ビターシロップ

ゆりすみれ

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“巣立ちのとき”

8-1 後悔させねぇから

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 拾った子供は【ケーキ】だった──。





 十年前。

 桜の季節が終わり、新緑のたくましい生命力とともに世の中が清々しく活気づいている頃、そんな瑞々しさとは無縁のフォーク専用ウリ専【Vanillaヴァニラ】は、路地裏にある少しさびれたビルの2階で今日もひっそりと営業していた。

『井上さんお待たせー。さ、行きましょ』

 事務所のロッカーから薄手のカーディガンを取ってきて羽織った須磨子が、店の出入口の前で待っていた井上にそう声を掛けた。

『須磨子ちゃん、わざわざありがとう』

『いいのよぉ、アタシが井上さんを送りたいの』

 須磨子はスマートに井上の腕に自分の腕を絡めると、歩幅を合わせて一緒にビルのエレベーターに向かう。このまま1階へ下りて、最寄り駅まで井上をお見送りするところだ。

 井上は須磨子よりも少し年上のフォークの男で、昔から個人的に懇意にしている知人だった。井上は味にこだわる所謂いわゆるなフォークで、須磨子が三年前に【Vanilla】を開店させたときから定期的に店に関する助言をもらっているアドバイザー的な存在である。今日も店に遊びに来てくれたついでに事務所でいろいろと相談に乗ってもらっていたら、いつの間にか終電の時分になっていた。話は尽きない。

 開店して三年、【Vanilla】の経営は順調だったが、野心家の須磨子はまだまだ上を目指せると感じていた。周りには同業の風俗店も多く、気は抜けない。今はまだ【Vanilla】しか持っていないが、近々店舗を増やす計画もある。この業界で成功するための努力は惜しまない。そう思って須磨子は、信頼している井上の助言を今日も真摯しんしに受け取っていた。

 井上と腕を組んだまま、照明がやたら少ない薄暗いビルの出入口にやって来た須磨子は、そこでひとりの男が出入口の壁にもたれて座り込んでいるのを見つけた。

『あらやだ、酔っぱらいかしら?』

 須磨子はピンヒールをコツコツと鳴らしながら、井上と一緒に男に近づいた。酔っ払いがうずくまっているのはこの路地裏ではよく見かける光景なので、別段驚かない。ここで吐かれるのも面倒なので、穏便に移動してもらおうと須磨子は井上から腕を離し、さらに男に近づいた。しゃがんで、男の様子をうかがう。

 近づいても酒の匂いはしなかった。下を向いている顔をそっとのぞき込む。整った顔立ちの、まだ幼い少年だった。服装も顔も見た目が派手な、典型的な今時の子という感じがした。まだ10代だろうとは思ったが、この路地裏のどこかの店の子かもしれない。

『アンタ、大丈夫?』

 須磨子が声を掛けながら少年の肩を揺らすと、そのままその場に倒れ込んでしまった。少年はくたっとしている。

『やだ、飲んでなさそうなのに倒れるの!? 救急車かしら……』

 自分の手には負えなさそうだと、緊張した面持ちで須磨子が携帯を取り出そうとしていると、

『腹減った……なんか……食わせて……』

 と、地べたに倒れた少年が弱々しく言った。

『はら、へった……?』

 少年の切羽詰まった言葉に、須磨子と井上が、どういうこと? と思わず顔を見合わせる。

『金、尽きた……金なくて、もうなんも買えねぇんだよ……』

『なにー? 家出少年? 家に帰って親に食べさせてもらいなさいよー』

 病気や事故のたぐいではなかったことに安心し、須磨子がふっと気を緩めた。この路地裏には時々こういう若者がどこからともなく迷い込んでくる。扱いに慣れている須磨子は、軽くあしらうように少年に告げた。

 とにかく家へ帰そうと決めて、しょうがないわねぇとつぶやきながら須磨子が少年を起こすために手を伸ばしたとき、一歩後ろで二人を見ていた井上が唐突に口を開いた。

『須磨子ちゃん、この子……ケーキだよ』

 あまい匂いにすぐ気づいた井上が、驚いた顔を隠せずに神妙な表情でこっそりと須磨子に教えてやる。声量を落としたのは、少年に聞こえないように気を遣ったからだ。

『あら、ケーキ……』

『驚いたな……こんな強烈なあまい香り、初めて嗅ぐよ。今まで出会ったことのないタイプのケーキだ……強くて凶暴なあまい匂いがする』

『えぇ!?』

 井上のグルメ振りを知っている須磨子は、初めて見る井上の困惑した顔につられて自分も困惑してしまった。ケーキでもフォークでもない普通の人間の須磨子は、この少年から感じ取れるものは何もない。

