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第2章 青の色
第54話 美徳と呼ばれた色
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父がいて、母がいて....
どこにでもある普通の家庭だった。
どこからか黒い風がやってきた。
何もかも消していった。国も、村も、そして
家族も
「....うっ....ここは....」
知らない天井だ、ふとそんなことが頭に浮かんだ。今の夢は? なんでこんな時に....
「気がついたか、体の方は?」
「....あなたは?」
目の前には知らない顔の男性。冒険者みたいな顔をしている、口ひげに、筋肉質な顔、どこかガレアにも似た男性だった。
「私はオットーだ、ここで冒険者をしている。あなたはもしかして....王都騎士団の....?」
「あぁ、王都騎士団9番隊隊長レギナ=スペルビアだ」
「やっぱり、甲冑を見ておかしいなとは思っていたんだ」
ふと自分の体を見ると自分の着ていた鎧がない。布地が露わとなっている。そういえば....私はイマイシキ ショウの所から逃げようとして....そのあと....
「あなたは毒にやられて気絶していたんだ。もう少しで危ないところだったんだよ」
「私が....毒?」
そんなものを盛られた覚えはない。そのために彼が勧めてくる食事は全て拒絶していたし、軍の中でも自分が口にするもの全てに細心の注意を払っていた。そんな私が毒に?
「エピレピシーという小さい虫だ。さっき確認したけど確かに首に刺された跡があった」
「虫に....」
そうだ、と彼は言ってそばにあった机から何かを持ってくるとそれを差し出してきた。
「これを飲みなさい、今の君には必要だ」
「....これは?」
差し出されたのは透明な水のようなもの。何かが入っているのでは、それに今の状況。知らない人間の家だ、そんなところで出されたものなど信用できないだろう。
「体の水分を元に戻す水だ。君、飲まず食わずだったんだろう? だったらせめてこれを飲みなさい」
確かに、喉は渇いている。だが....
「安心しろ、毒なんかは入っていない。私も飲むから」
そう言って、彼は自分の渡された水をテーブルの容器に少し移すと飲んで見せた。なるほど、確かに毒は入っていないらしい。
自分に渡された容器の水を口の中に含む。なんだか、変な味がする。塩と砂糖を混ぜたかのような....
「体の水分と同じ状態の水だ。少なからず、普通の水よりも体にいい」
そう説明する彼は、どうも冒険者というよりかは学者に近い印象を受ける。
「あの....一緒にいた人間がいたはずなんです。彼は....」
そう、自分を誘拐した張本人。イマイシキ ショウの姿がどこにも見当たらないのだ。窓からさす光から、朝だと推測できる。もしかしたら今が抜け出せるチャンスではないのだろうか?
「あぁ、彼か。こっちに来なさい」
すると彼は手招きして部屋の入り口に立っている。未だに体はだるいが、体を起き上がらせる。部屋を出ると、簡素な家にたくさんの魔物の毛皮などがぶら下げてあるほか、たくさんの本や資料が置いてある。
部屋から出た大きなテーブルのある、そのそばにある毛皮のソファー、そこの上に彼、イマイシキ ショウは眠っていた。
「彼はな、君の毒を消す薬草を手に入れるためにあの暗い森を必死になって探したんだ」
「....」
彼がなぜそのような行動をとったかがわからなかった。あの状況で私を置いていってしまえばイマイシキ ショウは確実に逃げやすくなる。なんで私を助けて、わからない。
今目の前ですやすやと眠っている男は自分を誘拐した犯人であり、あのイニティウムに甚大な被害をもたらしたとされている人間だ。
しかし、そんな人間が自身の危険を顧みずに人を助けるのか? わからない。
「ほら『カケル』お前の彼女さんが起きたぞ」
「....う....ですから彼女じゃない....って」
目の前で目をこすりながら起き上がるこの青年。本当に何者だろうか?
