4 / 155
序章の色
第4話 幸先の色
しおりを挟む
「う....そ....」
「な、なんで抜けるんですか!? だっ、だって筋肉隆々の冒険者が三人揃っても抜けなかったんですよ!」
いや、それはこっちが聞きたい、てかなんで三人がかりで抜こうと思ったの? 仮にも人の物だと思ったんだよねっ!
「な、なんか抜けちゃったけど....って、その今振りかぶってるの下ろしてくださいっ!」
「だ、大丈夫です。い、痛いのは一瞬ですから!」
この人マジでやばい、とにかく彼女を落ち着かせて椅子の上に座らせるとベットから出て、自分の姿を確認する。ズボンと上は発掘現場でも動きやすいようにときてきた地球の作業着だ、おそらくだがズボンのベルトを通すところにその剣のベルトがはまっていたということなのだろう。
そこで、抜いた剣を一旦床に置き観察を始めるとする。
「この文字読めますか?」
「いえ、今まで見たこともない文字です。少数民族の文字でもありませんし....」
剣は、プラスチックみたいな質感で、金属並みの強度は持っていると思うがなんとも不思議な材質だ、その刀身は曇りなく真っ白でそこには黒く幾何学的な模様と図形のような文字が彫られている、この世界の文字なのかと思ったが彼女も全く知らないらしい。
「でも何か魔術文字ではあると思うのですが....」
「魔術?」
「ええ、それもかなり古いですね」
「ま、待ってください、この世界には魔術が存在するんですか?」
「は、はい。この世界の常識ですよ?」
「常識と言われても....」
彼女の説明によれば、この世界をお造りなった神様みたいな人がこの世界に住む者に平穏と安泰を与えるためにこの世界の住人に魔術を与えたとされていて、その魔術は人によって変わり、それはその人がそれぞれ持つ魂の色によって決まるとされているらしい。
「これがこの世界の魔術です」
「おお~」
にしても本当にここは地球じゃないんだなあ、どこか感慨深いところがある。
ん?
「そういえば、今更なんですけど、ここってギルドの中なんですか?」
「いいえ、ここ私の家ですよ?」
は....い?
「え、ちょ、わ、私、の、いっ、家?」
「ええ、そうですよ」
いや、いくらなんでもいきなり人の家とかハードル高すぎる、てか女性だし。
「な、なんで?」
聞けば、あの兵隊に気絶させられた際、この受付嬢さんのオトコというレッテルが貼られてしまい、それで仕方なく自分の家に連れ帰ったと....にしても。
「本当にすみませんでした....」
「本当ですよ! あなた結構重かったんですからね!」
「重くてすみませ・・・ん?」
「どうしたんですか?」
「重かったってことは、僕、あなたにおぶさってきたってことですか?」
そう言うと彼女の顔はみるみる赤く染まっていき、だんだんと涙目になってきた、上目遣いでこちらを睨みつけている。
やばい、ちょっとかわいいかも....
「だってぇ、街中で男の人をおぶさるのって初めてだったんですよぉ、周りの人にぜぇったい勘違いされてますよぉ~、どぉしてくれるんですかぁ」
もはや、涙声になっている、散々人にからかわれたか、好奇な目で見られたことだろう、ちくしょおぉ、起きてりゃあ良かった。
「なんか色々、ありがとうございます....」
「お礼よりもまず謝ってください!」
「ココロヨリ、モウシワケアリマセンデシタ」
「一瞬で....」
「本当にすみませんでした」
彼女はため息を吐いて、手に持っている凶器を床に降ろし、これからどうするかを考えている。しばらく沈黙があった後におもむろに話しかけられた。
「あの、あなたは宿とかとられたりされているんですか?」
「いえ、この世界に来たばっかで金もないですし、わからないことだらけですから」
「そうですか....でしたら今日はここに泊まっていかれてください」
「ええ、わかりました荷物をまとめてそこらへんで野宿でも....今なんて言いました?」
「ですから、泊まっていってくださいと言ったんです!」
どうやら本当に俺は狂ったらしい、美人でモデルみたいな体型のしかもエルフさんの家に向こうから泊まってくださいと。HAHA、やっぱり親父には悪いけどこれきっと夢だわ。
「トマッテクダサイ、トマッテクダサイ、トマッテクダ・・・」
「だ、大丈夫ですか!」
「すみません、ちょっと頭がついていけなくて....てか俺男ですよ!しかも知り合ったばっかのっ! ガード薄すぎません?あなたいくつですか?」
「今年で216歳ですが?」
oh・・・さっすがエルフ、やっぱ長生きだ。
「で、とにかく泊まるんですか? それともノジュ....」
「ぜひ、泊まらせていただきます!」
「わかりました、では部屋はここを使ってください。もともと客室だったんで気になさらず」
「ありがとうございます」
この世界に来て幸先がいいのは確かだとわかった。
「そういえば、この世界の食事って初めてですか?」
「えぇ、そうですが?」
「そうですか、でしたら今日は私が腕によりをかけるんで! 準備できたらお呼びしますね」
「は、はい」
本当に幸先が良すぎる。
「な、なんで抜けるんですか!? だっ、だって筋肉隆々の冒険者が三人揃っても抜けなかったんですよ!」
いや、それはこっちが聞きたい、てかなんで三人がかりで抜こうと思ったの? 仮にも人の物だと思ったんだよねっ!
「な、なんか抜けちゃったけど....って、その今振りかぶってるの下ろしてくださいっ!」
「だ、大丈夫です。い、痛いのは一瞬ですから!」
この人マジでやばい、とにかく彼女を落ち着かせて椅子の上に座らせるとベットから出て、自分の姿を確認する。ズボンと上は発掘現場でも動きやすいようにときてきた地球の作業着だ、おそらくだがズボンのベルトを通すところにその剣のベルトがはまっていたということなのだろう。
そこで、抜いた剣を一旦床に置き観察を始めるとする。
「この文字読めますか?」
「いえ、今まで見たこともない文字です。少数民族の文字でもありませんし....」
剣は、プラスチックみたいな質感で、金属並みの強度は持っていると思うがなんとも不思議な材質だ、その刀身は曇りなく真っ白でそこには黒く幾何学的な模様と図形のような文字が彫られている、この世界の文字なのかと思ったが彼女も全く知らないらしい。
「でも何か魔術文字ではあると思うのですが....」
「魔術?」
「ええ、それもかなり古いですね」
「ま、待ってください、この世界には魔術が存在するんですか?」
「は、はい。この世界の常識ですよ?」
「常識と言われても....」
彼女の説明によれば、この世界をお造りなった神様みたいな人がこの世界に住む者に平穏と安泰を与えるためにこの世界の住人に魔術を与えたとされていて、その魔術は人によって変わり、それはその人がそれぞれ持つ魂の色によって決まるとされているらしい。
「これがこの世界の魔術です」
「おお~」
にしても本当にここは地球じゃないんだなあ、どこか感慨深いところがある。
ん?
「そういえば、今更なんですけど、ここってギルドの中なんですか?」
「いいえ、ここ私の家ですよ?」
は....い?
「え、ちょ、わ、私、の、いっ、家?」
「ええ、そうですよ」
いや、いくらなんでもいきなり人の家とかハードル高すぎる、てか女性だし。
「な、なんで?」
聞けば、あの兵隊に気絶させられた際、この受付嬢さんのオトコというレッテルが貼られてしまい、それで仕方なく自分の家に連れ帰ったと....にしても。
「本当にすみませんでした....」
「本当ですよ! あなた結構重かったんですからね!」
「重くてすみませ・・・ん?」
「どうしたんですか?」
「重かったってことは、僕、あなたにおぶさってきたってことですか?」
そう言うと彼女の顔はみるみる赤く染まっていき、だんだんと涙目になってきた、上目遣いでこちらを睨みつけている。
やばい、ちょっとかわいいかも....
「だってぇ、街中で男の人をおぶさるのって初めてだったんですよぉ、周りの人にぜぇったい勘違いされてますよぉ~、どぉしてくれるんですかぁ」
もはや、涙声になっている、散々人にからかわれたか、好奇な目で見られたことだろう、ちくしょおぉ、起きてりゃあ良かった。
「なんか色々、ありがとうございます....」
「お礼よりもまず謝ってください!」
「ココロヨリ、モウシワケアリマセンデシタ」
「一瞬で....」
「本当にすみませんでした」
彼女はため息を吐いて、手に持っている凶器を床に降ろし、これからどうするかを考えている。しばらく沈黙があった後におもむろに話しかけられた。
「あの、あなたは宿とかとられたりされているんですか?」
「いえ、この世界に来たばっかで金もないですし、わからないことだらけですから」
「そうですか....でしたら今日はここに泊まっていかれてください」
「ええ、わかりました荷物をまとめてそこらへんで野宿でも....今なんて言いました?」
「ですから、泊まっていってくださいと言ったんです!」
どうやら本当に俺は狂ったらしい、美人でモデルみたいな体型のしかもエルフさんの家に向こうから泊まってくださいと。HAHA、やっぱり親父には悪いけどこれきっと夢だわ。
「トマッテクダサイ、トマッテクダサイ、トマッテクダ・・・」
「だ、大丈夫ですか!」
「すみません、ちょっと頭がついていけなくて....てか俺男ですよ!しかも知り合ったばっかのっ! ガード薄すぎません?あなたいくつですか?」
「今年で216歳ですが?」
oh・・・さっすがエルフ、やっぱ長生きだ。
「で、とにかく泊まるんですか? それともノジュ....」
「ぜひ、泊まらせていただきます!」
「わかりました、では部屋はここを使ってください。もともと客室だったんで気になさらず」
「ありがとうございます」
この世界に来て幸先がいいのは確かだとわかった。
「そういえば、この世界の食事って初めてですか?」
「えぇ、そうですが?」
「そうですか、でしたら今日は私が腕によりをかけるんで! 準備できたらお呼びしますね」
「は、はい」
本当に幸先が良すぎる。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する
鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。
突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。
しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。
魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。
英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
異世界モノつめあわせセット
銀狐
ファンタジー
何時ぞやに書いていた作品たちの詰め合わせ。
詳細は『0.この作品について』をご覧ください。
作品の紹介等はそれぞれの作品名が書かれたページに記載しています。
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
47歳のおじさんが異世界に召喚されたら不動明王に化身して感謝力で無双しまくっちゃう件!
のんたろう
ファンタジー
異世界マーラに召喚された凝流(しこる)は、
ハサンと名を変えて異世界で
聖騎士として生きることを決める。
ここでの世界では
感謝の力が有効と知る。
魔王スマターを倒せ!
不動明王へと化身せよ!
聖騎士ハサン伝説の伝承!
略称は「しなおじ」!
年内書籍化予定!
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる