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290.共鳴と不協和音
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======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダー(平和への案内人)または行動隊長と呼ばれている。。
大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのエーアイ(アナザー・インテリジェンス)と呼ばれている。
一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。降格中だったが、再び副隊長になった。現在、産休中だが・・・。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。通称『片づけ隊』班長をしている。
斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
久保田嘉三管理官・・・EITO前司令官。警察とEITOのパイプ役もするが、『交渉人』が必要な場合は、柴田管理官と交替で交渉人も行う。
久保田誠警部補・・・警視庁警部補。あつこの夫。通称『片づけ隊』を手伝うこともある。
橋爪警部補・・・愛宕の相棒。丸髷書生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』
を手伝うこともある。
西部警部補・・・高速エリア署生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』
を手伝うこともある。早乙女愛と結婚した。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。
河野事務官・・・警視庁から出向の事務官。警察、自衛隊、都庁などの連絡も受け持つ。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
高木(日向)さやか一佐・・・空自からのEITO出向。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
江南(えなみ)美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。
西部(早乙女)愛・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向だったが退職。EITO準隊員。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。
青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。
筒井隆昭警部・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
新里あやめ警視・・・警視庁テロ対策室勤務。あつこの後任として、村越警視正の補佐を行っている。
原田正三警部・・・元新宿風俗担当刑事。戦闘の記録及び隠しカメラ検索を担当。
蔵前伊登子・・・原田と事実婚をしている。元風俗嬢。
南原文子・・・伝子の後輩の南原の妻。
服部コウ・・・伝子の後輩服部の妻。
山城蘭・・・伝子の後輩山城の妻。南原の妹。
辰巳泰子(たいこ)・・・辰巳の妻。モールの喫茶店アテロゴのウエイトレス。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。
藤井康子・・・伝子の仕切り隣の住人。モールに料理教室を開いている。
山下・・・元ダークレインボーの『幹』オクトパス。特別拘置所に入っている。
内藤久女・・・ダークレインボーの『幹』コンティニュー。組織に渡す間際に、EITOに関する膨大な資料を改編、抜け情報を作った。
玉井静雄・・・コスプレ衣装店{ヒロインズ}店長。EITOでは、みちるの『手下』で通っている。みちるの執事のように振る舞うからだ。
市橋早苗・・・移民党総裁。内閣総理大臣。伝子に絶大な信頼を置いている。
=================================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
※水天宮(すいてんぐう)は、東京都中央区日本橋蛎殻町にある神社。福岡県久留米市にある久留米水天宮の分社である。安産祈願で有名なので若い夫婦の参拝が多い。一階は全天候型駐車場で「大きなコンクリートの箱」のような趣で神社らしい雰囲気はあまりない。白木造りの社殿はこのコンクリートの土台の上に構築されているため、かなりの高さがある。社殿の正面に厳かなデザインをした六階建てのビルがあり中央の階段を上がると二階の境内に入ることができる。階段の両脇には提灯が供えられてある。著名な神社にしては敷地が狭いが建物全体を免震構造にするなど現代的な設備をもった都市型の神社である。
=====================================
午前8時。大黒屋マンション(筒井のマンション。)
筒井は、大文字伝子経由で芦屋グループ傘下の不動産屋から、安く賃貸マンションを借りた。警部と言っても、そう給料がいい訳ではない。実は、自衛隊出向組と警察出向組は、元の組織からとEITOから二重に給料を貰っている。
これは、アンバサダーとも言われる、伝子の『鶴の一声』で決まった、給料体系だ。
伝子は、部下になる者達に不満不安がないようにすることを条件に組織に参加したのである。
筒井の妻となった、新里は警視の為、警察の給料だけだと筒井と格差がある。だが、筒井が二重の給料を貰っているので、同等の収入だ。筒井の場合、副総監の指示でジプシーのように部署を変えて勤務していたが、当時既に斉藤理事官から提言されたエリート育成計画だった。
だが、副総監も理事官も知らなかった。筒井が伝子の『元カレ』だったことを。
また、筒井が伝子と別れた後、警察学校で同期だった新里の『元カレ』だったことも知られていなかった。
警視庁にテロ対策室が出来、筒井は新里と再会、『やけぼっくい』に火が点いた。
先日、伝子が『焼けぼっくい』発言したのは、新里自身から聞いていたからである。
また、『元カレ』だったことは、あつこから『おねえさまへのご注進』で知っていた。
こうして、筒井は『出向元』『出向先』の『元カノ』と仕事をするようになった。
2人が朝食を終えた後、筒井のスマホ、新里のスマホが鳴動した。
2人は、揃って出勤した。
午前8時。原田のアパート。
原田達は、筒有達と来月には挙式をする予定ではあるが、今は事実婚だった。
「伊登子。じゃあ、お出かけするからな。」「しょーちゃん、私と一緒になること後悔してない?私、処女じゃないよ。私は、しょー・・・。」
原田は、妻の唇にキスして、それ以上言わせなかった。
「今頃、何とかチックか?『身請け』して、って言ったくせに。」
原田は、昔の花魁等の『身請け』はしなかったが、店に前借りしていた金銭や借金は精算した。それだけではない。店のオーナーに『情報屋』を永続的に続けることを約束させた。蛇の道は蛇。情報は必要なのだ。情報料は、EITOからでなく、芦屋グループから直接支払われることになっている。
原田が出掛けた後、伊登子は洗濯板で洗濯を始めた。コインランドリーよりも、その方が落ちると言って。その実、昔の客に出くわす機会を減らすことにしたのだ。
買物にはなるべく出ないで、伝子が紹介したスーパーや、ネットで済ませる。
夫は、対テロ組織のEITOに勤めているのだ。隙はなるべく作らないように越したことはない。勿論、EITOのセキュリティーシステムに守られている。
午前9時。EITO東京本部。会議室。
「ドリフト・アイスは方針を変えたようだ。『遊び心』十分だな。」夏目警視正は、マルチディスプレイに映されたRedの投稿を見せた。
[お見合いパーティー第三回
日時:明日午前11時。
場所:東京タワーと東京スカイツリーの真ん中辺り。
参加者:有限会社ドリフト・アイス有志の男性。
EITO東京本部の男性及び女性(妊婦可)。
来賓:市橋総理
主宰:ドリフト・アイス
]
「謎かけか。久しぶりだな。」と、理事官は呟いたが、「水天宮だな。私も、お守りを持っている。」と、伝子は言った。
ズバリ、言い当てた伝子に、皆は言葉を失っている。
「この間の、こちらのパフォーマンスで、私が現地で陣頭指揮を執っていないことを確認した。妊婦だと判断してもおかしくはない。実際はもう産んでいるが。『コンティニューの虫食い』データで、私がまだ妊婦だと思っているのかも知れない。」
伝子は、廊下に出ていった。
「妊婦、か。」と、馬場が言い、金森は馬場の袖を強く引っ張った。
馬場は、言葉を失った。
「馬場。遠慮しなくていい。私は、『まだ』産んでないだけだ。」と、なぎさは馬場に言った。
「隊長は、総理に連絡しに行ったんですか?」と青山が言ったので、「おお。そうだ。SP隊にも依頼しておこう。多分、また早乙女隊員と工藤隊員を貼り付かせるだろうが。」
そう言って、理事官は司令室に戻った。
「草薙。水天宮の地図を用意してくれ。」と、夏目は草薙に指示をした。
「了解しました。」
やがて、伝子が戻って来て、会議は再開した。「楽しみだわ、なんて言われたよ。」
翌日。午前10時半。水天宮。二階。境内。
敵の集団が入って来ると、既にエマージェンシーガールズが待機していた。
そして、驚くべき光景が展開されていた。
本殿、子宝いぬ、狛犬、安産子育河童、寳生辨財天(ほうしょうべんざいてん)。それぞれの前に人のバリケードが出来ていたのだ。
