7 / 17
⑦
しおりを挟む
六月だったが、深い夜はまだ少し肌寒い。
桜助はデニムに薄手のパーカーという飾り気のない格好で紘夢のアパートにやって来ていた。アパートに来たといってもまだ部屋には上がっていない。最寄り駅まで地下鉄に揺られ、駅からアパートの下まで自転車を走らせてきただけである。
桜助は小さな駐輪場から二階の紘夢の部屋を見上げ、明かりが点いているかを確認した。窓からひっそりとこぼれ落ちる光を見つけ、紘夢が部屋に帰っていることを確かめる。桜助の手首の上で生真面目に時を刻んでいる時計は、22時を少し回っていた。
自転車を並べ終えた桜助は何かを整えるように一度大きく深呼吸をしてから、一旦アパートの外階段の最下段に腰かけた。大きな背中を丸めて前のめりに小さく座ってしまったのは、怖気づいてどうしようもなく震える膝を抱えたかったからなのかもしれない。
軽く恋人を訪ねに来ただけなのに、もう一年以上も通っている慣れ親しんだ場所であるはずなのに、今の桜助には果てしなく遠い場所のように思えた。怖がる膝を庇うようにつかんでいた手に、じっとりと嫌な汗が滲む。
連絡を入れずに突然来てしまったのは初めてだった。ほぼ定例化している週末の逢瀬でさえ、きちんと約束をしてからでなければ紘夢の部屋に足を踏み入れることはなかった。
桜助は勝手に、それが社会人と付き合うことの最低限のルールのように思っていた。日頃から教師の仕事に忙しい紘夢に余計な負担を掛けたくないのはもちろんだったが、一時的な熱に浮かされて無計画に会いに来たなんて言ったら、意外としっかり仕事と恋愛の線引きをしている紘夢に嫌な顔をされるのではないかと、実はずっと怖れていた。桜助はただ、紘夢の困った顔は見たくなかった。
だからこんな抜き打ちテストみたいな真似は、膝を震わせてしまうほどの惨めな冒険だった。嫌な顔をされるかもしれない、困った顔を見てしまうかもしれない。紘夢が見せる顔ひとつでこの恋の価値が計れてしまう。
試しに来たのだと、桜助の目的は明確だった。サイトに載せられていた百瀬との密会写真、夜な夜な会っているという噂。二人の後ろ姿が隠し撮りされた場所は、桜助がよく知っている場所だった。見まちがえるはずもなく、それは紘夢のアパートの前の道だった。
何もやましいことがなければ気まぐれに会いに来たって受け入れてくれるはずだと、桜助はほとんど自分に言い聞かせるようにそう思った。
──なんかの事情があって一緒にいたところを、たまたま写真に撮られただけだろ。別にあいつが紘夢の部屋に出入りしてるなんて、これっぽっちも思ってねぇし。
ぐちゃぐちゃな胸の内を整理して言葉にしたら本当にそう思っていることになるような気がして、桜助は心の中だけでその整えられた台詞を唱える。半分嘘の台詞は、紺色のとばりに包まれた夜の空へぐっと吸い込まれていく。
──教育実習がきっかけで元サヤなんてシャレになんねぇし。そもそも、昔付き合ってたのなんだのって話もサイトの中だけのただの噂だし。俺はこれっぽっちも。これっぽっちも。
これっぽっちもそう思っていないはずの桜助は今、紘夢を試すためだけにここにいる。愚かしくて、滑稽で、なんだか哀しい。
結局震える膝が何を怖がっているのか、桜助にはもうよくわからなくなっていた。紘夢の迷惑そうな顔を目の当たりにすることなのか、気に入らない教育実習生との知らなくてもいい真実を知ってしまうことなのか。どうしても紘夢が笑顔で自分を迎え入れてくれるところが想像できず、劣等感の塊に支配された脳裏には最悪の二択しかよぎらない。
しばらくそんなことを悶々と考えながら外階段のいちばん下でうなだれるように座り込んでいると、二階のどこかの部屋が慌ただしく開く音が桜助の耳に入ってきた。
反射的に何気なく振り仰いだ桜助の目に飛び込んできたのは、最もここにいてはいけないはずの男が、階段のいちばん上で立ち尽くしている光景だった。
「!?」
互いの視線が強くぶつかり合う。どちらもこの悪戯のような不意打ちには即座に反応できなかったようで、しばらく不動で見合う形になった。桜助は立ち上がることも忘れて、首を180度ねじったまま階段の上方をひたすら仰ぎ見るだけである。
見下ろす百瀬と、見上げる桜助。アパートの前の道を車が通り、ヘッドライトの白い光が階段の上を屈折しながら走っていく。
──紘夢の部屋から出てきた……よな……?
──なんで? なんで、百瀬が……。なんで、ここに、なんで、こんな時間に、なんで紘夢の部屋に、なんで!
責めるような疑問詞しか浮かんでこない桜助の顔は、一旦冷静にならなければという微かな意思とは裏腹にどんどん歪んでいく。怒っているような、それでいて少し泣きそうな顔をしている自分に驚いて、顔を掻きむしりたい衝動に駆られた。
「……高橋」
突然上方から名を呼ばれ、まちがいなく自分を指し示すその単語に、桜助は肯定も否定もできなかった。薄暗いはずの外階段で寸刻対峙しただけなのに迷うことなくすっと名を言い当てられ、もはや恐怖さえ感じてしまう。
予期せぬ場所で予期せぬ人に出会ったとしたら、まずはその真偽を疑ってすぐには決め付けられなそうなものだが、今の百瀬にはそれがなかった。百瀬にとってここに自分がいることは不自然ではなかったということかと、桜助が焦る。
──なんで、俺のこと、すぐにわかった……? 俺がここにいんのおかしいって思わねぇのか……? 何か、知ってんのか……?
理解できないことが多すぎて、ふくらみ出した疑念はとどまることを知らなくて、桜助の思考回路は故障に向かっていく。疑いたくないやさしい恋人を、疑う。
「徳田先生に何か用か?」
事務的な短い問いかけだったが、それはまるでそっち側のような口振りだった。自分は紘夢の関係者だという主張に聞こえる言い方に、桜助は汗ばんでいたてのひらをきつく握りしめる。
桜助は呆然と百瀬を仰いだまま、何も言えなかった。うかつに口を滑らせて余計なことを言ってしまったら、紘夢との約束を破ることになる。仮に百瀬が何か知っていたとしても、わざわざこちらの口からネタばらしをすることはない。
秘密の恋を貫けなかった先に二人の未来はないのだと、桜助は口唇をぐっと引き結んで耐えた。
言えないことが本当に苦しい。紘夢の恋人である自分がここにいるのは当然なのだと、百瀬の目の前で紘夢の肩を抱き寄せながら見せ付けるように言ってやりたい。でも、言ってはいけない。苦しい。苦しい。苦しさから逃れようと、百瀬をただ睨み付ける。
「徳田先生なら中にいる。俺は用が済んだから帰る」
訊いてもいないのに一方的にそう言った百瀬が、ゆっくりと階段を下り始めた。
それを見た桜助はようやく立ち上がって、百瀬が視界に入らないようにうつむいて階段を駆け上がった。百瀬の横を一気に走って通り過ぎる。ひどく惨めな気持ちで百瀬とすれ違っている自分が情けなくて、階段を駆け上がる膝がまた震え出す。
自分こそが本当のそっち側であるはずなのに、百瀬を前にするとどうしてか部外者になってしまった気がしてならない。
「徳田先生ってこんな夜遅くにまで駆け込み生徒の面倒見るのか……教師の鑑だな」
すれ違いざまに、百瀬がぼそっとそう言い放った。紘夢に対しての嫌味のニュアンスがあるような気がして、桜助はカッと頭に血がのぼるのを感じた。それでも気づかなかった振りをして、とにかく二階へ向かう。今の一時的な動揺で百瀬の挑発に乗るのは利口ではない。
「なぁ」
下方から強く呼び止められて、桜助は最上段で足を止めた。百瀬の方には振り返らずに、前に見える紘夢の部屋の扉を見つめる。今度は百瀬が下から桜助を見上げるようにして、無言を貫く生意気な生徒の背中に尋ねた。
「なんでいつも俺を睨む? 教室でも今も、高橋はいつも俺を睨んでばっかだ」
ひそかに睨んでいる事実も、これから紘夢の部屋に上がり込むことも、何も肯定してはいけない。認めてしまったら最後、それは真実になる。郁弥にからかわれたときと同じように、たとえどんなに不自然でも桜助はすり抜けるようにかわすしかない。
背中に投げられた問いに答えることなく、桜助は走り出した。悔しさで握りしめたてのひらに、少し伸びた爪がじりじりと食い込む。紘夢の部屋へ向かう。
──俺があんたを睨む理由を、なんであんたが知りたがる?
