13 / 35
13
しおりを挟む 「そんな、ルイン!!」
奴は急いで倒れた黒豹の元へと走る。
「冒険者よ、お前の相手はこの私だ!」
リノが奴に切りかかるが、奴は凄まじい反応速度で攻撃を受け止めると、獄炎よりも煮えたぎった怒りを露わにする。
「邪魔をするなぁ!!」
化け物みたいな怪力でリノを振り払う。吹っ飛ばされたリノは岩に強く体を打ってしまう。奴はそのまま黒豹の元へと歩いていく。
「そんな…ルイン…!」
奴は黒豹を抱きかかえてその場で泣いた。
「お前達は生きて返さんぞ…」
ーーーアサイラム領 ダビネスーーー
「失礼します。魔王様、リノさんから通信が来ました。」
エレーナが自室にいたレオに話す。
「リノから?」
通信魔道具を付けると、弱ったリノが一生懸命に説明した。
「魔王様、私とジョーカーは武闘派クランネメシスの副団長、ルーシアと戦闘しています!ですが、ジョーカーが倒れて、奴は彼を狙っています。私も負傷したので、増援をお願いしたいです!」
「なんだと?いいだろう。今すぐケーレスを送る。」
通信が終了すると、急いでエレーナに言う。
「エレーナ、至急アルファを呼んできてくれ。」
ーーー戦闘場所ーーー
「そいつに指1本触れるんじゃない!」
リノが滑らかな動きで刀を振る。しかしどれも奴に避けられてしまう。
「邪魔するな!獄炎!」
あと少しで届きそうだったが、惜しくも奴の獄炎によって距離を取られてしまう。
「パレント・タケミカヅチ、グラディウス!」
次の瞬間、リノが風のように奴の獄炎を避けて懐に入り、奴に切りかかる。
そして1本の腕が血と共に宙を舞った。それは奴のものではなかった。ボトッと落ちたその腕は、リノのものだった…
次の瞬間、彼女は歯を食いしばって残った左腕で奴に殴りかかるが、奴はその腕を力いっぱいに握った。
メキメキと音を立ててリノの左腕は使い物にならなくなった。彼女はその場で膝をついた。
「死ね、東洋人。」
奴はそう言うと、リノの腹部に剣を一刺しした。
彼女は吐血して、その場で仰向けに倒れた。
「まお…さま。すみ、ません…。」
そう言うと彼女はそっと目を閉じて息を引き取った。
「ルーシアさん、こっちに桁違いの魔力を持った奴が接近してます。撤退しましょう!」
「仇は取ってやる。ルイン…魔王をこの手で倒してみせるからな。」
奴はそう言うと冒険者と共にその場から去っていった。
奴らが去ってからすぐにガルムが到着した。
だが、既にそこに立っているものは誰一人いなかった。
ガルムはジョーカーの元へと駆け寄る。
「おい、無事か?」
ジョーカーはなんとか息をしていた。掠れた声で彼が喋る。
「お、おい…リノは…?」
それを聞いたガルムは急いでリノの元へと向かう。
だがそこには片腕は切られ、もう1つの腕は粉々に変形した無惨なリノの姿が。
「リノ…」
ーーーアサイラム領 ダビネスーーー
ガルムが帰ってきたのは夕方の頃だった。1人の負傷者とひとつの死体を抱えて。
「私がついた頃には既に…」
嘘だ。リノが負けるはずがない…死ぬはずがないだろう!ふざけるな。
その時、レオの血反吐を吐くような叫びが響く。
「クソがあああ!!!」
その叫びは近くの森をビビらせた。木々は揺れ、動物は巣に籠り、川は水しぶきを立てた。
「ケーレス。」
そう言うとレオの目の前に瞬時にケーレスが集合する。
「はっ。」
「ネメシスの外道共を一匹残らず殺してこい。」
「御意!」
「ルーシアは残せ。奴はこの俺が父の元へと案内してやる…」
そう言うレオの目からは膨大な闇が溢れそうになっていた…
奴は急いで倒れた黒豹の元へと走る。
「冒険者よ、お前の相手はこの私だ!」
リノが奴に切りかかるが、奴は凄まじい反応速度で攻撃を受け止めると、獄炎よりも煮えたぎった怒りを露わにする。
「邪魔をするなぁ!!」
化け物みたいな怪力でリノを振り払う。吹っ飛ばされたリノは岩に強く体を打ってしまう。奴はそのまま黒豹の元へと歩いていく。
「そんな…ルイン…!」
奴は黒豹を抱きかかえてその場で泣いた。
「お前達は生きて返さんぞ…」
ーーーアサイラム領 ダビネスーーー
「失礼します。魔王様、リノさんから通信が来ました。」
エレーナが自室にいたレオに話す。
「リノから?」
通信魔道具を付けると、弱ったリノが一生懸命に説明した。
「魔王様、私とジョーカーは武闘派クランネメシスの副団長、ルーシアと戦闘しています!ですが、ジョーカーが倒れて、奴は彼を狙っています。私も負傷したので、増援をお願いしたいです!」
「なんだと?いいだろう。今すぐケーレスを送る。」
通信が終了すると、急いでエレーナに言う。
「エレーナ、至急アルファを呼んできてくれ。」
ーーー戦闘場所ーーー
「そいつに指1本触れるんじゃない!」
リノが滑らかな動きで刀を振る。しかしどれも奴に避けられてしまう。
「邪魔するな!獄炎!」
あと少しで届きそうだったが、惜しくも奴の獄炎によって距離を取られてしまう。
「パレント・タケミカヅチ、グラディウス!」
次の瞬間、リノが風のように奴の獄炎を避けて懐に入り、奴に切りかかる。
そして1本の腕が血と共に宙を舞った。それは奴のものではなかった。ボトッと落ちたその腕は、リノのものだった…
次の瞬間、彼女は歯を食いしばって残った左腕で奴に殴りかかるが、奴はその腕を力いっぱいに握った。
メキメキと音を立ててリノの左腕は使い物にならなくなった。彼女はその場で膝をついた。
「死ね、東洋人。」
奴はそう言うと、リノの腹部に剣を一刺しした。
彼女は吐血して、その場で仰向けに倒れた。
「まお…さま。すみ、ません…。」
そう言うと彼女はそっと目を閉じて息を引き取った。
「ルーシアさん、こっちに桁違いの魔力を持った奴が接近してます。撤退しましょう!」
「仇は取ってやる。ルイン…魔王をこの手で倒してみせるからな。」
奴はそう言うと冒険者と共にその場から去っていった。
奴らが去ってからすぐにガルムが到着した。
だが、既にそこに立っているものは誰一人いなかった。
ガルムはジョーカーの元へと駆け寄る。
「おい、無事か?」
ジョーカーはなんとか息をしていた。掠れた声で彼が喋る。
「お、おい…リノは…?」
それを聞いたガルムは急いでリノの元へと向かう。
だがそこには片腕は切られ、もう1つの腕は粉々に変形した無惨なリノの姿が。
「リノ…」
ーーーアサイラム領 ダビネスーーー
ガルムが帰ってきたのは夕方の頃だった。1人の負傷者とひとつの死体を抱えて。
「私がついた頃には既に…」
嘘だ。リノが負けるはずがない…死ぬはずがないだろう!ふざけるな。
その時、レオの血反吐を吐くような叫びが響く。
「クソがあああ!!!」
その叫びは近くの森をビビらせた。木々は揺れ、動物は巣に籠り、川は水しぶきを立てた。
「ケーレス。」
そう言うとレオの目の前に瞬時にケーレスが集合する。
「はっ。」
「ネメシスの外道共を一匹残らず殺してこい。」
「御意!」
「ルーシアは残せ。奴はこの俺が父の元へと案内してやる…」
そう言うレオの目からは膨大な闇が溢れそうになっていた…
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――
タカラジェンヌへの軌跡
赤井ちひろ
青春
私立桜城下高校に通う高校一年生、南條さくら
夢はでっかく宝塚!
中学時代は演劇コンクールで助演女優賞もとるほどの力を持っている。
でも彼女には決定的な欠陥が
受験期間高校三年までの残ります三年。必死にレッスンに励むさくらに運命の女神は微笑むのか。
限られた時間の中で夢を追う少女たちを書いた青春小説。
脇を囲む教師たちと高校生の物語。
トキノクサリ
ぼを
青春
セカイ系の小説です。
「天気の子」や「君の名は。」が好きな方は、とても楽しめると思います。
高校生の少女と少年の試練と恋愛の物語です。
表現は少しきつめです。
プロローグ(約5,000字)に物語の世界観が表現されていますので、まずはプロローグだけ読めば、お気に入り登録して読み続けるべき小説なのか、読む価値のない小説なのか、判断いただけると思います。
ちなみに…物語を最後まで読んだあとに、2つの付記を読むと、物語に対する見方がいっきに変わると思いますよ…。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる