あの夏の歌を、もう一度

 中学二年生の朝丘蛍は、ある日父親から転勤でこの町を引っ越さなければ鳴らない事を告げられる。
 引っ越し先は「ど」が付く程田舎の村で、家は平屋。
 何故か意気揚々と荷物を開ける父をよそに蛍は何とも言えない居心地の悪さを感じていた。
 一学年一クラスという小さな学校だったが、転校初日からやたらと絡んで来る隣の席のカズや、その幼なじみのユキを初め、過干渉なクラスメイトのおかげで変に外れる事無く、すんなり馴染む事が出来た。
 そうして都会と田舎の違いにカルチャーショックを受けながらも何とか毎日を過ごしていた蛍は八月の終わりに村を上げてのお祭りがある事。そして、蛍の学年はそこで伝統の合唱を披露する事を知る。
 クラスで唯一ピアノを弾ける蛍は伴奏に抜擢され、カズは指揮者に抜擢されるがーーーー?

 ―ーーー失ったものをとりもどすための夏が、今はじまる。
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