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160.テグス
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======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。
斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
金森和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
日向さやか(ひなたさやか)一佐・・空自からのEITO出向。伝子の影武者担当。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向。
江南(えなみ)美由紀・・・元警視庁警察犬チーム班長。EITOに就職。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
青山たかし元警部補・・・以前は丸髷署生活安全課勤務だったが、退職。EITOに再就職した。
渡伸也一曹・・・陸自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当の事務官。
草薙あきら・・・警視庁からのEITO出向。特別事務官。
河野事務官・・・警視庁からのEITO出向。
天童晃(ひかる)・・・EITO東京本部剣道顧問。EITO準隊員待遇。闘いに参加することも。
須藤桃子医官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
高坂一郎看護官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
本郷隼人二尉・・・EITOシステム部。弥生の弟。EITO秘密基地勤務。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。時々、伝子から「クソババア」と言われる。
藤井康子・・・伝子の隣人。モールで料理教室をしている。EITO準隊員待遇。
物部一朗太・・・伝子の大学の翻訳部の副部長。故人となった蘇我義経の親友。蘇我と結婚した逢坂栞も翻訳部同学年だった。
依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。やすらぎほのかホテル東京支配人。
福本英二・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。大学は中退して演劇の道に進む。今は建築事務所に就職し、演劇活動は休止している。
松下宗一郎・・・福本の元劇団仲間。
本田幸之助・・・福本の元劇団仲間。
辰巳一郎・・・物部が経営する、喫茶店アテロゴの従業員。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
守谷哲夫・・・SAT新隊長。
東山英一・・・SAT新副隊長。
鳥居真一郎・・・国賓館SP隊長。
橋爪警部補・・・丸髷署生活安全課刑事。愛宕の相棒。
中津敬一警部・・・警視庁特命刑事。
久保田管理官・・・EITO前司令官。斉藤理事官の命で、伝子達をEITOにスカウトした。
久保田警部補・・・あつこの夫。以前、愛宕の相棒だった。
利根川徹・・・元テレビ局コマンテーター。今は、MCをしている、EITOの協力者。
市橋早苗総理・・・我が国初の女性総理。伝子は個人的にSPにつくこともある。
早乙女愛・・・元EITO隊員。今は交番勤務。
原田正三警部・・・潜入捜査官。新宿風俗担当。
北野栄太・・・北風組組長。
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
=EITOガーディアンズとは、エマージェンシーガールズ後方支援部隊である。=
翌日。正午。
お昼のニュースで、総理の記者会見は明日に順延と短く伝えられた。
総理官邸。爆発物が仕掛けられていないことが確認され、SATが配置された。
午後2時。総理私邸。
「早乙女さん。あなたが来てくれるなんて。あなた、子沢山で、危険な任務を任せられないから交番勤務になった、と伺ったけど。」
