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「セーリオ様」「カムヴィ様」共通の話
✿ シュピーラド婚礼の祝日を憂う従者さんたちの話。:中編
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さて、カナメを「おいたわしい」と口を揃えいう二人の従者がいるそこは学園内の王族専用となっている一室だ。
この国の学園には歴代の王族が皆通っており、そのため王族のための専用とされる部屋がいくつかある。
学生寮内にも王族用とされている部屋もあり、当たり前のように歴代の王族はここで学園生活を謳歌──しなかった者もいるのだろうが──していた。
また王族ではなくても従者もしくは侍女をひとり連れてきてもいいこと──なにせ貴族のお坊ちゃんお嬢さんたちだ。一人でなんでもこなすのは無理がある──になっているので、学園内には従者や侍女の待機室のようなものが複数ある。
アルノルトとアーネもそこにいることは可能だが、二人は何かとこちらの専用とされている部屋を使った。
待機室には二度目の学園生活を送っている生徒の従者役が数名潜り込んでいる。彼らの仕事を取るつもりはないのだろう。
何か問題があれば彼らがしっかりと報告してくれる。王子とその婚約者の従者がいない方が都合がいい場合も往々にしてあるのだ。
余談だが。
二度目の学園生活を送っている生徒、というのは宰相直属の配下であり、騎士団総司令官と共に管理している『諜報部』から護衛である。
諜報部はその名の通りの活動が主だが、誰にも悟られぬ様に王族の護衛をするのも仕事の一つ。
今までであれば、まさに悟られないような護衛をつけるだけの予定だったのだが、ロドルフは諜報部から密かに悟られない護衛だけではなく『もう一度新入生として入学できるほどの童顔』のものを三名選び、うち二人を同級生として、一人を一つ上の学年に生徒として送り込んだ。
童顔の彼らは真面目な生徒とし、二度目の学園生活を送っている。
そして童顔の彼らの従者役もまた諜報部のもの。
こうしてマチアスとカナメは守られ学園生活をしていた。
そんな理由で専用の部屋にいる二人。
マチアスとカナメが授業である間は、自分たちの主人のための細々したことをしながら過ごす二人は近づく『シュピーラド婚礼の祝日』を思い、ついついカナメの心情を考え「おいたわしい」なんて話をしている。
しかしおいたわしいとか言いながらも、彼らは二人が無事に婚約式を行い、皆にそれを知らしめ、そして堂々と立つ姿を多くの人間に見せることが叶いそれが嬉しく、あまりおいたわしいなんて思っていないようにも見えた。
二人はそれぞれの主人を敬愛している。その主人がやっと婚約式を行ったのだ。
それが嬉しくなくてなんだろうか。
カナメのことを一片も考えなくていいのなら、信者のようにもっとシャングラスを前面に出して二人の婚約式を祝うようなこの祝日を祝ってほしいと思っているのだ。
こんなふうに部屋の窓がまるで絵画をそっと彩る額縁のように完璧に、青空、雲そして緑の木々を切り取る美しい日であれば尚更、あの日を思い出して声を大にして世界中に言いたくなる。
我が主人たちは素晴らしいのだと。
窓の外を見ていたアルノルトもそう思ったのだろう、思わず口元が緩む。
声も漏れたのか、アーネは顔を上げた。
「そういえば、懐かしいものだな」
二人は一歳違い。この学園に同時期に在籍している。
お互いの学園生時代を知っているのだ。
「あの祝日は互いに部屋にこもっていた印象があるが、結局大変だったなと」
「そうでしたね。先輩が一年の時に教えてくださったおかげで祝日回避は何をしても無理だと知って、それでも対策をしたつもりでしたが、まあ意味もありませんでしたね」
「お互い、将来は王家と侯爵家に仕えると決まっていたから、周りの目の色が違うんだ」
『シュピーラド婚礼の祝日』は爵位も貴賤も関係なく、愛を伝えられる日であると不思議と暗黙の了解で決まっていた。
そうなると顔も良ければ将来も安泰の二人には多くの声がかかるのだ。下心がある人からない人まで。まさに大漁である。
