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異世界チートスキルをゲットしたようです。
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1週間後、王城からの鑑定士が私たちのテントまでやってきた。ユーリの所には事前に連絡が来ていたそうで、今日は2人とも朝からどこにも行かずテントで過ごしていたのだ。
「ユーリ殿、落界人の監督ご苦労様でした」
「いえ、決まり事なので、問題ないです」
「これは保護した者への褒賞です。受け取って下さい」
「ありがとうございます。こいつのことよろしくお願いします」
彼は貴族から嫌われていると言っていたが、この人は彼に対して礼儀正しいようだ。貴族ではないのかな?
「この人は俺の鑑定をしてくれた鑑定士のリア様だ。リア様も貴族だが、俺のことも平等に接してくれる。安心して鑑定を受けろ」
「私が鑑定した勇者を蔑ろにしたら、私の鑑定が嘘だと言っているようなものですからね。ユーリ殿には苦労をかけて申し訳ない」
「いや、良いんだ。俺は俺のすべきことをするだけだから、貴族様からどう思われようと関係ない」
「本当に貴方の姿を他の人達にも見せたいですよ。あんな私腹を肥やすだけの人達にお金を使うなんて勿体ないですよね」
物言いは柔らかいが、言ってることはかなり辛辣だ。だが彼にもちゃんと敬意を持って接していることから、この人は信用しても良いのだろう。
「山本由莉です。よろしくお願いします」
「そう固くならないで大丈夫ですよ。痛いことはしませんから。すぐ終わります。準備は良いですか?」
「……はい、よろしくお願いします」
どのように鑑定がされるか全く聞いていなかった。彼に聞いておくんだったと後悔するが、今更待ってくださいと言い出すことも出来ず、私はリア様の指示に従う。
「では私と手を繋いで下さい。そうです。そして目を瞑って……今から貴方の魔力を読み取ります。力を抜いてリラックスしていて下さい」
「…………」
「…………終わりました! おめでとうございます!! あなたは異世界チートスキルをゲットしました! そして善人の落界人として保護対象になります!」
パンパカパーンと言い出しそうなテンションでリア様が告げる。
「この石板に触れて下さい。あなたのスキルが開花されます」
そう言われて、手のひらサイズの石板に触れる。すると私の身体の中に何かが巡るような感覚が伝わる。
「今ので魔力が体に浸透しました。これからは自由に魔力を使えますよ。これで異世界チート使いたい放題です! おめでとうございます!!」
だからそのテンションは何なのだ。そもそも異世界チートって何!?
「リア様、まず色々説明してあげてくれ、こいつが混乱してる。リア様は珍しいスキルを目にするとテンションがおかしくなるんだ。俺の時も小躍りし始めて色々大変だった」
うん、まともそうに見えたけど、ちょっと変わった変な人だったのね。そういう前情報は教えてくれた方が良かったと思う。
「すみません、ついこんなにも珍しいスキルが2人も並んでいるのが嬉しくて。異世界チートスキルについてですね。とにかく基本的なことは何でも出来るってことですよ」
全く伝わらない。
「おい、顔に出てるぞ。全く伝わってないみたいだから、ちゃんと説明してくれ」
「つまり、善行をして落ちてきた落界人の為に神様がくれたサービスみたいなものです。前の世界で頑張ってくれた分、出血大サービス! 何でも出来るスキルを与えちゃうよって感じですよ」
なんとなく、なんとなくだけ伝わる。神様が私にご褒美をくれたみたいなことね。この世界でもう一度生を与えてくれただけで感謝なのに、サービスもしてくれるなんて気前が良い神様だ。
「何でもって何でも出来るの? どうやって使うの?」
「何でもと言っても流石に制限はあります」
そういうとやっと詳しいことを教えてくれた。基本私がしたいと思ったことは出来るそうだ。他の人がスキルとして持っているような物や、魔法の類はほとんど出来る。出来ないことは、寿命を伸ばすこと。あとは法律に違反するようなことはもちろん禁止だ。お金を作り出したり、人を殺したりするなど。