「はい。今日は、特別です。生命保険も沢山入っているんですよ・・・隊長の温情です。あの時の失敗を自分で取り戻せ、ということです。隊長は年下ですが、尊敬しています。命を投げ出してもお役に立ちたい、といつも願っています。それだけの価値のある人です。」
「いい上司ね、今でもいい、上司なのね。」と、市橋総理はハンカチを出して、目を拭った。
午後2時半。新宿御苑。
半径2キロ以内の店は臨時休業。業者のトラックさえ通らない。地下鉄も駅を通過。
野球のユニフォームを着た、北風組は、恐ろしく静かな御苑にやって来た。
「大丈夫なんですか、親分。こんな『身軽なナリ』で。」
「窪内組のことを話したろう。あいつらは、武装していなかったから全員無事だったんだ。いいな。俺達は野球をしに来たんだ。それを、『たまたま』那珂国のマフィア組織とEITOの闘争に巻き込まれちまった。そういう筋書きだ。頭にたたき込んでおけ。原田の旦那も言ってた。EITOは強いって。」
午後3時。
アナザーストームがやって来た。護送車らしき車が数台。若い女の子が中で泣きわめいている。
そして、大型トラック2台。ざっと100人はいる。
アナザーストームのリーダーが言った。「金は持って来たか。」「用意なんか出来る訳ないだろ、散々商売の邪魔したんだから。」「じゃ、なんで来た?」「女の子を返して貰いに来た。」
「甘いな。」アナザーストームは全員銃を構えた。
「甘いな。」エマージェンシーガールズが姿を現した。
「甘いな。」オクトパスの配下らしき、黒装束の忍者が20人現れた。
伝子は言った。「あの時の『枝』か。話が早いな。オクトパスは、こいつらを追い払いたいのか?」
「ああ。話が早いな。『呉越同舟』第2弾だな。」
「面白い。作戦、アルファ、ベータ、ガンマ、行け!」と伝子は言うが早いか、北風組に向かって行った。エマージェンシーガールズは散開した。黒装束忍者は、一旦姿を消した。
「あんたらは、隠れてろ!」と、伝子は北風組に向かって言った。
そして、少し離れた所から、アナザーストームの群れに向かって、ブーメランを投げた。
違う方向から、金森がブーメランを投げた。
また、違う方向から、あつこがブーメランを投げた。
また、違う方向から、伊地知がブーメランを投げた。
また、違う方向から、みちるがブーメランを投げた。
また、少し離れた方向から、あかりがシュータを投げた。
また少し離れた方向から、浜田がシュータを投げた。
また少し離れた方向から、小坂がシュータを投げた。
また少し離れた方向から、下條がシュータを投げた。
シュータとは、うろこ形の手裏剣で、先に痺れ薬が塗ってある。
また少し離れた所から、増田がペッパーガンで胡椒弾を撃った。
また少し離れた所から、馬越がペッパーガンで胡椒弾を撃った。
ペッパーガンとは、胡椒等の調味料を主成分にした丸薬を弾にした銃である。
アナザーストームから機関銃を持った者が現れた。
少し離れた所から、田坂が弓で矢を放った。
また少し離れた所から、安藤が弓で矢を放った。
ホバーバイクが3台現れた。EITOガーディアンズだ。
青山は水流ガンでグミ状の水を放った。
高木は水流ガンでグミ状の水を放った。
馬場は水流ガンでグミ状の水を放った。
ホバーバイクとは、民間開発の『宙に浮くバイク』をEITOが採用、改造した、移動や後方支援の為に使用されるバイクである。
水流ガンとは、圧縮した特殊な水を撃つことで。グミ状になる水を放つ銃である。
なぎさが、長波ホイッスルを吹いた。
長波ホイッスルとは、犬笛に似た、特殊な音波で簡単な通信を行う笛である。待機している警官隊に合図を送る。犬笛としても使うことが出来る。
静音が、江南が、稲森が、葉月が、越後が、飯星が、日向が、結城が、大町がバトルスティックを持って、アナザーストームに突っ込んで行った。
ホバーバイク隊は待避した。弓矢隊がバトルスティックを手に携え、突進した。
ペッパーガン隊が、銃を仕舞い、バトルスティックで突撃した。
黒装束の忍者達が、木刀らしき武器で雪崩込んだ。
ブーメラン隊もシュータ隊もバトルスティックで闘った。
午後4時。
アナザーストームの集団は、全員空を向いていた。
黒装束忍者は、挨拶も無く、どこかへ消えた。
