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アラフィフ女性の日常
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あるところに女性がいた。
歳は49。独身で一人暮らしをしていた。
バリキャリ、というわけでも無い。ただの中小企業で事務員をしている。
結婚もいずれできるだろうと思っていたら、いつの間にかこの年になっていた。彼氏もいない。
最近老いを感じる場面が増えてきた。
目が見えづらくなり、眼科に行くと、白内障と言われた。老化が原因だ。
朝起きると腰が痛い日が増え、整形外科に行くと、この歳になると仕方がないと言われた。
顔に化粧が上手く乗らなくなってきたのでエステに行くと、この歳になると化粧水が入っていかなくなるから、と言われ導入化粧水を勧められ買った。
そんな、最近の楽しみは、姪っ子とのショッピングデートだ。
妹の娘で姪っ子はまだ高校生。
小さい頃から慕ってくれて、とても可愛い。
可愛いものが大好きで、一緒にショッピングに行くとついつい貢いでしまう。
ニコニコしながら姪っ子とのツーショット写真をスマホで眺めていたら、後輩に声を掛けられた。
「わ~可愛い。その服有名なブランドですよね。それが噂の姪っ子ちゃんですか?」
「そうなの~本当可愛くて。この服若い子の間で流行ってるのよね?」
49にして若い子の流行の服が分かるので、こうして後輩とも当たり障りない会話ができるのにも役立っている。
おかげで、面と向かってお局とかはいわれてない。裏では分からないけど。
当たり障りない仕事。当たり障りのない人間関係。
そしてたまに週末は姪っ子とショッピングデート。
同じことの繰り返しだけど、可もなくなく不可もない、当たり障りのない暮らしをしていた。
ある日、姪っ子にインスタを勧められた。
家に遊びに来た姪っ子が家を見回して言った。
「叔母さん、丁寧な暮らししてるから、インスタに載せてみたら?」
そう、女性は仕事もだいたい定時だし、土日祝日休み。バリキャリでもないから、平日も毎日簡単にだけど料理をして、ベランダでは、ちょっとした野菜も育てていた。
「インスタって、何を載せるの?普通に生活してるだけよ?」
女性はびっくりしたが、姪っ子は続ける。
「だって、料理も美味しいし、この鍋敷きも叔母さんが作ったんでしょ?叔母さんの刺繍とてもきれいだし」
そうして50手前にして女性はインスタを始めた。
そしたら意外なほどに反響が来た。投稿するものは、刺繍と料理とベランダ菜園だ。
刺繍と料理好きな同年代の同性から多くコメントが来て、思わぬ交友関係が広がった。
ベランダ菜園の記事では、野菜を作っている田舎の男性からも反響が来て、今度良かったら野菜作り仲間でオフ会をしませんか?と誘われた。
もう結婚とか恋愛なんて良いかな、なんて考えていたが、なんだかソワソワした気持ちになる。
同じ趣味の人と野菜を作って田舎生活、なんていうのも悪くないかも、なんて。
そんなある日のことだった。
白内障の手術を勧められ、都会の大きめの病院に行った時のことだ。
駅を降りて、病院までの道を歩いていると、急に視力が欠けた。
たまにあるのだ。歳取れば皆なることだとは言われたが、本当に嫌になる。
右下が急に欠けたが、まあ他の部分は見えるし、と思いそのまま歩いていると足に何かがぶつかった。
自転車だった。
塾の前に自転車がたくさん並んでいたのだが、一台だけ黄色い点字ブロックからはみ出していた。
「全く、目が見えない人の為の点字ブロックなのに」
女性は憤慨しながら道路を逸れた。
そして車に轢かれた。
視力が欠けているところから車が来ているなんて思いもしなかった。
救急車で病院に運ばれたが、そのまま亡くなった。
周りは最近、目が見えづらいと言っていたから、と言った。
そう、自転車は医者を目指している中学生の男の子の物だった。
男の子はまさか、自分が置いた自転車で人が死んだとは思わず、日常を過ごしている。
