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ぼくたちも、運命なんて要らない(と思う)
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紫のリボンをご機嫌に身につけるマリアンヌに、アンジェリカから綺麗なリボンがいくつも届いた。
アンジェリカはノアを弟のように可愛がっているが、マリアンヌの事も妹のように可愛がっている。
本人曰く「妹や弟が欲しかったからよ」らしく、何かと小さなプレゼントが届く。
今回は先に話した通り綺麗なリボン。
マリアンヌが大好きな兄ノアの色である紫やシャンパンゴールドを使用したものだけではなく、なぜか赤や青のものもあったが、アンジェリカを慕うマリアンヌは気にしていない様だ。
ノアも色については気にしていない──女の子なのだから、色とりどりのリボンを持っていてもおかしくないのでは?と言う気持ちだろう──のだが、エルランドだけなんとも言えない顔でリボンの束を見ていたと言う。
ノアは朝から出かけている。
今日は互いの従者と護衛騎士らと共に、昔ここにあった国の、クーデターで消えた国最後の国王の末姫が大切にしていたと言う王都のはずれにある離宮へデートに行くのだ。
この離宮は末姫が最後まで大切にしていたという場所で、彼女にとって幸せの記憶ばかりが残っている場所だと言う。
そして末姫が最後に目撃されたのもここだった。
いまだに彼女の消息はこの離宮で目撃されたところで断たれており、王家はその後がどのような人生を彼女が送ったのかという記録、またいるのであれば彼女の子孫を探している。
どうやらこの辺りは王家と同じく、もしかしたらそれ以上にアンジェリカが気にしている様で彼女も独自に、自身の父も“巻き込んで”色々と調べている様だ。
今の王家の先祖がクーデターを起こし、その末姫以外の全ての王族を処刑し生まれたのが今のこの国である。
最初は末姫を女王にして、という計画であったのに彼女は忽然と消えてしまった。
──────彼女を助けたくて、彼女ほど王座にふさわしい人はいないと起こしたものだったのに。どうして。
そう言った初代国王となった男は、彼女が消えてしまった事に落ち込み、人知れず泣いたと言う。
──────王座がいらないと言うのなら、それでよかった。圧政政治の、暴君とその家族たる王族をこのままに出来ない。だからした事だ。けれど私は、彼女にここに座って欲しかった。彼女ほど、国民を愛せる人はいなかったから。
だから彼は自分の後継と養子にした弟の子供を含め王族となった親族全てに、民がいかに大切であり、彼らを愛し、彼らに愛せる王族たる人間になる様にと教育をした。
それが今も続いている。
“初代国王の悲恋”と言われている初代国王の末姫への気持ち。本当に彼が末姫を想っていたのかは、残念ながら残っていないために定かではない。
そして、彼が育てた養子となった子供も、そして彼の弟たちも、決してそれを残さなかった。
しかし彼が生涯一人でいた事と彼が泣いたというそれから、“初代国王の悲恋”と言われている。
そしてこのように離宮を始め何かの形で『初代国王と末姫の面影』を国の誰よりも見る機会が、そして触れる機会がある王族にとって、初代が末姫のために決して壊す事ないようにと言い含め今もそのようにしてあるこの離宮は他よりも特別に大切な場所で、同時にどこか神聖な場所でもあった。
大袈裟に神聖だと言っているわけではない。
なにせここは神聖と言いたくなるほどの景色が楽しめた。
年中緑が美しいこの離宮には、何か魔法がかかっているのではないか、と言われてる。
どんな時でもここは美しく緑があり、そこかしこに花が咲き誇るのだ。
誰も何もしていないのに、どういうわけかそうなっていた。
今日も雑草だと一括りにされてしまうだろう、けれども可憐な小花がグランドカバープランツの間から顔を出し、可愛らしい色で誇らしげに咲いている。