『そんなにすごいの!?』

『すごいよ、ちょっと僕も動揺してる。まるで未知の発見をしたみたいだ。……この子、どこかの店の子? 新人くんかな? こんな子にこのエリアで稼がれたら、【Vanilla】大丈夫かなって心配になるレベルだよ』

『そ、そんなに……』

 井上にここまで言わせるケーキが存在するなんてとにわかには信じられない気持ちだったが、彼のケーキに対する嗅覚と味覚には絶対の信頼を寄せている須磨子だったので、きっとまちがいないのだろうとその意見をあっさりと受け入れる。

『須磨子ちゃん悪いけど、僕は先に失礼するよ。このままここにいたら、子供相手におかしな気起こしそう』

『えぇ!? ……はぁい、わかったわ。井上さんごめんね、気をつけて帰ってね』

『この子がどこの店の子かわかったらまた教えて。スパイしに行ってあげるよ』

 そう言って井上は最寄り駅の方へとひとりで歩き出した。後ろ姿が闇夜に吸い込まれていくのを見届けてから、須磨子は目の前で腹を空かせて倒れている少年に改めて向き合う。とりあえず、ここに放置しておくわけにもいかない。

『アンタ、歩ける?』

『え……』

『ここで倒れられてても営業妨害だから、……うちの事務所に来なさい』

 初夏の足音が近づく静かな夜、須磨子は空腹のケーキを拾って店に連れ帰った。




 
 事務所内の休憩スペースに少年を座らせ何が食べたいのと訊いたら、うわ言のように激辛麻婆豆腐という謎の返答があったので、須磨子は無難にデリバリーでピザを注文した。届いたピザに、少年は無我夢中で食らいつく。一緒に注文してやったポテトとナゲットとコーラも綺麗に平らげると、少年は生き返ったようにようやく目に光を灯して、向かいに座っている須磨子を見た。

『ありがとう……ございました。あとで必ず金払うから』

 須磨子もようやくちゃんと、少年の生気が戻った表情を見る。ぱっと見の印象で大人びているかと思ったが、顔をよくよく見るとまだあどけなさの残る可愛らしい男の子だった。幼い感じはしたが二重の瞳がくっきりとしていて、表情全体をずいぶん華やかに見せている。可愛らしいのに、人をたらし込むような妙な色気も混在する、不思議な少年だと須磨子は思った。

『そんなの別にいいわよ。空腹で倒れてる子供放っておけないでしょ、大人として。……さ、食べ終わったなら家に帰りなさい、タクシー呼んであげるわ』

 須磨子が今度こそ少年を運ぶ乗り物を呼ぼうと携帯を手にすると、

『家、ねぇから』

 と、少年が小さく告げた。

『はぁ? 家ないの? どうやって暮らしてたの? っていうか、アンタこの辺の風俗で働いてる子なんじゃないの?』

 井上が気にしていたことをさりげなく訊いてみる。このエリアにケーキがうろついている理由を、須磨子はそれしか思いつかない。

『今までは日雇いのバイト探しながらネカフェ転々としたり、カラオケに朝までいたり……。風俗は、……やったことねぇけど』

 どこかのボーイではないことを知って、須磨子は少しほっとした。井上の言う通りだとしたら【Vanilla】の脅威になりかねない。本当にただ偶然この路地裏に迷い込んだだけで、少年自身も自分がケーキだとわかっていないのかもしれないと須磨子は思う。

『そんな生活いつまでも続けられるはずないわ。アンタ家出? だったら親に謝って、大人しく実家に帰りなさい』

 大人の適切なアドバイスに、少年がうつむく。

『……帰れない』

『親と喧嘩してるの?』

『……もう、ケンカすらずっとしてねぇ。あきらめてんだ、お互いに。勝手にしろって言われてる』

『そんな、意地張らないの。ちゃんと話し合いすれば……』

『戻りたくねぇんだ、……あの街には』

 須磨子の言葉を遮るように、少年が語気を強めた。何かとてもよくないことがあったのだろうと察した須磨子は、もうこれ以上帰れとは言わなかった。店に在籍しているボーイにも、人には言えない秘密や訳ありの事情を抱えている子たちはたくさんいる。ここはそういう若者の、最後の受け皿になればいいと須磨子は考えていた。

