チートやガチ勢に負けないまったり勢の冒険譚

葉十進部

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第五章

最強の敵 登場![前編]

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「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ地獄だーーー」
 昼時の学生食堂で周りにはたくさんの生徒達がいる。俺の悲痛な声は喧騒に掻き消されるが、近くにいた数人はこちらを振り返った。
「お疲れさんー」
 同じテーブルの向かいに座って同じく日替わりランチを食べているアオイが、こちらの苦労も知らずに軽く返す。
 町長の依頼も完了しあとはのんびりとジョセフ達が戻ってくるのを待ってるつもりだったのに、当のジョセフから宿泊していた施設に緊急連絡が届いた。
 俺が休学していることが親にバレ強制的に学園に呼び戻されたのだった。実家のある村はホームの街から遠く離れているので、姿を見て対話できる魔鏡で話し合い……というか一方的にめちゃくちゃ怒られた………。
 結局、学費を払ってもらってる学生の身分で冒険なんて無理だったのだ。シャルルのことはジョセフとリリルに任せて俺は復学することとなった。
 だが、本当の地獄はここからだった………。
 アシスターを倒した功績が認められ学園長の計らいで特別な追試を合格することができたら、休学中の単位を特例で取得させてもらえるというのだ。
 まずひとつ目の学科は入学してから休学中を含めた全ての範囲……ってできるわけないだろっ!!
 休学してたんだから授業を受けてないのに分かるわけないんだよ!
 ってことで復活しましたスパルタ家庭教師・エメラダ。また魔法を使ってこの一週間不眠不休で勉強させられましたよ……。食事・風呂・トイレ以外マジで一秒の休憩もなかった。どんなブラック企業でもここまではいかないぞ?
「このあと実技の追試だっけ?」
「ああ。午前に学科受けたばっかだってのに、少しはゆっくりしたいぜ」
「フォックス!」
「ひぃっ!!」
 エメラダの声がして反射的にテーブルの下にもぐり込んだ。
 この一週間の試験勉強がトラウマになってるな~………。
 エメラダはもう採点の終わった答案用紙の束を持って笑顔………ではなかった。
「何なのこの点数? あれだけみっちり教えてあげたのにどれもこれも合格点ギリギリじゃないの!」
 ということは学科は一つも落とすことなく合格出来たようだ。
「そうは言うけどなエメラダ」
 テーブルの下からひょこっ、と顔だけ出して反論する。
「2、3ヶ月まったく受けてなかった授業の分をたった一週間で、しかも全教科勉強しろなんて無茶ぶりされて1個も落とさず合格できたんだからむしろ褒めてほしいよ?」
 いくら魔法で集中力を上げていたといっても、根本的な頭の出来は変わりはしない。それでギリギリだろうが合格点取れたんなら自分で自分を称賛したい気分だ。
「勉強は誰のためでもなく、自分のためにするものよ。褒められるためにするんじゃないの」
「うーわっ、思考が完全に保護者だよこの人」
 もしかしてエメラダって息子がいるんじゃないか?と疑うくらい見事な母親発言。魔族社会も人間と変わんねぇのな。
「ほら、次は実技試験があるんだから早くギルドに行くわよ」
 エメラダは俺の襟首を掴んでテーブルの下から引っ張り出す。
「イヤだぁっ! もう散々頑張ったんだー。もっとゆっくりしたいよー!」
「わがまま言わない! あと実技だけなんだからもう少し頑張りなさい!」
 エメラダに食堂のなかを引きずられながら、わんわんと泣き叫ぶ。
 そんな遠ざかっていく俺を見てアオイは
「アーメン」
「合掌すなーーーーーーっ!!」
 一際大きい叫びを残して食堂の扉がバタンと閉じた。

「あーもうちくしょー。なにもかもシャルルのせいだ! あいつが何か悪いことを企みさえしなけりゃ、俺は普通に授業受けててこんな苦労しなかったのに……」
 ギルドに続く道を歩きながらぶつぶつぶつと毒づく。
「いつまでも文句言わないの。
 実技の追試を合格できたら、ご褒美に美味しい夜ご飯を作ってあげる。今日は特別に食べさせてあげてもいいから最後まで頑張ろ?」
「えっ、本当!?
 よーしっ、それなら頑張るぞ!」
 アメとムチでいいように操られてる気がしないでもないけど、やる気を出して歩みを力強くする。
 ………俺って単純。

