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$3.ここは天国か?地獄か?⑤
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『ふーん、こんないい部屋すぐ出ていくのは勿体無いな』
部屋を一周して冷蔵庫を開けたり高そうな家具を見てどことなくリッチな気分を味わって気持ちいい。閉め切った大きな窓を開けると裏庭が見えて爽やかな風が舞い込んできた。
ここに来てやって心落ち着く時間が出来て初人は一つ深呼吸をしてみた。
『とりあえず2、3日様子をみて盗める物の目星をつけておくか』
もちろん目的は忘れてはいないしこうしてる間も父親の事を心配している。置いたボストンバッグの中に手を入れ、ほとんどない荷物が部屋に置かれていく。財布に入っている半分に折った写真を広げた。家族三人で撮った最後の写真を眺めてベッド脇にあるテーブルの引き出しにしまった。
片付けと着替えを済ませると部屋をノックする音が聞こえて出ると夕日が立っていた。
「おっ制服いいじゃん、よく似合ってるよ」
『そう?普段こうゆうの着慣れないからへんな感じ』
「サイズもぴったりだね!よし、じゃ行こう」
夕日の横に並んで歩く。堅苦しい制服のせいか自然と身が引き締まり背筋を伸ばして歩く初人。まだ靴の硬さに慣れないが意外と悪くはない。
「とりあえず家の中を案内するよ」
初人が知っているのは玄関入ってすぐの応接間まで。まだまだ奥まで続く廊下は未知の世界。二階に続く長い階段の先も気になる。歩きながらすれ違う使用人達に軽く会釈をするが話かけて来る者はいない。
「まずはここがキッチンね」
キッチンだけで初人の住む市営住宅の部屋全て合わせたくらいはある。最新の調理器具が揃っていて横に配膳室、食材庫がある。大きなレストランのキッチンかと思うほどで清掃係としては無駄に仕事が増えそうで初人はあまり嬉しくない顔をした。
『たった一人分のご飯作るのにこんな広さ必要?』
「もちろん旦那様や郁さんだけじゃなく来賓あったりパーティーとかもよくあるから」
『あぁ、そっか。金持ちはやたらパーティーするってやつね』
「それからここがダイニング」
『うわっ見た事ある。この長いテーブル!実物見るの初めてだ』
富豪の家のイメージはシャンデリアに細長いダイニングテーブル。その上に花かキャンドルでもあれば物語のイメージ通りだったけどそんなものはなく殺風景だった。
『なんかダイニングってもっと楽しい温かい場所に、ここは無駄にだだっ広くて物もないしなんか寂しくない?』
「まぁ、、郁さん夜はここで食べるけど朝ご飯は食べない時が多いし昼は大体、会社か外食だからあまりここにいる事はないかな」
『こんな所で一人で食っても美味くなさそ』
「それと郁さん食にはかなりうるさいから、食材や栄養バランス、アレルギーや好き嫌いを熟知してるシェフしか作れないんだよ」
『は!?何それめんどくさっ』
「少しでも料理が気に入らなかったりミスなんかあるとそのシェフは即クビ。聞いた話だとその人達、、名の知れた有名レストランではそれ以降就職出来なくなったとか、、、」
『えっ、マジで!?怖すぎじゃんか』
この家の家主は聞けば聞くほど厄介な存在に思えてくる。これは相当注意を払ってやらないとミッションをするどころかこの家にいる事さえままならないかもと、歪んだ蝶ネクタイを触って直した。まだまだある部屋を夕日は丁寧に案内する。
「そしてここが田ノ上さんの部屋」
『……た、の、、上……あー!あの眼鏡のインテリ兄さんか!あの人は何者?』
部屋を一周して冷蔵庫を開けたり高そうな家具を見てどことなくリッチな気分を味わって気持ちいい。閉め切った大きな窓を開けると裏庭が見えて爽やかな風が舞い込んできた。
ここに来てやって心落ち着く時間が出来て初人は一つ深呼吸をしてみた。
『とりあえず2、3日様子をみて盗める物の目星をつけておくか』
もちろん目的は忘れてはいないしこうしてる間も父親の事を心配している。置いたボストンバッグの中に手を入れ、ほとんどない荷物が部屋に置かれていく。財布に入っている半分に折った写真を広げた。家族三人で撮った最後の写真を眺めてベッド脇にあるテーブルの引き出しにしまった。
片付けと着替えを済ませると部屋をノックする音が聞こえて出ると夕日が立っていた。
「おっ制服いいじゃん、よく似合ってるよ」
『そう?普段こうゆうの着慣れないからへんな感じ』
「サイズもぴったりだね!よし、じゃ行こう」
夕日の横に並んで歩く。堅苦しい制服のせいか自然と身が引き締まり背筋を伸ばして歩く初人。まだ靴の硬さに慣れないが意外と悪くはない。
「とりあえず家の中を案内するよ」
初人が知っているのは玄関入ってすぐの応接間まで。まだまだ奥まで続く廊下は未知の世界。二階に続く長い階段の先も気になる。歩きながらすれ違う使用人達に軽く会釈をするが話かけて来る者はいない。
「まずはここがキッチンね」
キッチンだけで初人の住む市営住宅の部屋全て合わせたくらいはある。最新の調理器具が揃っていて横に配膳室、食材庫がある。大きなレストランのキッチンかと思うほどで清掃係としては無駄に仕事が増えそうで初人はあまり嬉しくない顔をした。
『たった一人分のご飯作るのにこんな広さ必要?』
「もちろん旦那様や郁さんだけじゃなく来賓あったりパーティーとかもよくあるから」
『あぁ、そっか。金持ちはやたらパーティーするってやつね』
「それからここがダイニング」
『うわっ見た事ある。この長いテーブル!実物見るの初めてだ』
富豪の家のイメージはシャンデリアに細長いダイニングテーブル。その上に花かキャンドルでもあれば物語のイメージ通りだったけどそんなものはなく殺風景だった。
『なんかダイニングってもっと楽しい温かい場所に、ここは無駄にだだっ広くて物もないしなんか寂しくない?』
「まぁ、、郁さん夜はここで食べるけど朝ご飯は食べない時が多いし昼は大体、会社か外食だからあまりここにいる事はないかな」
『こんな所で一人で食っても美味くなさそ』
「それと郁さん食にはかなりうるさいから、食材や栄養バランス、アレルギーや好き嫌いを熟知してるシェフしか作れないんだよ」
『は!?何それめんどくさっ』
「少しでも料理が気に入らなかったりミスなんかあるとそのシェフは即クビ。聞いた話だとその人達、、名の知れた有名レストランではそれ以降就職出来なくなったとか、、、」
『えっ、マジで!?怖すぎじゃんか』
この家の家主は聞けば聞くほど厄介な存在に思えてくる。これは相当注意を払ってやらないとミッションをするどころかこの家にいる事さえままならないかもと、歪んだ蝶ネクタイを触って直した。まだまだある部屋を夕日は丁寧に案内する。
「そしてここが田ノ上さんの部屋」
『……た、の、、上……あー!あの眼鏡のインテリ兄さんか!あの人は何者?』
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