『あの、』

 少年が顔をきちんと上げて須磨子を見た。やっぱり華やかで、人を誘うのがうまそうな顔立ちをしていると改めて須磨子が感心する。その上で、ケーキだなんて。

『オレを、雇って、……ください』

 須磨子もきちんと少年に向き合い、真剣な表情で口を開いた。

『アンタ、ここが何をする場所で、自分が何者かわかって言ってんの?』

『ここのことは知ってる。前にネットで調べたことある。……今日は腹減り過ぎて、もう死ぬやばいって思って、ふらふらで、気づいたらここに来てた』

『自分がケーキってことも知ってるのね?』

 須磨子の確認に少年がうなずく。わかっていて、ここで何が行われているかも知っていて、このビルの入口にいたのだ。

『アンタ、いくつ?』

『16に、この前なったばっか』

『ボーイの仕事は18からしかできないわ』

『……っ』

 少年が悔しそうに口唇を噛んだ。言われなくても、知っていたかもしれない。一縷いちるの望みをかけて、自分の生き延びる道を懸命に模索してここにたどり着いたとしたなら、須磨子はその小さな灯火に似た希望を踏みにじることはできないと思った。ここはそういう子たちの、最後の拠り所だ。この少年が故郷で大人たちにないがしろにされていたなら、この地で別の大人が救ってやるべきだと須磨子は心を決める。

『二年後にもう一度来てちょうだい……って、言いたいところだけど』

 須磨子は、しょうがないわねぇと少年に笑いかけた。

『いいわ、うちで雇ってあげる』

 少年ははっとして、須磨子をじっと見つめる。

『ただしボーイの仕事は今はさせられないから、店の雑用とアタシの手伝いよ。近々新店舗増やしたいと思ってたし、雑用の人手が欲しかったの。家も最初はこの近くでアパート借りてあげるわ。お金貯まったら自分でいいとこ探しなさい』

『いい、の……?』

『その代わり、18になったら必ずボーイになって店に還元すること。めいっぱい働いてもらうから覚悟しておきなさい』

『……どうして、そんなに、してくれるんだよ』

 少年は驚きと安堵を混ぜた複雑な顔をして須磨子に訊いた。さっき初めて会ったばかりなのに、こんなに親切にしてもらえる理由がわからなくて戸惑う。今までの大人は、自分を厄介者扱いする人たちばかりだった。

『そうねぇ……アンタを他の店に取られたくないからかしら。なんか、凄いケーキみたいだから、アンタ。ここではケーキは商品よ。全部ビジネス、それだけ』

 本当はそれだけではなかったが、須磨子は余計なことは言わずに少年を納得させる。

『たまには青田買いもいいでしょう。アンタが【Vanilla】の起爆剤になったらラッキーくらいに思っておくわ』

 無邪気に笑う須磨子に、少年がうつむいた。感極まっているのかもしれない。今まで一体どれほどの苦悩と無念の中で生きてきたのかと、須磨子が目の前のまだ幼い子供を慈愛に満ちた目で見つめた。心の中だけで、大丈夫、まだアンタだって充分にやれるのよとエールを送る。

『……ありがとう、ござい、ます』

 涙をこらえているような声だったが、須磨子は何も気づかない振りをしてやった。

『オレを雇ったこと、……ぜってぇ後悔させねぇから』

『いいわね。そういう強気なとこ、嫌いじゃないわ』

 須磨子がにやりと笑う。こういう子は伸びると確信する。

『……で、アンタ、名前は?』

 少年は顔を上げて、名を告げた。

『琉架。……咲十琉架』





『やだ琉架!? アンタ、なんて顔してんのよぉ!?』

 出勤してきた琉架が事務所に顔を出すと、琉架の顔を見た須磨子が大きな声を上げて立ち上がった。パソコンで事務作業をしていた須磨子から、見る見る血の気が引いていく。事務所の休憩スペースに座って菓子をつまんでいた先輩ボーイ二人も、何事かと琉架の方に目をやった。

 18になった琉架は約束通りボーイとして接客を始めた。あのときグルメな井上が言っていたことは本当で、琉架はあっという間に界隈の有名ケーキになり、【Vanilla】に大きな利益をもたらした。店を盛り上げる起爆剤になったらラッキーくらいに思っていた須磨子だったが、蓋を開けてみたらとんでもないモンスターだった。

『誰にやられたの!?』

 須磨子は慌てて琉架に駆け寄り、琉架の頬にそっと手を当てた。琉架の左頬は大きく赤くれ上がっている。殴られたのは一目瞭然だった。

『店辞めろって言われて、辞めるわけねぇだろっつったら、キレられて殴られた』

『何!? 彼氏!?』

『そう』

 琉架は平然と、もう吹っ切れているような言い方をした。

『もぉーっ、うちの大事な琉架の顔になんてこと……』

『もうあんなやつどうでもいい。どうせオレの体液目当てだっただけだろうし』

『アンタ、またフォークと付き合ってたの? もう、懲りない子ねぇ』

 琉架の危なっかしい恋愛を、須磨子はいつも心配していた。商品としての心配ももちろんあったが、いつの間にかすっかり芽生えてしまった親心のようなものがついうずいてしまう。

『しょうがねぇだろ。オレと付き合いたいやつなんて、フォークしかいねぇんだから』
 
『そんなことないわよ……』

『琉架、おまえ前もフォークの彼氏とトラブってたよな?』

 琉架と須磨子のやり取りを聞いていた先輩ボーイが、休憩スペースから口をはさんだ。

『もうおまえ、仕事以外でフォークと関わるのやめたら?』

 もうひとりの先輩ボーイも激しく同意しながら、琉架に語りかける。

『そうそう。求められてうれしいのはわかるけど、恋愛絡むと難しいよ、ケーキとフォークって。ふと、何求められてんのか、わかんなくなる。結局食べたいだけじゃん、ってなる』

『なに、経験者は語る? ってやつ?』

『そ。もうビジネスだけで充分だよ。ビジネスならわかりやすくていい』

 先輩二人が話に花を咲かせるのを、琉架はぼんやりと見つめながらつぶやいた。

『……大事に、されなかった』

 彼氏に暴力を振るわれたり、変質者にあんな風に襲われたり、本当に自分はどうしようもないなと思い出すだけで琉架は虚しくなる。

『手を上げるような男、どんな理由があろうとろくでなし確定なんだから、早めに気づけてよかったじゃない』

 琉架のつぶやきを拾って、須磨子がフォローする。

『大丈夫よ。いつかアンタにも、アンタのことちゃーんと大事にしてくれる人、現れるわよ』

『何それ。適当なこと言うなよ。気休めとかいいから』

『もちろん、勝手に大事にされるわけじゃないわ。まずはアンタ自身。アンタからちゃんと相手を愛して、大事にして?』

『……』

『それから今度は、アンタが愛される努力をするの。人にやさしくしてあげたり、困っている誰かを支えてあげたり。果てしなく思えても、そういう些細な努力はきっといつかどこかで実を結ぶわ。見てる人は、ちゃんと見てるものよ』

『そうかなぁ……』

 半信半疑の琉架は、気のない返事をする。そんな人がいつか本当に現れるなんて、やはり信じられない。

『大事にされるような人間でいなさい』

 須磨子はそう言って、琉架の頭をやさしく撫でた。いつか出会うその人が、琉架を大事にしてくれますようにと願いをかける。

『さ、コンビニ行って氷買ってきましょ。ほっぺた冷やさなくちゃ』

『え、須磨子さんコンビニ行く? アイス食いたい! 買ってきてー』

 コンビニ、という単語に鋭く反応した先輩ボーイが声を掛けた。

『ちょっと!? どこの世界に店長にパシリさせる従業員がいるのよ!? ……アイス食べたいなら一緒に来なさい、買ってあげるから』

『やったラッキー。……琉架も行こうぜ』

『え、……うん』

 先輩に誘ってもらい、琉架も一番後ろからついていく。

 ──まずはアンタ自身。アンタからちゃんと相手を愛して、大事にして?

 いつか、愛して大事にしたいと思える人に、本当に出会えるんだろうか。そしてその人に、愛してもらえるんだろうか。

 須磨子の言葉を耳に返しながら、琉架はみんなについてビルのエレベーターに向かう。

 いつか、きっと、……か。

 とにかく今は氷とアイスで頬と頭をしっかり冷やそうと、琉架は下がるエレベーターの中でひっそりと思った。
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