「善人としてこの世界に落とされているので、もし人を殺したりなどの悪行を働けばその異世界チートは失われてしまいますので、くれぐれも悪巧みはしないでくださいね」
「そんなことするつもりないわよ。それで私が思うだけでスキルを使えるのね」
「はい、試しに何かやってみて下さい。そうですね……あの小枝に火をつけたいと思いながら、あれを指差し『燃えよ』と言えばば火がつくはずです」
言われた通りにすると、小枝に立派な火がついた。
「イメージ通りの結果になるので、小さい火から大きな炎まで自由自在です。慣れてくれば指差しや、言葉もなく使えるようになりますよ」
すごい、まだ火しか出して居ないが、何でも出来るって本当にどこまで出来るのだろう。無限の可能性を秘めているのではないか。
「分かったか。これが善人が国に保護される理由だ。異世界チートは使い方が万能すぎる。国にとってこれほど有益なスキルはないからな」
「確かに……これは納得だわ」
「あと貴方にこれを渡すのを忘れていました。この世界での身分証のような物なので無くさないで下さいね」
そう言われると黄金色のプレートをもらう。しかし表裏を見返すが何も書かれては居ない。
「他人に見られないように普段は何も表示されないようになってるんだ。『スキル開示』と唱えてみろ。お前の情報が浮かび上がる」
そう彼に言われて「スキル開示」と呟くと、プレートに文字が浮かんできた。
--------
山本由莉 29歳
職業 落界人
スキル 異世界チート
体力 50
魔力 ∞(無限)
ーー----ーー
……。どうやらスキルだけじゃなくて魔力もチート級らしいわこれ。∞(無限)なんてどう見ても普通じゃない。体力50が多いのか少ないのか判断出来ないな。
「ねぇ、普通の人って魔力と体力はどれくらいなの?」
「魔力は多くて3000とかだな。体力は一般男性で500、女性や子供なら300くらいだったっけな」
「ちなみにあなたはどれくらいなの?」
「俺は魔力3500の、体力1500だな。まだ体力は上げてる最中だから5000くらいまでには上げたい」
こっちもこっちで規格外な人間、というか流石勇者だと言った感じか。
「更新されるとプレートにも新しい情報がどんどん上書きされるんだ。時々見ると自分の変化に気づける」
「そうなんだ……さすが異世界ね」
とりあえず魔力は問題なさそうだから、体力は上げた方が良さそうね。筋トレとかすれば良いのかしら。
「他に質問はないですか。なければ私と一緒に王城へ来て頂きます。そちらで今後の詳しい話をしていきますので」
「王城……。行かなくっちゃいけないのよね?」
「はい、今後の生活のこともありますし、あなたが本当に異世界チートがあるのか上の方々の前で披露して頂く必要もあります」
「披露ってどうすれば良いの?」
「王様にプレートを見せて、王様が皆に貴方が善人の落界人だと宣言されば終わりなのでそんなに難しいことはないですよ」
この軟弱な体力や規格外の魔力を見られるのは少し恥ずかしいが仕方ない。
「分かりました。一緒に着いていきます。……あなたは着いてきてくれないのよね」
「あぁ。俺が行く理由がないだろう。あんたとはここでお別れだ。王城で贅沢な暮らしが待ってるぜ。良かったな」
「そんな言い方しなくても良いでしょう。この1ヶ月でお世話になった分のお礼はいつか返すから」
「そんなもん良いさ。お前を世話した分はちゃんとお金が貰えるんだ。だから俺のことは忘れろ」
「バカ、忘れるわけないじゃない。じゃあ元気でね」
そう言って別れを告げると、彼に背を向けてリア様に着いて歩く。森を抜けた先に馬車が待ってくれているらしい。
「おい! ちょっと待てよ!」
その声と同時に手を引かれ、後ろを振り返ると同時に唇に何かが当たる。
「んん!」
「……。ん」
「なっ!! 何すんのよ!!」
「これでお礼は貰ったことにしてやるよ。俺はお綺麗な貴族じゃなくて野蛮な平民だから悪かったな」
そう言って意地悪な顔を見せると、すぐに後ろを向き走り去って行く彼に私は文句を言う暇もなかった。
「ユーリ殿、落界人の監督ご苦労様でした」
「いえ、決まり事なので、問題ないです」
「これは保護した者への褒賞です。受け取って下さい」
「ありがとうございます。こいつのことよろしくお願いします」
彼は貴族から嫌われていると言っていたが、この人は彼に対して礼儀正しいようだ。貴族ではないのかな?