トラックの陰に隠れていたらしき、アナザーストームの一人が、伝子目がけて、突進してきた。
伝子は素早く身を交わし、男のナイフを手刀で払い落した。
警察官に取り押さえられた男は叫んだ。「貴様、何様だ!!」
「ただの『おねえさま』さ。」伝子は、相手に『デコピン』をした。
伝子は長波ホイッスルを吹いた。
野球のユニフォームを着た、北風組組員が寄って来た。
原田警部が来て、こう言った。
「野球の練習試合があるって言うから来てみたら、どうやら邪魔が入って出来なかったようだな。公園じゃ危ないから、今度どこかのグラウンド借りてやるよ。北野。そろそろ引退してもいいんじゃないか?女の子達は、一旦全員家に帰す。また働くかどうかは本人の自由意思だ。ただ、『ヒモ』に縛られている場合は、行政が面倒を見る。異存はないな。」
「ああ。旦那に泣きついた時点で、もう終ってる。実は、窪内からも遠山からも引き際考えろって言われていたんだ。行く末は、少し考えさせてくれ。」
北野は、そう言ってから、「隊長さん。あんたすげえな。ダークレインボーを助っ人に頼んだのか?」と、伝子に尋ねた。
「相手が勝手にやったことだ。今、分かっていることは、アナザーストームは、オクトパスとは関係ないってこと位かな。」と、伝子が応えた。
「とにかく、大きな借りが出来た。恩に着るぜ。」原田と北野達は去って行った。
愛宕と警官隊が到着し、アナザーストームの一団を逮捕連行に取りかかった。
「先輩は、やはり無敵ですね。」「無敵?本部で恐いおばさんが待っているのにか?」
「ご愁傷様です。じゃ。」愛宕は警官隊と去って行った。
午後3時。総理官邸。
どこを走って来たのか、バイクが10台、官邸に突っ込んだ。
いや、突っ込んだ筈だった。バイクはみな転倒し、ライダーは怪我をした。
新しいSAT隊長守谷哲夫は言った。「流石、エマージェンシーガールズはやることが違うな、と隊長に伝えてくれ。」
「了解しました。」と、陰に隠れていた仁礼が出てきて言った。
仁礼は、スマホを取り出して、言った。
「EITO本部。DDメンバーの皆さん、終了しました。」
河野事務官が応えた。「了解しました。」
物部が応えた。「了解しました。」
福本が応えた。「了解しました。」
南原が応えた。「了解しました。」
松下が応えた。「了解しました。」
午後3時。総理私邸の表。
どこを走って来たのか、バイクが10台、官邸に突っ込んだ。
いや、突っ込んだ筈だった。バイクはみな転倒し、ライダーは怪我をした。
新しいSAT副隊長東山英一は言った。「こんなやり方があるなんて。エマージェンシーガールズはやることが違うな、と隊長に伝えてくれ。」
「了解しました。」と、陰に隠れていた財前が出てきて言った。
財前は、スマホを取り出し、言った。
「EITO本部。DDメンバーの皆さん、終了しました。」
渡が応えた。「了解しました。」
依田が応えた。「了解しました。」
山城が応えた。「了解しました。」
服部が応えた。「了解しました。」
辰巳が応えた。「了解しました。」
総理の部屋。
この様子を総理と早乙女は見ていた。「流石、大文字さんね。強行突破されたら、SPが何人いても同じだったわ。ありがとう。」「SPとしては、お役に立ってません。」
「いいえ。マルタイって言ったかしら?守る人を安心させることもSPの仕事だと思うわ。ねえ、皆さん。」
いつの間にか、国賓館から派遣されたSP隊がいた。
「ところで、早乙女さん。なんで、バイク、ひっくり返ったの?」と、総理は疑問を口にした。
「あれは、テグスです。テグスに引っかかったんです。EITOが開発した、強化されたテグスです。テグスは、烏や鳩の被害に遭いそうな軒下等に張っておくと、近寄らないそうです。光線の加減にも寄りますが、見えないんです。烏や鳩にはバリアと思えて脅威を感じて2度と近寄らなくなるそうです。夜ならピアノ線を張る方法もありますが、今は真っ昼間。ばれてしまいますから。特殊テグスを使いました。」
「鳥目、ですか。勉強になりました。」と、SPの隊長鳥居は言った。
午後3時。安芸津由奈の家の近く。
「人間国宝の海女の安芸津さんですよね?」と、尋ねる男がいた。
「人違いですわ。」と、綾子は、振り向きざま言った。
「確かに、人違いだ。失礼しました。」男が去ろうとすると、「懐のモノは何かな?」と後ろから来た天童は言った。男がナイフを出そうとした時、天童は手刀でナイフを叩き落とし、長波ホイッスルを吹いた。
「誘拐でもする積もりだった?」と陰から出た中津警部は言った。「人間国宝って、そんなに儲からないらしいよ。」男は逮捕連行された。
午後3時。テレビ2。社長室。
ピッキングして侵入した男がいた。
部屋に入った途端、男は手錠をかけられた。久保田警部補だった。
「ありがとう、利根川さん。テレビ局に『おんな』社長さんがいたなんて、想定外でした。
「普通、テレビ局の女性というと、メイクさんやADさんを想像するし、『おんなだけ』じゃないしねえ。お役に立てて良かったです。」と、利根川は言った。
男は、久保田警部補と部下に逮捕連行された。
午後4時。ウーマン銭湯。
10人位の男が銭湯に入ろうとした。その途端、セキュリティシステムが作動し、けたたましいアラームが鳴った。
「女装はしてなかったんだ。レイプしようとしたのかな?理由は署で聴くよ。ご苦労さん。入れたとしても、今日は休業。女性客がいる時に入れても、入り口でアラーム。染色体チェックするから、そこでもアウト。勉強不足だね。」
橋爪警部補と警官隊は、男達を逮捕連行した。
午後4時半。EITO司令室。
「全て、終りましたよ、理事官。」と、夏目警視正が言った。
須藤医官が幸田看護官と入って来た。「終った、と言ったか?」
「はい。」「怪我人は?」「報告にはありません。軽傷はあるかも知れませんが、医療機関に行く怪我の報告はありません。」
「そうか。大文字に、よくやった、と言っておけ。」と、言い捨て、須藤医官は出て言った。
理事官と夏目警視正は、ため息をついた。緊張感が解けた。
「また、叱られるのかと思ったよ。」「私もです。」
「コーヒーでも入れましょう。」と草薙が言った。
「ああ、頼む。」と、理事官は言い、草薙と渡は給湯室に向かった。
「俺、またちびっちゃった。」「俺も。緊張感、半端じゃないな。」
午後5時。伝子のマンション。
「それはそうと、お前、犬並みに聞こえたのか?」「まさか。以前のTick Tackと比べて、終るのに時間がかかってたから。福本のお母さんに頼んで、サチコに聴かせたら、台詞の後で吠えたって言うんだ。それで、本郷君に相談したんだ。」
「犬並みの耳なら、私たちが入って来たのに気づくわよ。」と、綾子が藤井と入って来て言った。
「母さん、今回はありがとう。」「珍しく素直ね。人間国宝さんね、もう介護生活で、家族によると、もう長くないそうよ。私が身代わりになれて良かったわ。天童さんがいれば、怪我もしないと思ったし。」
「さ、反省会は後々。そうめん茹でましょ。」と、藤井が言った。
高遠は、『抜け』があったかどうか気にかかったが、気にしても仕方がない、と諦めて、台所に向かった。伝子は、やはり自分は幸せだと感じていた。
―完―
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。
斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
金森和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
日向さやか(ひなたさやか)一佐・・空自からのEITO出向。伝子の影武者担当。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向。
江南(えなみ)美由紀・・・元警視庁警察犬チーム班長。EITOに就職。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
青山たかし元警部補・・・以前は丸髷署生活安全課勤務だったが、退職。EITOに再就職した。
渡伸也一曹・・・陸自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当の事務官。
草薙あきら・・・警視庁からのEITO出向。特別事務官。
河野事務官・・・警視庁からのEITO出向。
天童晃(ひかる)・・・EITO東京本部剣道顧問。EITO準隊員待遇。闘いに参加することも。
須藤桃子医官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