そして、大きくなったら医者になり多くの人を救うことになる。
自分が知らず、殺人を犯しているとは思わずに。
歳は49。独身で一人暮らしをしていた。
バリキャリ、というわけでも無い。ただの中小企業で事務員をしている。
結婚もいずれできるだろうと思っていたら、いつの間にかこの年になっていた。彼氏もいない。
最近老いを感じる場面が増えてきた。
目が見えづらくなり、眼科に行くと、白内障と言われた。老化が原因だ。
朝起きると腰が痛い日が増え、整形外科に行くと、この歳になると仕方がないと言われた。
顔に化粧が上手く乗らなくなってきたのでエステに行くと、この歳になると化粧水が入っていかなくなるから、と言われ導入化粧水を勧められ買った。
そんな、最近の楽しみは、姪っ子とのショッピングデートだ。
妹の娘で姪っ子はまだ高校生。
小さい頃から慕ってくれて、とても可愛い。
可愛いものが大好きで、一緒にショッピングに行くとついつい貢いでしまう。
ニコニコしながら姪っ子とのツーショット写真をスマホで眺めていたら、後輩に声を掛けられた。
「わ~可愛い。その服有名なブランドですよね。それが噂の姪っ子ちゃんですか?」
「そうなの~本当可愛くて。この服若い子の間で流行ってるのよね?」
49にして若い子の流行の服が分かるので、こうして後輩とも当たり障りない会話ができるのにも役立っている。
おかげで、面と向かってお局とかはいわれてない。裏では分からないけど。
当たり障りない仕事。当たり障りのない人間関係。
そしてたまに週末は姪っ子とショッピングデート。
同じことの繰り返しだけど、可もなくなく不可もない、当たり障りのない暮らしをしていた。
ある日、姪っ子にインスタを勧められた。
家に遊びに来た姪っ子が家を見回して言った。
「叔母さん、丁寧な暮らししてるから、インスタに載せてみたら?」
そう、女性は仕事もだいたい定時だし、土日祝日休み。バリキャリでもないから、平日も毎日簡単にだけど料理をして、ベランダでは、ちょっとした野菜も育てていた。
「インスタって、何を載せるの?普通に生活してるだけよ?」
女性はびっくりしたが、姪っ子は続ける。
「だって、料理も美味しいし、この鍋敷きも叔母さんが作ったんでしょ?叔母さんの刺繍とてもきれいだし」
そうして50手前にして女性はインスタを始めた。
そしたら意外なほどに反響が来た。投稿するものは、刺繍と料理とベランダ菜園だ。
刺繍と料理好きな同年代の同性から多くコメントが来て、思わぬ交友関係が広がった。
ベランダ菜園の記事では、野菜を作っている田舎の男性からも反響が来て、今度良かったら野菜作り仲間でオフ会をしませんか?と誘われた。
もう結婚とか恋愛なんて良いかな、なんて考えていたが、なんだかソワソワした気持ちになる。
同じ趣味の人と野菜を作って田舎生活、なんていうのも悪くないかも、なんて。
そんなある日のことだった。
白内障の手術を勧められ、都会の大きめの病院に行った時のことだ。
駅を降りて、病院までの道を歩いていると、急に視力が欠けた。
たまにあるのだ。歳取れば皆なることだとは言われたが、本当に嫌になる。
右下が急に欠けたが、まあ他の部分は見えるし、と思いそのまま歩いていると足に何かがぶつかった。
自転車だった。
塾の前に自転車がたくさん並んでいたのだが、一台だけ黄色い点字ブロックからはみ出していた。
「全く、目が見えない人の為の点字ブロックなのに」
女性は憤慨しながら道路を逸れた。
そして車に轢かれた。
視力が欠けているところから車が来ているなんて思いもしなかった。
救急車で病院に運ばれたが、そのまま亡くなった。
周りは最近、目が見えづらいと言っていたから、と言った。
そう、自転車は医者を目指している中学生の男の子の物だった。
男の子はまさか、自分が置いた自転車で人が死んだとは思わず、日常を過ごしている。
そして、大きくなったら医者になり多くの人を救うことになる。
自分が知らず、殺人を犯しているとは思わずに。
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