11 / 19
本編
11
しおりを挟む
この日の夕食は萌葱が作った。
本当に珍しく、奇跡的に、本当に奇跡的に日曜日が正しく“休日の日曜”であったため、朝から準備したビーフシチューだ。
萌葱はパンより米なので、炊き立てのご飯。紫のために美味しいパンも購入済み。
紫は補佐と勉強、そして歓迎会まで続いた夕食の弁当作りの疲れが一気に来たのか、朝部屋を覗くと──個人の居室は鍵をかけられるが、二人は一度もかけた事がない──死んでるのかと不安になる程微動だにせず寝ており、自然に起きるのを待つ事にしたのだ。
そんな死んだように寝ていた紫が起きたのは昼過ぎだった。
寝過ぎてぼんやりしている紫は、ビーフシチューの匂いを嗅ぎながらベッドに腰掛け久しぶりにキッチンを占領しているだろう萌葱を思う。
おやすみ。いい夢だけ見ろよ。
おはよ。いい夢みれた?俺は夢は見ないタイプなんだけど、紫が出るなら見てみたいな。
紫、かわいーな。なんでそんなおいしそうに食うの?
好きだよ。マジで。
なあ、どうしてそんなにかわいく笑ってくれちゃうわけ?
とろりと蜂蜜でもかけたかのような甘い声と優しい目。
二人きりになると途端にそれが降り注ぐ。
──────俺も、人、好きになれるんだな。これが恋とか愛とかいうやつなら、俺、知れてよかった。ありがとうな、紫。今、俺は幸せだ。
自分を好きになっただけで幸せになるという萌葱の顔は、どこか晴れやかで楽しそうだ。
萌葱の過去に何があったか紫は聞いた事がないから知らないけれど、紫はこのところの萌葱は何かを一枚脱ぎ捨てられたような軽さ、どこか吹っ切れて自由になったようなそれがあると感じている。
それがもし自分に恋をしたからだというならば
(嬉しいってふつーに思うよ。嬉しい)
人を好きになって恋人になれて、相手の笑顔を、恋人だから見れる顔を見る事が出来る。
これがどれだけ幸せなのか、まだ紫は子供だけれど、子供なりに解っていた。それが尊いとも。
ベッドに腰かけたまま微動だにしていなかった紫は、ノックの音にはっとして立ち上がった。
「はい!」
元気よくいうと笑いを噛み殺したような声を出した萌葱がドアを開けて顔を覗かせる。
「昼は適当に焼きそばかなんか作るし、俺腹減ってるし、紫もそろそろなんか食うだろ?だから顔洗って」
「うん」
「夕飯はビーフシチューだ」
「わーい!わーい!お肉たくさん入れてね!」
「肉は正しく半分ずつだ。いくら俺が紫を好きでも俺の分はやらねーぞ」
紫が笑顔を向ければ萌葱も目つきが悪いながらも笑って返す。
翌日の放課後、風紀委員会室に集まったのは風紀委員会全委員と生徒会会長、そして臨時委員の萌葱と臨時補佐の紫だ。
全員を前に、楝が話し出す。
「正直にいう。球技大会の開催は無理だろう。開催が出来ないのは今俺を手伝ってくれている風紀委員会の力不足では決してない。風紀委員会自体も今起こる様々な事でいっぱいで、生徒会は俺一人。許容範囲を超えすぎだ。だから球技大会は開催しない。これはまりも喜劇団に加わっていない教職員及委員会委員長の人間からは同意を得ている。体育祭はもうこの際どうでもいいが、クリスマスパーティーとそれに並ぶ人気イベントである文化祭はなんとしてもやり遂げたい」
ひとつここで区切り、頭を深く下げた。
「そこで俺を含め、今の生徒会をリコールしてほしい」
楝の話を静かに聞いていた橡は眉を上げる。
そしてまだ何か話そうな楝を遮った。
「蒲田を含めるなら、リコールはさせない。リコールしてほしいなら、今仕事してないやつだけにしろ」
「そういうわけにはいかない。俺はあいつらを引き止める事も、戻す事も、何も出来なかったんだぞ!?」
「だからなんだ。お前の後に生徒会会長が出来る人間がいると思うか?」
全員をリコールと楝以外をリコール。譲れない二人はヒートアップし、風紀委員会委員たちは止められないし、どうせお互い譲らないと思うのか萌葱はなんとも面倒くさいなあと静観を崩さない。
紫は二人の言い合いをじっと聞いていたが、一瞬二人が言い合いをやめたのを見計らい、すっと手を上げた。
「姫路、なんだ!」
言い合っていたテンションのまま、怒鳴るように橡が聞く。
「こうしましょう!全員をリコール」
楝は満足そうに頷く。橡は紫を睨んだ。
人を殺せそうな眼光に睨まれた紫はひえ、と萌葱の後ろに回り込んで萌葱の背中に隠れ顔だけ出す。
「それから、蒲田楝に会長をもう一度してほしいかどうかを、別に投票してもらってみんなに意思表示してもらいましょう。僕はリコールに賛成です。でも会長は蒲田くんがいいな。こんなに真面目に必死に『楽しく過ごしてほしい』それだけのために頑張れる人、僕は知らないよ。だからみんなにも聞いてみましょうよ、ね?」
邪気のない、素直な言葉と笑顔に楝は深く息を吐いた。
そして参ったと言いたげに手を挙げて
「解った。それでいい。でも、もし俺が会長に再任されたら、その時はお前を補佐か副会長にしてやるからな。覚悟しておけよ」
橡なんか目じゃない睨むような目つきで言うから、また紫は萌葱の背に隠れた。
紫が小さく「委員長よりも恐ろしい殺人光線でてる」と呟いのは萌葱にだけ届いたようで、萌葱は肩を震わせ笑いを堪える。
楝と橡が双方納得する形を紫が提案したおかげで全員から肩の力が抜け、橡の「これからリコールの準備をするが、今日はとにかく通常通り活動してくれ」と委員に言い、彼らはまず放課後の見回りに出て行った。
残ったのは紫と萌葱、そして楝と橡だ。
楝と橡はなんとも言えない苦虫を噛んだような表情で紫を見る。
それを萌葱は黙ってみながら、紫を見た。
紫は三人をそれぞれ見てから、ソファに深く座る。
「みんなが僕に言いたいこと、多分解ってると思います。冬夜もリコール対象だってそう言う話ですよね?」
萌葱は紫の隣に座り、その二人の正面に橡と楝が座った。
「僕が悲しんでもなんでも、リコールはすべきです。三人とも僕が冬夜を好きだったからって心配しすぎです」
「姫路とこうして時間を共有していなければ、こんなふうに心配はしなかっただろう。知る前ならば、松前が悪いのだから容赦なくリコールをする。姫路の気持ちを考えるなんて一切しなかった」
楝はそう言い切り、後を引き継ぐように橡が口を開く。
「でも、姫路の人となりを多少なりとも知った今、友人として心配するくらいおかしい事ではないだろ」
橡の口元は紫を安心させるように少しだけ柔らかく弧を描いていた。
紫はその小さくてでも大きな優しさに嬉しそうに目を細める。
「僕なんて今でも、二人が同級生である事を忘れますよ。ほんとは年齢詐称してるんじゃないかレベルです。実は2年くらい留年してますよね?」
萌葱が吹き出した。
「友人として、僕は言います。この件に関して心配はしないでください」
前だったら『全員をリコール』だなんてきっぱり言えなかった。そう紫は自分の事を見ている。しかしあっさりと言えたのは何故か。
それは全て、萌葱がいてくれたからだ。
彼が紫を正しくしてくれる。
職務を全うせず特権だけ使っていると言う現状を見ていても、好きな相手がリコールの対象であるとなれば、今までの紫ならきっとリコールに賛成するなんて言えなかったと紫は自分自身を思うのだ。しかし今はリコールに反対するなんていう気持ちを持たずにいられる。その上しかも、仮に今も好きであったり恋人であったとしてと想像しても、同じようにリコールに賛同し、そして冬夜に煙たがられても正しい事を伝え過ちを認め立ち直ってもらおうとする自分を想像出来る。
萌葱がいるからこそだと、紫は確信していた。
それはそう、萌葱が『これが恋や愛ならば知れてよかった。幸せだ』と言ったのと同じで、その萌葱からの愛が紫を幸せにして立ち上がらせ、以前より少し強くしてくれ、支えてくれているから。
(僕は萌葱くんと幸せになってみたい!萌葱くんを幸せにしたい!萌葱くんのくれる、優しくて心地の良い愛を僕、ほしい)
そう思ったら紫はじっとしていられなかった。
すっくと立ち上がった紫は萌葱にガバリ、と頭を下げて
「萌葱くん。きみのお陰で僕は『リコールしちゃえ!』なんていえるようになりました。萌葱くんが『これが恋とか愛とかいうやつなら、俺、知れてよかった。』と言ってくれてから、僕はずっと考えていました。僕に恋をして幸せだと言ってくれた萌葱くんに、僕も幸せにしてもらいました。僕の顔を見て、嬉しそうに笑ってくれる萌葱くんの顔を見ていると、僕はその顔をもっと見たいなって思うようになりました。僕の萌葱くんへの好意がインプリンティングだとしても構わないと言うのなら、萌葱くんをもっと幸せにしたいから、僕とお付き合いしてください」
口をぱかりと開けて目を丸くした萌葱。
橡と楝も突然の告白に呆然としている。
暫く紫も黙っていたが、ハッとして口を押さえると顔を真っ赤にして
