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Psalm 4:5 Offer the sacrifices of righteousness

Day103 Crop cycle installment(輪作実施開始)

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Day103 朝11時 ちょいすぎ 北の国 会議室
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

北の王族:「なんとか まとまったな」
北の識者:「これで反対の者はいるかー いないなー
      高札こうさつするぞー」

森の賢者様からの輪作についての内容
西の国や東の国にも伝わっていた
興味を抱いたり懐疑心や多少の驚きがあったにしても
元々 作物にはそこまで苦労をしていない 西の国と東の国
それでも東の国は少しづつ この技法を取り入れていくが
ただ 今すぐに そこまで細かい事をする必要ないとの考えであった

ただ 北の国は違う
殆どの食料は巨大都市からの輸入でまかなっている
わずかに作物が作れる国境付近の農家
それだけでは足りないぐらい国民が増えてしまっている

そして それは国としては厳しいと考えていた
いずれ起きる飢饉や作物の不作
それらによって値段が吊り上がったら対処が出来なくなってしまう

その為 常日頃から何とか作物の量を増やしたがっていた
その為 森の賢者様からの話を聞いた従者が持ち込んだこの情報を
なんとか最大限に生かそうとしていたのが北の国であった

それからの議論につぐ議論 それは 2日2晩に渡って行われた
また 講義が終わった後 森の賢者様の弟子の通訳によって幾つか質問をした
まず 土壌が弱いなら火をつけた森などの土を混ぜればよい
ただし 混ぜすぎはいけない

肥料というものがあるが それは説明が難しい
これは東の国が開発していたことは既に分かっている
連作に必要だという事は2日目に識者が会議場に情報を持ち帰った

そしてもう1つが最もお金の掛かる方法
それらをについて議論につぐ議論が行われた

1)東の国と巨大都市の間の焼けた森から土を幾つか運んでくる
2)北の国の南側にその土を混ぜた上 輪作を行う
3)国の指定した輪作を行った場合 減税および作物での納税を認める
4)余った作物は国が巨大都市まで運び売りさばけばよい
5)肥料については 卵の殻、エビや貝殻の甲羅を砕いた粉を少量土にまぜる
  自国で開発を行うが 東の国の農家経験者を優遇政策で迎える方向でいく
   

また馬などの糞、落ち葉、野菜や果物のカス、砕いた殻などを1カ所に集め
2週間おきにかき混ぜてやる
具体的な量は覚えていないとのことなので
これは数か所で実験を行う

ここまでは 比較的 すぐに結論がで 参加者全員の賛成も問題なく得られた
問題は次の議題であった

6)北の極寒の地の砦
  半分レンガ、上の部分をガラスにした建物の中で作物を作る事が出来る 
  ただ寒すぎる場合は上の部分を2重 又は3重にガラスをしてやる事
  ガラスなら日の光が入るため作物が育つ

問題は ガラスは安くない事
また森の賢者様によると 普通に作物を運んだ方が安いのでは?
道路整備 治水などにお金を費やす方が正しいのでは
更に識者は男の言葉を漏れずに伝えた

天が作物を作って欲しくないからあの環境にしたのだ
自然の摂理に挑戦する事はそれだけお金が掛かると

独特の文化に加え 独特の宗教理念を持つ
その為 この言葉で論争が激化する

北の貴族:「賢者様の言っている事は正しいだろ
      どのくらいの額になるか分かって言っているのか?」
北の文官:「天と自然に喧嘩を売る 私は反対です」
北の識者:「賢者様はやり方を教えてくださった
      だから やってはいけないという事は無い
      そこは誤解しないで頂きたい」
北の王族:「人が大勢 死んでも築き上げた砦だぞ
      北の開拓を諦めると申すか」
北の貴族:「まだ探索が行われていない地域が多々ある
      後回しでもいいのじゃないですか?」
北の識者:「後回しをしたら港を作る計画が遅れます
      ただでさえ 港はあまり使われず
      東の国に後れをとっているのに
      更に東の国に後れを取る事になりますぞ!」
黒騎士 :「それだけは ならん!」
北の貴族:「でも 今回は素直に道路整備だけで留めておけば」

男が値段や相場が解らないからと言っていたがそれは正しい
でも国を挙げてやってみる価値はある
また この方法だと季節に関係なく育てる事が出来る事も識者は伝えた

なら 東の国や西の国で季節に合わない果物や野菜などの農作物も作れる
ならば これも投資として 国の東西南北で数か所 ガラスハウスを作る
作るのを決めるのは反対する者がいなかった
北の砦以外は そして 一番の懸念点けねんてんはやはりお金であった

北の貴族:「予算 お金をどうするのか?」

ここでの議論がすごく白熱する事となる
税をあげるか? 国の特産物を安売りしてでもお金をかき集めるか
議論という議論がなされるが結論が出ない
業を煮やした王族が 鶴の一声のように決めてしまう

そして それぞれの農家に文官や騎士達が御触れを伝えに行く
農家としては税が安くなり また現物支給でも良くなるとの事で
輪作の実行を反対する者は全くと言っていいほど出なかった
また この方法だと今までより多く採れる
その説明も丁寧に丁寧に行われていった

次に工房に注文をだす
大きいガラスのドア
今まで作成した窓ガラスより厚くそして大きく
その作成した事のない大きさ
職人たちは新たなチャレンジを戸惑いと喜びと楽しみで受け入れる

スコップをもった荷車の隊列が南の関門から旅立つ
そして騎士達のと黒騎士団の護衛の下
焼かれた森の土を荷車に積み始める

東の国と巨大都市を行き来する人達は
何をやっているのか? 横目にしながら通り過ぎていく
そして東の国や巨大都市にはいり 酒場やレストラン、屋台で
見た事を面白おかしく話す
その噂は広がっていく
それでも北の国では黙々と行動に移していく

男が伝えた ちょっとした知識
何処にでもある アメリカに住んでいるなら当たり前の知識
学校で習ったり 日常生活に組み込まれている知識
ただ その知識は人類が莫大な時と努力とアイディアを
かけ合わせた英知の結晶である事も確かである
例えば北の国で話し合われた温室自体は紀元前にも存在していた
しかし冬でも野菜が採れる温室がつくられたのは15世紀以降である
それが文化圏が6~800年代レベルの人達が聞いたら
天啓と思えるぐらいの発想であろう

北の国は今 生まれ変わろうとしている
ただ その結果は直ぐには明らかにならない
数年後 実りが出て国の収穫が上がり
余った物や季節外れの野菜や果物が少し高値で巨大都市に出回る
そして今まで買われていた東の国と西の国の農作物が売れなくなる
その収益が落ちる
そこで初めて事の重大さに東と西の国は気づく事になるが
その時はそでに遅いのである

ただ すぐに結果が現れた事が1つある
それは国としての予算
北の王族は どこから予算を捻出ねんしゅつしたのか?
それは とある買い物を止めた事である

その買い物とは
巨大都市の商店の倉庫に置いてあるトロフィー
湖の主とその骨
一生に一度 出回るかどうか
そんなトロフィー
この大陸で唯一のトロフィー
それを手に入れる事の重要性
貴族として、金持ちとして、そして国として
それは とても栄誉な事である
それを買う事がどのくらい栄誉な事か!

ただ 懸念点もある
それを買った場合 買った分だけの お金が国から巨大都市へと流れる事になる
だからこそ 国のトップは頭を悩ませていた
威厳を保つ為に買うべきではある
買えなければ 買う事が出来た国に舐められる事になる

ただ物が物だけに余りにも高い
オークションの参加料金は銀貨5枚
そして金貨200枚からの値段
ただ 下手したら1万枚行くかもしれない
そんな威信をかけた争奪戦 
そこから降りる事を北の王族は決めた

反対する者に対しては
では お主がオークションに参加して購入すればよいと
その発言が決定的であった

ただ他の国に買われれば 今後 交渉の場で間違いなく話題に出される
間違いなく毎回 話をする度にマウントをとられるであろう
また これは 盗む事は出来ない
オークションで大々的に どこどこが買った
そうなったら 盗んだ場合 間違いなく非難される
理由は替えの利かない唯一無二のものだから
さらに盗もうとしても荷車横4台縦7台の大物だ
簡単に出来る訳がない

ただ貴族を含めた北の国の上役は
物ではなく 国としての新たな試み
そして それは国と民の為に行う

それが たしていいのかどうか?
今この時点では 分からない
ただその判断を含め 国の在り方すら変える
男の発した言葉の結果は 大いなる流れに組み込まれていった




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