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「まぁお風呂は2階だしー。1階のここの音なんてそうそう聞こえないよね!」
言いながらエミルは嬉しそうに管理人の部屋をあさり始めた。
そう。俺たちは今、管理人アリアスの恥ずかしい秘密を探すために奴の部屋に侵入している。
作戦はこうだ。
この家の風呂(大浴場クラスの広さ)は2階にある。
そして、今はアリアスが入浴中だ。
そこの近くでユナが見張っている。もし、奴が出てきたら何でもいいからデカい音を鳴らす。
その音を合図に捜索中止。部屋を元に戻す。
まぁ、単純明快なやり方だが、大事なのはそのスピードだ。
出来るならここで秘密を見つけたいが、見つからない場合は脱衣場で下着チェックをしなければならない。
なので、出来るだけ迅速にこの部屋荒らしは終わらせねばならないのだ。
「あー、なんか真面目実直な部屋ねー。なんの面白みがないなー。ってあれ?」
「あの管理人にそんな秘密もあるかってのがそもそも怪しいしなー。ってあれ?」
俺とエミルは同時に手を止め、そして見つけたものを手にお互いふり返った。
「「あ!」」
俺たちの声がそろう。そして互いに持つものを指さした。
エミルの手には金の紋章がついたネックレス。
そして俺の手には細剣が握られていた。
「このネックレス、引き出しの奥に入ってた!」
「俺はこの箪笥の裏にこれが隠されてて……」
……ってことは。
「「アリアスは冒険者ぁあああ!!!???」」
しかも階級は金! かなりの上位冒険者だ!
どうりであの威圧感! 銀のユナですらあの実力なんだ。まぁ、あいつは特殊なのかも知れんが。
しかし、これでようやくあいつの底知れぬ雰囲気の正体がわかった。
「まいったわねー。これじゃー力でねじ伏せるのも苦労しそうじゃん」
エミルは指で金のネックレスをクルクル回す。
「こうなったら、最終手段しか無いようね」
「お前……まさか?」
エミルは「そのまさかよ」とニヤリと笑う。
「――――――――――――脱衣所行くわよ!!!」
「あああ、エミルさん、ケイタさん! ここここっちは……異常なしですぅ!」
ぎゅっと目をつむって報告してくるユナにエミルは「サンキュー!」と笑って、そのまま手を引いた。
「ひゃん!」
なんとも可愛らしい声を出しながらユナはエミルに引っ張られるまま脱衣所の前に立つ。
「どどど、どうしたんですか?」
「いやー、アリアスって金の冒険者みたいだからさー。あとは下着チェックしかなくてねー」
いや、他にもあるだろう。
っつーか、下着をチェックしたところで何になる? すっげーダサいやつとかエロいやつとかだったらいいのか? いや、まぁいいのか。いいよな。
と、一人で納得していると二人はさっさと脱衣所へ入ってしまう。
遅れて侵入すると、すりガラスの向こうでお湯の流れる音が絶え間なく聞こえていた。
かけ流しスタイルかよ。
しかし、シャワーの音も聞こえないのでアリアスは湯船にでも浸かっているのだろう。
中についたてのような石壁があるので、こちらからアリアスの姿は望めないが、それは向こうからこちらを望めないの裏返しでもある。
ちょいと残念ではあるが。
「あったあった……!」
人さし指を口に当てながらエミルはそっと衣服の入れられたカゴに手を伸ばした。
そーっと指で詰まんで何かを引っ張る。
「へー、なんか普通ー」
エミルの第一声はひどく興味のなさそうなものだった。
エミルの手にあるのはブラジャー。しかも黒だ。
次いで、今度はパンツも手にする。パンツも黒。
うーん。あの大人感から想像するに「正に」といった具合か。
王道ともいえる。
でもさ……。
「なんか、いいな……」
ゴクリとつばを飲み込んでしまう。っつーか、声に出ちった。
いや、いいよな? あのバランス取れた肢体からこの大人っぽい黒下着を合わせると、なんともリアルで良い。ちゃんと自分を知った上で、背伸びすることなく、しかもちゃんと脱がされる時に見られるのを意識して考えて身に着けているのを想像するだけで、良い!!
なんか、アリアスを身近に感じてしまった。
もしかして、この女は気を許した男にはとっても甘えるタイプなのではないだろうか。
え? 俺好きだけど、そーいう女!!
「んー。なんか予想と違ったなー。なんかないかなぁー」
エミルはそれでは納得いかないらしくカゴの中にあった衣服をゴソゴソと物色する。
「んー? んん? なんだこれ、え? コイツって……」
ヒラリと床に何かが落ちた。その時、
――――――――――――――――ザバァ!!