「まぁ、王都騎士団隊長さんがいっぱしの冒険者と駆け落ちか....うん、青春っていいなぁ」
「ですからそういうのではないんですって....」
こんな奴と駆け落ち、冗談じゃない。今は腕を組んで黙ってはいるが、一体どうやって逃げようか....そしてこのまま私を探しているであろう部隊を使ってこの家を取り囲めばいい。
「それじゃ、適当に朝飯持ってくるから。ちょっと待ってな」
オットーが席を外し、この部屋に二人だけになった。
さて、話を聞こうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
起き上がると、ものすごく薄着な女性がいた。見慣れた顔をしている、昨日散々手を煩わせた相手だ、そして考えなしに助けてしまった人間だ。
「....えと....よく眠れました?」
「あぁ、おかげさまでな」
「そう、ですか」
まずい、会話が進まない。それに腕組んで睨まれているこの状態って....
「貴様、何があったのか説明しろ」
「え、あ、はい....」
さて、まず昨日の夜、薬草探しにヤケクソになって出てった俺はパレットソードを使って薬草を見つけ出した。そこまでは良かったのだが、その帰り道に魔物と遭遇。剣なんかフル体力もなく命からがらに逃げ出して、全身流血。正直言って重傷だったらしいが、おかげでレギナは完治、俺もあのオットーと呼ばれる人に治療を受けて完治した。
という一部始終をすべて余すことなく説明した。
「という、ことです」
「なるほどな....」
このあとどうするか、正直言ってあまり元気じゃない方がいい。だが、このまま逃げるとか、通報するとか....言わないよな。
少しオドオドした感じで顔を上げてレギナの姿を見ると。
彼女は頭を下げていた。
それはもう堂々と、普通の人が謝るみたいに深々と礼儀正しく頭を下げていた。
「世話になった。ありがとう」
「いや、俺は....っ」
すべてはあそこにいるメルトさん達のため。そう言おうとして思わずの口から出かかった言葉を飲み込む。
「どんな理由であれ、私の命を救ってもらったんだ。礼を言う、ありがとう」
「いえ....どう、いたしまして」
なんだろうか、面くらうとはこのことを言うのだろうか。今俺はそんな表情をしている。礼を言うのは当然だ、何しろ自分自身で言うのもなんだが命がけだった。しかし、犯罪者扱いされているんだぞ、俺は。
しかも目の前のあなたに。
「これで一つ借りができたな」
「そう、ですね」
不安だ、今一体彼女が何を思っているのかが全く読めない。だが貸しを作っておくのも悪くはないか。
「さて、朝飯だ。こっちに並べるからな」
美味しそうな匂いを漂わせながら戻ってきたオットーは次々と料理をテーブルの上に並べ始める。1日ぶりのまともな食事だ。
「すみません、急に来て朝ごはんまでご馳走になってしまって....」
「いいって、これも若い恋を応援するためってもんよ」
「ですから違いますってっ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
朝飯というにはなかなかに重いメニューだが、昨日の夜何も食べてなかったことを考えると十分すぎる食事だ。
テーブルの上には昨日のウサギもどきの肉をハーブと塩で味付けしグリルで焼いたもの、バケットとスープ、サラダ、そして果物だ。
「いやいや、お客なんてあんまり来ないものでね。ついつい張り切っちまった」
「ありがとうございます」
「感謝します」
それぞれが手に食器類を持ち、料理を取りにかかる。だが、その前に....
