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#スイーツ男子のお相手は色彩鮮やかで繊細なマカロンのような彼
マカロン 8食目
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金髪に赤いシャツの男と向かい合っている明希の表情は完全にイラついていて、その横でいつみも険しい表情をしていた。
争い事は苦手だけと僕は恐る恐る近く寄ると話声がはっきり聞こえてくる。
「はっ?あんたなんかと飲まないしウザいからあっち行って」
二人とも気の強い性格だから目を合わせたら怯んでしまいそうな繁華街にいる年上の派手なお兄さんにでも躊躇なく言い返してなぜか僕だけがハラハラしている。
『ねぇ……明希、、どうしたの?』
「いつみがこの男に絡まれてとったんや」
『あー…なるほど』
明希の背後からこっそり小さな声で聞いた。正義感の強い明希は相手が誰であろうと怯まない。とにかく穏便に事を終わらせたい僕は明希の腕を持って落ち着かそうとする。
「あれ~?もう一人男いたの?ってうーん、、って男じゃなくて女か!?」
争い相手の男は完全に泥酔してフラフラと足元を|覚束《》せながら僕に寄ってきた。確かにひょろっこくて薄いピンクのカーディガンを着ている僕はいつもより余計女子っぽくみられたかもしれない。
僕の肩に手を置いて顔を近づける男はニヤニヤと笑いながらヨロヨロと今にも倒れそうな身体を支えるように僕にしがみつく。
「汚い手で触んなや!」
声を荒げたのは明希。僕の身体に寄りかかる男の身体を強く引き剥がすと、男は壁にぶつかってそのまま座り込んだ。相当酔いがまわっているのかじっとして動かない。
「おい優生、何してんだ!?」
奥の声がして個室から飛び出してきたスーツ姿の男。一触即発の状況を見て僕ら三人の顔を見る。酔っ払って座り込む男と同じ高級そうな服だが、ピンっと真っ直ぐに伸びた姿勢と立ち方に品があった。
「あんた誰や?こいつの上司かなんか?」
「まぁそんなそんなとこです。何があったんですか?」
「こいつが私に絡んできたの!」
「あー…すいません。こいつ相当酔ってるみたいで、本当申し訳ない」
そう言って差し出して差し出したのは名刺で真っ黒にゴールドで書かれた文字。名刺の雰囲気で普通の仕事とは違うとすぐに分かる。
「僕はこの裏にあるZeal Nineってホストクラブで代表やってる如月詩音っていいます」
「ホストクラブ?じゃこいつもホスト?」
「はい。こいつはまだ新人でしてお酒の飲み方もわかってなくて本当にご迷惑おかけました。変わってお詫びします」
そうこうしていると従業員が騒ぎを聞いて駆けつけていた。ぐたーっと倒れ込む赤シャツの男を見ている従業員は面倒な顔をしている。繁華街にはよくあるケースなのか"またか"と言わんばかりな表情。そして従業員にスマートな口調で言った。
「大丈夫です。酔って寝てるだけです。お騒がせしてすいません」
「それならいいんですが、他のお客さんもいますしお願いしますよ」
従業員はそう言って去っていくとホストクラブの代表と名乗る男がこちらに向かって言った。
「あの、よければここでの支払いは僕にさせてもらえませんか?お詫びなるかはわかりませんが」
「はっ!?いやそんなんでごまかさへん、、」
「あ~ホントですかぁ♡なんか悪いけどお言葉に甘えてお願いします~ねっ!暖もそうしてもらえると嬉しいよねー」
『えっ!?……あぁうん』
イケメンの"奢る"の一言でコロっと態度を変えたいつみを呆れた顔で見ている明希はくるっと方向転換して僕の肩を組んで歩き出した。
「アホくさっ。帰るで!」
「ちょっと待ってよ!あっそれじゃお兄さん!ご馳走様でした~~」
争い事は苦手だけと僕は恐る恐る近く寄ると話声がはっきり聞こえてくる。
「はっ?あんたなんかと飲まないしウザいからあっち行って」
二人とも気の強い性格だから目を合わせたら怯んでしまいそうな繁華街にいる年上の派手なお兄さんにでも躊躇なく言い返してなぜか僕だけがハラハラしている。
『ねぇ……明希、、どうしたの?』
「いつみがこの男に絡まれてとったんや」
『あー…なるほど』
明希の背後からこっそり小さな声で聞いた。正義感の強い明希は相手が誰であろうと怯まない。とにかく穏便に事を終わらせたい僕は明希の腕を持って落ち着かそうとする。
「あれ~?もう一人男いたの?ってうーん、、って男じゃなくて女か!?」
争い相手の男は完全に泥酔してフラフラと足元を|覚束《》せながら僕に寄ってきた。確かにひょろっこくて薄いピンクのカーディガンを着ている僕はいつもより余計女子っぽくみられたかもしれない。
僕の肩に手を置いて顔を近づける男はニヤニヤと笑いながらヨロヨロと今にも倒れそうな身体を支えるように僕にしがみつく。
「汚い手で触んなや!」
声を荒げたのは明希。僕の身体に寄りかかる男の身体を強く引き剥がすと、男は壁にぶつかってそのまま座り込んだ。相当酔いがまわっているのかじっとして動かない。
「おい優生、何してんだ!?」
奥の声がして個室から飛び出してきたスーツ姿の男。一触即発の状況を見て僕ら三人の顔を見る。酔っ払って座り込む男と同じ高級そうな服だが、ピンっと真っ直ぐに伸びた姿勢と立ち方に品があった。
「あんた誰や?こいつの上司かなんか?」
「まぁそんなそんなとこです。何があったんですか?」
「こいつが私に絡んできたの!」
「あー…すいません。こいつ相当酔ってるみたいで、本当申し訳ない」
そう言って差し出して差し出したのは名刺で真っ黒にゴールドで書かれた文字。名刺の雰囲気で普通の仕事とは違うとすぐに分かる。
「僕はこの裏にあるZeal Nineってホストクラブで代表やってる如月詩音っていいます」
「ホストクラブ?じゃこいつもホスト?」
「はい。こいつはまだ新人でしてお酒の飲み方もわかってなくて本当にご迷惑おかけました。変わってお詫びします」
そうこうしていると従業員が騒ぎを聞いて駆けつけていた。ぐたーっと倒れ込む赤シャツの男を見ている従業員は面倒な顔をしている。繁華街にはよくあるケースなのか"またか"と言わんばかりな表情。そして従業員にスマートな口調で言った。
「大丈夫です。酔って寝てるだけです。お騒がせしてすいません」
「それならいいんですが、他のお客さんもいますしお願いしますよ」
従業員はそう言って去っていくとホストクラブの代表と名乗る男がこちらに向かって言った。
「あの、よければここでの支払いは僕にさせてもらえませんか?お詫びなるかはわかりませんが」
「はっ!?いやそんなんでごまかさへん、、」
「あ~ホントですかぁ♡なんか悪いけどお言葉に甘えてお願いします~ねっ!暖もそうしてもらえると嬉しいよねー」
『えっ!?……あぁうん』
イケメンの"奢る"の一言でコロっと態度を変えたいつみを呆れた顔で見ている明希はくるっと方向転換して僕の肩を組んで歩き出した。
「アホくさっ。帰るで!」
「ちょっと待ってよ!あっそれじゃお兄さん!ご馳走様でした~~」
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