「やばい! アリアスが湯船から上がった! 行くぞ! ゴーゴーゴー!」
俺の合図に急いで脱衣所を後にする。
間一髪セーフ。ってほどギリギリでもなく、俺らは余裕を持って脱衣所を出ることが出来た。
「あああ、やっぱり、何もあり、ませんでしたね……」
ユナが肩を落とすが、エミルの顔はどこか得意げだ。
「おい。お前何持ってんだよ?」
俺はエミルの手に握られた紙のようなものを指さす。
「これ? 写真よ」
「写真? 誰の?」
そう聞くと、エミルはにんまりと笑った。
「だ・ん・ちょ・う・の!!」
さー! 面白くなってきたわよー! とエミルはリビングに向かう。
あ、なんか俺わかっちゃったかもー。
言いながらエミルは嬉しそうに管理人の部屋をあさり始めた。
そう。俺たちは今、管理人アリアスの恥ずかしい秘密を探すために奴の部屋に侵入している。
作戦はこうだ。
この家の風呂(大浴場クラスの広さ)は2階にある。
そして、今はアリアスが入浴中だ。
そこの近くでユナが見張っている。もし、奴が出てきたら何でもいいからデカい音を鳴らす。
その音を合図に捜索中止。部屋を元に戻す。
まぁ、単純明快なやり方だが、大事なのはそのスピードだ。
出来るならここで秘密を見つけたいが、見つからない場合は脱衣場で下着チェックをしなければならない。
なので、出来るだけ迅速にこの部屋荒らしは終わらせねばならないのだ。
「あー、なんか真面目実直な部屋ねー。なんの面白みがないなー。ってあれ?」
「あの管理人にそんな秘密もあるかってのがそもそも怪しいしなー。ってあれ?」
俺とエミルは同時に手を止め、そして見つけたものを手にお互いふり返った。
「「あ!」」
俺たちの声がそろう。そして互いに持つものを指さした。
エミルの手には金の紋章がついたネックレス。
そして俺の手には細剣が握られていた。
「このネックレス、引き出しの奥に入ってた!」
「俺はこの箪笥の裏にこれが隠されてて……」
……ってことは。
「「アリアスは冒険者ぁあああ!!!???」」
しかも階級は金! かなりの上位冒険者だ!
どうりであの威圧感! 銀のユナですらあの実力なんだ。まぁ、あいつは特殊なのかも知れんが。
しかし、これでようやくあいつの底知れぬ雰囲気の正体がわかった。
「まいったわねー。これじゃー力でねじ伏せるのも苦労しそうじゃん」
エミルは指で金のネックレスをクルクル回す。
「こうなったら、最終手段しか無いようね」
「お前……まさか?」
エミルは「そのまさかよ」とニヤリと笑う。
「――――――――――――脱衣所行くわよ!!!」
「あああ、エミルさん、ケイタさん! ここここっちは……異常なしですぅ!」
ぎゅっと目をつむって報告してくるユナにエミルは「サンキュー!」と笑って、そのまま手を引いた。
「ひゃん!」
なんとも可愛らしい声を出しながらユナはエミルに引っ張られるまま脱衣所の前に立つ。
「どどど、どうしたんですか?」
「いやー、アリアスって金の冒険者みたいだからさー。あとは下着チェックしかなくてねー」
いや、他にもあるだろう。
っつーか、下着をチェックしたところで何になる? すっげーダサいやつとかエロいやつとかだったらいいのか? いや、まぁいいのか。いいよな。
と、一人で納得していると二人はさっさと脱衣所へ入ってしまう。
遅れて侵入すると、すりガラスの向こうでお湯の流れる音が絶え間なく聞こえていた。
かけ流しスタイルかよ。
しかし、シャワーの音も聞こえないのでアリアスは湯船にでも浸かっているのだろう。
中についたてのような石壁があるので、こちらからアリアスの姿は望めないが、それは向こうからこちらを望めないの裏返しでもある。
ちょいと残念ではあるが。
「あったあった……!」
人さし指を口に当てながらエミルはそっと衣服の入れられたカゴに手を伸ばした。
そーっと指で詰まんで何かを引っ張る。
「へー、なんか普通ー」
エミルの第一声はひどく興味のなさそうなものだった。
エミルの手にあるのはブラジャー。しかも黒だ。
次いで、今度はパンツも手にする。パンツも黒。
うーん。あの大人感から想像するに「正に」といった具合か。
王道ともいえる。
でもさ……。
「なんか、いいな……」
ゴクリとつばを飲み込んでしまう。っつーか、声に出ちった。
いや、いいよな? あのバランス取れた肢体からこの大人っぽい黒下着を合わせると、なんともリアルで良い。ちゃんと自分を知った上で、背伸びすることなく、しかもちゃんと脱がされる時に見られるのを意識して考えて身に着けているのを想像するだけで、良い!!
なんか、アリアスを身近に感じてしまった。
もしかして、この女は気を許した男にはとっても甘えるタイプなのではないだろうか。
え? 俺好きだけど、そーいう女!!
「んー。なんか予想と違ったなー。なんかないかなぁー」
エミルはそれでは納得いかないらしくカゴの中にあった衣服をゴソゴソと物色する。
「んー? んん? なんだこれ、え? コイツって……」
ヒラリと床に何かが落ちた。その時、
――――――――――――――――ザバァ!!
「やばい! アリアスが湯船から上がった! 行くぞ! ゴーゴーゴー!」
俺の合図に急いで脱衣所を後にする。
間一髪セーフ。ってほどギリギリでもなく、俺らは余裕を持って脱衣所を出ることが出来た。
「あああ、やっぱり、何もあり、ませんでしたね……」
ユナが肩を落とすが、エミルの顔はどこか得意げだ。
「おい。お前何持ってんだよ?」
俺はエミルの手に握られた紙のようなものを指さす。
「これ? 写真よ」
「写真? 誰の?」
そう聞くと、エミルはにんまりと笑った。
「だ・ん・ちょ・う・の!!」
さー! 面白くなってきたわよー! とエミルはリビングに向かう。
あ、なんか俺わかっちゃったかもー。
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