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57.企業イジメ

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 ○月〇日。
 俺は、薬局で『歯のそうじ』を1ケース買ってきた。
「澄子。何とか記念って理由こじつけて、客に配ってくれ。」
「配るのはええけど、どうしたん?これ。」
「企業イジメや。三美さんが前に言ってたけど、那珂国はダークレインボーみたいな武装集団だけやなく、あらゆる手段で日本を配下におく為に工作してくる。蒲鉾屋の事件の時に言ウテたんや。今、小屋芝製薬は、『虹こうじ』で死者だしたって、叩かれている。今度は、『歯のそうじ』がオール日本歯科医師会の推薦から外されたことで、自主回収しろ、と厚労省が通達出して、『推薦』の文字がプリントされていないものを改めて販売することになったらしい。俺は『正義の味方』やろ?黙ってられへんねん。市内の薬局・ドラッグストア回って、テンバイヤーみたいなことして来た。でも、買い占めちゃうで。『救済』や。ネットで義憤を感じた人達は、ちょっとでも小屋芝製薬助けてやろう、って購買運動している。不買運動と逆や。宮田先生の事件も那珂国の策略や。陰謀言うたら、ぎゃあぎゃあ言う輩がおるから、『策略』か『戦略』なら問題ないやろ。」
「配るのもええけど、つまようじ立て、撤去するわ。替わりにこれ置く。使うわな、みんな。再発売されたら、よう売れるやろ。」
 感動した俺は、店の戸締まりをして、澄子の手を引き、2階に上がり、ドリンク剤とビタミン剤を飲んだ。
 澄子は、いやらしいランジェリーを引っ張りだして来た。
 夜。後悔した。昼間から頑張り過ぎた。
 明日、辻先輩のところに行こう。
 嫌味たっぷり聞かされるやろうな。
 調子こいて、『正義の味方』やて、柄にもないこと言うたな。
 総子が知ったら、指さして笑うやろな。
 まあ、ええわ。千里の道も一歩から、ローマは一日にしてならず、や。
 ―完―


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