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第一章
チュートリアル
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「まずは諸君、入学おめでとう」
壇上に上がった初老の男性は眼前の新入生達を見渡して話を始めた。
「わしはこのアプリゲーム学園の学園長ウン・エイだ。
皆も知っての通り、この世界はモンスターの驚異にさらされている。勇敢な戦士達が日々戦ってはいるが、モンスターの勢いは止まってはいない。
この学園は冒険に必要な知識を学んでもらうと同時に、新たに開発された召喚魔法で異世界の生物を召喚・契約し、モンスターに対抗する英雄を育成するのが目的である」
学園長は熱がこもったように握り拳を作り演説を続けた。
「諸君には入り口で一人につき一つ召喚魔法に必要な魔石を配ったが、もらっていない者はおるかな?」
言われて俺はポケットに入れていた魔石を取り出した。
魔石はクリスタルのように透き通った綺麗な青色をしていて淡く輝いている。
「この魔石ってかなり高価な物なのに全員に配るって太っ腹だよな」
魔石に魅入っていると、隣にいた中学からの友人・アオイが話しかけてきた。
「それだけこの学園が新しい冒険者の育成に力を入れているってことだよな」
入学式に魔石を支給するとパンフレットに書いてあったことがこの学園に入る決め手となって、俺はこのホームの街にやって来た。
冒険者に憧れはあるが剣や魔法の才能はからっきしだ。だがそんな才能の無い人間でも召喚魔法によって喚ばれた魔獣の力を借りることで、英雄になるチャンスが与えられる。そのため俺は前からこの学園に強い興味を持っていた。
もし魔石が自腹だったなら一般学生に買えるはずもなく、入学を諦めていただろう。
「ではさっそく召喚をしてもらおうと思うのだが、全員にやり方を説明するために出席番号一番の生徒は前に出てもらえるか」
「オレか? じゃあなフォックス、行ってくるぜ」
物語が始まってようやく名前を呼ばれたことに安堵しつつアオイを見送った。
「魔方陣はあらかじめここに描かれている。陣の中央に魔石を置けば、自動で魔法が発動する」
生徒全員に声を届けアオイを魔法陣の中央へと案内する。
「召喚される異世界の生物はその魔力によって、N・R・SR・SSRにランク分けされる。どのランクのものが現れるのかはまったくの運だ。
召喚が成功すれば、手で触れることで精神にリンクが生まれ契約完了となる」
アオイは少し緊張してるっぽく頷いて石を陣に置いた。
「!!」
魔石に反応して魔法陣が強く光りだした。
しばらくすると光が収まり、代わりに魔法陣の上の影が一つ増えていた。
大きさは大型犬くらい。四足で尻尾が二つ、頭には鬼のように2本の角がありその間から背中にかけて黒いたてがみがあった。
アオイは学園長に促され恐る恐る初めて見る異世界の生き物に手を伸ばした。
現れた魔獣は喚んだ者が誰なのか理解しているのか、アオイの方をじっと見つめ手が触れるのを待っているみたいだ。
「ふむ」
その間、学園長は懐から何やら魔道具を取り出し魔獣に向けていた。
「ぐぅ」
アオイの手が頭に触れると、それまでじっとしていた魔獣がそろりと動きだし主と認めた人間の傍らに移動した。
「おぉーっ!」
どこからともなく拍手が上がり、瞬く間に会場全体を包み込んだ。
「よくやったな。その魔獣のランクはRだ。
確率はNが50% R40% SR9% SSRで1%と言われている」
なるほど、あの魔道具は魔力を計るための物だったんだな。
「それでは出席番号2番から順に並ぶのだ」
ぞろぞろと動く生徒の波に乗って俺も列へと歩きだした。
壇上に上がった初老の男性は眼前の新入生達を見渡して話を始めた。
「わしはこのアプリゲーム学園の学園長ウン・エイだ。
皆も知っての通り、この世界はモンスターの驚異にさらされている。勇敢な戦士達が日々戦ってはいるが、モンスターの勢いは止まってはいない。
この学園は冒険に必要な知識を学んでもらうと同時に、新たに開発された召喚魔法で異世界の生物を召喚・契約し、モンスターに対抗する英雄を育成するのが目的である」
学園長は熱がこもったように握り拳を作り演説を続けた。
「諸君には入り口で一人につき一つ召喚魔法に必要な魔石を配ったが、もらっていない者はおるかな?」
言われて俺はポケットに入れていた魔石を取り出した。
魔石はクリスタルのように透き通った綺麗な青色をしていて淡く輝いている。
「この魔石ってかなり高価な物なのに全員に配るって太っ腹だよな」
魔石に魅入っていると、隣にいた中学からの友人・アオイが話しかけてきた。
「それだけこの学園が新しい冒険者の育成に力を入れているってことだよな」
入学式に魔石を支給するとパンフレットに書いてあったことがこの学園に入る決め手となって、俺はこのホームの街にやって来た。
冒険者に憧れはあるが剣や魔法の才能はからっきしだ。だがそんな才能の無い人間でも召喚魔法によって喚ばれた魔獣の力を借りることで、英雄になるチャンスが与えられる。そのため俺は前からこの学園に強い興味を持っていた。
もし魔石が自腹だったなら一般学生に買えるはずもなく、入学を諦めていただろう。
「ではさっそく召喚をしてもらおうと思うのだが、全員にやり方を説明するために出席番号一番の生徒は前に出てもらえるか」
「オレか? じゃあなフォックス、行ってくるぜ」
物語が始まってようやく名前を呼ばれたことに安堵しつつアオイを見送った。
「魔方陣はあらかじめここに描かれている。陣の中央に魔石を置けば、自動で魔法が発動する」
生徒全員に声を届けアオイを魔法陣の中央へと案内する。
「召喚される異世界の生物はその魔力によって、N・R・SR・SSRにランク分けされる。どのランクのものが現れるのかはまったくの運だ。
召喚が成功すれば、手で触れることで精神にリンクが生まれ契約完了となる」
アオイは少し緊張してるっぽく頷いて石を陣に置いた。
「!!」
魔石に反応して魔法陣が強く光りだした。
しばらくすると光が収まり、代わりに魔法陣の上の影が一つ増えていた。
大きさは大型犬くらい。四足で尻尾が二つ、頭には鬼のように2本の角がありその間から背中にかけて黒いたてがみがあった。
アオイは学園長に促され恐る恐る初めて見る異世界の生き物に手を伸ばした。
現れた魔獣は喚んだ者が誰なのか理解しているのか、アオイの方をじっと見つめ手が触れるのを待っているみたいだ。
「ふむ」
その間、学園長は懐から何やら魔道具を取り出し魔獣に向けていた。
「ぐぅ」
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「おぉーっ!」
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確率はNが50% R40% SR9% SSRで1%と言われている」
なるほど、あの魔道具は魔力を計るための物だったんだな。
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