「この人は俺の鑑定をしてくれた鑑定士のリア様だ。リア様も貴族だが、俺のことも平等に接してくれる。安心して鑑定を受けろ」
「私が鑑定した勇者を蔑ろにしたら、私の鑑定が嘘だと言っているようなものですからね。ユーリ殿には苦労をかけて申し訳ない」
「いや、良いんだ。俺は俺のすべきことをするだけだから、貴族様からどう思われようと関係ない」
「本当に貴方の姿を他の人達にも見せたいですよ。あんな私腹を肥やすだけの人達にお金を使うなんて勿体ないですよね」
物言いは柔らかいが、言ってることはかなり辛辣だ。だが彼にもちゃんと敬意を持って接していることから、この人は信用しても良いのだろう。
「山本由莉です。よろしくお願いします」
「そう固くならないで大丈夫ですよ。痛いことはしませんから。すぐ終わります。準備は良いですか?」
「……はい、よろしくお願いします」
どのように鑑定がされるか全く聞いていなかった。彼に聞いておくんだったと後悔するが、今更待ってくださいと言い出すことも出来ず、私はリア様の指示に従う。
「では私と手を繋いで下さい。そうです。そして目を瞑って……今から貴方の魔力を読み取ります。力を抜いてリラックスしていて下さい」
「…………」
「…………終わりました! おめでとうございます!! あなたは異世界チートスキルをゲットしました! そして善人の落界人として保護対象になります!」
パンパカパーンと言い出しそうなテンションでリア様が告げる。
「この石板に触れて下さい。あなたのスキルが開花されます」
そう言われて、手のひらサイズの石板に触れる。すると私の身体の中に何かが巡るような感覚が伝わる。
「今ので魔力が体に浸透しました。これからは自由に魔力を使えますよ。これで異世界チート使いたい放題です! おめでとうございます!!」
だからそのテンションは何なのだ。そもそも異世界チートって何!?
「リア様、まず色々説明してあげてくれ、こいつが混乱してる。リア様は珍しいスキルを目にするとテンションがおかしくなるんだ。俺の時も小躍りし始めて色々大変だった」
うん、まともそうに見えたけど、ちょっと変わった変な人だったのね。そういう前情報は教えてくれた方が良かったと思う。
「すみません、ついこんなにも珍しいスキルが2人も並んでいるのが嬉しくて。異世界チートスキルについてですね。とにかく基本的なことは何でも出来るってことですよ」
全く伝わらない。
「おい、顔に出てるぞ。全く伝わってないみたいだから、ちゃんと説明してくれ」
「つまり、善行をして落ちてきた落界人の為に神様がくれたサービスみたいなものです。前の世界で頑張ってくれた分、出血大サービス! 何でも出来るスキルを与えちゃうよって感じですよ」
なんとなく、なんとなくだけ伝わる。神様が私にご褒美をくれたみたいなことね。この世界でもう一度生を与えてくれただけで感謝なのに、サービスもしてくれるなんて気前が良い神様だ。
「何でもって何でも出来るの? どうやって使うの?」
「何でもと言っても流石に制限はあります」
そういうとやっと詳しいことを教えてくれた。基本私がしたいと思ったことは出来るそうだ。他の人がスキルとして持っているような物や、魔法の類はほとんど出来る。出来ないことは、寿命を伸ばすこと。あとは法律に違反するようなことはもちろん禁止だ。お金を作り出したり、人を殺したりするなど。
「善人としてこの世界に落とされているので、もし人を殺したりなどの悪行を働けばその異世界チートは失われてしまいますので、くれぐれも悪巧みはしないでくださいね」
「そんなことするつもりないわよ。それで私が思うだけでスキルを使えるのね」
「はい、試しに何かやってみて下さい。そうですね……あの小枝に火をつけたいと思いながら、あれを指差し『燃えよ』と言えばば火がつくはずです」