アルノルトは窓辺に置かれた椅子に腰掛け、アーネを呼ぶ。素直にアーネも勧められた椅子に座った。
互いの右と左の頬が窓から入る温かい光にあたる。
この瞬間だけ切り取れば、当時二人に熱を上げていた女性男性陣からため息が漏れそうだ。
「先輩は切って捨てではなくて、完全無視でしたね。あれはなかなか真似ができませんよ」
「アーネは一刀両断だったな。あまりの切れ味に正直いつかお前が刺されるのではないかと不安しかなかった」
「下手に気を持たせて、旦那様に迷惑がかかるよりはまあその方がいいのかなと……私も若かったのです」
今でこそ、お互いを“殿”と敬称を付け呼ぶ二人だが、先輩後輩の雰囲気で懐かしい思い出に花を咲かせる。
「私はあの頃より前から、カナメ様に生涯使えると決めそれを望んで生きておりましたから」
「このまま妻帯する気はないのか?」
「最初はカナメ様がマチアス殿下と婚約するまでなどと考えておりましたが、今が一番楽しいのです。カナメ様に仕えていると、それだけで人生が楽しいので。“先輩”も同じではないですか」
「確かに。正直、王子殿下の従者という人生はもっと、普通だと思っていたよ。しかし、私の想像した普通なんてものはカナメ様がご学友としてこられてから全て覆され、今もそのままだ。こんなにも楽しい人生はないな」
「私たちの学園時代はいわばあれですね、カナメ様のご学友の言うモテ期だったのかもしれません」
「ブッ!」
思わず吹き出したアルノルトは「確かに、面と向かって突撃するものはいなくなったな」と笑う。
「しかし……私たちであれだったとなると、サシャ様はいかほどであったのだろうかと考えると恐怖しかない」
アルノルトがしみじみとこぼすと、アーネの顔から表情が消えた。
何かまずいものを踏み抜いたようだ、と思ったが遅い。思えばこんな危険な祝日にサシャに何かないなんて、あり得ないのだ。
懐かしい思い出に浸ってアルノルトは危機回避能力が一瞬、散歩に出かけていたのだろう。
「あの日ほど声をかけることができない日なんてありませんよ。それに恐ろしい思い出がございますとも」
「お、おそろしい?」
「サシャ様が一年でしたね……祝日なのに寮にいなければいけなくなったことがありまして、翌日帰ってきたサシャ様はカナメ様を片時も離さず」
そこまで聞いたアルノルトは思い出した。そういえばカナメが登城できないと突然連絡が来たことがあったと。
(そうか……そういえば、あれは翌日だったではないか!)
「『次の年ももし祝日にこんなことが起きるのならば、何を破壊しても私はカナメに愛を伝えるために帰ってくる。ああ、何を壊しても、だ』と。本気でございました。翌年以降無事にお帰りになられた時、どれだけ一同ホッとしたか」
何を壊す気だったのかとアルノルトは想像したが、学園を壊す想像しかできず首を小さく振ってその想像を捨てた。
「兄は『その時は加勢いたします』などと発言し……ああ、我が兄ながら兄が時々わからない!!」
アーネの兄であるヨーセフはサシャの従者であり、さすがはサシャの従者であるという男である。
「そもそも、アルノルト殿はおかしいと思いませんでしたか?カナメ様が婚約者となって以降『シュピーラド婚礼の祝日』当日にはカナメ様に会えないと言うことが」
「……そういえば」
「サシャ様が決して出さないのです。お屋敷から一歩も!あの日は家族で愛を伝え合う家族の日だと言い、いえ、間違いではないのですが、ともかくそう言う体で、カナメ様を婚約者である殿下に会わせないのです……!あの一度の祝日以降、よりそうなっております!」
「……納得しかできない」
「兄も協力し、ギャロワ侯爵家に止めるものはおりません。婚約式後である今回からは旦那様も加担する方向で動いていらっしゃいます」
「ギャロワ侯爵は、婚姻式を伸ばしに伸ばしたいと呪詛を吐いていると伺っておりますが……なるほど……」
王族相手に一部とんでもないことになっているギャロワ侯爵家だが、今までのサシャの対王族を思うとどうしてだろう、なんだか「そんなものだよね」と思えるところがある。