桜助はデニムに薄手のパーカーという飾り気のない格好で紘夢のアパートにやって来ていた。アパートに来たといってもまだ部屋には上がっていない。最寄り駅まで地下鉄に揺られ、駅からアパートの下まで自転車を走らせてきただけである。
桜助は小さな駐輪場から二階の紘夢の部屋を見上げ、明かりが点いているかを確認した。窓からひっそりとこぼれ落ちる光を見つけ、紘夢が部屋に帰っていることを確かめる。桜助の手首の上で生真面目に時を刻んでいる時計は、22時を少し回っていた。
自転車を並べ終えた桜助は何かを整えるように一度大きく深呼吸をしてから、一旦アパートの外階段の最下段に腰かけた。大きな背中を丸めて前のめりに小さく座ってしまったのは、怖気づいてどうしようもなく震える膝を抱えたかったからなのかもしれない。
軽く恋人を訪ねに来ただけなのに、もう一年以上も通っている慣れ親しんだ場所であるはずなのに、今の桜助には果てしなく遠い場所のように思えた。怖がる膝を庇うようにつかんでいた手に、じっとりと嫌な汗が滲む。
連絡を入れずに突然来てしまったのは初めてだった。ほぼ定例化している週末の逢瀬でさえ、きちんと約束をしてからでなければ紘夢の部屋に足を踏み入れることはなかった。
桜助は勝手に、それが社会人と付き合うことの最低限のルールのように思っていた。日頃から教師の仕事に忙しい紘夢に余計な負担を掛けたくないのはもちろんだったが、一時的な熱に浮かされて無計画に会いに来たなんて言ったら、意外としっかり仕事と恋愛の線引きをしている紘夢に嫌な顔をされるのではないかと、実はずっと怖れていた。桜助はただ、紘夢の困った顔は見たくなかった。
だからこんな抜き打ちテストみたいな真似は、膝を震わせてしまうほどの惨めな冒険だった。嫌な顔をされるかもしれない、困った顔を見てしまうかもしれない。紘夢が見せる顔ひとつでこの恋の価値が計れてしまう。
試しに来たのだと、桜助の目的は明確だった。サイトに載せられていた百瀬との密会写真、夜な夜な会っているという噂。二人の後ろ姿が隠し撮りされた場所は、桜助がよく知っている場所だった。見まちがえるはずもなく、それは紘夢のアパートの前の道だった。
何もやましいことがなければ気まぐれに会いに来たって受け入れてくれるはずだと、桜助はほとんど自分に言い聞かせるようにそう思った。
──なんかの事情があって一緒にいたところを、たまたま写真に撮られただけだろ。別にあいつが紘夢の部屋に出入りしてるなんて、これっぽっちも思ってねぇし。
ぐちゃぐちゃな胸の内を整理して言葉にしたら本当にそう思っていることになるような気がして、桜助は心の中だけでその整えられた台詞を唱える。半分嘘の台詞は、紺色のとばりに包まれた夜の空へぐっと吸い込まれていく。
──教育実習がきっかけで元サヤなんてシャレになんねぇし。そもそも、昔付き合ってたのなんだのって話もサイトの中だけのただの噂だし。俺はこれっぽっちも。これっぽっちも。
これっぽっちもそう思っていないはずの桜助は今、紘夢を試すためだけにここにいる。愚かしくて、滑稽で、なんだか哀しい。
結局震える膝が何を怖がっているのか、桜助にはもうよくわからなくなっていた。紘夢の迷惑そうな顔を目の当たりにすることなのか、気に入らない教育実習生との知らなくてもいい真実を知ってしまうことなのか。どうしても紘夢が笑顔で自分を迎え入れてくれるところが想像できず、劣等感の塊に支配された脳裏には最悪の二択しかよぎらない。
しばらくそんなことを悶々と考えながら外階段のいちばん下でうなだれるように座り込んでいると、二階のどこかの部屋が慌ただしく開く音が桜助の耳に入ってきた。
反射的に何気なく振り仰いだ桜助の目に飛び込んできたのは、最もここにいてはいけないはずの男が、階段のいちばん上で立ち尽くしている光景だった。
「!?」
互いの視線が強くぶつかり合う。どちらもこの悪戯のような不意打ちには即座に反応できなかったようで、しばらく不動で見合う形になった。桜助は立ち上がることも忘れて、首を180度ねじったまま階段の上方をひたすら仰ぎ見るだけである。
見下ろす百瀬と、見上げる桜助。アパートの前の道を車が通り、ヘッドライトの白い光が階段の上を屈折しながら走っていく。
──紘夢の部屋から出てきた……よな……?
──なんで? なんで、百瀬が……。なんで、ここに、なんで、こんな時間に、なんで紘夢の部屋に、なんで!
