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21.映像と現実

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 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
 中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。
 中津(西園寺)公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。
 高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。
 泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
 泊(根津)あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。
 中津(本庄)尚子・・・本庄病院院長の姪。弁護士。中津警部と先頃、結婚した。

 ================================================
 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 午前9時。中津興信所所長室兼会議室。
 マルチディスプレイに中津警部が映っている。
「プロジェクションマッピングは誰のアイディアなんですか?」と、あきが尋ねた。
「本郷君だよ。最初は、無声で流す予定だったが、急遽音声も流した。だから、口上の台詞もよく聞こえただろ?」と、中津警部は笑って言った。
「何か特撮ヒーローショーみたいでした。よく考えたら、普段からヒーロー、いやヒロインの戦闘やってますもんね。」と、泊が言った。
「よく間に合いましたね。」と、高崎が感心して言った。
「映像は徹夜だったらしい。プロジェクションマッピング自体は慣れてるから、って本郷君の知り合いは言ったらしい。東京駅のものは見たことあるだろ?みんな。」
「ああ。あの会社が作ったんですか。成程。段取り次第だった訳だ。」と公子が言った。
「あれって、武器になるよね。」と、中津健二が言うと、「流石、我が弟は頭がいい。本郷君は、今度のことを参考にして、長波ホイッスルの逆を考えているそうだ。」と、中津警部は答えた。
「敵に騒音、こちらは静かで平気な、兵器ってことだね。」
「駄洒落挟まなくてもいいよ。まあ、そういうことだ。エマージェンシーガールズのインカムには聞こえない、しかし、敵には騒音として聞かせる装置だね。」
「凄いなあ。じゃあ、銃火器取り上げなくても闘えますね。」と、高崎は言った。
「その通り。あ。何、それ、公ちゃん。」公子は、短冊を皆に配った。
「2週間。あれば書けるよね。」「え?宿題?」と、あきは不服そうに言った。
「何書いてもいいよ。七夕過ぎたら捨てるから。」と健二が言うと、「川に流さないんですか?」と、あきが言った。
「ゴミになるよ。それに、それは『精霊流し』でしょ。あれも、各地で禁止している。確実に海に流れればいいけど、川のどこかでゴミになるから。台風の時、氾濫の原因にもなる。風流だけど、それはもう、ドラマの中での話。」
「ここで、こちらからの宿題。先日の『靖国神社事件』の影響からか、今日、皇居の近くで『デモ』が行われる。『日本から神社を無くそうデモ』だそうだ。」
「警備?避難誘導?」「もありかもな。思想的なことだったら、便乗して何かやらかすかも知れない。君たちへの指令は『尾行』だ。得意だろ?」
「警部。嫌味に聞こえますが。」と、高崎は抗議した。「他意はない。頼むよ。」
「頼むよ・・・はいはい。」
 午前11時。皇居近く。
 デモ参加者は、バイト料を貰い、弁当も貰い、観光バスに乗り込み、都内各所に送って貰った。途中から潜り込んだ泊とあきは、学生が多いのに気がついた。
 怪しげなデモは、故阿倍野総理の『国葬義』の時と似た感じだったが、あの時は、高齢者だった。無言の行進だし、楽なバイトだったから、誰も文句を言わなかったようだ。持たされたプラカードには、『神社を無くそう』と書かれていたが。中には、映画のエキストラと思っていた者もいたようだ。
 思想活動等と考えなかったのだろう。
 午後1時。とある、レンタカー営業所。
 デモ一行を返した『主催者』の使いの者は、観光バスを返却し、自家用車に乗り換えた。
 午後2時。大田区。あるビル。
『主催者』の使いの者は、『NPO法人神聖』と書いてある看板の部屋に入って行った。
 レンタカー営業所から尾行してきた、中津と高崎は、隣の部屋が『有限会社神聖商会』と書いてあるのを確認し、すぐに出た。
 2人がビルから離れた所で様子を見ていたら、大勢の警察官がビルに入って行った。
「手入れは大捕物だったようだな。」と、高崎の肩を叩き、中津は帰路に着いた。
 午後6時。中津興信所。所長室兼会議室。
 マルチディスプレイに中津警部が映っている。
「学生達は、ネットの募集に応募した。デモは、アリバイ作りだった。あの最中に『ヤクの取引』が行われた。だから、無言の行進だったんだ。泊達が言うようにシュプレヒコールが無かったのは、不自然だった。まさか、身内がヤサに案内してくるとは思わなかったのだろう。NPO法人は、政治家の天下り先にも利用されるが、半グレにも利用される。NPO法人の代表は、簡単にゲロしたよ。」
 画面から警部が消えると、中津達は、出前のカレーライスを食べた。
「で?どんな弁当貰ってたの?」と、公子が尋ねた。
「はあ?」と、4人は呆れた。
 ―完―

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