これはアルノルトだけではなく、王家が同意し諦めている部分でもあるだろう。
「今年も……マチアス殿下は」
「私一人個人の力では、何もできませんことをお詫びいたします。特に今年は何もできません……」
この国の学園には歴代の王族が皆通っており、そのため王族のための専用とされる部屋がいくつかある。
学生寮内にも王族用とされている部屋もあり、当たり前のように歴代の王族はここで学園生活を謳歌──しなかった者もいるのだろうが──していた。
また王族ではなくても従者もしくは侍女をひとり連れてきてもいいこと──なにせ貴族のお坊ちゃんお嬢さんたちだ。一人でなんでもこなすのは無理がある──になっているので、学園内には従者や侍女の待機室のようなものが複数ある。
アルノルトとアーネもそこにいることは可能だが、二人は何かとこちらの専用とされている部屋を使った。
待機室には二度目の学園生活を送っている生徒の従者役が数名潜り込んでいる。彼らの仕事を取るつもりはないのだろう。
何か問題があれば彼らがしっかりと報告してくれる。王子とその婚約者の従者がいない方が都合がいい場合も往々にしてあるのだ。
余談だが。
二度目の学園生活を送っている生徒、というのは宰相直属の配下であり、騎士団総司令官と共に管理している『諜報部』から護衛である。
諜報部はその名の通りの活動が主だが、誰にも悟られぬ様に王族の護衛をするのも仕事の一つ。
今までであれば、まさに悟られないような護衛をつけるだけの予定だったのだが、ロドルフは諜報部から密かに悟られない護衛だけではなく『もう一度新入生として入学できるほどの童顔』のものを三名選び、うち二人を同級生として、一人を一つ上の学年に生徒として送り込んだ。
童顔の彼らは真面目な生徒とし、二度目の学園生活を送っている。
そして童顔の彼らの従者役もまた諜報部のもの。
こうしてマチアスとカナメは守られ学園生活をしていた。
そんな理由で専用の部屋にいる二人。
マチアスとカナメが授業である間は、自分たちの主人のための細々したことをしながら過ごす二人は近づく『シュピーラド婚礼の祝日』を思い、ついついカナメの心情を考え「おいたわしい」なんて話をしている。
しかしおいたわしいとか言いながらも、彼らは二人が無事に婚約式を行い、皆にそれを知らしめ、そして堂々と立つ姿を多くの人間に見せることが叶いそれが嬉しく、あまりおいたわしいなんて思っていないようにも見えた。
二人はそれぞれの主人を敬愛している。その主人がやっと婚約式を行ったのだ。
それが嬉しくなくてなんだろうか。
カナメのことを一片も考えなくていいのなら、信者のようにもっとシャングラスを前面に出して二人の婚約式を祝うようなこの祝日を祝ってほしいと思っているのだ。
こんなふうに部屋の窓がまるで絵画をそっと彩る額縁のように完璧に、青空、雲そして緑の木々を切り取る美しい日であれば尚更、あの日を思い出して声を大にして世界中に言いたくなる。
我が主人たちは素晴らしいのだと。
窓の外を見ていたアルノルトもそう思ったのだろう、思わず口元が緩む。
声も漏れたのか、アーネは顔を上げた。
「そういえば、懐かしいものだな」
二人は一歳違い。この学園に同時期に在籍している。
お互いの学園生時代を知っているのだ。
「あの祝日は互いに部屋にこもっていた印象があるが、結局大変だったなと」
「そうでしたね。先輩が一年の時に教えてくださったおかげで祝日回避は何をしても無理だと知って、それでも対策をしたつもりでしたが、まあ意味もありませんでしたね」
「お互い、将来は王家と侯爵家に仕えると決まっていたから、周りの目の色が違うんだ」
『シュピーラド婚礼の祝日』は爵位も貴賤も関係なく、愛を伝えられる日であると不思議と暗黙の了解で決まっていた。
そうなると顔も良ければ将来も安泰の二人には多くの声がかかるのだ。下心がある人からない人まで。まさに大漁である。
アルノルトは窓辺に置かれた椅子に腰掛け、アーネを呼ぶ。素直にアーネも勧められた椅子に座った。
互いの右と左の頬が窓から入る温かい光にあたる。
