21 / 35
21
しおりを挟む
気付けば朝。というか昼になり、目を覚ますと山根はもう起きてゲームをしていた。
起き上がる俺に気付くとゆっくりと振り向く。
「お前はよくも風呂も入らず俺のベッドで寝てくれたな」
俺はベッドの上で土下座をしてひたすら謝る。
山根は、とりあえず風呂入ってこい臭いから。とバスタオルを俺に投げた。
「あ、ありがとうございます」
俺はタオルを受け取って風呂場へ向かった。
風呂場へ行く途中、台所にいた山根の母さんに挨拶をする。
「あ、もうすぐご飯できるから。食べてくでしょ?」
「はい! ごちそうになります!」
山根と同じ顔で笑う山根の母さんに頭を下げて風呂場へまた向かう。
もう何度も、お互いの家に泊まってるので家族全員知り合いになっていた。
そして山根の母さんの料理が美味いことを知っている俺は、密かにガッツポーズをして風呂に入った。
ご飯もしっかりご馳走になり、山根とゲームに熱中していたら夕方になったのでさすがに家に帰ることにした。
帰り際、山根が明後日に聡美ちゃんと遊ぶと言い放った。
「さすが!」
俺は拍手を送って自転車に跨がる。
良い気分で海沿いを颯爽と走っていると、妹が買い物袋を手に歩いているのを見つける。
「おい。何してんだ?」
どうやら牛乳を買いに行かされたらしく、妹は俺の自転車を見るなり歩くの疲れたから後ろに乗せてと聞かない。
頑固さは折り紙付き。声をかけた事を後悔しながら仕方なく妹を荷台に乗せて走り出した。
「ねぇ、デートどうだったの?」
突然切り出された妹の言葉に一瞬「?」となったがすぐに思い出す。
そうだ。初めて杉川さんと話したあのお疲れ会の時にデートと見栄を張って服を選んでもらったんだ。
「あー、あれね。楽しかったよ。お陰様で」
なんとなく濁してみたのだが、妹はそれでは納得しない。
「だから! 付き合ったの? その人とはどうなったの?」
しつこく聞いてくる妹。さすがにに気まずい。
「どっちだっていいだろ? 楽しい一日だったよ! それでいいだろ!」
と無理矢理煙にまくと妹は、振られたか。と笑った。
「ち、違うよ! バカ!」
「いーよ。無理しないで」
こうなってはもう否定は何の意味も持たない。ハァっとため息を漏らす。
「兄ちゃんダサいからねー! 仕方ないよ!」
妹は何故か嬉しそうだったので無視して思いっ切りペダルを漕いだ。
「いいぞ! もっと早く!」
後ろの妹は更にはしゃいだ。
起き上がる俺に気付くとゆっくりと振り向く。
「お前はよくも風呂も入らず俺のベッドで寝てくれたな」
俺はベッドの上で土下座をしてひたすら謝る。
山根は、とりあえず風呂入ってこい臭いから。とバスタオルを俺に投げた。
「あ、ありがとうございます」
俺はタオルを受け取って風呂場へ向かった。
風呂場へ行く途中、台所にいた山根の母さんに挨拶をする。
「あ、もうすぐご飯できるから。食べてくでしょ?」
「はい! ごちそうになります!」
山根と同じ顔で笑う山根の母さんに頭を下げて風呂場へまた向かう。
もう何度も、お互いの家に泊まってるので家族全員知り合いになっていた。
そして山根の母さんの料理が美味いことを知っている俺は、密かにガッツポーズをして風呂に入った。
ご飯もしっかりご馳走になり、山根とゲームに熱中していたら夕方になったのでさすがに家に帰ることにした。
帰り際、山根が明後日に聡美ちゃんと遊ぶと言い放った。
「さすが!」
俺は拍手を送って自転車に跨がる。
良い気分で海沿いを颯爽と走っていると、妹が買い物袋を手に歩いているのを見つける。
「おい。何してんだ?」
どうやら牛乳を買いに行かされたらしく、妹は俺の自転車を見るなり歩くの疲れたから後ろに乗せてと聞かない。
頑固さは折り紙付き。声をかけた事を後悔しながら仕方なく妹を荷台に乗せて走り出した。
「ねぇ、デートどうだったの?」
突然切り出された妹の言葉に一瞬「?」となったがすぐに思い出す。
そうだ。初めて杉川さんと話したあのお疲れ会の時にデートと見栄を張って服を選んでもらったんだ。
「あー、あれね。楽しかったよ。お陰様で」
なんとなく濁してみたのだが、妹はそれでは納得しない。
「だから! 付き合ったの? その人とはどうなったの?」
しつこく聞いてくる妹。さすがにに気まずい。
「どっちだっていいだろ? 楽しい一日だったよ! それでいいだろ!」
と無理矢理煙にまくと妹は、振られたか。と笑った。
「ち、違うよ! バカ!」
「いーよ。無理しないで」
こうなってはもう否定は何の意味も持たない。ハァっとため息を漏らす。
「兄ちゃんダサいからねー! 仕方ないよ!」
妹は何故か嬉しそうだったので無視して思いっ切りペダルを漕いだ。
「いいぞ! もっと早く!」
後ろの妹は更にはしゃいだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
神様なんていない
浅倉あける
青春
高校二年の大晦日。広瀬晃太は幼馴染のゆきと、同じ陸上部の我妻にゆきの厄払いに付き合ってくれと家を連れ出される。同じく部活仲間である松井田、岡埜谷とも合流し向かった神社で、ふいに広瀬たちは見知らぬ巫女服の少女に引き留められた。少女は、ただひとつ広瀬たちに問いかける。
「――神様って、いると思う?」
広瀬晃太、高橋ゆき、我妻伸也、松井田蓮、岡埜谷俊一郎。
雪村奈々香の質問に彼らが出した答えは、それぞれ、彼らの日常生活に波紋を広げていく。
苦しくて、優しくて、ただただ青く生きる、高校生たちのお話。
(青春小説×ボカロPカップ参加作品)
表紙は装丁カフェ様で作成いたしました。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
夏の日の出会いと別れ~霊よりも怖いもの、それは人~
赤羽こうじ
ホラー
少し気の弱い男子大学生、幸太は夏休みを前にして、彼女である唯に別れを告げられる。茫然自失となりベンチで項垂れる幸太に「君大丈夫?」と声を掛けて来た女性、鬼龍叶。幸太は叶の美しさに思わず見とれてしまう。二人の出会いは運命か?偶然か?
想いを募らせていく幸太を叶は冷笑を浮かべて見つめる。『人の気持ちは変わるもの。本当の私を知った時、君は今の気持ちでいてくれるかな?』
若い男女が織り成す恋愛ホラーミステリー。語り継がれる怪談には裏がある。
怖いお話短編集、『縛られた想い』より鬼龍叶をヒロインとして迎えた作品です。
ジャンルはホラーですが恋愛要素が強い為、怖さは全然ありません。
夏の決意
S.H.L
青春
主人公の遥(はるか)は高校3年生の女子バスケットボール部のキャプテン。部員たちとともに全国大会出場を目指して練習に励んでいたが、ある日、突然のアクシデントによりチームは崩壊の危機に瀕する。そんな中、遥は自らの決意を示すため、坊主頭になることを決意する。この決意はチームを再び一つにまとめるきっかけとなり、仲間たちとの絆を深め、成長していく青春ストーリー。
あの日の君に…
みいな
青春
内容紹介
四季の中で四つの短編を書いていきます
春は 愛海(あみ) と 麻音(あさと)
夏は 麻未(あさみ) と 水湊(みなと)
秋は 安以(あい) と七都(なつ)
冬は 鈴(すず) と 雪(ゆき)
それぞれ青春ストーリーで仕上げたいと思います
みんなにはみんなの恋愛(∩´∀`∩)
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
金色の庭を越えて。
碧野葉菜
青春
大物政治家の娘、才色兼備な岸本あゆら。その輝かしい青春時代は、有名外科医の息子、帝清志郎のショッキングな場面に遭遇したことで砕け散る。
人生の岐路に立たされたあゆらに味方をしたのは、極道の息子、野間口志鬼だった。
親友の無念を晴らすため捜査に乗り出す二人だが、清志郎の背景には恐るべき闇の壁があった——。
軽薄そうに見え一途で逞しい志鬼と、気が強いが品性溢れる優しいあゆら。二人は身分の差を越え強く惹かれ合うが…
親が与える子への影響、思春期の歪み。
汚れた大人に挑む、少年少女の青春サスペンスラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる