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44.【狙われる人】
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○月〇日。
世の中に、「人に恨まれるような人では無かった」人はいない。
昔はよく、テレビのインタビューで被害者の近所の人や知人のことを訳知り顔で言うひとがいた。
『逆恨み』という、理不尽で屁理屈で構成された怨恨もある。この場合、警察はお手上げだ。興信所の仕事をしていると、この『逆恨み』の原因に突き当たることもある。
テレビの影響か?視聴者は、何らかの答えを求めるようになった。それが、テレビの過剰報道や、『えん罪』を産む偏向報道をする傾向に繋がった。
『加害者擁護』は平気で行われる。国民の英雄である筈のアスリートの『えん罪』も増えた。裁判沙汰になっても、ペロっと舌を出して終り。罰金よりも『えん罪』報道で先に儲けるから、ペイするのだ、と言う。
ふざけた奴らだ。ある『自称評論家』は、先日のランプ前大統領暗殺未遂事件に関して、「ロケットランチャー撃てば、命中したのに」とまことしやかに法螺をふいた。
狙撃犯を唆しているのか?尤も、テロリストは、『ビジネス』でやっている。
失敗しても、誰それを撃った人、という名前が売れればいいのだ。
アメリカ現大統領の『刺客』みたいなことを言う『お利口さん』もいるが、実際は、そう簡単なものではない。
阿倍野元総理の暗殺事件は、日本の『安全神話』を粉々に打ち砕いた。
『自称狙撃手』は、阿倍野元総理が、自分の家庭を壊した、『宗教の関係者』と勘違いした『おっちょこちょい』である。それなのに、マスコミは、彼を『英雄視』したり『無罪主張』したりする人をクローズアップする。
俺には、日本のマスコミこそテロリスト集団に見える。
バックアップをしているのだから。『加害者擁護』をしているのだから。
日記を書いている途中で、澄子が声をかけてきた。
「ふううん。あんた、えらい社会派やなあ。」「悪いか?」
「惚れ直した。ウチのこと、家出した時、必死で探してくれたもんなあ。」
その時、大きな音がした。
前の駐車場の裏手の駐輪場や。
あそこは、別の経営者やから、フェンスがあって、ここは袋小路みたいになっている。
非常時や。俺は、フェンスを跳び越えた。
定期預かりのエリアで、ぷすぷすと音がして燃えている。雇われ監視員が、必死で消火器を使い、消火をしている。誰かが呼んだのか、消防車が到着し、消火作業が始まった。
バケツリレーに参加していた俺は、消防隊員と交替し、野次馬の近くに避難した。
1時間後、鎮火した。皆は、消防隊員を讃えて拍手し、消防隊員は引き揚げた。警察の鑑識が入った。
後で、佐々ヤンに聞いたところ、自転車の前カゴに積んだ鞄には、ダイナマイトが入っていた。とても古いもので、火薬は微量だった、引火原因は『太陽』だった。
壊れた反射鏡が『虫眼鏡』の役割をした。鞄は黒かった。
夜。藤島病院のワコからの連絡で、交通事故に遭った高齢者が持っていた駐輪場定期預かり券から、燃えた自転車の持ち主が分かった。警察に届けた。
ワコは、電話を切る前に言った。「兄ちゃん、いつでも不倫したるで。擦り傷でも、体で治したるサカイな。」
笑えない冗談だった。電話を切ると、澄子が立っていた。電話の声を聴いた筈はないが、俺は藤島病院が捜査協力したことを話した。
何故、電話してきたのかは問わなかったが、澄子の目が燃えている。『火事』が延焼したか?俺は黙って、冷蔵庫のドリンク剤を飲んだ。
「さ。メシにしよか。」俺はさりげなく、澄子の胸を触って言った。
―完―
世の中に、「人に恨まれるような人では無かった」人はいない。
昔はよく、テレビのインタビューで被害者の近所の人や知人のことを訳知り顔で言うひとがいた。
『逆恨み』という、理不尽で屁理屈で構成された怨恨もある。この場合、警察はお手上げだ。興信所の仕事をしていると、この『逆恨み』の原因に突き当たることもある。
テレビの影響か?視聴者は、何らかの答えを求めるようになった。それが、テレビの過剰報道や、『えん罪』を産む偏向報道をする傾向に繋がった。
『加害者擁護』は平気で行われる。国民の英雄である筈のアスリートの『えん罪』も増えた。裁判沙汰になっても、ペロっと舌を出して終り。罰金よりも『えん罪』報道で先に儲けるから、ペイするのだ、と言う。
ふざけた奴らだ。ある『自称評論家』は、先日のランプ前大統領暗殺未遂事件に関して、「ロケットランチャー撃てば、命中したのに」とまことしやかに法螺をふいた。
狙撃犯を唆しているのか?尤も、テロリストは、『ビジネス』でやっている。
失敗しても、誰それを撃った人、という名前が売れればいいのだ。
アメリカ現大統領の『刺客』みたいなことを言う『お利口さん』もいるが、実際は、そう簡単なものではない。
阿倍野元総理の暗殺事件は、日本の『安全神話』を粉々に打ち砕いた。
『自称狙撃手』は、阿倍野元総理が、自分の家庭を壊した、『宗教の関係者』と勘違いした『おっちょこちょい』である。それなのに、マスコミは、彼を『英雄視』したり『無罪主張』したりする人をクローズアップする。
俺には、日本のマスコミこそテロリスト集団に見える。
バックアップをしているのだから。『加害者擁護』をしているのだから。
日記を書いている途中で、澄子が声をかけてきた。
「ふううん。あんた、えらい社会派やなあ。」「悪いか?」
「惚れ直した。ウチのこと、家出した時、必死で探してくれたもんなあ。」
その時、大きな音がした。
前の駐車場の裏手の駐輪場や。
あそこは、別の経営者やから、フェンスがあって、ここは袋小路みたいになっている。
非常時や。俺は、フェンスを跳び越えた。
定期預かりのエリアで、ぷすぷすと音がして燃えている。雇われ監視員が、必死で消火器を使い、消火をしている。誰かが呼んだのか、消防車が到着し、消火作業が始まった。
バケツリレーに参加していた俺は、消防隊員と交替し、野次馬の近くに避難した。
1時間後、鎮火した。皆は、消防隊員を讃えて拍手し、消防隊員は引き揚げた。警察の鑑識が入った。
後で、佐々ヤンに聞いたところ、自転車の前カゴに積んだ鞄には、ダイナマイトが入っていた。とても古いもので、火薬は微量だった、引火原因は『太陽』だった。
壊れた反射鏡が『虫眼鏡』の役割をした。鞄は黒かった。
夜。藤島病院のワコからの連絡で、交通事故に遭った高齢者が持っていた駐輪場定期預かり券から、燃えた自転車の持ち主が分かった。警察に届けた。
ワコは、電話を切る前に言った。「兄ちゃん、いつでも不倫したるで。擦り傷でも、体で治したるサカイな。」
笑えない冗談だった。電話を切ると、澄子が立っていた。電話の声を聴いた筈はないが、俺は藤島病院が捜査協力したことを話した。
何故、電話してきたのかは問わなかったが、澄子の目が燃えている。『火事』が延焼したか?俺は黙って、冷蔵庫のドリンク剤を飲んだ。
「さ。メシにしよか。」俺はさりげなく、澄子の胸を触って言った。
―完―
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