この瞬間だけ切り取れば、当時二人に熱を上げていた女性男性陣からため息が漏れそうだ。
「先輩は切って捨てではなくて、完全無視でしたね。あれはなかなか真似ができませんよ」
「アーネは一刀両断だったな。あまりの切れ味に正直いつかお前が刺されるのではないかと不安しかなかった」
「下手に気を持たせて、旦那様に迷惑がかかるよりはまあその方がいいのかなと……私も若かったのです」
今でこそ、お互いを“殿”と敬称を付け呼ぶ二人だが、先輩後輩の雰囲気で懐かしい思い出に花を咲かせる。
「私はあの頃より前から、カナメ様に生涯使えると決めそれを望んで生きておりましたから」
「このまま妻帯する気はないのか?」
「最初はカナメ様がマチアス殿下と婚約するまでなどと考えておりましたが、今が一番楽しいのです。カナメ様に仕えていると、それだけで人生が楽しいので。“先輩”も同じではないですか」
「確かに。正直、王子殿下の従者という人生はもっと、普通だと思っていたよ。しかし、私の想像した普通なんてものはカナメ様がご学友としてこられてから全て覆され、今もそのままだ。こんなにも楽しい人生はないな」
「私たちの学園時代はいわばあれですね、カナメ様のご学友の言うモテ期だったのかもしれません」
「ブッ!」
思わず吹き出したアルノルトは「確かに、面と向かって突撃するものはいなくなったな」と笑う。
「しかし……私たちであれだったとなると、サシャ様はいかほどであったのだろうかと考えると恐怖しかない」
アルノルトがしみじみとこぼすと、アーネの顔から表情が消えた。
何かまずいものを踏み抜いたようだ、と思ったが遅い。思えばこんな危険な祝日にサシャに何かないなんて、あり得ないのだ。
懐かしい思い出に浸ってアルノルトは危機回避能力が一瞬、散歩に出かけていたのだろう。
「あの日ほど声をかけることができない日なんてありませんよ。それに恐ろしい思い出がございますとも」
「お、おそろしい?」
「サシャ様が一年でしたね……祝日なのに寮にいなければいけなくなったことがありまして、翌日帰ってきたサシャ様はカナメ様を片時も離さず」
そこまで聞いたアルノルトは思い出した。そういえばカナメが登城できないと突然連絡が来たことがあったと。
(そうか……そういえば、あれは翌日だったではないか!)
「『次の年ももし祝日にこんなことが起きるのならば、何を破壊しても私はカナメに愛を伝えるために帰ってくる。ああ、何を壊しても、だ』と。本気でございました。翌年以降無事にお帰りになられた時、どれだけ一同ホッとしたか」
何を壊す気だったのかとアルノルトは想像したが、学園を壊す想像しかできず首を小さく振ってその想像を捨てた。
「兄は『その時は加勢いたします』などと発言し……ああ、我が兄ながら兄が時々わからない!!」
アーネの兄であるヨーセフはサシャの従者であり、さすがはサシャの従者であるという男である。
「そもそも、アルノルト殿はおかしいと思いませんでしたか?カナメ様が婚約者となって以降『シュピーラド婚礼の祝日』当日にはカナメ様に会えないと言うことが」
「……そういえば」
「サシャ様が決して出さないのです。お屋敷から一歩も!あの日は家族で愛を伝え合う家族の日だと言い、いえ、間違いではないのですが、ともかくそう言う体で、カナメ様を婚約者である殿下に会わせないのです……!あの一度の祝日以降、よりそうなっております!」
「……納得しかできない」
「兄も協力し、ギャロワ侯爵家に止めるものはおりません。婚約式後である今回からは旦那様も加担する方向で動いていらっしゃいます」
「ギャロワ侯爵は、婚姻式を伸ばしに伸ばしたいと呪詛を吐いていると伺っておりますが……なるほど……」
王族相手に一部とんでもないことになっているギャロワ侯爵家だが、今までのサシャの対王族を思うとどうしてだろう、なんだか「そんなものだよね」と思えるところがある。
これはアルノルトだけではなく、王家が同意し諦めている部分でもあるだろう。
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