「はぁ~、それにしてもやっぱデッカイな~」
 目的地のギルドに到着した。前回は中間テストを受けに来ただけだったから中をよく見て回らなかった。
 1階はギルドの中枢、冒険者の登録・クエストの発注・受注・採取した素材の鑑定・パーティーメンバーの募集や応募、といった用途ごとに分かれた窓口がたくさん並んでいて役所のような造りになっている。
 壁を隔てた隣にはクエストで怪我をした人のための冒険者専用病院が併設されていて、腕の良い回復術士が駐在している。
 2階には武器・防具・アイテムの店が入っていて、冒険に必要なものは全てここで揃う。
 3階は大食堂だ。豊富なメニューにアルコールも提供している。そして地下には冒険で疲れた身体を癒す天然温泉まであって至れり尽くせりだ。
 俺の村のギルドはクエスト関連の窓口の端にちょこーっとアイテムが売っている程度だったが、さすが都会は違うなぁ。
「すいませーん、冒険者の登録したいんですけど」
 学園の定期試験では、1年生の間は生徒用に用意された簡単なクエストを受けることになっているので学生証を提示するだけで受注できる。
 2年生からはギルドに登録して一般冒険者と同じクエストに挑むようになる。
 学園長から課された今回の特別な試験は冒険者用クエスト☆2ランクのクリアだったため、まずはギルドへの登録が必要になる。
「ではこちらの用紙にご記入をお願いします。あちらの机に記入例がありますので」
 窓口から登録用紙を受け取って移動する。
「えーっと、名前に年齢と………職業って戦士とか魔法使いとかのことかな?」
「違うわよ。ちゃんと記入例を見なさいよ、ほらここ」
 エメラダが指す箇所を読むと、『職業とは生活を支える手段としての仕事』と書かれていた。
 登録が済めば冒険者も職業に含まれるようだが、ここでは現時点の職を書くらしい。なのでまだ働いていない俺は学生と書けばいいようだ。
「次は……戦闘スタイル?」
 さっき勘違いしたことはここで記入するみたいだ。
 欄には戦士や魔法使い、僧侶等々の中から自分に合ったものを選択して丸で囲むようになっている。
 召喚獣メインの戦い方は何になるのだろう? 召喚士や魔物使いといったスタイルは載っていない。
 記入例の裏を見ると、各スタイルの説明が書かれていた。
「あった。これだな」
 指で説明文をたどっていくと“召喚”の文字を見つけた。
 盟獣士………召喚魔法による契約を交わした魔獣を使役する者
「盟獣士っていうのか。なんか響きがカッコイイ」
 盟獣士に丸をして最後の記入欄に進む。
 『得意武器と魔法 その他特技』と書かれた欄はパーティーメンバー募集に応募する際に必要な項目となっていた。履歴書でいうところの資格欄だ。
「つっても俺、得意なことなんて何もないぞ」
 魔剣を使ってはいるが剣の腕は素人同然だし、使える魔法も二つだけだ。スキルだって何も持っちゃいない。
 挑発魔法の『自集向転術ターンプロヴォーク』を俺は1人の相手にしかかけることができないが、すごい人は同時に複数人に発動させることができるからこれも得意とは言えない。残り一つも似たようなもんだ。
 ということでここは“なし”と書いて窓口に提出しに行く。
「はい、ありがとうございます」
 受け取った用紙に記入漏れやミスがないかのチェックが終わると、何かの魔道具を取り出した。
「スタイルが盟獣士ということなので、召喚獣のランクを計測させていただきます」
 そう言うと受付嬢は少し視線を落として、何かを探すように俺の周りを確認する。
「契約している召喚獣は今は連れて来ていないのですか?」
 俺は一歩下がって斜め後ろに立っていたエメラダの隣に立ち、目線を受付嬢から移して示す。
 俺の視線を追ってエメラダを見るが、少し困った風に首をかしげる。
「えっと…、今のままでは登録ができませんので、召喚魔法で喚び出した魔獣を連れて改めてお越しいただけますか?」
 どうやらエメラダはただの付き添いと思われたらしく、登録用紙を返されてしまった。
