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7.LED詐欺
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======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
中津警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
中津健二・・・中津警部の弟。興信所を経営している。大阪の南部興信所と提携している。
西園寺公子・・・中津健二の恋人。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。
高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。
泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
根津あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。
本庄弁護士・・・本庄病院院長の娘で、中津興信所や南部興信所に調査を依頼することが多い。
=================================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
午前10時。中津興信所。所長室兼事務室。
本庄弁護士がやってくる。
「LED詐欺?」資料から顔を上げ、中津健二は叫んだ。
「今までの蛍光管からLEDに変更、蛍光管の輸出入禁止って、まだ先でしょう?もう特殊詐欺流行ってるんですか?」
「そう、次から次へと、よく考えつくわよね、悪い奴らは。最近は、Chot GPTを使った詐欺も多い。余計な知恵をつけてくれるわねえ。プラスチックゴミ云々と変わらない、脳みそが合わせ味噌の官僚が、自然を守るとか言いながら、金儲けに繋がる『餌』が変わっていくだけ。それに、ハイエナやジャッカルが群がる。比較的タンス預金があって、あまり外に出ない後期高齢者が、『話し相手』を装って、情報を引き出して、巻き上げる。以前は害虫駆除とか床下掃除とかを装っていたけどね。」と、本庄弁護士は呆れた。
「アンテナ詐欺と同じルートですかね。工事してやるとか言ってポースだけで。まともな業者は幾らでもあるのに。以前、ふうちゃんが言ってましたね。大阪じゃあ大きなUHF局が出来て以来、皆感度のいいUHFアンテナ立てたのに、知らないことにつけ込んで、必要のない工事やってる振りしてだまし取って。総務省も馬鹿だから、『皆さん、UHFアンテナが必要です。』なんてコマーシャルした。必要なのは、東京都と、UHFアンテナが無い地域。立てても、ビルの谷間にある家では受信出来ず、『地デジ難民』なんて出来た。この話は、南部さんから聞いたんだけどな。近隣のビルやマンションから、言わば店子になる線を引いて貰わないといかないが、その住民が協力してくれなかったら、永久に地デジ放送は見られない。お役所に訴えたら、ご当人同士で決めてくれ、と突き放されたらしい。後先考えないのが、お役所さ。一度走り出したら、ブレーキのない車だ。所謂『お役所仕事』のひずみだ。本庄先生が担当された案件もありましたね。」
健二の言葉に、「そう。つまり、これから先の事ではあるけど、知らないご老人に、親切ごかしに、『電球変えてあげましょう』なんていう特殊詐欺が流行るだろうなあ、って思っていたら、もう起こっている。犯人は、高校生。体格いいから、今時の子は。ビジネススーツ着て、丁寧な言葉しゃべれば、もうビジネスマン。工事業者の服だって、特殊じゃない。簡単に手に入る。たまたま、お隣が司法書士で、変だと気がついてくれたから良かったけど、本気で家中の電球・蛍光管を交換する積もりだったらしい。実は、偽物用意して、交換する振りするだけなのに。」と、今度は溜息をついた。
「ちょっと、ホームセンターに問い合わせれば、分かったのにね。輸出入禁止になった後も、すぐに在庫が無くなる訳ではないし、アダプター付きの蛍光管とかも既にあるらしいの。問題は『タマ』じゃなく、工事費なのよ。地デジ問題でも、アンテナじゃなくチューナーがあれば良かったのと同じね。ご老人は、詐欺が無かったことにしたかったらしいけど、ウチが良くても、他でも詐欺するんだよ、って怒った息子さんが訴訟を起こしたの。18歳から成人っていうことも知らない餓鬼。情状酌量や心神耗弱なんて認められないわ。」
本庄弁護士は、言いたいだけ言って帰って行った。
「生理かしら?」「おい、口を慎めよ、公子。先生は多忙でお疲れなんだよ。この資料、纏めておいてくれ。根津に手伝わせてもいいぞ。」
中津健二は、鞄に荷物を纏めて、玄関に向かった。
「あきちゃーん、ちょっとぉ。」
公子の声を背に、高崎が移動させた車に、健二は乗った。
パラパラと降り出した雨の中、高崎は発車させた。
―完―
============== 主な登場人物 ================
中津警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
中津健二・・・中津警部の弟。興信所を経営している。大阪の南部興信所と提携している。
西園寺公子・・・中津健二の恋人。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。
高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。
泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
根津あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。
本庄弁護士・・・本庄病院院長の娘で、中津興信所や南部興信所に調査を依頼することが多い。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
午前10時。中津興信所。所長室兼事務室。
本庄弁護士がやってくる。
「LED詐欺?」資料から顔を上げ、中津健二は叫んだ。
「今までの蛍光管からLEDに変更、蛍光管の輸出入禁止って、まだ先でしょう?もう特殊詐欺流行ってるんですか?」
「そう、次から次へと、よく考えつくわよね、悪い奴らは。最近は、Chot GPTを使った詐欺も多い。余計な知恵をつけてくれるわねえ。プラスチックゴミ云々と変わらない、脳みそが合わせ味噌の官僚が、自然を守るとか言いながら、金儲けに繋がる『餌』が変わっていくだけ。それに、ハイエナやジャッカルが群がる。比較的タンス預金があって、あまり外に出ない後期高齢者が、『話し相手』を装って、情報を引き出して、巻き上げる。以前は害虫駆除とか床下掃除とかを装っていたけどね。」と、本庄弁護士は呆れた。
「アンテナ詐欺と同じルートですかね。工事してやるとか言ってポースだけで。まともな業者は幾らでもあるのに。以前、ふうちゃんが言ってましたね。大阪じゃあ大きなUHF局が出来て以来、皆感度のいいUHFアンテナ立てたのに、知らないことにつけ込んで、必要のない工事やってる振りしてだまし取って。総務省も馬鹿だから、『皆さん、UHFアンテナが必要です。』なんてコマーシャルした。必要なのは、東京都と、UHFアンテナが無い地域。立てても、ビルの谷間にある家では受信出来ず、『地デジ難民』なんて出来た。この話は、南部さんから聞いたんだけどな。近隣のビルやマンションから、言わば店子になる線を引いて貰わないといかないが、その住民が協力してくれなかったら、永久に地デジ放送は見られない。お役所に訴えたら、ご当人同士で決めてくれ、と突き放されたらしい。後先考えないのが、お役所さ。一度走り出したら、ブレーキのない車だ。所謂『お役所仕事』のひずみだ。本庄先生が担当された案件もありましたね。」
健二の言葉に、「そう。つまり、これから先の事ではあるけど、知らないご老人に、親切ごかしに、『電球変えてあげましょう』なんていう特殊詐欺が流行るだろうなあ、って思っていたら、もう起こっている。犯人は、高校生。体格いいから、今時の子は。ビジネススーツ着て、丁寧な言葉しゃべれば、もうビジネスマン。工事業者の服だって、特殊じゃない。簡単に手に入る。たまたま、お隣が司法書士で、変だと気がついてくれたから良かったけど、本気で家中の電球・蛍光管を交換する積もりだったらしい。実は、偽物用意して、交換する振りするだけなのに。」と、今度は溜息をついた。
「ちょっと、ホームセンターに問い合わせれば、分かったのにね。輸出入禁止になった後も、すぐに在庫が無くなる訳ではないし、アダプター付きの蛍光管とかも既にあるらしいの。問題は『タマ』じゃなく、工事費なのよ。地デジ問題でも、アンテナじゃなくチューナーがあれば良かったのと同じね。ご老人は、詐欺が無かったことにしたかったらしいけど、ウチが良くても、他でも詐欺するんだよ、って怒った息子さんが訴訟を起こしたの。18歳から成人っていうことも知らない餓鬼。情状酌量や心神耗弱なんて認められないわ。」
本庄弁護士は、言いたいだけ言って帰って行った。
「生理かしら?」「おい、口を慎めよ、公子。先生は多忙でお疲れなんだよ。この資料、纏めておいてくれ。根津に手伝わせてもいいぞ。」
中津健二は、鞄に荷物を纏めて、玄関に向かった。
「あきちゃーん、ちょっとぉ。」
公子の声を背に、高崎が移動させた車に、健二は乗った。
パラパラと降り出した雨の中、高崎は発車させた。
―完―
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