「いただきます」
一言、目の前に並べられた料理に感謝の意を込めてそう言った。
まずはサラダを口に運ぶ、みずみずしい歯ごたえと口に広がるドレッシングの酸味が朝の気だるさを爽やかに変える。次に昨日狩ったウサギもどきの肉だが、あの時のような寂しい味なんかではなく、今ではしっかりと肉本来の旨味が口の中に広がり、ハーブと肉の匂いが混じりより食欲を進ませる。スープも具などの入っていないシンプルなものだが、バケットを食べた時の口の渇きを潤すのには十分すぎるくらいに美味しい。
ともかく、この家に来て良かったと思える十分な食事だった。
「ところでオットー....さん。どうして私が王都騎士団の人間だと?」
ふと、目の前の果物に手を伸ばしかけた時、無言の食卓に一言発したのはレギナだった。
「いや、それは君の着ていた甲冑を見てだね....」
「王都に住んでいたことがあるんですか?」
何が起こっているのかはわからないが、ともかく彼女は自分の着ていた甲冑がなぜ王都騎士団のものだと見破られたのかが気になるのだろう。ともかく俺は果物を食べたい。
「まぁ、昔ね。古い話だよ」
「あそこに並んでいた本や資料の類、すべて王都の大図書保管室での刻印が押してありました。私のことを助けていただいたのは礼を言います。しかし、あそこから無断であの量を持ち出しているというのなら、王都騎士団隊長として見過ごせません」
レギナとオットーの位置関係は向かい合わせ。そして俺はその間に挟まれているという状況だ、とても果物が取りづらい。
「....ハァ、安心しな。あれは全部俺の著者物だ、故に持ち出しても問題はない」
「著者物....あれは全部あなたの書いたものですか」
ということは、あの廊下に積み重なっている部屋にあった本棚のものも、あの廊下に散らばっている資料もすべてこのオットーさんが....?
「まぁ、こっちに来てから書いたものがあるから全部とは言い切れないが、少なからずあの本棚に入ってる半分くらいは俺が書いた本だ」
半分くらいって....あの本棚から考えると大体40冊くらいが全部あの人の書いた本なのか? そういえばこの人『薬草学』がどうとか言ってたよな。
「こんなにも本を出して、しかも大図書保管室で保存されるまでになったものを書いている人がどうして、こんな森の中に住んでいるんですか」
随分とストレートに聞く。だが自分を助けた人間が正体不明というのも怖い話だろう。しかも気になる点があるというのなら尚更だ。
しばらくの間無言がこの空間を支配する。
「つまらない話だよ」
どこにでもある普通の家庭だった。
どこからか黒い風がやってきた。
何もかも消していった。国も、村も、そして
家族も
「....うっ....ここは....」
知らない天井だ、ふとそんなことが頭に浮かんだ。今の夢は? なんでこんな時に....
「気がついたか、体の方は?」
「....あなたは?」
目の前には知らない顔の男性。冒険者みたいな顔をしている、口ひげに、筋肉質な顔、どこかガレアにも似た男性だった。
「私はオットーだ、ここで冒険者をしている。あなたはもしかして....王都騎士団の....?」
「あぁ、王都騎士団9番隊隊長レギナ=スペルビアだ」
「やっぱり、甲冑を見ておかしいなとは思っていたんだ」
ふと自分の体を見ると自分の着ていた鎧がない。布地が露わとなっている。そういえば....私はイマイシキ ショウの所から逃げようとして....そのあと....
「あなたは毒にやられて気絶していたんだ。もう少しで危ないところだったんだよ」
「私が....毒?」
そんなものを盛られた覚えはない。そのために彼が勧めてくる食事は全て拒絶していたし、軍の中でも自分が口にするもの全てに細心の注意を払っていた。そんな私が毒に?
「エピレピシーという小さい虫だ。さっき確認したけど確かに首に刺された跡があった」
「虫に....」
そうだ、と彼は言ってそばにあった机から何かを持ってくるとそれを差し出してきた。
「これを飲みなさい、今の君には必要だ」
「....これは?」
差し出されたのは透明な水のようなもの。何かが入っているのでは、それに今の状況。知らない人間の家だ、そんなところで出されたものなど信用できないだろう。
「体の水分を元に戻す水だ。君、飲まず食わずだったんだろう? だったらせめてこれを飲みなさい」
確かに、喉は渇いている。だが....