「あ、やば!勢いでなんかすごいこと言っちゃった!あとでお部屋でやり直そう、萌葱くん!ってそれも無理だ!二度もあんなこと、言えない!恥ずかしすぎて気絶しそう。やばい!」
なんて言って、楝の笑いを誘った。
本当に珍しく、奇跡的に、本当に奇跡的に日曜日が正しく“休日の日曜”であったため、朝から準備したビーフシチューだ。
萌葱はパンより米なので、炊き立てのご飯。紫のために美味しいパンも購入済み。
紫は補佐と勉強、そして歓迎会まで続いた夕食の弁当作りの疲れが一気に来たのか、朝部屋を覗くと──個人の居室は鍵をかけられるが、二人は一度もかけた事がない──死んでるのかと不安になる程微動だにせず寝ており、自然に起きるのを待つ事にしたのだ。
そんな死んだように寝ていた紫が起きたのは昼過ぎだった。
寝過ぎてぼんやりしている紫は、ビーフシチューの匂いを嗅ぎながらベッドに腰掛け久しぶりにキッチンを占領しているだろう萌葱を思う。
おやすみ。いい夢だけ見ろよ。
おはよ。いい夢みれた?俺は夢は見ないタイプなんだけど、紫が出るなら見てみたいな。
紫、かわいーな。なんでそんなおいしそうに食うの?
好きだよ。マジで。
なあ、どうしてそんなにかわいく笑ってくれちゃうわけ?
とろりと蜂蜜でもかけたかのような甘い声と優しい目。
二人きりになると途端にそれが降り注ぐ。
──────俺も、人、好きになれるんだな。これが恋とか愛とかいうやつなら、俺、知れてよかった。ありがとうな、紫。今、俺は幸せだ。
自分を好きになっただけで幸せになるという萌葱の顔は、どこか晴れやかで楽しそうだ。
萌葱の過去に何があったか紫は聞いた事がないから知らないけれど、紫はこのところの萌葱は何かを一枚脱ぎ捨てられたような軽さ、どこか吹っ切れて自由になったようなそれがあると感じている。
それがもし自分に恋をしたからだというならば
(嬉しいってふつーに思うよ。嬉しい)
人を好きになって恋人になれて、相手の笑顔を、恋人だから見れる顔を見る事が出来る。
これがどれだけ幸せなのか、まだ紫は子供だけれど、子供なりに解っていた。それが尊いとも。
ベッドに腰かけたまま微動だにしていなかった紫は、ノックの音にはっとして立ち上がった。
「はい!」
元気よくいうと笑いを噛み殺したような声を出した萌葱がドアを開けて顔を覗かせる。
「昼は適当に焼きそばかなんか作るし、俺腹減ってるし、紫もそろそろなんか食うだろ?だから顔洗って」
「うん」
「夕飯はビーフシチューだ」
「わーい!わーい!お肉たくさん入れてね!」
「肉は正しく半分ずつだ。いくら俺が紫を好きでも俺の分はやらねーぞ」
紫が笑顔を向ければ萌葱も目つきが悪いながらも笑って返す。
翌日の放課後、風紀委員会室に集まったのは風紀委員会全委員と生徒会会長、そして臨時委員の萌葱と臨時補佐の紫だ。
全員を前に、楝が話し出す。
「正直にいう。球技大会の開催は無理だろう。開催が出来ないのは今俺を手伝ってくれている風紀委員会の力不足では決してない。風紀委員会自体も今起こる様々な事でいっぱいで、生徒会は俺一人。許容範囲を超えすぎだ。だから球技大会は開催しない。これはまりも喜劇団に加わっていない教職員及委員会委員長の人間からは同意を得ている。体育祭はもうこの際どうでもいいが、クリスマスパーティーとそれに並ぶ人気イベントである文化祭はなんとしてもやり遂げたい」
ひとつここで区切り、頭を深く下げた。
「そこで俺を含め、今の生徒会をリコールしてほしい」
楝の話を静かに聞いていた橡は眉を上げる。
そしてまだ何か話そうな楝を遮った。
「蒲田を含めるなら、リコールはさせない。リコールしてほしいなら、今仕事してないやつだけにしろ」
「そういうわけにはいかない。俺はあいつらを引き止める事も、戻す事も、何も出来なかったんだぞ!?」
「だからなんだ。お前の後に生徒会会長が出来る人間がいると思うか?」
全員をリコールと楝以外をリコール。譲れない二人はヒートアップし、風紀委員会委員たちは止められないし、どうせお互い譲らないと思うのか萌葱はなんとも面倒くさいなあと静観を崩さない。
紫は二人の言い合いをじっと聞いていたが、一瞬二人が言い合いをやめたのを見計らい、すっと手を上げた。
「姫路、なんだ!」
言い合っていたテンションのまま、怒鳴るように橡が聞く。
「こうしましょう!全員をリコール」
楝は満足そうに頷く。橡は紫を睨んだ。
人を殺せそうな眼光に睨まれた紫はひえ、と萌葱の後ろに回り込んで萌葱の背中に隠れ顔だけ出す。
