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「いきなり五差路って!!」
神殿に足を踏み入れた俺は、いきなりの別れ道に思わず叫ぶ。
「んー! じゃあ一番右!」
エミル。お前、それただの勘以下の適当発言だろ。そんな決め方ダメに決まってんじゃねーか。
これは競争なんだぞ!
「おい、ユナ。アリアス。ダンジョン攻略のセオリーとかないのか?」
この世界の仕組みはいまだによく分からん(神の使いのせいで)ので、聞くしかない。
……が、
「あああ、ありません!」
「ないわね。ダンジョンって一つ一つ全く別物だから」
まさかの情報皆無!! いや、セオリーがないという情報を得られたのか。
ない。がある。って言ってたら頭混乱して来たな。
「もーいーじゃん! 一番右行こっ!」
「おめーはなんでそんな右に行きたがんだよ」
「だって、一番人が居ないし。邪魔は少ない方がいーじゃん?」
ふむ。それは確かにそうだな。
邪魔。ではないが、余りにも人が多いとエミルが荒ぶった時の被害が凄そうだし。
それにユナの攻撃対象は少ない方が良い。
「オッケー。じゃあ一番右だ!」
言下に俺たちは走りだす。
――――が、
「そんでまた五差路かよ!!」
まさかの五差路連続。もうダンジョンの名前「五差路」にしろよ。
「じゃー、一番右ね!」
エミルは「ゴー!」とショートステッキを向けて走って行ってしまう。
お前、なんでそんな頑なに右なんだよ。そういうの馬鹿の一つ覚えって言うんだぞ?
ともあれ、迷っていても仕方がないので俺たちは一番右を進んでいく。
そして今度は三叉路。さらには六差路。と別れ道は何度も何度も俺たちを分断しようとした。
っつーか、二回目の別れ道で既にこの道、俺たちしかいなかったけどね!!
「ストップ。ちょっと止まってくれ」
もう何回目かも分からない別れ道の前で俺は足を止めた。
3人も俺の制止に従って、立ち止まる。
「もー、なによ。早く行かないと取られちゃうよ」
エミルは不満たらたらのようだが、その心配は不要だろう。
なぜなら、
――――――――ちょっともう帰り道もわからないからだ!
まさかこんな広大だとは思わなかった。
地下迷宮どころのレベルじゃねーぞ? って言ってみる。
それに、見たとこ俺たちの選んだ道にはアイテムどころか魔物一匹すらいない。
明らかにおかしい。
「て、敵……まだ……ですか?」
おかげでユナはもう暴走寸前になっちまってるし。
もうちょっとしたら「もうケイタさんでいいですよね? ケイタさん敵ですもんね?」とか言いだして俺に攻撃しかねない。
「これ、もしかして……」
アリアスは腕を組んで俺と視線を交わす。どうやら気づいたみたいだ。
「あぁ」
俺は頷き、ナレッジを取りだした。そして新たな魔法を唱える。
「アナリティクスイリュージョン!」
解析魔法の一種だ。これは幻覚、魔法その他「現象」を解析する魔法。
つまり、今ここで「何が起こっているのか」を知ることが出来る高性能魔法なのだ。
あぁ、これでこの世界でも使える奴が出てきてしまう。すっげー便利なのに。
「なんて思っても、このままじゃ帰ることもままならないからなぁ」
「きもっ! なんか独り言つぶやいてる!」
「うるせーロリっ子。黙って見てろ」
「うぜー! 短足のくせに!」
「おまっ! 人が気にしているところを!」
おっと、魔法に集中しなければ。これはちょっとでも乱れたら解除されてしまう繊細な魔法だからな。
身長に慎重に。……っつーか、マジでエミルって人の言われたくないとこつくの上手いのな。
いつか、弱み握りてぇ!!
と考えてる間に魔法は解析結果を俺の脳内に叩き込んでくる。
繊細な魔法の割に、結果は豪快にドババババと直接情報を脳に叩き込んでくるから謎な魔法である。
物語自体も荒削りだったしなぁ。面白かったけど。
「なーるほどね。そういうカラクリか」
「なによ急に。っていうかアンタ今、なんの魔法を使ったのよ?」
「あん? 小さい子にはまだ早い魔法だから教えらんねーよ」
さっきの仕返しだ。ロリめ。
「はぁあ!? 私は大人だっつーの!」
「でも見た目は?」
「ムキ―!!」
声に出して怒る奴初めて見た。っつーか、そうやってポカポカ叩いてくる感じがもう子どもなんだって事を教えたら、この子どんな顔するだろう?
「まぁいいや。俺が今やったのは解析魔法っつってな。事象を解析するだけしか出来ない魔法だ」
「じじじ、じしょう……?」
ユナは「チンプンカンプンです」という表情で首を傾げる。バカな子、可愛い。
「つまりは今ここで何が起こってんのか調べたって事だよ」
「そういう事ね。そしてそれが分かったところでこちらに対処法がなければ意味がない。と」
「ご名答です、アリアス様」
「ふーん、なんか使えるんだか使えないんだかって感じねー。んでー? 対処法はあったの?」
ジッと俺の顔を見やる三人に俺は胸を張って高らかに言う。
「あります! 対処法はありまーす!」
本当にあります。なので、信じてください。
いや、マジであるからね?