言われた通りにすると、小枝に立派な火がついた。
「イメージ通りの結果になるので、小さい火から大きな炎まで自由自在です。慣れてくれば指差しや、言葉もなく使えるようになりますよ」
すごい、まだ火しか出して居ないが、何でも出来るって本当にどこまで出来るのだろう。無限の可能性を秘めているのではないか。
「分かったか。これが善人が国に保護される理由だ。異世界チートは使い方が万能すぎる。国にとってこれほど有益なスキルはないからな」
「確かに……これは納得だわ」
「あと貴方にこれを渡すのを忘れていました。この世界での身分証のような物なので無くさないで下さいね」
そう言われると黄金色のプレートをもらう。しかし表裏を見返すが何も書かれては居ない。
「他人に見られないように普段は何も表示されないようになってるんだ。『スキル開示』と唱えてみろ。お前の情報が浮かび上がる」
そう彼に言われて「スキル開示」と呟くと、プレートに文字が浮かんできた。
--------
山本由莉 29歳
職業 落界人
スキル 異世界チート
体力 50
魔力 ∞(無限)
ーー----ーー
……。どうやらスキルだけじゃなくて魔力もチート級らしいわこれ。∞(無限)なんてどう見ても普通じゃない。体力50が多いのか少ないのか判断出来ないな。
「ねぇ、普通の人って魔力と体力はどれくらいなの?」
「魔力は多くて3000とかだな。体力は一般男性で500、女性や子供なら300くらいだったっけな」
「ちなみにあなたはどれくらいなの?」
「俺は魔力3500の、体力1500だな。まだ体力は上げてる最中だから5000くらいまでには上げたい」
こっちもこっちで規格外な人間、というか流石勇者だと言った感じか。
「更新されるとプレートにも新しい情報がどんどん上書きされるんだ。時々見ると自分の変化に気づける」
「そうなんだ……さすが異世界ね」
とりあえず魔力は問題なさそうだから、体力は上げた方が良さそうね。筋トレとかすれば良いのかしら。
「他に質問はないですか。なければ私と一緒に王城へ来て頂きます。そちらで今後の詳しい話をしていきますので」
「王城……。行かなくっちゃいけないのよね?」
「はい、今後の生活のこともありますし、あなたが本当に異世界チートがあるのか上の方々の前で披露して頂く必要もあります」
「披露ってどうすれば良いの?」
「王様にプレートを見せて、王様が皆に貴方が善人の落界人だと宣言されば終わりなのでそんなに難しいことはないですよ」
この軟弱な体力や規格外の魔力を見られるのは少し恥ずかしいが仕方ない。
「分かりました。一緒に着いていきます。……あなたは着いてきてくれないのよね」
「あぁ。俺が行く理由がないだろう。あんたとはここでお別れだ。王城で贅沢な暮らしが待ってるぜ。良かったな」
「そんな言い方しなくても良いでしょう。この1ヶ月でお世話になった分のお礼はいつか返すから」
「そんなもん良いさ。お前を世話した分はちゃんとお金が貰えるんだ。だから俺のことは忘れろ」
「バカ、忘れるわけないじゃない。じゃあ元気でね」
そう言って別れを告げると、彼に背を向けてリア様に着いて歩く。森を抜けた先に馬車が待ってくれているらしい。
「おい! ちょっと待てよ!」
その声と同時に手を引かれ、後ろを振り返ると同時に唇に何かが当たる。
「んん!」
「……。ん」
「なっ!! 何すんのよ!!」
「これでお礼は貰ったことにしてやるよ。俺はお綺麗な貴族じゃなくて野蛮な平民だから悪かったな」
そう言って意地悪な顔を見せると、すぐに後ろを向き走り去って行く彼に私は文句を言う暇もなかった。
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