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七不思議その一。
俺達の学校の音楽室は一階だ。確かにそれも珍しいのだが、それよりも珍しいのは外から入れるドアが付いている事。窓ではなくドアだ。
そこは音楽準備室と言って吹奏楽部などの器材が置いてある場所なのだが、そこから音楽室につながるドアは内側からなら直ぐに開けられる。(ちなみに両ドアとも同じ鍵で開く)つまり、ここの鍵を持っていれば簡単に校舎へと入れてしまうのだ。何で外側にもドアがあるのかは謎だが。
そして、音楽室にまつわる七不思議。七不思議と言えば十中八九、この音楽室が入るだろう。しかし、ここでは別に夜な夜なベートーベンの目が動くわけでもなく、誰かがピアノを弾いてるわけでもない。
むしろその逆。
夜になるとピアノの音が出なくなるという不思議があるのだ。だが、そこにまつわるエピソードも無く、確かめた者がいるわけでもない。何がどうしてそうなっているのかさっぱりわからないが、この話は随分昔から受け継がれているらしい。正しく七不思議。
「よし! ピアノ弾ける人!」
難なく音楽室に忍び込み、山根が小声で挙手を求めた。
「はい! 私弾ける!」
杉川さんが手を挙げた。そしてそのままピアノの前に座り、ゆっくりとピアノの鍵盤蓋を開く。
「リ、リクエストは?」
杉川さんもさすがに緊張しているのか、何故か俺達にリクエストを求めた。
「そうだなぁ。運命でいいんじゃない?」
山根は緊張している素振りも無く冷静に、そして上手い選曲をした。
「思いっきりいっちゃいなよ! 小春!」
森さんはまた変なテンションになりつつある。
俺は生唾を飲み込んで杉川さんの手をジッと見ていた。
「いきます!」
そう言って杉川さんが鍵盤を思いっきり叩いた瞬間!
「バーン!」
「うわぁ!」
音は思いっきり出た。
逆に俺達はびっくりして悲鳴をあげた。そして俺だけ尻餅をついた。
「ふざけんなよ! 普通に出るじゃんかよ!」
山根はピアノの足を蹴りながら言った。俺はバクバクと凄い早さ鳴る心臓を落ち着かせようと尻餅をついたまま何度も深呼吸した。
「次行こ! 次!!」
森さんは何故かテンションがまた上がっている。さっき一緒になって悲鳴を上げたばかりだと言うのにこの違いは何だ?
「行こ!」
尻餅をついたまま呆然としていた俺に杉川さんが手を差し伸べてくれた。
俺はその手を取りつつも、杉川さんに体重をかけず、もう片方の手を使って立ち上がる。
「普通に音出ちゃったね」
杉川さんは笑っていたが、俺にはあと六つの恐怖が待っていた為、上手に笑い返す事が出来なかった。
「おい! 早く行くぞー!」
山根が音楽室の戸を開けて手招く。はしゃぎながら音楽室を出る女子二人に置いていかれない様に俺は早歩きで後に続いた。
俺達の学校の音楽室は一階だ。確かにそれも珍しいのだが、それよりも珍しいのは外から入れるドアが付いている事。窓ではなくドアだ。
そこは音楽準備室と言って吹奏楽部などの器材が置いてある場所なのだが、そこから音楽室につながるドアは内側からなら直ぐに開けられる。(ちなみに両ドアとも同じ鍵で開く)つまり、ここの鍵を持っていれば簡単に校舎へと入れてしまうのだ。何で外側にもドアがあるのかは謎だが。
そして、音楽室にまつわる七不思議。七不思議と言えば十中八九、この音楽室が入るだろう。しかし、ここでは別に夜な夜なベートーベンの目が動くわけでもなく、誰かがピアノを弾いてるわけでもない。
むしろその逆。
夜になるとピアノの音が出なくなるという不思議があるのだ。だが、そこにまつわるエピソードも無く、確かめた者がいるわけでもない。何がどうしてそうなっているのかさっぱりわからないが、この話は随分昔から受け継がれているらしい。正しく七不思議。
「よし! ピアノ弾ける人!」
難なく音楽室に忍び込み、山根が小声で挙手を求めた。
「はい! 私弾ける!」
杉川さんが手を挙げた。そしてそのままピアノの前に座り、ゆっくりとピアノの鍵盤蓋を開く。
「リ、リクエストは?」
杉川さんもさすがに緊張しているのか、何故か俺達にリクエストを求めた。
「そうだなぁ。運命でいいんじゃない?」
山根は緊張している素振りも無く冷静に、そして上手い選曲をした。
「思いっきりいっちゃいなよ! 小春!」
森さんはまた変なテンションになりつつある。
俺は生唾を飲み込んで杉川さんの手をジッと見ていた。
「いきます!」
そう言って杉川さんが鍵盤を思いっきり叩いた瞬間!
「バーン!」
「うわぁ!」
音は思いっきり出た。
逆に俺達はびっくりして悲鳴をあげた。そして俺だけ尻餅をついた。
「ふざけんなよ! 普通に出るじゃんかよ!」
山根はピアノの足を蹴りながら言った。俺はバクバクと凄い早さ鳴る心臓を落ち着かせようと尻餅をついたまま何度も深呼吸した。
「次行こ! 次!!」
森さんは何故かテンションがまた上がっている。さっき一緒になって悲鳴を上げたばかりだと言うのにこの違いは何だ?
「行こ!」
尻餅をついたまま呆然としていた俺に杉川さんが手を差し伸べてくれた。
俺はその手を取りつつも、杉川さんに体重をかけず、もう片方の手を使って立ち上がる。
「普通に音出ちゃったね」
杉川さんは笑っていたが、俺にはあと六つの恐怖が待っていた為、上手に笑い返す事が出来なかった。
「おい! 早く行くぞー!」
山根が音楽室の戸を開けて手招く。はしゃぎながら音楽室を出る女子二人に置いていかれない様に俺は早歩きで後に続いた。
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