EITOの理事官斉藤は、水天宮の参拝を午前中の時間制限で立ち入り禁止にした。
そして、人のバリケードには、有志の女性が割烹着の上に『日の丸』の旗を巻いていた。
メンバーは、みちる、文子、コウ、蘭、新里、伊登子、泰子で長刀を持っている。
「施設を傷つけられると思いなさんな。私達は、お腹の子供を守って見せる!」と、みちるは言い放った。
集団は、ハンマーや火炎放射器を持っていたが、すぐに手放した。妊婦の集団に気圧されたのだ。あまり知られていないが、那珂国人にも親を、祖先を大切にする文化はあるのだ。
「そいつらは、ほっとけ。エマージェンシーガールズだけでいい、倒すのは。」
どうやら、マルビルに現れた集団のリーダー(枝)同様、この枝も気が短いようだ。
闘いは始まったが、お昼前には終っていた。
なぎさは、長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛に似た通信機で簡単な通信装置だ。
間もなく、愛宕警部、橋爪警部補、西部警部補らが『片づけ隊』としてやって来た。
彼らが逮捕連行された後、EITOガーディアンズが『お掃除隊』としてやって来た。
本来なら、陸自から派遣された隊員が掃除に来るのだが、今回の後方支援は要らないだろうと伝子は判断し、替わりに、掃除を命じた。
「総理官邸、総理私邸とも、賊を逮捕した。終ったら、直帰してくれ。」という伝子の声がインカムから聞こえた。
『長刀隊』は、お参りを済ませ、意気揚々と引き揚げて行った。
「山下が笑うだろうな。妊婦には勝てないだろうって。」と、筒井は高木達に言った。
「いつもながら、大した『手際の良さ』ですね、白藤隊員の『手下』は。」と、高木が言った。
「ああ。ご主人様の『言いつけ』は絶対だからな。」と、筒井は笑った。
午後3時。伝子のマンション。
「改めて、お守り、買ってきたよ。」と、伝子は綾子、藤井、高遠に見せた。
「今度、いつ、おさむちゃんに会えるの?」という綾子に、伝子は「10年後かな?」と言った。
「意地の悪い娘ね。」「あんたの子、だから。クソババア。」
いつものことなので、藤井も高遠も止めなかった。
高遠のスマホが鳴動した。高島からだった。高島は、高遠達の2年先輩で、伝子達の1級下の「後輩」である。
「高島さん?」伝子は、スマホを受け取ると、「却下。」と、言い捨てた。
電話を切ってしまった伝子に3人は当惑した。
「殺人事件。また、編集長絡み。」
そう言って、伝子は焼き芋に手を伸ばした。
―完―
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダー(平和への案内人)または行動隊長と呼ばれている。。
大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのエーアイ(アナザー・インテリジェンス)と呼ばれている。
一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。降格中だったが、再び副隊長になった。現在、産休中だが・・・。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。通称『片づけ隊』班長をしている。
斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
久保田嘉三管理官・・・EITO前司令官。警察とEITOのパイプ役もするが、『交渉人』が必要な場合は、柴田管理官と交替で交渉人も行う。
久保田誠警部補・・・警視庁警部補。あつこの夫。通称『片づけ隊』を手伝うこともある。
橋爪警部補・・・愛宕の相棒。丸髷書生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』
を手伝うこともある。
西部警部補・・・高速エリア署生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』
を手伝うこともある。早乙女愛と結婚した。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。
河野事務官・・・警視庁から出向の事務官。警察、自衛隊、都庁などの連絡も受け持つ。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
高木(日向)さやか一佐・・・空自からのEITO出向。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
江南(えなみ)美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。
西部(早乙女)愛・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向だったが退職。EITO準隊員。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。
青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。
筒井隆昭警部・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
新里あやめ警視・・・警視庁テロ対策室勤務。あつこの後任として、村越警視正の補佐を行っている。
原田正三警部・・・元新宿風俗担当刑事。戦闘の記録及び隠しカメラ検索を担当。
蔵前伊登子・・・原田と事実婚をしている。元風俗嬢。
南原文子・・・伝子の後輩の南原の妻。
服部コウ・・・伝子の後輩服部の妻。
山城蘭・・・伝子の後輩山城の妻。南原の妹。
辰巳泰子(たいこ)・・・辰巳の妻。モールの喫茶店アテロゴのウエイトレス。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。
藤井康子・・・伝子の仕切り隣の住人。モールに料理教室を開いている。
山下・・・元ダークレインボーの『幹』オクトパス。特別拘置所に入っている。
内藤久女・・・ダークレインボーの『幹』コンティニュー。組織に渡す間際に、EITOに関する膨大な資料を改編、抜け情報を作った。
玉井静雄・・・コスプレ衣装店{ヒロインズ}店長。EITOでは、みちるの『手下』で通っている。みちるの執事のように振る舞うからだ。
市橋早苗・・・移民党総裁。内閣総理大臣。伝子に絶大な信頼を置いている。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
※水天宮(すいてんぐう)は、東京都中央区日本橋蛎殻町にある神社。福岡県久留米市にある久留米水天宮の分社である。安産祈願で有名なので若い夫婦の参拝が多い。一階は全天候型駐車場で「大きなコンクリートの箱」のような趣で神社らしい雰囲気はあまりない。白木造りの社殿はこのコンクリートの土台の上に構築されているため、かなりの高さがある。社殿の正面に厳かなデザインをした六階建てのビルがあり中央の階段を上がると二階の境内に入ることができる。階段の両脇には提灯が供えられてある。著名な神社にしては敷地が狭いが建物全体を免震構造にするなど現代的な設備をもった都市型の神社である。
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午前8時。大黒屋マンション(筒井のマンション。)
筒井は、大文字伝子経由で芦屋グループ傘下の不動産屋から、安く賃貸マンションを借りた。警部と言っても、そう給料がいい訳ではない。実は、自衛隊出向組と警察出向組は、元の組織からとEITOから二重に給料を貰っている。
これは、アンバサダーとも言われる、伝子の『鶴の一声』で決まった、給料体系だ。
伝子は、部下になる者達に不満不安がないようにすることを条件に組織に参加したのである。
筒井の妻となった、新里は警視の為、警察の給料だけだと筒井と格差がある。だが、筒井が二重の給料を貰っているので、同等の収入だ。筒井の場合、副総監の指示でジプシーのように部署を変えて勤務していたが、当時既に斉藤理事官から提言されたエリート育成計画だった。
だが、副総監も理事官も知らなかった。筒井が伝子の『元カレ』だったことを。
また、筒井が伝子と別れた後、警察学校で同期だった新里の『元カレ』だったことも知られていなかった。
警視庁にテロ対策室が出来、筒井は新里と再会、『やけぼっくい』に火が点いた。
先日、伝子が『焼けぼっくい』発言したのは、新里自身から聞いていたからである。
また、『元カレ』だったことは、あつこから『おねえさまへのご注進』で知っていた。
こうして、筒井は『出向元』『出向先』の『元カノ』と仕事をするようになった。
2人が朝食を終えた後、筒井のスマホ、新里のスマホが鳴動した。
2人は、揃って出勤した。
午前8時。原田のアパート。
原田達は、筒有達と来月には挙式をする予定ではあるが、今は事実婚だった。
「伊登子。じゃあ、お出かけするからな。」「しょーちゃん、私と一緒になること後悔してない?私、処女じゃないよ。私は、しょー・・・。」
原田は、妻の唇にキスして、それ以上言わせなかった。
「今頃、何とかチックか?『身請け』して、って言ったくせに。」
原田は、昔の花魁等の『身請け』はしなかったが、店に前借りしていた金銭や借金は精算した。それだけではない。店のオーナーに『情報屋』を永続的に続けることを約束させた。蛇の道は蛇。情報は必要なのだ。情報料は、EITOからでなく、芦屋グループから直接支払われることになっている。
原田が出掛けた後、伊登子は洗濯板で洗濯を始めた。コインランドリーよりも、その方が落ちると言って。その実、昔の客に出くわす機会を減らすことにしたのだ。
買物にはなるべく出ないで、伝子が紹介したスーパーや、ネットで済ませる。
夫は、対テロ組織のEITOに勤めているのだ。隙はなるべく作らないように越したことはない。勿論、EITOのセキュリティーシステムに守られている。
午前9時。EITO東京本部。会議室。
「ドリフト・アイスは方針を変えたようだ。『遊び心』十分だな。」夏目警視正は、マルチディスプレイに映されたRedの投稿を見せた。
[お見合いパーティー第三回
日時:明日午前11時。
場所:東京タワーと東京スカイツリーの真ん中辺り。
参加者:有限会社ドリフト・アイス有志の男性。
EITO東京本部の男性及び女性(妊婦可)。
来賓:市橋総理
主宰:ドリフト・アイス
]
「謎かけか。久しぶりだな。」と、理事官は呟いたが、「水天宮だな。私も、お守りを持っている。」と、伝子は言った。
ズバリ、言い当てた伝子に、皆は言葉を失っている。
「この間の、こちらのパフォーマンスで、私が現地で陣頭指揮を執っていないことを確認した。妊婦だと判断してもおかしくはない。実際はもう産んでいるが。『コンティニューの虫食い』データで、私がまだ妊婦だと思っているのかも知れない。」
伝子は、廊下に出ていった。
「妊婦、か。」と、馬場が言い、金森は馬場の袖を強く引っ張った。
馬場は、言葉を失った。
「馬場。遠慮しなくていい。私は、『まだ』産んでないだけだ。」と、なぎさは馬場に言った。
「隊長は、総理に連絡しに行ったんですか?」と青山が言ったので、「おお。そうだ。SP隊にも依頼しておこう。多分、また早乙女隊員と工藤隊員を貼り付かせるだろうが。」
そう言って、理事官は司令室に戻った。
「草薙。水天宮の地図を用意してくれ。」と、夏目は草薙に指示をした。
「了解しました。」
やがて、伝子が戻って来て、会議は再開した。「楽しみだわ、なんて言われたよ。」
翌日。午前10時半。水天宮。二階。境内。
敵の集団が入って来ると、既にエマージェンシーガールズが待機していた。
そして、驚くべき光景が展開されていた。
本殿、子宝いぬ、狛犬、安産子育河童、寳生辨財天(ほうしょうべんざいてん)。それぞれの前に人のバリケードが出来ていたのだ。
EITOの理事官斉藤は、水天宮の参拝を午前中の時間制限で立ち入り禁止にした。
そして、人のバリケードには、有志の女性が割烹着の上に『日の丸』の旗を巻いていた。
メンバーは、みちる、文子、コウ、蘭、新里、伊登子、泰子で長刀を持っている。
「施設を傷つけられると思いなさんな。私達は、お腹の子供を守って見せる!」と、みちるは言い放った。
集団は、ハンマーや火炎放射器を持っていたが、すぐに手放した。妊婦の集団に気圧されたのだ。あまり知られていないが、那珂国人にも親を、祖先を大切にする文化はあるのだ。
「そいつらは、ほっとけ。エマージェンシーガールズだけでいい、倒すのは。」
どうやら、マルビルに現れた集団のリーダー(枝)同様、この枝も気が短いようだ。
闘いは始まったが、お昼前には終っていた。
なぎさは、長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛に似た通信機で簡単な通信装置だ。
間もなく、愛宕警部、橋爪警部補、西部警部補らが『片づけ隊』としてやって来た。
彼らが逮捕連行された後、EITOガーディアンズが『お掃除隊』としてやって来た。
本来なら、陸自から派遣された隊員が掃除に来るのだが、今回の後方支援は要らないだろうと伝子は判断し、替わりに、掃除を命じた。
「総理官邸、総理私邸とも、賊を逮捕した。終ったら、直帰してくれ。」という伝子の声がインカムから聞こえた。
『長刀隊』は、お参りを済ませ、意気揚々と引き揚げて行った。
「山下が笑うだろうな。妊婦には勝てないだろうって。」と、筒井は高木達に言った。
「いつもながら、大した『手際の良さ』ですね、白藤隊員の『手下』は。」と、高木が言った。
「ああ。ご主人様の『言いつけ』は絶対だからな。」と、筒井は笑った。
午後3時。伝子のマンション。
「改めて、お守り、買ってきたよ。」と、伝子は綾子、藤井、高遠に見せた。
「今度、いつ、おさむちゃんに会えるの?」という綾子に、伝子は「10年後かな?」と言った。
「意地の悪い娘ね。」「あんたの子、だから。クソババア。」
いつものことなので、藤井も高遠も止めなかった。
高遠のスマホが鳴動した。高島からだった。高島は、高遠達の2年先輩で、伝子達の1級下の「後輩」である。
「高島さん?」伝子は、スマホを受け取ると、「却下。」と、言い捨てた。
電話を切ってしまった伝子に3人は当惑した。
「殺人事件。また、編集長絡み。」
そう言って、伝子は焼き芋に手を伸ばした。
―完―
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リカルドを置いて、タバサは席を立った
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