「それから、蒲田楝に会長をもう一度してほしいかどうかを、別に投票してもらってみんなに意思表示してもらいましょう。僕はリコールに賛成です。でも会長は蒲田くんがいいな。こんなに真面目に必死に『楽しく過ごしてほしい』それだけのために頑張れる人、僕は知らないよ。だからみんなにも聞いてみましょうよ、ね?」
邪気のない、素直な言葉と笑顔に楝は深く息を吐いた。
そして参ったと言いたげに手を挙げて
「解った。それでいい。でも、もし俺が会長に再任されたら、その時はお前を補佐か副会長にしてやるからな。覚悟しておけよ」
橡なんか目じゃない睨むような目つきで言うから、また紫は萌葱の背に隠れた。
紫が小さく「委員長よりも恐ろしい殺人光線でてる」と呟いのは萌葱にだけ届いたようで、萌葱は肩を震わせ笑いを堪える。
楝と橡が双方納得する形を紫が提案したおかげで全員から肩の力が抜け、橡の「これからリコールの準備をするが、今日はとにかく通常通り活動してくれ」と委員に言い、彼らはまず放課後の見回りに出て行った。
残ったのは紫と萌葱、そして楝と橡だ。
楝と橡はなんとも言えない苦虫を噛んだような表情で紫を見る。
それを萌葱は黙ってみながら、紫を見た。
紫は三人をそれぞれ見てから、ソファに深く座る。
「みんなが僕に言いたいこと、多分解ってると思います。冬夜もリコール対象だってそう言う話ですよね?」
萌葱は紫の隣に座り、その二人の正面に橡と楝が座った。
「僕が悲しんでもなんでも、リコールはすべきです。三人とも僕が冬夜を好きだったからって心配しすぎです」
「姫路とこうして時間を共有していなければ、こんなふうに心配はしなかっただろう。知る前ならば、松前が悪いのだから容赦なくリコールをする。姫路の気持ちを考えるなんて一切しなかった」
楝はそう言い切り、後を引き継ぐように橡が口を開く。
「でも、姫路の人となりを多少なりとも知った今、友人として心配するくらいおかしい事ではないだろ」
橡の口元は紫を安心させるように少しだけ柔らかく弧を描いていた。
紫はその小さくてでも大きな優しさに嬉しそうに目を細める。
「僕なんて今でも、二人が同級生である事を忘れますよ。ほんとは年齢詐称してるんじゃないかレベルです。実は2年くらい留年してますよね?」
萌葱が吹き出した。
「友人として、僕は言います。この件に関して心配はしないでください」
前だったら『全員をリコール』だなんてきっぱり言えなかった。そう紫は自分の事を見ている。しかしあっさりと言えたのは何故か。
それは全て、萌葱がいてくれたからだ。
彼が紫を正しくしてくれる。
職務を全うせず特権だけ使っていると言う現状を見ていても、好きな相手がリコールの対象であるとなれば、今までの紫ならきっとリコールに賛成するなんて言えなかったと紫は自分自身を思うのだ。しかし今はリコールに反対するなんていう気持ちを持たずにいられる。その上しかも、仮に今も好きであったり恋人であったとしてと想像しても、同じようにリコールに賛同し、そして冬夜に煙たがられても正しい事を伝え過ちを認め立ち直ってもらおうとする自分を想像出来る。
萌葱がいるからこそだと、紫は確信していた。
それはそう、萌葱が『これが恋や愛ならば知れてよかった。幸せだ』と言ったのと同じで、その萌葱からの愛が紫を幸せにして立ち上がらせ、以前より少し強くしてくれ、支えてくれているから。
(僕は萌葱くんと幸せになってみたい!萌葱くんを幸せにしたい!萌葱くんのくれる、優しくて心地の良い愛を僕、ほしい)
そう思ったら紫はじっとしていられなかった。
すっくと立ち上がった紫は萌葱にガバリ、と頭を下げて
「萌葱くん。きみのお陰で僕は『リコールしちゃえ!』なんていえるようになりました。萌葱くんが『これが恋とか愛とかいうやつなら、俺、知れてよかった。』と言ってくれてから、僕はずっと考えていました。僕に恋をして幸せだと言ってくれた萌葱くんに、僕も幸せにしてもらいました。僕の顔を見て、嬉しそうに笑ってくれる萌葱くんの顔を見ていると、僕はその顔をもっと見たいなって思うようになりました。僕の萌葱くんへの好意がインプリンティングだとしても構わないと言うのなら、萌葱くんをもっと幸せにしたいから、僕とお付き合いしてください」
口をぱかりと開けて目を丸くした萌葱。
橡と楝も突然の告白に呆然としている。
暫く紫も黙っていたが、ハッとして口を押さえると顔を真っ赤にして
「あ、やば!勢いでなんかすごいこと言っちゃった!あとでお部屋でやり直そう、萌葱くん!ってそれも無理だ!二度もあんなこと、言えない!恥ずかしすぎて気絶しそう。やばい!」
なんて言って、楝の笑いを誘った。
4
お気に入りに追加
89
あなたにおすすめの小説

キミの次に愛してる
Motoki
BL
社会人×高校生。
たった1人の家族である姉の由美を亡くした浩次は、姉の結婚相手、裕文と同居を続けている。
裕文の世話になり続ける事に遠慮する浩次は、大学受験を諦めて就職しようとするが……。
姉への愛と義兄への想いに悩む、ちょっぴり切ないほのぼのBL。
【完結】はじめてできた友だちは、好きな人でした
月音真琴
BL
完結しました。ピュアな高校の同級生同士。友達以上恋人未満な関係。
人付き合いが苦手な仲谷皇祐(なかたにこうすけ)は、誰かといるよりも一人でいる方が楽だった。
高校に入学後もそれは同じだったが、購買部の限定パンを巡ってクラスメートの一人小此木敦貴(おこのぎあつき)に懐かれてしまう。
一人でいたいのに、強引に誘われて敦貴と共に過ごすようになっていく。
はじめての友だちと過ごす日々は楽しいもので、だけどつまらない自分が敦貴を独占していることに申し訳なくて。それでも敦貴は友だちとして一緒にいてくれることを選んでくれた。
次第に皇祐は嬉しい気持ちとは別に違う感情が生まれていき…。
――僕は、敦貴が好きなんだ。
自分の気持ちに気づいた皇祐が選んだ道とは。
エブリスタ様にも掲載しています(完結済)
エブリスタ様にてトレンドランキング BLジャンル・日間90位
◆「第12回BL小説大賞」に参加しています。
応援していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
ピュアな二人が大人になってからのお話も連載はじめました。よかったらこちらもどうぞ。
『迷いと絆~友情か恋愛か、親友との揺れる恋物語~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/416124410/923802748

僕の王子様
くるむ
BL
鹿倉歩(かぐらあゆむ)は、クリスマスイブに出合った礼人のことが忘れられずに彼と同じ高校を受けることを決意。
無事に受かり礼人と同じ高校に通うことが出来たのだが、校内での礼人の人気があまりにもすさまじいことを知り、自分から近づけずにいた。
そんな中、やたらイケメンばかりがそろっている『読書同好会』の存在を知り、そこに礼人が在籍していることを聞きつけて……。
見た目が派手で性格も明るく、反面人の心の機微にも敏感で一目置かれる存在でもあるくせに、実は騒がれることが嫌いで他人が傍にいるだけで眠ることも出来ない神経質な礼人と、大人しくて素直なワンコのお話。
元々は、神経質なイケメンがただ一人のワンコに甘える話が書きたくて考えたお話です。
※『近くにいるのに君が遠い』のスピンオフになっています。未読の方は読んでいただけたらより礼人のことが分かるかと思います。
泣き虫な俺と泣かせたいお前
ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。
アパートも隣同士で同じ大学に通っている。
直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。
そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。

幸せになりたかった話
幡谷ナツキ
BL
このまま幸せでいたかった。
このまま幸せになりたかった。
このまま幸せにしたかった。
けれど、まあ、それと全部置いておいて。
「苦労もいつかは笑い話になるかもね」
そんな未来を想像して、一歩踏み出そうじゃないか。
思い出して欲しい二人
春色悠
BL
喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。
そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。
一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。
そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる