上 下
43 / 72

43.【偽警官】

しおりを挟む
 ○月〇日。
 西成区。昼過ぎ迄、浮気調査をして、遅い昼食を終えた俺と倉持は、放火現場を目撃した。
 現場を去ろうとした犯人を2人で押さえつけ、俺は119番をした。
 何かの薬を使ったのか、もうボヤでは済まない火事になっていた。
 近所の商店から駆けつけた人達が、必死にバケツリレーを試みたが、敵わない火の勢いだ。
 警察官が、やって来たが、俺達が取り押さえている男を連れ出そうとした。
 そこへやって来た、もう1人の警察官が、「ほむら警部です。」と言い、「ご苦労様。」と、先の警察官に言って、2人で連れ去ろうとした。
 そこに、パトカーに乗った、佐々ヤンこと佐々刑事と真壁、芦屋一美が現れた。
「ああ、佐々ヤン。偽警察官や。」と、2人を指さした。
「テロ対策室の佐々や。身分証を見せて貰おうか。」
 2人が見せた警察手帳は、黒い、『昔の』警察手帳だった。
 真壁と一美は、容赦無く警察官風の男と、放火犯を引っぱたいた。
 俺と倉持と佐々ヤンは、知らん顔をした。
 男達が喚いたが、「真壁、あれ、持って来て。」と、一美が言った。
 真壁は、パトカーから、何故か『孫の手』を出した。
 一美は、それを受け取ると、「今日は化粧のノリが悪いのよねえ。」と言って、警部と名乗った男の股間を孫の手で叩いた。
 すると、ズボンの間からナイフが落ち、ズボンに血が広がった。
 男達は、更に喚き始めた。
 午後4時。
 おやつには遅いが、俺達は澄子の店で「宇治金時」を食べた。
「偽警察官って、すぐに分かったの?」と澄子が言った。
「衣装はナア、コスプレ物じゃないことは分かった。コスプレで『普通の』警察官の格好することはない。ヒーロー警察官の格好はあるが。インターネットで買ったものやろうな。」
「それにね、奥さん。僕達が取り押さえていて、事情も聞かず連れ出そうとするのはおかしい。3人目の男は『警部』って、身分を言った。普通は、名前や所属を言うものですよ。」と、倉持が言い、俺は言った。
「佐々ヤン達への挨拶、敬礼一つ無かった。最後に、警察手帳が、昔の映画に出てくるやつ。もう笑いたくても笑われヘン。一美の話では、同じ時間で放火があって、そのグループから、あの現場を知ったらしい。どんな『取り調べ』やったんかなあ。」
 3人で、思い切り笑った。
 スマホが鳴った、。俺はスピーカーをオンにした。
「アルフィーズの模倣犯らしい。どこかから、ChotGPTを手に入れたんやろうなあ。妄想で計画し、現実で、簡単にお縄、ちゅう訳や。さっき、テロ対策室から資料が届いた。直帰してくれ。」「了解。」
 俺達は、『おひや』が入っただけのグラスで乾杯した。
 ―完―

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

マクデブルクの半球

ナコイトオル
ミステリー
ある夜、電話がかかってきた。ただそれだけの、はずだった。 高校時代、自分と折り合いの付かなかった優等生からの唐突な電話。それが全てのはじまりだった。 電話をかけたのとほぼ同時刻、何者かに突き落とされ意識不明となった青年コウと、そんな彼と昔折り合いを付けることが出来なかった、容疑者となった女、ユキ。どうしてこうなったのかを調べていく内に、コウを突き落とした容疑者はどんどんと増えてきてしまう─── 「犯人を探そう。出来れば、彼が目を覚ますまでに」 自他共に認める在宅ストーカーを相棒に、誰かのために進む、犯人探し。

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

処理中です...