17 / 19
$3.ここは天国か?地獄か?⑦
しおりを挟む
「あー…奥さまは、、郁さんが小学生の時に亡くなったらしい。原因は病気って聞いてるけど」
『そうなんだ……うちと同じだ」
「えっ!?慧もお母さん、、亡くなってるの?」
初人がポロリと口に出したのに反応した夕日。別に隠す事でもないけど、何となく情が移るのは良くないし深入りして身元がバレても困ると口を濁した。
『あーなんて言うか、、うちは離婚!そうそう離婚して母親がいないだけっ!』
「そっか。慧も色々大変なんだ。あっだからここに来たのはやっぱり、、生活費稼ぐ為?」
『うんー…まぁそんなところかな』
確かに"稼ぐ為"に間違いはないが意味合いが違う。ここに置いてあるお酒もさすがこだわりの強い家だけあって、値段3桁に届く程の希少な年代物のヴィンテージワインがいくつか見える。
『それよりさ俺の持ち場はどこ?選べるならこの部屋とか地下がいいな』
「ぶー!残念ながら!入ったばかりの新人の持ち場は屋外って決まってるんだよ」
『えっマジか、、暑いし広いしこんなのほぼ牧場みたいなもんじゃん』
「ははっ。牧場ってうまいね!でも大丈夫!真面目に働いてれば、そのうち郁さんや田ノ上さんに認められて涼し~い部屋の中に入って来れるからさ」
部屋に入れないんじゃ盗めない、そのうちなんてない。易々と盗ませてくれないのはさすがのセキュリティーと褒めべきか。初人は部屋をぐるっと歩きながら作戦を練らないとな、、と少し焦りを見せた。
「地下はこんな感じ。あとは2階かな?」
『うん、案内お願い』
二人は地下を出て1階部屋を出て2階へ続く長い階段を上がろうとした。
「そうだ!牧場で思い出した。ここには牛はいないけど、、」
中庭から騒がしい声が聞こえてきたが明らかに人ではなく動物の鳴き声。一匹でおさまる声の量ではないなと初人は階段前にある大きな窓から外を覗いた。
「あっほらほら。ちょうど散歩から帰ってきたみたい」
『散歩って事は飼い犬?、、デカくない?』
人間が散歩されてるんじゃないかと思うほど、リードを引くではなく引かれてる女性が汗をかきながら入ってきた。散歩と言うより運動だろ!の心の中でツッこむ初人。
「この家の飼い犬、ドーベルマン2匹にブルマスティフ一匹。これがなかなか体力のいる子達なんだわ!僕もかなり手こずったし、結局最後まで懐いてくれなかった。そそっ、この子達のお世話も屋外の担当だから頑張ってね!」
『、、なるほどね。番犬って事か』
ここまで徹底されると"まいったな"とさすがの初人も顔を歪めた。
「松永さん!今日から新人入りましたよ」
夕日が女性に手を上げながら言った。凛々しい顔した番犬三匹は初めてみる初人に興味を持ったのか近寄ってクンクンと匂いを嗅ぐ。
「あらっこの子達も歓迎してるみたいね。でも若い男の子が入ってくれて嬉しいわ。ここ仕事は体力かなり使うから。まぁこの子達見れば分かると思うけど」
『はい、、覚悟してます』
「私は松永沙紀っていいます。同じ持ち場みたいだからよろしくお願いしますね」
『こちらこそお願いします』
『そうなんだ……うちと同じだ」
「えっ!?慧もお母さん、、亡くなってるの?」
初人がポロリと口に出したのに反応した夕日。別に隠す事でもないけど、何となく情が移るのは良くないし深入りして身元がバレても困ると口を濁した。
『あーなんて言うか、、うちは離婚!そうそう離婚して母親がいないだけっ!』
「そっか。慧も色々大変なんだ。あっだからここに来たのはやっぱり、、生活費稼ぐ為?」
『うんー…まぁそんなところかな』
確かに"稼ぐ為"に間違いはないが意味合いが違う。ここに置いてあるお酒もさすがこだわりの強い家だけあって、値段3桁に届く程の希少な年代物のヴィンテージワインがいくつか見える。
『それよりさ俺の持ち場はどこ?選べるならこの部屋とか地下がいいな』
「ぶー!残念ながら!入ったばかりの新人の持ち場は屋外って決まってるんだよ」
『えっマジか、、暑いし広いしこんなのほぼ牧場みたいなもんじゃん』
「ははっ。牧場ってうまいね!でも大丈夫!真面目に働いてれば、そのうち郁さんや田ノ上さんに認められて涼し~い部屋の中に入って来れるからさ」
部屋に入れないんじゃ盗めない、そのうちなんてない。易々と盗ませてくれないのはさすがのセキュリティーと褒めべきか。初人は部屋をぐるっと歩きながら作戦を練らないとな、、と少し焦りを見せた。
「地下はこんな感じ。あとは2階かな?」
『うん、案内お願い』
二人は地下を出て1階部屋を出て2階へ続く長い階段を上がろうとした。
「そうだ!牧場で思い出した。ここには牛はいないけど、、」
中庭から騒がしい声が聞こえてきたが明らかに人ではなく動物の鳴き声。一匹でおさまる声の量ではないなと初人は階段前にある大きな窓から外を覗いた。
「あっほらほら。ちょうど散歩から帰ってきたみたい」
『散歩って事は飼い犬?、、デカくない?』
人間が散歩されてるんじゃないかと思うほど、リードを引くではなく引かれてる女性が汗をかきながら入ってきた。散歩と言うより運動だろ!の心の中でツッこむ初人。
「この家の飼い犬、ドーベルマン2匹にブルマスティフ一匹。これがなかなか体力のいる子達なんだわ!僕もかなり手こずったし、結局最後まで懐いてくれなかった。そそっ、この子達のお世話も屋外の担当だから頑張ってね!」
『、、なるほどね。番犬って事か』
ここまで徹底されると"まいったな"とさすがの初人も顔を歪めた。
「松永さん!今日から新人入りましたよ」
夕日が女性に手を上げながら言った。凛々しい顔した番犬三匹は初めてみる初人に興味を持ったのか近寄ってクンクンと匂いを嗅ぐ。
「あらっこの子達も歓迎してるみたいね。でも若い男の子が入ってくれて嬉しいわ。ここ仕事は体力かなり使うから。まぁこの子達見れば分かると思うけど」
『はい、、覚悟してます』
「私は松永沙紀っていいます。同じ持ち場みたいだからよろしくお願いしますね」
『こちらこそお願いします』
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
キミの次に愛してる
Motoki
BL
社会人×高校生。
たった1人の家族である姉の由美を亡くした浩次は、姉の結婚相手、裕文と同居を続けている。
裕文の世話になり続ける事に遠慮する浩次は、大学受験を諦めて就職しようとするが……。
姉への愛と義兄への想いに悩む、ちょっぴり切ないほのぼのBL。
十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います
塔原 槇
BL
会社員、兎山俊太郎(とやま しゅんたろう)はある日、「やっぱり女の子が好きだわ」と言われ別れを切り出される。彼氏の売れないバンドマン、熊井雄介(くまい ゆうすけ)は人気上昇中の清純派アイドル、桃澤久留美(ももざわ くるみ)と付き合うのだと言う。ショックの中で俊太郎が出社すると、幼馴染の有栖川麗音(ありすがわ れおん)が中途採用で入社してきて……?
彼者誰時に溺れる
あこ
BL
外れない指輪。消えない所有印。買われた一生。
けれどもそのかわり、彼は男の唯一無二の愛を手に入れた。
✔︎ 四十路手前×ちょっと我儘未成年愛人
✔︎ 振り回され気味攻と実は健気な受
✔︎ 職業反社会的な攻めですが、BL作品で見かける?ようなヤクザです。(私はそう思って書いています)
✔︎ 攻めは個人サイトの読者様に『ツンギレ』と言われました。
✔︎ タグの『溺愛』や『甘々』はこの攻めを思えば『受けをとっても溺愛して甘々』という意味で、人によっては「え?溺愛?これ甘々?」かもしれません。
🔺ATTENTION🔺
攻めは女性に対する扱いが酷いキャラクターです。そうしたキャラクターに対して、不快になる可能性がある場合はご遠慮ください。
暴力的表現(いじめ描写も)が作中に登場しますが、それを推奨しているわけでは決してありません。しかし設定上所々にそうした描写がありますので、苦手な方はご留意ください。
性描写は匂わせる程度や触れ合っている程度です。いたしちゃったシーン(苦笑)はありません。
タイトル前に『!』がある場合、アルファポリスさんの『投稿ガイドライン』に当てはまるR指定(暴力/性表現)描写や、程度に関わらずイジメ描写が入ります。ご注意ください。
➡︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
➡︎ 作品は『時系列順』ではなく『更新した順番』で並んでいます。
成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです
強面男子だって恋をする。
な
BL
高校二年生の宮脇 大樹(みやわき だいき)は、自他ともに認める強面を持つ。
そのため不良のレッテルを貼られ、今まで彼女どころか友達と呼べる存在すらいなかった。
ある日、そんな自分を唯一良くしてくれている姉の頼みで、姉が好きなBLゲームのグッズを一緒に買いに行くことに。
目当てのものを買えた二人だが、その帰り道に事故にあってしまい、姉が好きなBLゲームの世界に転生してしまった!?
姉は大樹にそのゲームの舞台である男子校に通ってほしいと頼み込む。
前世と同じく強面を携えた彼と、曲者揃いの男子たちの恋路はいかに…!?
(主人公総受け/学パロ/転生もの/キャラ多(メインキャラだけで23人))
とにかくキャラクターが多いです
全年齢です。
本編(総受けルート)が終わった後にそれぞれのキャラクターとのストーリーを書いていこうと考えています。
自分のために作った作品なので、少しそうはならんやろ、的な表現もあるとは思いますが暖かい目でお願いします。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる