事を!」

いきなり平手打ちをされた…。
前世のどこぞのアニメキャラクターじゃないけど、心の中ではそのキャラの「ぶったなぁ!オヤジになってぶたれたことは無いのに!」というセリフが脳内を駆け巡った。

…いや、今、私を殴ったのは、その“オヤジ”だった…うん…。

「何を破廉恥な事をしておるのだ!!!」

「あなた!やめてくださいまし!女の子の顔をぶつなんて!!!」

母さまが珍しく私を庇ってくれたが…父さまは怒りが収まらないようで。

「マリーナは暫く部屋にて謹慎しておれ!マリーナを部屋から出すなよ!」

そう叫んでどこかへ出て行ってしまった。

私は母さまが呼んだ侍女たちに、部屋へ戻され、しかも外からカギを掛けられたようだ…。


この結果、少なくとも私の腫れあがった顔が元に戻るまでは、スチュアート家との見合いについては猶予が得られた。
まさかこの顔のまま、スチュアート家へ行ってこいとは父さまも言うまい。
しかしまさかの自宅に監禁で、アルフレッド様に連絡を取る事も出来ない…さてどうしたものか?



そんな事になっているとは知らないアルフレッドは、屋敷の居間にて、ブレックファストティーを飲みながら、ついに父親にマリーナとの婚約の希望を求めていた。

「父上、俺の婚約について、お願いがあるのですが…。」

「お前もようやく婚約者を見つけようという気になったか!
より取り見取りであちこちから申し入れが来ておるぞ?」

「えっと…父上、その中にフォーサイス伯爵家からのものは有ったりしますかね?」

「何を言って居る?あるわけないだろう?
我が家は公爵家だぞ?釣り合いの取れる家格というと、侯爵家以上、伯爵家でも辺境伯とか、それなりの家からしかそんなものは出せぬわ!
他国の王族からも来ておるぞ?
選び放題だな!」

「申し訳ございませんが、それらは全てお断りください…。
私が婚約を申し込みたいのは、フォーサイス伯爵家にございます。」

「は?!お前は何を言って居る?あんな田舎の弱小伯爵家では、我が家とは釣り合いが取れないだろう?
それにあの家にはお前と釣り合いの取れる年齢の娘は居なかったと思うが?」

「…10歳のマリーナ嬢と婚約を進めて頂きたく…。」

「…いやお前、政略結婚だったら、今、15歳のお前が10歳児との婚約もあるけど、これは政略結婚とは違うだろう?
それに相手が15歳でお前が20歳ならまだしも、相手は今、10歳の子供だぞ?
お前まさか幼女趣味ではあるまいな?!」

予想通りというか、ロリコンを疑われた…。

「父上…俺が10歳児に惹かれているのは否定しません、いや、出来ません。
ですが実は一度彼女を父上に会わせたいと思っているのです。
あの子は普通の10歳児とは違います。
かなり頭が良く、言動を見ていても、10歳児とは思えないのです。
あの子は他家に取られる前に、我が家へ取り込んだ方が、我が家の繁栄につながると思いますよ。」

「お前…既にその子と二人きりで出掛けたりなどしておるのか?」

「マリーナ嬢の姉の嫁ぎ先が、我が家の遠縁の家でして、その家で偶然出会ったのですが、その後、彼女にパートナーを頼んでスチュアート家の茶会へ出席しました。
その時は単に物珍しいからエスコートしただけでしたが、そこで一緒に過ごすに従いまして、彼女の頭の良さに気付きました。
それで彼女の家に訪問したり、先日は彼女を誘って観劇に出かけ、カフェで歓談してまいりました…。
その時に確信したのです!彼女は手に入れなければと!」

「それか!!!昨日、王宮でお前の噂が耳に入ってな…。
お前がどこかの幼女に夢中になって、カフェで破廉恥な真似までしていたと聞かされた。
その時は相手が誰かも分からず、私の耳に入れてきた者も、相手が誰なのかの探りを入れてきてだったのだが、私は何かの間違いだろうと思って取り合わなかった…。」

当主は難しい顔をして言った。

「いや待て、お前、今、スチュアート家の茶会と言ったか?」

「何か?!」

まさか既に敵が動き始めているとかと、危惧しながらアルフレッドは父親に聞いた。

「昨日の帰り際、スチュアート家の当主とマスターソン家の当主が何やら立ち話をしているところに通りかかってな。
その際に『レイモンドとアンドリュー、どちらでも良い。我が家へ嫁に入ってもらいたいのだ』と言っているのが聞こえてしまってな。
どこぞの令嬢の話かと気にしていなかったのだが…まさかと思うが、スチュアート家がその娘を狙っておるのか?」

「…それを危惧しておりましたが、恐らくは…。
という事は既に先を越されたという事ですか…。
それでフォーサイス伯は、何と答えていたか、分かりますか?」

「とにかく先ずは娘の意向を確認してみると言っておったようだが…。
しかしフォーサイス伯爵家は、田舎の弱小伯爵家、スチュアート家は侯爵家、申し込まれたら、断るのは難しいだろうな…。」

「すぐにこちらからも申し入れをすれば、公爵家と侯爵家では、我が家の方が有利になりませんか?」

「スチュアート家がアンドリュー殿を出してくるなら、我が家の方が有利だが、あちらがレイモンド殿の場合は、あちらは侯爵家嫡男となる…公爵家次男と侯爵家嫡男…微妙だな…。

その前に私はまだ認めてはおらぬぞ?」

「父上…分かりませんか?!スチュアート家が、嫡男でも次男でも望む方を出すから嫁にと申し出ているんですよ!
それだけの価値のある娘だという事ですよ!」

「そこは確かに気になるところではあるが…。」

「では父上!先ずは早急に何らかの断れないような理由を付けて、マリーナ嬢を我が家へ呼び出しましょう!
実際に会っていただければ、あの子の価値は分かっていただけると思います!」

こうして先ずは早急にマリーナをマスターソン家へ呼びだすことになった。
なったのだが、失敗に終わった…。

マリーナ嬢、急病との事で、面会謝絶という返事が来たのだ。

アルフレッドは、不審に思い、探りを入れた。
マリーナの下の姉の嫁ぎ先は、アルフレッドの母方の遠縁であるパルマ侯爵家である。
そのマリーナの義兄にあたるジャンニに接触を図り、聞き出したところ、何やら伯爵の不興を買って、謹慎させられているという。
救いは、スチュアート家との話も、病状が回復するまではと止まったままであるらしい。

しかし接触出来なければ、どうしようもなく。

アルフレッドは、ジャンニに事情を話し、仲介を頼めないか尋ねた。

「う~ん…アルフレッドの為には、何とかしてあげたいとは思うんだが、義父上の不興はあまり買いたくないし、何よりもうちの妻とマリーナ嬢は、あまり仲が良くないんだよ…。
どうしたものかなぁ…。」

あれこれ悩んだ末、マリーナ嬢の兄、ジャンニから見たら義弟になるわけだが、彼にジャンニがアルフレッドを連れて会いに行くことになった。
要件としては、前から彼が欲しがっていた、最近隣国が開発したガラスペンというものを手に入れたので、可愛い義弟にプレゼントしようという話にした。
ガラスペンは、ジャンニの友人…実はアルフレッドだが…の付き合いのある商会経由で入手したもので、種類があるので選んで欲しいので、商会と懇意の友人を連れて行くという話にしてもらった。

マリーナとアルフレッドの事をフォーサイス家に知られていた場合、アルフレッドへの対応がどのようになるか、分からないので、アルフレッドは変装して行くことになった。
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