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感動と興奮の夢を観てから一ケ月。
父の人材集めも完了し事業が始まった。
父の領地経営の手腕は領民からそれなりに評価されているので新規事業も受け入れられていた。
競馬場の建設などで雇用が生まれ経済が活性化したという事もあるだろう。
加えて平和の中で下火になっている軍馬生産牧場などが活気づいている。
惜しむべくは事業運営が我が儘令嬢によるものという事で不平不満に思うモノが少なからずいるという事。
発案や構想は良いが運営を任せるのは正気でないという意見はオブライエン家内からも批判があった。
そういった連中の中にはこれ見よがしに私の前で悪態をつく者もいた。
元々の原因は私自身なので気にしないことにしている。
父はかなり気にしているようだが過度に介入すると父の評価も落ちてしまうので流してもらっている。
分かりにくい程度で処罰は行われているようだけれど。
現在私の仕事は主に事務仕事。
競馬運営に必要な組織を立ち上げての打ち合わせの日々。
その組織も競馬という未知を相手にしているので探り探り。
私の夢の中が唯一の手掛かりなので私があれこれ悩むしかない。
といっても細かい設定や折衝は採用した職員の仕事だけれど。
競馬を運営するにあたって設立した組織は4つ。
牧場会、調教師会、騎手会、そして競馬会。
競馬の施設や競争の管理運営をするのが競馬会なので牧場会と調教師会と騎手会はそれぞれの意見をまとめる下部組織に近い。
因みに私は騎手会の会長に就任している。
競馬会自体がオブライエン家のモノなので全てに口出しが出来るので私の会長就任はあまり意味がない。
それでも態々就任したのは私が騎手を目指しているから。
目指しているというか騎手になる。
何故貴族令嬢のまともに運動をしてこなかった私が騎手になるのかといえばこの世界に騎乗技術が広まっていないから。
正しくは馬を速く走らせるための騎乗技術が生まれていない。
始め私にも騎手になる気はなく希望者に全てを任せるつもりだった。
けれど練習をしている者たちを見ると何とも不格好。
腰は高く背筋が伸びているので風をもろに受ける。
更に騎手自身の体勢を優先して維持するので馬の動きが鈍い。
それらは夢にみた競馬の姿では無かった。
勿論騎手候補生たちに乗り方を指導した。
けれど貴族令嬢の、それも我が儘で世間知らずのお嬢様の言葉は大人の男には届かなかった。
騎手候補生の多くが軍人やその関係者で男社会で育ったモノたちだから仕方のないことだろう。
それならばと私は私自身が騎手になることにした。
私を馬鹿にした者たちを見返してやろうという魂胆もあった。
そんな訳で私の日常は競馬会の事務的打ち合わせと騎乗訓練だけになっていた。
父の人材集めも完了し事業が始まった。
父の領地経営の手腕は領民からそれなりに評価されているので新規事業も受け入れられていた。
競馬場の建設などで雇用が生まれ経済が活性化したという事もあるだろう。
加えて平和の中で下火になっている軍馬生産牧場などが活気づいている。
惜しむべくは事業運営が我が儘令嬢によるものという事で不平不満に思うモノが少なからずいるという事。
発案や構想は良いが運営を任せるのは正気でないという意見はオブライエン家内からも批判があった。
そういった連中の中にはこれ見よがしに私の前で悪態をつく者もいた。
元々の原因は私自身なので気にしないことにしている。
父はかなり気にしているようだが過度に介入すると父の評価も落ちてしまうので流してもらっている。
分かりにくい程度で処罰は行われているようだけれど。
現在私の仕事は主に事務仕事。
競馬運営に必要な組織を立ち上げての打ち合わせの日々。
その組織も競馬という未知を相手にしているので探り探り。
私の夢の中が唯一の手掛かりなので私があれこれ悩むしかない。
といっても細かい設定や折衝は採用した職員の仕事だけれど。
競馬を運営するにあたって設立した組織は4つ。
牧場会、調教師会、騎手会、そして競馬会。
競馬の施設や競争の管理運営をするのが競馬会なので牧場会と調教師会と騎手会はそれぞれの意見をまとめる下部組織に近い。
因みに私は騎手会の会長に就任している。
競馬会自体がオブライエン家のモノなので全てに口出しが出来るので私の会長就任はあまり意味がない。
それでも態々就任したのは私が騎手を目指しているから。
目指しているというか騎手になる。
何故貴族令嬢のまともに運動をしてこなかった私が騎手になるのかといえばこの世界に騎乗技術が広まっていないから。
正しくは馬を速く走らせるための騎乗技術が生まれていない。
始め私にも騎手になる気はなく希望者に全てを任せるつもりだった。
けれど練習をしている者たちを見ると何とも不格好。
腰は高く背筋が伸びているので風をもろに受ける。
更に騎手自身の体勢を優先して維持するので馬の動きが鈍い。
それらは夢にみた競馬の姿では無かった。
勿論騎手候補生たちに乗り方を指導した。
けれど貴族令嬢の、それも我が儘で世間知らずのお嬢様の言葉は大人の男には届かなかった。
騎手候補生の多くが軍人やその関係者で男社会で育ったモノたちだから仕方のないことだろう。
それならばと私は私自身が騎手になることにした。
私を馬鹿にした者たちを見返してやろうという魂胆もあった。
そんな訳で私の日常は競馬会の事務的打ち合わせと騎乗訓練だけになっていた。
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