今の王妃エレオノーレは国王ゲルトと“夫婦喧嘩”をすると、気持ちを落ち着かせるためにここに引き篭もったたと言うのが良く理解出来るもの。
ここにくれば不思議と、とても穏やかな気持ちになれるのだ。
そしてここに共に来ているエルランドは、この離宮にくるとノアの周りで精霊が楽しそうにダンスをしているかの様な動きをする事を、光として確認し知っていた。
精霊がはしゃいでいる様なその様子は、この離宮の不思議さをより強くエルランドに感じさせる。
それでも彼はノアに何も悪い事が起きない様だから、と気にしてもいないし、誰かに話した事もないのだけれど。
「ここは本当に不思議。なんでいつも、こんなに綺麗なんだろう」
ノアの呟きにアーロンも頷く。
二人は、庭に造られた小さな池のほとりにある椅子に並んで腰掛けている。
ノアは読みかけの本を膝に置いて、アーロンは紅茶とノアの横顔を楽しんでいた。
横顔を楽しんでるって何それ、なんて、仮に思ってもどうか言わないであげてほしい。ノアが好きなアーロンはこういう普通の時間のノアを、とにかく愛でたいのだ。
「アンジェリカお姉様は『ここには精霊の魔法がかかっているのよ、きっと。でなければこんなにも美しく神秘的な場所であれるはずないもの』って言うし、僕もあり得るかなとも思う」
「ぼくはそれに納得しちゃうかな。ここは誰の手を借りなくてもこのままなんだから。精霊か……でなければ神様の何かがそうさせてるって思う以外ないよね」
王家主導の研究で、末姫はノアと同様精霊に愛されていたのではないかという可能性が浮上している。
研究は元々、末姫の行方を知りたい二代目の国王が始めた事。最近になって彼女の侍女の日記が出てきた事で、停滞していた研究が進み始めた。
その侍女の日記には、末姫には後天的に精霊痕が出来たと思われる記述がある。
当初は後天的に精霊痕が出来たという報告もなければ、末姫の生きた時代にその様な痕があった人間がいたと言う話もなく、虐待によってついた痕だという意見がほとんどだったのだ。
しかし、ノアの妹マリアンヌの後天的な祝福により精霊痕の可能性が出てきた。
(だから確かに、精霊が末姫様の好きだった状態そのままに保っている可能性はあるよね)
アーロンはそう思う。
なにせ契約しなければ力を貸してもらえないと思われていた精霊魔法だが、精霊はノアに勝手に手を貸す。
精霊が勝手に、自主的に人間に何かをするとはノアが生まれるまで考えられていなかった。
それも加味すると、末姫を思い精霊がこれを保つのも可能性はあるかな、とアーロンは素直に納得出来るのだ。
「ねえ、ノア。ノアは魔法科に入学するよね?」
ノアは「もちろん」と顔を綻ばせた。入学が楽しみで仕方がないと言う顔だ。
「だよね、分かってたけど」
「アーロン様は領政科だね。ぼくとは違うけど、同じ時に同じ学園に通えるのは、楽しみかな」
アーロンはこの発言に、従者トマスが「単純すぎです」と思うほどの変化を見せた。
輝く様な笑顔とか、弾けるような笑顔とか、そう言う表現があるがまさにそれである。
「ぼくとアーロン様、科が違うから友達もきっと違うし、それに共通の講義以外は学ぶものも違うでしょ?そういう違うって話が出来るのも楽しそうだなって思うんだ」
「そう?」
「だって学園ではきっと今までぼくたちに用意されていなかった出会いがあって、友情が生まれそう。それをアーロン様に紹介出来るのかなって思うと、ワクワクする。それに待ち合わせとかして一緒にご飯食べるのも楽しそう。いつもはそうはいかないでしょ?」
王子殿下とその婚約者。友人だってある意味“選ばれし友人”である事が多い。いや、そうであると言ったほうがいいだろうか。
両親とは別にアンジェリカが「この方はわたくしの友人で」と気持ちのいい性格でちょうどいい距離感を保ってくれる友人を爵位関係なく紹介してくれるけれど──しかしなぜそんな人ばかり公爵令嬢アンジェリカが釣り上げられるのか、二人はいつも首を傾げているのだけれど──、それくらいだ。
それを思うノアは、学園で出来るかもしれない友人が楽しみになる。
周りがとにかく心配するけれど、それでもやはり彼だって王子殿下の婚約者だ。人を見る目をこの年にしては養えているし、そうする様に学ぶ機会を設けられた。その上アンジェリカと一緒にいると、否応なしにそう言う事に敏感になれる。だからノアは“自分を利用したい人間ではない”人の中から、友人を作れるだろうなと思っているのだ。
そして同じ様にアーロンにもそういう友人が出来るだろうと。その時はその人を紹介してほしいし、自分の婚約者だよと言って紹介されたいのである。
「なんかいいなって思うんだ。『知ってると思うけど、ぼくの婚約者のアーロン王子殿下だよ』みたいに紹介するの。なんだか楽しそうでしょ?それに学園に同行出来る従者は一人だけ。もちろん知らない場所からこっそり見守られていると思うけど、そんな風に外で勉強出来るなんて、ちょっとワクワクする」
無邪気な発言にアーロンの心はキュンと締め付けられた。
可愛いな、という気持ちと、本当は今よりもそう出来ただろうノアの人生が、自分の婚約者となってしまったがためにこうなっている事に対して胸が締め付けられたのである。
一度だって婚約者になった事に後悔してると言われた事はないけれど、それでもノアを愛しているアーロンは、彼の身に降りかかるさまざまな困難に対して心苦しく思うのだ。
──────王子妃になるために、ノアはどれだけ大変な思いをするだろう。
何度そう思ったか。しかし
──────でもやっぱり、僕はノアが一番いい。ノアじゃないきゃ、イヤだ。
そう思って手放せない。
もう絶対に婚約者でなくなるなんて未来は、選べないほどに愛しているのだ。
「ノア、ごめんね」
いつかの様に思わずアーロンが言う。
ノアは輝く様な笑顔から一点、しゅんとしたアーロンに瞬いてから、それこそ輝く様な笑顔で言った。
「アーロン様が好きだから、いいよ」
アンジェリカはノアを弟のように可愛がっているが、マリアンヌの事も妹のように可愛がっている。
本人曰く「妹や弟が欲しかったからよ」らしく、何かと小さなプレゼントが届く。
今回は先に話した通り綺麗なリボン。
マリアンヌが大好きな兄ノアの色である紫やシャンパンゴールドを使用したものだけではなく、なぜか赤や青のものもあったが、アンジェリカを慕うマリアンヌは気にしていない様だ。
ノアも色については気にしていない──女の子なのだから、色とりどりのリボンを持っていてもおかしくないのでは?と言う気持ちだろう──のだが、エルランドだけなんとも言えない顔でリボンの束を見ていたと言う。
ノアは朝から出かけている。
今日は互いの従者と護衛騎士らと共に、昔ここにあった国の、クーデターで消えた国最後の国王の末姫が大切にしていたと言う王都のはずれにある離宮へデートに行くのだ。
この離宮は末姫が最後まで大切にしていたという場所で、彼女にとって幸せの記憶ばかりが残っている場所だと言う。
そして末姫が最後に目撃されたのもここだった。
いまだに彼女の消息はこの離宮で目撃されたところで断たれており、王家はその後がどのような人生を彼女が送ったのかという記録、またいるのであれば彼女の子孫を探している。
どうやらこの辺りは王家と同じく、もしかしたらそれ以上にアンジェリカが気にしている様で彼女も独自に、自身の父も“巻き込んで”色々と調べている様だ。
今の王家の先祖がクーデターを起こし、その末姫以外の全ての王族を処刑し生まれたのが今のこの国である。
最初は末姫を女王にして、という計画であったのに彼女は忽然と消えてしまった。
──────彼女を助けたくて、彼女ほど王座にふさわしい人はいないと起こしたものだったのに。どうして。