 うーん、困った……。どう説明したら信じてもらえるかな?
 そもそも人型の召喚獣というのは珍しい。
 俺の村でも召喚獣を連れてる人は何人もいたが、人型を見たのはフィヨルドの人狼が初めてだ。あとはファットが召喚した魔族と。
 だがどちらも一目で人間ではないと分かる身体的特徴をしている。人と変わらぬ姿のエメラダが召喚獣と思われないのは無理もない。
 魔王化すれば信じてもらえるかもしれないが、そんなことをすれば騒ぎになる。
 この世界にもかつて魔王が存在した。魔剣の先代持ち主によって死闘の末封印されたんだが、同一人物ではないにしろエメラダも魔王であることがバレるのは望ましくない。
「召喚“獣”ではないけれど、彼女はたしかに俺が召喚したパートナーなんですよ。どうやったら証明できます?」
 俺の話を聞いて受付のお姉さんは計測具を机に置き、代わりに引き出しから別の魔道具を取り出した。
 普通の半分くらいの大きさの杖で、先端には宝玉が付いている。それをエメラダのほうに向けると宝玉がぼわーっと光だした。
「失礼しました。召喚魔法の契約反応が確認できました。引き続きランクを計測しますね」
 どうやら今のは契約の有無を調べることができる魔道具のようだ。そんな便利なのがあるなら始めっから出してくれればいいのに……。
 ランクを計測する魔道具には目盛りがあって、白・青・紫・金色の順で色分けされている。エメラダに向けられると目盛りの左端にあった針が右へ大きくギュイーンと動いた。
「これはすごいです!」
 針は金色ゾーンに入り、目盛りのほぼ右端で止まった。
「SSRの上級ランク!? 凄い召喚獣をお連れなんですね!」
 受付で響いた驚きを聞いて、周りにいた冒険者たちがざわつく。
「おい、聞いたかよ。SSRの上級ランクだってよ」
「マジかよ……。どう見たって普通の女の子じゃん……」
 エメラダに注目が集まる。
 SSRとはいえ、確率的にはたまーに連れてる人はいるはずだ。現にフィヨルドは何体とも契約している。
 いろんな町を訪れている冒険者なら今さら驚くことでもないと思うんだけどなぁ?
「そんなに珍しいんですか?」
「それはもちろん!
 召喚魔法で喚び出されるSSRは初級クラスがほとんど。良くても中級と言われているんですよ。
 ご存知のとおり、召喚契約された魔獣は絆が深まることによって覚醒し、これまで以上の強さを発揮できるようになります。NやRのような低ランクの覚醒ならよく耳にしますが、SR以上になると条件が厳しくなるらしく、特にSSRが覚醒したなんて事例は聞いたことがありません。
 私もSSRの上級以上は、先日ギルドに登録された同じく盟獣士の方の測定不能を除けば初めて目にします」
 測定不能? SSRより上のランクってことか? 一体どんな召喚獣なんだろう?
「ふーん、そんなもんなの?」
 くるっと首を回してエメラダに尋ねる。
「知らないわよ。
 でもそうね…、仮にフォックス以外の人間に召喚されていたとしたら、恩を返すまえにそいつを殺していたかもしれないわ。
 フォックスだったから、こうして一緒にいようと思えたの。アンタ以外のために力を使う気はないし、誰かを守りたいだなんて思ったのもアナタが初めてよ。
 他の人間……いいえ、誰であったとしてもこのアタシの力を引き出せたのはフォックス以外にはあり得ないわ」
「あらあら、仲が良いんですね。高ランクの覚醒条件が分かった気がします」
「ちょっ、いや……その……」
 エメラダに深い意味はなく、ただ思ったことを口にしているだけの様子だが、こっちはめちゃくちゃ恥ずかしい………。
「ふふっ」
 温かい目で見られるとよけいに恥ずかしいんですけど!?
「上級SSR契約者であることは登録内容に書き加えておきますね」
 こっちの心の声を知ってか知らずか、ペンを持って書類に目を落とし『得意武器と魔法 その他特技』欄に追記する。
 そして水晶玉より一回り大きい丸い玉を取り出し机の上に置いた。
 ………いや、よく見ると玉に見えたのは透明な水だ。器に入っているわけでもないのにその水は球形を保っている。
 受付嬢は登録用紙とカードを一枚その中へと入れる。水玉の中でインクが溶け出たような黒いもやもやが登録用紙からカードへと移っていった。
「はい、これで登録が完了しました。ギルドカードをお受け取りください」
 受け取った手のひらサイズのカードは水におもいっきり浸かっていたはずなのに不思議とまったく濡れていない。
「きっとパーティー申請がたくさん来ますよ。
 パーティーを組めば高ランククエストの成功率も上がりますから、冒険者活動に幅が広がります」
 たしかにそうかもしれない。いくらエメラダが強くても得手不得手はあるだろう。採取や探索系クエストは人数や役割を決めておいた方が効率的なこともある。
 しかし今回は学園の試験で来たから、その事はまた今度考えることにする。
「最後に冒険者活動について説明しますね」
 『冒険者の手引き』と書かれた冊子を渡される。
「クエストは内容によって討伐・探索・採取の3つに分かれ、難易度は☆1~☆8があります。星の数が多いほど高難易度で報酬も高くなりますが当然命の危険も高くなります。
 ☆6以上は国の指定クエストになっており、クリアするとギルドの報酬以外に国からも褒賞金が出ます。
 クエストは難易度問わず受けることができますが、☆7と8に関しては超級クエストと言われていて、国に認められた冒険者さんしか受注することが出来ませんのでご注意下さい。
 高難易度に挑んで命を落とす方は多くいらっしゃるので、初心者さんは☆1のクエストから順に自分の実力に合ったクエストをこなしていくことをオススメします」
 始めから受けられるクエストの難易度に制限がないのは良いと思うが、メリットデメリットがあるようだ。報酬に目がくらんで格上のクエストに挑んで死んでしまっては元も子もない。
「ギルドカードはクエストを受注してから報告するまでの間、肌身離さず持っていてください。
 クエストの進行状況はそのカードが自動で記録していますので、もし未携帯の状態でクリアされても、その証明をすることができないため報酬をお支払いすることができません。気をつけてくださいね」
 ペラペラと一通りめくった冊子をしまい、ギルドカードは無くさないように財布のカードポケットに入れた。
「説明は以上になります。安全を心がけ、冒険者活動を頑張って下さい!」
 これで俺も冒険者の仲間入りだ。
 さっそくクエストを受けるために、依頼が貼り出されている掲示板を見に行く。
「へぇ~、いろんなクエストがあるんだな」
 前はじっくりと見なかったが、依頼の種類や難易度ごとにきちんと分別されていて、自分の求める条件に合ったものを探しやすくなっている。
「どれを受けるつもりなの?」
「んー、そうだな……」
 目の前のが☆6の掲示板なので、ランクが下がる方へ移動しながら依頼内容をテキトーに見ていくと、女の子が1つの依頼を張り付くように見つめているのに気がついた。
 その依頼を受けるでもなく、ただただ眺めているだけなのだが様子が少しおかしかった。
 まるで親の仇でも見ているかのように目尻を吊り上げて依頼書をギッと睨んでいる。
「………」
 何の依頼を見ているのか気になって近づくと、少女は俺に気づいて無言でギルドを出ていってしまった。
「何なんだアレ?」
「あの人間……、変わった気配をしていたわね」
「へぇー、エメラダが他の人間を気にするなんて珍しい」
 一体何を見ていたのか。掲示板の中で少女の視線が突き刺さっていた依頼書を見る。
「『桜絢の怪賊・ディアの捕縛』? 何それ?」
「なんだ兄ちゃん、ディアを知らねぇのかい?」
 掲示板を見上げていると、おっさん冒険者が声をかけてきた。
「どんなに厳重な警備や強い護衛を雇っていても、死人を出さずにお宝を奪い取るんだとよ。
 意味は分からねぇが、自ら『桜絢の怪賊』って名乗ってて、王宮の宝物庫からも宝を盗んだってんで今一番有名な盗賊なんだぜ」
 へぇ、国にちょっかい出すなんてよほど自分の腕に自信があるんだな。
「早くしないと遅くなるわよ。依頼を済ませたら学園に報告しないといけないんでしょ?」
「おっと、そうだった」
 追試実技のクエストを終わらせたら、学園長に試験結果を報告して単位認定してもらわないといけないんだ。怪賊だか怪盗だか知らないけど、そんなのは探偵にでも任せておけばいい。
 近場の討伐系クエストを受けてさっさと終わらせよう。☆2程度ならエメラダだったら一瞬で倒してくれる。とにかく早く戻って寝たい………。
 そんなわけで☆2クエスト掲示板から依頼書を1枚取って、さっき登録したのとは別の、受注用窓口に向かった。
「『クイックグリズリーの討伐』ですか………」
 俺が渡した依頼書を見て、受付の女の人は少し困った顔をした。
「このクエストを受けるのがなにかまずいんですか?」
「クエスト内容というより、依頼場所のニア平原というのが少し問題でして……」
 ニア平原は街から出てすぐのところで、物資を運ぶ商隊が行き交う大きな街道が通っている。徒歩でも1時間あれば戻ってこられる場所だ。
「ここ数日ニア平原を通る旅人や商人が襲われる事件が発生しているんです。死者も多数出ています。
 生き残った人は皆『あんな赤ちゃん見たことない。まるでバケモノだ』と言っていて、恐怖から精神状態が不安定でそれ以上の情報は得られていません」
「それってモンスターの赤ちゃんに襲われたってこと?」
「はい。ギルドは新種のモンスターの幼体に襲われたとみてクエストを発注しています」
 そのクエストの依頼書を見せてくれた。
 『ニア平原の新種モンスターの調査・可能ならば討伐』
 難易度は☆4となっているが、それにしては同ランクの他のクエストよりも報酬が高い。
「この街の重要な交易路ですので緊急性の高い任務です。
 襲われた冒険者の方々の経歴からランクは4となっていますが、モンスターの詳細なデータは無く、成体に遭遇する可能性もある危険なクエストです。
 冒険者になりたてのフォックスさんには危ないですから、他の安全地帯でのクエストを受けることをおすすめします」
 話を聞くに☆4というのは仮で、それ以上の高難度に修正される可能性もあるらしい。
 そんなおっかないモンスターにはできるだけ出会いたくないな……。
「……やっぱ他のクエストに変更しよっか?」
 隣で説明を聞いていたエメラダに同意を求める。
「安心しなさい。フォックスにはアタシがついてるでしょ。
 どんな危険からも守ってあげるから、自分の好きなクエストを選びなさい」
 そりゃそうだな。いくら未知のモンスターといっても、エメラダがモンスター相手に苦戦するはずがない。
 ちょっと臆病に考えすぎてしまっていたようだ。
「んじゃグリズリーの討伐と……ついでにこの新種モンスターの依頼も受けます」
 もしグリズリー討伐中に新種と遭遇して倒したとしても、クエストを受注していなければただの骨折り損となってしまうからな。
「………上級SSR連れなら無理に止めはしませんが……。
 くれぐれも気をつけてくださいね?」
 ギルドカードを読み込んで俺の登録情報を見たお姉さんは心配しながら受注処理をしてくれた。
「よっし。クエストも受注できたし、ちゃちゃっと終わらせますか!」
「君、ちょっと待ってくれないか!」
 ギルドを出てすぐ、後ろから男の人に声をかけられた。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

スパークノークス

おもしろい!
お気に入りに登録しました~

葉十進部
2021.08.29 葉十進部

ありがとうございます!
感想もらえて嬉しいです。
これからも面白いと思ってもらえるよう頑張ります。

解除

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