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16.『年上女』の深情け

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 ○月○日。
 今夜は、一人で飲みに来ていた。実は、女将の月山澄子とは、「出来て」いる。後輩の倉持はカンがいい。だから、別行動出来て、直帰の時だけ、一人で飲みに来る。
 すると、女将は、合図を送って来る。「つきだし」が違うのだ。『お通し』とか言う地方もあるようだが、関西では、突き出しだ。
 それに、女将は「今日は『突き出して』という卑猥な意味を込めているらしい。
 総子が入社する前のことだ。俺は、女将に『犯された』。ある夜、泥酔した俺は、ふと目が覚めると、女将が『乗っていた』。後で聞くと、未亡人になって、『男ひでり』という『重い病』になったと言った。
 女将は、ツケを俺に『体で払わせる』こともある。俺が、所長と総子のことを知っても、平然していられたのは、『探られると痛い腹』があったからだ。
 女将は、俺より丁度一回り上だ。まさまだ欲望が強い。『いとなみ』は、休日の前にすることなった。当然、不定期だ。だから、一気に欲望の『はけ口』にされる。
「澄子。お前、虐められたことあるか?昔。あ、前の亭主のことやないで。」
「ああ。子供の頃、よう虐められたわ。あんたのイジメの話は聞いたけど、私の話は、まだやったな。私の名前、何て言う?」
「澄子やろ?」「あ、スミコが真ん中におる。スミコやら、隅っこにおらんとおかしいな。」
「子供のイジメはワンパターンやな。で、ドナイしたんや。」「無視。今で言うシカト。ああいう子って、構って貰いたいんや。」「今で言う、『かまってちゃん』やな。」
「なんで、そんなこと聞くの?」「実はナア、澄子。こないだの事件、イジメが原因してるんや。」「ええっ!!あの・・・ストリーキングの?」
「うん。半グレの会長は、子供の頃、イジメで・・・。」「裸で走らされた?」「そう。グレて、今や半グレの会長さんや。」「何で今時分・・・あ、平田か。」
「そうや。美術品、無いのは初めから分かってた。それで、この際一心の会の反対派の仕業に見せて、平田を追い詰めたろう、って思ったらしい。成功したら、平田が犯人になって捕まる段取りやったらしい。EITOエンジェルに先を越されて、簡単に捕まってしまった、という訳や。」
「舐めとったんやな。」と言いながら、女将の澄子は俺の顔や体を舐め始めた。
 意外と、女将とのセックスの最中に『呼び出し』はない。俺は、覚悟を決めた。
 あ。所長は、どんなドリンク剤飲んでるんやろ?
 ―完―

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