そう言った初代国王となった男は、彼女が消えてしまった事に落ち込み、人知れず泣いたと言う。
──────王座がいらないと言うのなら、それでよかった。圧政政治の、暴君とその家族たる王族をこのままに出来ない。だからした事だ。けれど私は、彼女にここに座って欲しかった。彼女ほど、国民を愛せる人はいなかったから。
だから彼は自分の後継と養子にした弟の子供を含め王族となった親族全てに、民がいかに大切であり、彼らを愛し、彼らに愛せる王族たる人間になる様にと教育をした。
それが今も続いている。
“初代国王の悲恋”と言われている初代国王の末姫への気持ち。本当に彼が末姫を想っていたのかは、残念ながら残っていないために定かではない。
そして、彼が育てた養子となった子供も、そして彼の弟たちも、決してそれを残さなかった。
しかし彼が生涯一人でいた事と彼が泣いたというそれから、“初代国王の悲恋”と言われている。
そしてこのように離宮を始め何かの形で『初代国王と末姫の面影』を国の誰よりも見る機会が、そして触れる機会がある王族にとって、初代が末姫のために決して壊す事ないようにと言い含め今もそのようにしてあるこの離宮は他よりも特別に大切な場所で、同時にどこか神聖な場所でもあった。
大袈裟に神聖だと言っているわけではない。
なにせここは神聖と言いたくなるほどの景色が楽しめた。
年中緑が美しいこの離宮には、何か魔法がかかっているのではないか、と言われてる。
どんな時でもここは美しく緑があり、そこかしこに花が咲き誇るのだ。
誰も何もしていないのに、どういうわけかそうなっていた。
今日も雑草だと一括りにされてしまうだろう、けれども可憐な小花がグランドカバープランツの間から顔を出し、可愛らしい色で誇らしげに咲いている。
今の王妃エレオノーレは国王ゲルトと“夫婦喧嘩”をすると、気持ちを落ち着かせるためにここに引き篭もったたと言うのが良く理解出来るもの。
ここにくれば不思議と、とても穏やかな気持ちになれるのだ。
そしてここに共に来ているエルランドは、この離宮にくるとノアの周りで精霊が楽しそうにダンスをしているかの様な動きをする事を、光として確認し知っていた。
精霊がはしゃいでいる様なその様子は、この離宮の不思議さをより強くエルランドに感じさせる。
それでも彼はノアに何も悪い事が起きない様だから、と気にしてもいないし、誰かに話した事もないのだけれど。
「ここは本当に不思議。なんでいつも、こんなに綺麗なんだろう」
ノアの呟きにアーロンも頷く。
二人は、庭に造られた小さな池のほとりにある椅子に並んで腰掛けている。
ノアは読みかけの本を膝に置いて、アーロンは紅茶とノアの横顔を楽しんでいた。
横顔を楽しんでるって何それ、なんて、仮に思ってもどうか言わないであげてほしい。ノアが好きなアーロンはこういう普通の時間のノアを、とにかく愛でたいのだ。
「アンジェリカお姉様は『ここには精霊の魔法がかかっているのよ、きっと。でなければこんなにも美しく神秘的な場所であれるはずないもの』って言うし、僕もあり得るかなとも思う」
「ぼくはそれに納得しちゃうかな。ここは誰の手を借りなくてもこのままなんだから。精霊か……でなければ神様の何かがそうさせてるって思う以外ないよね」
王家主導の研究で、末姫はノアと同様精霊に愛されていたのではないかという可能性が浮上している。
研究は元々、末姫の行方を知りたい二代目の国王が始めた事。最近になって彼女の侍女の日記が出てきた事で、停滞していた研究が進み始めた。
その侍女の日記には、末姫には後天的に精霊痕が出来たと思われる記述がある。
当初は後天的に精霊痕が出来たという報告もなければ、末姫の生きた時代にその様な痕があった人間がいたと言う話もなく、虐待によってついた痕だという意見がほとんどだったのだ。
しかし、ノアの妹マリアンヌの後天的な祝福により精霊痕の可能性が出てきた。
(だから確かに、精霊が末姫様の好きだった状態そのままに保っている可能性はあるよね)
アーロンはそう思う。
なにせ契約しなければ力を貸してもらえないと思われていた精霊魔法だが、精霊はノアに勝手に手を貸す。
精霊が勝手に、自主的に人間に何かをするとはノアが生まれるまで考えられていなかった。
それも加味すると、末姫を思い精霊がこれを保つのも可能性はあるかな、とアーロンは素直に納得出来るのだ。
「ねえ、ノア。ノアは魔法科に入学するよね?」
ノアは「もちろん」と顔を綻ばせた。入学が楽しみで仕方がないと言う顔だ。
「だよね、分かってたけど」
「アーロン様は領政科だね。ぼくとは違うけど、同じ時に同じ学園に通えるのは、楽しみかな」
アーロンはこの発言に、従者トマスが「単純すぎです」と思うほどの変化を見せた。
輝く様な笑顔とか、弾けるような笑顔とか、そう言う表現があるがまさにそれである。
「ぼくとアーロン様、科が違うから友達もきっと違うし、それに共通の講義以外は学ぶものも違うでしょ?そういう違うって話が出来るのも楽しそうだなって思うんだ」
「そう?」
「だって学園ではきっと今までぼくたちに用意されていなかった出会いがあって、友情が生まれそう。それをアーロン様に紹介出来るのかなって思うと、ワクワクする。それに待ち合わせとかして一緒にご飯食べるのも楽しそう。いつもはそうはいかないでしょ?」
王子殿下とその婚約者。友人だってある意味“選ばれし友人”である事が多い。いや、そうであると言ったほうがいいだろうか。
両親とは別にアンジェリカが「この方はわたくしの友人で」と気持ちのいい性格でちょうどいい距離感を保ってくれる友人を爵位関係なく紹介してくれるけれど──しかしなぜそんな人ばかり公爵令嬢アンジェリカが釣り上げられるのか、二人はいつも首を傾げているのだけれど──、それくらいだ。
それを思うノアは、学園で出来るかもしれない友人が楽しみになる。
周りがとにかく心配するけれど、それでもやはり彼だって王子殿下の婚約者だ。人を見る目をこの年にしては養えているし、そうする様に学ぶ機会を設けられた。その上アンジェリカと一緒にいると、否応なしにそう言う事に敏感になれる。だからノアは“自分を利用したい人間ではない”人の中から、友人を作れるだろうなと思っているのだ。
そして同じ様にアーロンにもそういう友人が出来るだろうと。その時はその人を紹介してほしいし、自分の婚約者だよと言って紹介されたいのである。
「なんかいいなって思うんだ。『知ってると思うけど、ぼくの婚約者のアーロン王子殿下だよ』みたいに紹介するの。なんだか楽しそうでしょ?それに学園に同行出来る従者は一人だけ。もちろん知らない場所からこっそり見守られていると思うけど、そんな風に外で勉強出来るなんて、ちょっとワクワクする」
無邪気な発言にアーロンの心はキュンと締め付けられた。
可愛いな、という気持ちと、本当は今よりもそう出来ただろうノアの人生が、自分の婚約者となってしまったがためにこうなっている事に対して胸が締め付けられたのである。
一度だって婚約者になった事に後悔してると言われた事はないけれど、それでもノアを愛しているアーロンは、彼の身に降りかかるさまざまな困難に対して心苦しく思うのだ。
──────王子妃になるために、ノアはどれだけ大変な思いをするだろう。
何度そう思ったか。しかし
──────でもやっぱり、僕はノアが一番いい。ノアじゃないきゃ、イヤだ。
そう思って手放せない。
もう絶対に婚約者でなくなるなんて未来は、選べないほどに愛しているのだ。
「ノア、ごめんね」
いつかの様に思わずアーロンが言う。
ノアは輝く様な笑顔から一点、しゅんとしたアーロンに瞬いてから、それこそ輝く様な笑顔で言った。
「アーロン様が好きだから、いいよ」
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