神殿に足を踏み入れた俺は、いきなりの別れ道に思わず叫ぶ。
「んー! じゃあ一番右!」
エミル。お前、それただの勘以下の適当発言だろ。そんな決め方ダメに決まってんじゃねーか。
これは競争なんだぞ!
「おい、ユナ。アリアス。ダンジョン攻略のセオリーとかないのか?」
この世界の仕組みはいまだによく分からん(神の使いのせいで)ので、聞くしかない。
……が、
「あああ、ありません!」
「ないわね。ダンジョンって一つ一つ全く別物だから」
まさかの情報皆無!! いや、セオリーがないという情報を得られたのか。
ない。がある。って言ってたら頭混乱して来たな。
「もーいーじゃん! 一番右行こっ!」
「おめーはなんでそんな右に行きたがんだよ」
「だって、一番人が居ないし。邪魔は少ない方がいーじゃん?」
ふむ。それは確かにそうだな。
邪魔。ではないが、余りにも人が多いとエミルが荒ぶった時の被害が凄そうだし。
それにユナの攻撃対象は少ない方が良い。
「オッケー。じゃあ一番右だ!」
言下に俺たちは走りだす。
――――が、
「そんでまた五差路かよ!!」
まさかの五差路連続。もうダンジョンの名前「五差路」にしろよ。
「じゃー、一番右ね!」
エミルは「ゴー!」とショートステッキを向けて走って行ってしまう。
お前、なんでそんな頑なに右なんだよ。そういうの馬鹿の一つ覚えって言うんだぞ?
ともあれ、迷っていても仕方がないので俺たちは一番右を進んでいく。
そして今度は三叉路。さらには六差路。と別れ道は何度も何度も俺たちを分断しようとした。
っつーか、二回目の別れ道で既にこの道、俺たちしかいなかったけどね!!
「ストップ。ちょっと止まってくれ」
もう何回目かも分からない別れ道の前で俺は足を止めた。
3人も俺の制止に従って、立ち止まる。
「もー、なによ。早く行かないと取られちゃうよ」
エミルは不満たらたらのようだが、その心配は不要だろう。
なぜなら、
――――――――ちょっともう帰り道もわからないからだ!
まさかこんな広大だとは思わなかった。
地下迷宮どころのレベルじゃねーぞ? って言ってみる。
それに、見たとこ俺たちの選んだ道にはアイテムどころか魔物一匹すらいない。
明らかにおかしい。
「て、敵……まだ……ですか?」
おかげでユナはもう暴走寸前になっちまってるし。
もうちょっとしたら「もうケイタさんでいいですよね? ケイタさん敵ですもんね?」とか言いだして俺に攻撃しかねない。
「これ、もしかして……」
アリアスは腕を組んで俺と視線を交わす。どうやら気づいたみたいだ。
「あぁ」
俺は頷き、ナレッジを取りだした。そして新たな魔法を唱える。
「アナリティクスイリュージョン!」
解析魔法の一種だ。これは幻覚、魔法その他「現象」を解析する魔法。
つまり、今ここで「何が起こっているのか」を知ることが出来る高性能魔法なのだ。
あぁ、これでこの世界でも使える奴が出てきてしまう。すっげー便利なのに。
「なんて思っても、このままじゃ帰ることもままならないからなぁ」
「きもっ! なんか独り言つぶやいてる!」
「うるせーロリっ子。黙って見てろ」
「うぜー! 短足のくせに!」
「おまっ! 人が気にしているところを!」
おっと、魔法に集中しなければ。これはちょっとでも乱れたら解除されてしまう繊細な魔法だからな。
身長に慎重に。……っつーか、マジでエミルって人の言われたくないとこつくの上手いのな。
いつか、弱み握りてぇ!!
と考えてる間に魔法は解析結果を俺の脳内に叩き込んでくる。
繊細な魔法の割に、結果は豪快にドババババと直接情報を脳に叩き込んでくるから謎な魔法である。
物語自体も荒削りだったしなぁ。面白かったけど。
「なーるほどね。そういうカラクリか」
「なによ急に。っていうかアンタ今、なんの魔法を使ったのよ?」
「あん? 小さい子にはまだ早い魔法だから教えらんねーよ」
さっきの仕返しだ。ロリめ。
「はぁあ!? 私は大人だっつーの!」
「でも見た目は?」
「ムキ―!!」
声に出して怒る奴初めて見た。っつーか、そうやってポカポカ叩いてくる感じがもう子どもなんだって事を教えたら、この子どんな顔するだろう?
「まぁいいや。俺が今やったのは解析魔法っつってな。事象を解析するだけしか出来ない魔法だ」
「じじじ、じしょう……?」
ユナは「チンプンカンプンです」という表情で首を傾げる。バカな子、可愛い。
「つまりは今ここで何が起こってんのか調べたって事だよ」
「そういう事ね。そしてそれが分かったところでこちらに対処法がなければ意味がない。と」
「ご名答です、アリアス様」
「ふーん、なんか使えるんだか使えないんだかって感じねー。んでー? 対処法はあったの?」
ジッと俺の顔を見やる三人に俺は胸を張って高らかに言う。
「あります! 対処法はありまーす!」
本当にあります。なので、信じてください。
いや、マジであるからね?
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