「安心しろ、毒なんかは入っていない。私も飲むから」
そう言って、彼は自分の渡された水をテーブルの容器に少し移すと飲んで見せた。なるほど、確かに毒は入っていないらしい。
自分に渡された容器の水を口の中に含む。なんだか、変な味がする。塩と砂糖を混ぜたかのような....
「体の水分と同じ状態の水だ。少なからず、普通の水よりも体にいい」
そう説明する彼は、どうも冒険者というよりかは学者に近い印象を受ける。
「あの....一緒にいた人間がいたはずなんです。彼は....」
そう、自分を誘拐した張本人。イマイシキ ショウの姿がどこにも見当たらないのだ。窓からさす光から、朝だと推測できる。もしかしたら今が抜け出せるチャンスではないのだろうか?
「あぁ、彼か。こっちに来なさい」
すると彼は手招きして部屋の入り口に立っている。未だに体はだるいが、体を起き上がらせる。部屋を出ると、簡素な家にたくさんの魔物の毛皮などがぶら下げてあるほか、たくさんの本や資料が置いてある。
部屋から出た大きなテーブルのある、そのそばにある毛皮のソファー、そこの上に彼、イマイシキ ショウは眠っていた。
「彼はな、君の毒を消す薬草を手に入れるためにあの暗い森を必死になって探したんだ」
「....」
彼がなぜそのような行動をとったかがわからなかった。あの状況で私を置いていってしまえばイマイシキ ショウは確実に逃げやすくなる。なんで私を助けて、わからない。
今目の前ですやすやと眠っている男は自分を誘拐した犯人であり、あのイニティウムに甚大な被害をもたらしたとされている人間だ。
しかし、そんな人間が自身の危険を顧みずに人を助けるのか? わからない。
「ほら『カケル』お前の彼女さんが起きたぞ」
「....う....ですから彼女じゃない....って」
目の前で目をこすりながら起き上がるこの青年。本当に何者だろうか?
「まぁ、王都騎士団隊長さんがいっぱしの冒険者と駆け落ちか....うん、青春っていいなぁ」
「ですからそういうのではないんですって....」
こんな奴と駆け落ち、冗談じゃない。今は腕を組んで黙ってはいるが、一体どうやって逃げようか....そしてこのまま私を探しているであろう部隊を使ってこの家を取り囲めばいい。
「それじゃ、適当に朝飯持ってくるから。ちょっと待ってな」
オットーが席を外し、この部屋に二人だけになった。
さて、話を聞こうか。
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起き上がると、ものすごく薄着な女性がいた。見慣れた顔をしている、昨日散々手を煩わせた相手だ、そして考えなしに助けてしまった人間だ。
「....えと....よく眠れました?」
「あぁ、おかげさまでな」
「そう、ですか」
まずい、会話が進まない。それに腕組んで睨まれているこの状態って....
「貴様、何があったのか説明しろ」
「え、あ、はい....」
さて、まず昨日の夜、薬草探しにヤケクソになって出てった俺はパレットソードを使って薬草を見つけ出した。そこまでは良かったのだが、その帰り道に魔物と遭遇。剣なんかフル体力もなく命からがらに逃げ出して、全身流血。正直言って重傷だったらしいが、おかげでレギナは完治、俺もあのオットーと呼ばれる人に治療を受けて完治した。
という一部始終をすべて余すことなく説明した。
「という、ことです」
「なるほどな....」
このあとどうするか、正直言ってあまり元気じゃない方がいい。だが、このまま逃げるとか、通報するとか....言わないよな。
少しオドオドした感じで顔を上げてレギナの姿を見ると。
彼女は頭を下げていた。
それはもう堂々と、普通の人が謝るみたいに深々と礼儀正しく頭を下げていた。
「世話になった。ありがとう」
「いや、俺は....っ」
すべてはあそこにいるメルトさん達のため。そう言おうとして思わずの口から出かかった言葉を飲み込む。
「どんな理由であれ、私の命を救ってもらったんだ。礼を言う、ありがとう」
「いえ....どう、いたしまして」
なんだろうか、面くらうとはこのことを言うのだろうか。今俺はそんな表情をしている。礼を言うのは当然だ、何しろ自分自身で言うのもなんだが命がけだった。しかし、犯罪者扱いされているんだぞ、俺は。
しかも目の前のあなたに。
「これで一つ借りができたな」
「そう、ですね」
不安だ、今一体彼女が何を思っているのかが全く読めない。だが貸しを作っておくのも悪くはないか。
「さて、朝飯だ。こっちに並べるからな」
美味しそうな匂いを漂わせながら戻ってきたオットーは次々と料理をテーブルの上に並べ始める。1日ぶりのまともな食事だ。
「すみません、急に来て朝ごはんまでご馳走になってしまって....」
「いいって、これも若い恋を応援するためってもんよ」
「ですから違いますってっ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
朝飯というにはなかなかに重いメニューだが、昨日の夜何も食べてなかったことを考えると十分すぎる食事だ。
テーブルの上には昨日のウサギもどきの肉をハーブと塩で味付けしグリルで焼いたもの、バケットとスープ、サラダ、そして果物だ。
「いやいや、お客なんてあんまり来ないものでね。ついつい張り切っちまった」
「ありがとうございます」
「感謝します」
それぞれが手に食器類を持ち、料理を取りにかかる。だが、その前に....
「いただきます」
一言、目の前に並べられた料理に感謝の意を込めてそう言った。
まずはサラダを口に運ぶ、みずみずしい歯ごたえと口に広がるドレッシングの酸味が朝の気だるさを爽やかに変える。次に昨日狩ったウサギもどきの肉だが、あの時のような寂しい味なんかではなく、今ではしっかりと肉本来の旨味が口の中に広がり、ハーブと肉の匂いが混じりより食欲を進ませる。スープも具などの入っていないシンプルなものだが、バケットを食べた時の口の渇きを潤すのには十分すぎるくらいに美味しい。
ともかく、この家に来て良かったと思える十分な食事だった。
「ところでオットー....さん。どうして私が王都騎士団の人間だと?」
ふと、目の前の果物に手を伸ばしかけた時、無言の食卓に一言発したのはレギナだった。
「いや、それは君の着ていた甲冑を見てだね....」
「王都に住んでいたことがあるんですか?」
何が起こっているのかはわからないが、ともかく彼女は自分の着ていた甲冑がなぜ王都騎士団のものだと見破られたのかが気になるのだろう。ともかく俺は果物を食べたい。
「まぁ、昔ね。古い話だよ」
「あそこに並んでいた本や資料の類、すべて王都の大図書保管室での刻印が押してありました。私のことを助けていただいたのは礼を言います。しかし、あそこから無断であの量を持ち出しているというのなら、王都騎士団隊長として見過ごせません」
レギナとオットーの位置関係は向かい合わせ。そして俺はその間に挟まれているという状況だ、とても果物が取りづらい。
「....ハァ、安心しな。あれは全部俺の著者物だ、故に持ち出しても問題はない」
「著者物....あれは全部あなたの書いたものですか」
ということは、あの廊下に積み重なっている部屋にあった本棚のものも、あの廊下に散らばっている資料もすべてこのオットーさんが....?
「まぁ、こっちに来てから書いたものがあるから全部とは言い切れないが、少なからずあの本棚に入ってる半分くらいは俺が書いた本だ」
半分くらいって....あの本棚から考えると大体40冊くらいが全部あの人の書いた本なのか? そういえばこの人『薬草学』がどうとか言ってたよな。
「こんなにも本を出して、しかも大図書保管室で保存されるまでになったものを書いている人がどうして、こんな森の中に住んでいるんですか」
随分とストレートに聞く。だが自分を助けた人間が正体不明というのも怖い話だろう。しかも気になる点があるというのなら尚更だ。
しばらくの間無言がこの空間を支配する。
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