責めるような疑問詞しか浮かんでこない桜助の顔は、一旦冷静にならなければという微かな意思とは裏腹にどんどん歪んでいく。怒っているような、それでいて少し泣きそうな顔をしている自分に驚いて、顔を掻きむしりたい衝動に駆られた。
「……高橋」
突然上方から名を呼ばれ、まちがいなく自分を指し示すその単語に、桜助は肯定も否定もできなかった。薄暗いはずの外階段で寸刻対峙しただけなのに迷うことなくすっと名を言い当てられ、もはや恐怖さえ感じてしまう。
予期せぬ場所で予期せぬ人に出会ったとしたら、まずはその真偽を疑ってすぐには決め付けられなそうなものだが、今の百瀬にはそれがなかった。百瀬にとってここに自分がいることは不自然ではなかったということかと、桜助が焦る。
──なんで、俺のこと、すぐにわかった……? 俺がここにいんのおかしいって思わねぇのか……? 何か、知ってんのか……?
理解できないことが多すぎて、ふくらみ出した疑念はとどまることを知らなくて、桜助の思考回路は故障に向かっていく。疑いたくないやさしい恋人を、疑う。
「徳田先生に何か用か?」
事務的な短い問いかけだったが、それはまるでそっち側のような口振りだった。自分は紘夢の関係者だという主張に聞こえる言い方に、桜助は汗ばんでいたてのひらをきつく握りしめる。
桜助は呆然と百瀬を仰いだまま、何も言えなかった。うかつに口を滑らせて余計なことを言ってしまったら、紘夢との約束を破ることになる。仮に百瀬が何か知っていたとしても、わざわざこちらの口からネタばらしをすることはない。
秘密の恋を貫けなかった先に二人の未来はないのだと、桜助は口唇をぐっと引き結んで耐えた。
言えないことが本当に苦しい。紘夢の恋人である自分がここにいるのは当然なのだと、百瀬の目の前で紘夢の肩を抱き寄せながら見せ付けるように言ってやりたい。でも、言ってはいけない。苦しい。苦しい。苦しさから逃れようと、百瀬をただ睨み付ける。
「徳田先生なら中にいる。俺は用が済んだから帰る」
訊いてもいないのに一方的にそう言った百瀬が、ゆっくりと階段を下り始めた。
それを見た桜助はようやく立ち上がって、百瀬が視界に入らないようにうつむいて階段を駆け上がった。百瀬の横を一気に走って通り過ぎる。ひどく惨めな気持ちで百瀬とすれ違っている自分が情けなくて、階段を駆け上がる膝がまた震え出す。
自分こそが本当のそっち側であるはずなのに、百瀬を前にするとどうしてか部外者になってしまった気がしてならない。
「徳田先生ってこんな夜遅くにまで駆け込み生徒の面倒見るのか……教師の鑑だな」
すれ違いざまに、百瀬がぼそっとそう言い放った。紘夢に対しての嫌味のニュアンスがあるような気がして、桜助はカッと頭に血がのぼるのを感じた。それでも気づかなかった振りをして、とにかく二階へ向かう。今の一時的な動揺で百瀬の挑発に乗るのは利口ではない。
「なぁ」
下方から強く呼び止められて、桜助は最上段で足を止めた。百瀬の方には振り返らずに、前に見える紘夢の部屋の扉を見つめる。今度は百瀬が下から桜助を見上げるようにして、無言を貫く生意気な生徒の背中に尋ねた。
「なんでいつも俺を睨む? 教室でも今も、高橋はいつも俺を睨んでばっかだ」
ひそかに睨んでいる事実も、これから紘夢の部屋に上がり込むことも、何も肯定してはいけない。認めてしまったら最後、それは真実になる。郁弥にからかわれたときと同じように、たとえどんなに不自然でも桜助はすり抜けるようにかわすしかない。
背中に投げられた問いに答えることなく、桜助は走り出した。悔しさで握りしめたてのひらに、少し伸びた爪がじりじりと食い込む。紘夢の部屋へ向かう。
──俺があんたを睨む理由を、なんであんたが知りたがる?
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
真面目な部下に開発されました
佐久間たけのこ
BL
社会人BL、年下攻め。甘め。完結までは毎日更新。
※お仕事の描写など、厳密には正しくない箇所もございます。フィクションとしてお楽しみいただける方のみ読まれることをお勧めします。
救急隊で働く高槻隼人は、真面目だが人と打ち解けない部下、長尾旭を気にかけていた。
日頃の努力の甲斐あって、隼人には心を開きかけている様子の長尾。
ある日の飲み会帰り、隼人を部屋まで送った長尾は、いきなり隼人に「好きです」と告白してくる。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は未定
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
・本格的に嫌われ始めるのは2章から
αが離してくれない
雪兎
BL
運命の番じゃないのに、αの彼は僕を離さない――。
Ωとして生まれた僕は、発情期を抑える薬を使いながら、普通の生活を目指していた。
でもある日、隣の席の無口なαが、僕の香りに気づいてしまって……。
これは、番じゃないふたりの、近すぎる距離で始まる、運命から少しはずれた恋の話。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる