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クーデターと冤罪
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暗闇の中、ファルコは火柱の上がっている方へ偵察に行きました。
火柱は魔王城から上がっておりました。
ファルコが可能な限り、近付いて様子を窺うと、魔獣同士、そして魔族同士が戦っておりました。
城の一番高い塔の屋上では、魔王と、魔族の若い青年が戦っていました。
「おのれ!良くも謀りおったな!」
魔王は流石、強い…魔族の青年が、どれだけ切りかかろうとも、魔族の魔法攻撃を仕掛けようとも、魔王は簡単に跳ね返してくる。
しかし青年も、決して弱いわけではない。
何よりも、青年の背後には、よく似た風貌の若い男女がずらりと並んでいる。
一斉攻撃など、多彩な攻撃に、魔王も徐々にではあるが、時々苦戦を強いられ始めていた。
魔王派の魔族や魔獣と、王子派の魔族や魔獣の戦いは、熾烈な争いでした。
あちこちで叫び声や悲鳴が響き渡り、まるで地獄絵図のようでした。
ファルコは、近くの木の上から枝に隠れてその様子をずっと見ておりました。
明け方まで続いた戦いは、再びの大きな爆発が起こり、終焉を迎えました。
『何だ?!何が起きたのだ?』
呟きながら、ファルコはそっと更に城へ近付いた。
そこには、親子で力の限りにぶつかり合ったのであろう、魔王とその子供達が倒れていた。
相打ちだったのだろう、全員が虫の息だった。
ファルコはきびすを返してロンとノエルの元へ飛んだ。
『ヤバいよ!ヤバいよ!魔王城が大変なことになっているよ!』
いつもはクールで、格好いい“鷹!”って感じのファルコが、豆鉄砲を喰らった鳩のような形相で飛び込んで来ました。
鷹が鳩に見えるって…ファルコが間抜けな顔になったのか?私の目が疲れているのか?
焦りまくったファルコが、何が起きたのかを報告していると、ビレトが両目を見開いて叫んだ。
「行かなくちゃ!」
そう言って飛び出していった。
飛び出していくビレトの横顔は、何故か少し嬉しそうに、口角が上がって見えました。
ベネはその後ろ姿を目で追いながら、ビレトが何故、慌てて魔王城へ向かったのか、不思議に思いました。
不思議に思いながらも、深く考えなかった…後から思えば、考えるべきだったのに。
ノエルやベネは、相談し、ベネはビレトを置いて出発すべきだというのを、ノエルは一応、数日は待とうと説得し、その場に留まりました。
そしてファルコを何回か、偵察に行かせていたのですが、ある日、再びファルコが大騒ぎをして戻ってきました。
『ヤバいよ!ヤバいよ!大変だよぉ!魔王軍が攻めてくるよ!!!』
「ごめん…言っていることが良く分からないんだけど…何で攻めてくるの?っていうか、誰を攻めてくるの?」
『ベネやノエルたちを逆賊として攻めてくるんだよ!!!』
「はぁ?!ちょっと本当に意味が分からないんだけど…。」
『ビレトの奴、やりやがった!あいつは魔王の座に就きやがったんだ!』
『何であいつが魔王になるんだよ…一番上の兄が居たはずだろ?!』
ベネも怪訝な顔で聞きました。
『ベネ!お前の両親に対して、兄弟全員でクーデターを起こして、そして…相打ちで全滅したんだ…。
生き残っているのはビレトとベネ、お前だけなんだ…。
ビレトは魔王とその子供たちが相打ちしたところへ駆け込んで、正当な血筋として魔王の座に就いたんだ…。』
『あいつが魔王になったとして、何で俺に軍を差し向けるんだ?
俺は別に魔王の座なんて興味は無ぇ!』
『…クーデターを扇動したのは、お前って事になっている…。』
『はぁ?!何を言っているんだ?!俺は関係無ぇじゃねえか!』
ファルコの説明に、ベネが食って掛かっていた。
「ベネ…嵌められたんだよ…お兄さんたちも嵌められたんだよ、きっと…。
犯人はビレトだよ…。
ベネに帰ろうと言っていたのは、その騒ぎにベネの事も片付けたかったのかもしれないね…それだけが失敗したから、だから逆賊の汚名を着せて、殺そうというのでは?」
『何でだよ!何でなんだよぉ!!!』
ベネは辛そうに叫びました…それでもビレトに対し、兄弟の情があったのかも…。
でも今は落ち込んでいる時ではない。
これからの事を考えなくては…。
「ベネ…これからどうする?魔王軍を迎え撃つ?とりあえず逃げる?」
『…こちらから出向く!それでビレトをぶっ飛ばす!』
「ベネ…ビレトは出てこないと思うよ。
堂々とあなたと戦うような相手なら、そもそもこんな陰謀は企てないわ。
自分の兄弟を利用して両親を殺害とか、相当な腹黒よ?」
『でも!俺は信じられねぇ!そんな奴じゃないんだ!きっと何かわけがある筈だ!』
ベネはどうしてもビレトは悪い奴じゃないと言って聞かず、取り敢えずその場で魔王軍を迎え撃つことになった。
ヒースと私は、魔族と戦うのはかなりの不安があるので…いや私はむしろ、不安しかないくらいだが…ロンの背に乗り、上空へ避難する事になった。
ベネは一人、大きな岩の上に佇み、魔王軍を迎え撃つことに…。
火柱は魔王城から上がっておりました。
ファルコが可能な限り、近付いて様子を窺うと、魔獣同士、そして魔族同士が戦っておりました。
城の一番高い塔の屋上では、魔王と、魔族の若い青年が戦っていました。
「おのれ!良くも謀りおったな!」
魔王は流石、強い…魔族の青年が、どれだけ切りかかろうとも、魔族の魔法攻撃を仕掛けようとも、魔王は簡単に跳ね返してくる。
しかし青年も、決して弱いわけではない。
何よりも、青年の背後には、よく似た風貌の若い男女がずらりと並んでいる。
一斉攻撃など、多彩な攻撃に、魔王も徐々にではあるが、時々苦戦を強いられ始めていた。
魔王派の魔族や魔獣と、王子派の魔族や魔獣の戦いは、熾烈な争いでした。
あちこちで叫び声や悲鳴が響き渡り、まるで地獄絵図のようでした。
ファルコは、近くの木の上から枝に隠れてその様子をずっと見ておりました。
明け方まで続いた戦いは、再びの大きな爆発が起こり、終焉を迎えました。
『何だ?!何が起きたのだ?』
呟きながら、ファルコはそっと更に城へ近付いた。
そこには、親子で力の限りにぶつかり合ったのであろう、魔王とその子供達が倒れていた。
相打ちだったのだろう、全員が虫の息だった。
ファルコはきびすを返してロンとノエルの元へ飛んだ。
『ヤバいよ!ヤバいよ!魔王城が大変なことになっているよ!』
いつもはクールで、格好いい“鷹!”って感じのファルコが、豆鉄砲を喰らった鳩のような形相で飛び込んで来ました。
鷹が鳩に見えるって…ファルコが間抜けな顔になったのか?私の目が疲れているのか?
焦りまくったファルコが、何が起きたのかを報告していると、ビレトが両目を見開いて叫んだ。
「行かなくちゃ!」
そう言って飛び出していった。
飛び出していくビレトの横顔は、何故か少し嬉しそうに、口角が上がって見えました。
ベネはその後ろ姿を目で追いながら、ビレトが何故、慌てて魔王城へ向かったのか、不思議に思いました。
不思議に思いながらも、深く考えなかった…後から思えば、考えるべきだったのに。
ノエルやベネは、相談し、ベネはビレトを置いて出発すべきだというのを、ノエルは一応、数日は待とうと説得し、その場に留まりました。
そしてファルコを何回か、偵察に行かせていたのですが、ある日、再びファルコが大騒ぎをして戻ってきました。
『ヤバいよ!ヤバいよ!大変だよぉ!魔王軍が攻めてくるよ!!!』
「ごめん…言っていることが良く分からないんだけど…何で攻めてくるの?っていうか、誰を攻めてくるの?」
『ベネやノエルたちを逆賊として攻めてくるんだよ!!!』
「はぁ?!ちょっと本当に意味が分からないんだけど…。」
『ビレトの奴、やりやがった!あいつは魔王の座に就きやがったんだ!』
『何であいつが魔王になるんだよ…一番上の兄が居たはずだろ?!』
ベネも怪訝な顔で聞きました。
『ベネ!お前の両親に対して、兄弟全員でクーデターを起こして、そして…相打ちで全滅したんだ…。
生き残っているのはビレトとベネ、お前だけなんだ…。
ビレトは魔王とその子供たちが相打ちしたところへ駆け込んで、正当な血筋として魔王の座に就いたんだ…。』
『あいつが魔王になったとして、何で俺に軍を差し向けるんだ?
俺は別に魔王の座なんて興味は無ぇ!』
『…クーデターを扇動したのは、お前って事になっている…。』
『はぁ?!何を言っているんだ?!俺は関係無ぇじゃねえか!』
ファルコの説明に、ベネが食って掛かっていた。
「ベネ…嵌められたんだよ…お兄さんたちも嵌められたんだよ、きっと…。
犯人はビレトだよ…。
ベネに帰ろうと言っていたのは、その騒ぎにベネの事も片付けたかったのかもしれないね…それだけが失敗したから、だから逆賊の汚名を着せて、殺そうというのでは?」
『何でだよ!何でなんだよぉ!!!』
ベネは辛そうに叫びました…それでもビレトに対し、兄弟の情があったのかも…。
でも今は落ち込んでいる時ではない。
これからの事を考えなくては…。
「ベネ…これからどうする?魔王軍を迎え撃つ?とりあえず逃げる?」
『…こちらから出向く!それでビレトをぶっ飛ばす!』
「ベネ…ビレトは出てこないと思うよ。
堂々とあなたと戦うような相手なら、そもそもこんな陰謀は企てないわ。
自分の兄弟を利用して両親を殺害とか、相当な腹黒よ?」
『でも!俺は信じられねぇ!そんな奴じゃないんだ!きっと何かわけがある筈だ!』
ベネはどうしてもビレトは悪い奴じゃないと言って聞かず、取り敢えずその場で魔王軍を迎え撃つことになった。
ヒースと私は、魔族と戦うのはかなりの不安があるので…いや私はむしろ、不安しかないくらいだが…ロンの背に乗り、上空へ避難する事になった。
ベネは一人、大きな岩の上に佇み、魔王軍を迎え撃つことに…。
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