高坂一郎看護官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
本郷隼人二尉・・・EITOシステム部。弥生の弟。EITO秘密基地勤務。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。時々、伝子から「クソババア」と言われる。
藤井康子・・・伝子の隣人。モールで料理教室をしている。EITO準隊員待遇。
物部一朗太・・・伝子の大学の翻訳部の副部長。故人となった蘇我義経の親友。蘇我と結婚した逢坂栞も翻訳部同学年だった。
依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。やすらぎほのかホテル東京支配人。
福本英二・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。大学は中退して演劇の道に進む。今は建築事務所に就職し、演劇活動は休止している。
松下宗一郎・・・福本の元劇団仲間。
本田幸之助・・・福本の元劇団仲間。
辰巳一郎・・・物部が経営する、喫茶店アテロゴの従業員。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
守谷哲夫・・・SAT新隊長。
東山英一・・・SAT新副隊長。
鳥居真一郎・・・国賓館SP隊長。
橋爪警部補・・・丸髷署生活安全課刑事。愛宕の相棒。
中津敬一警部・・・警視庁特命刑事。
久保田管理官・・・EITO前司令官。斉藤理事官の命で、伝子達をEITOにスカウトした。
久保田警部補・・・あつこの夫。以前、愛宕の相棒だった。
利根川徹・・・元テレビ局コマンテーター。今は、MCをしている、EITOの協力者。
市橋早苗総理・・・我が国初の女性総理。伝子は個人的にSPにつくこともある。
早乙女愛・・・元EITO隊員。今は交番勤務。
原田正三警部・・・潜入捜査官。新宿風俗担当。
北野栄太・・・北風組組長。
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
=EITOガーディアンズとは、エマージェンシーガールズ後方支援部隊である。=
翌日。正午。
お昼のニュースで、総理の記者会見は明日に順延と短く伝えられた。
総理官邸。爆発物が仕掛けられていないことが確認され、SATが配置された。
午後2時。総理私邸。
「早乙女さん。あなたが来てくれるなんて。あなた、子沢山で、危険な任務を任せられないから交番勤務になった、と伺ったけど。」
「はい。今日は、特別です。生命保険も沢山入っているんですよ・・・隊長の温情です。あの時の失敗を自分で取り戻せ、ということです。隊長は年下ですが、尊敬しています。命を投げ出してもお役に立ちたい、といつも願っています。それだけの価値のある人です。」
「いい上司ね、今でもいい、上司なのね。」と、市橋総理はハンカチを出して、目を拭った。
午後2時半。新宿御苑。
半径2キロ以内の店は臨時休業。業者のトラックさえ通らない。地下鉄も駅を通過。
野球のユニフォームを着た、北風組は、恐ろしく静かな御苑にやって来た。
「大丈夫なんですか、親分。こんな『身軽なナリ』で。」
「窪内組のことを話したろう。あいつらは、武装していなかったから全員無事だったんだ。いいな。俺達は野球をしに来たんだ。それを、『たまたま』那珂国のマフィア組織とEITOの闘争に巻き込まれちまった。そういう筋書きだ。頭にたたき込んでおけ。原田の旦那も言ってた。EITOは強いって。」
午後3時。
アナザーストームがやって来た。護送車らしき車が数台。若い女の子が中で泣きわめいている。
そして、大型トラック2台。ざっと100人はいる。
アナザーストームのリーダーが言った。「金は持って来たか。」「用意なんか出来る訳ないだろ、散々商売の邪魔したんだから。」「じゃ、なんで来た?」「女の子を返して貰いに来た。」
「甘いな。」アナザーストームは全員銃を構えた。
「甘いな。」エマージェンシーガールズが姿を現した。
「甘いな。」オクトパスの配下らしき、黒装束の忍者が20人現れた。
伝子は言った。「あの時の『枝』か。話が早いな。オクトパスは、こいつらを追い払いたいのか?」
「ああ。話が早いな。『呉越同舟』第2弾だな。」
「面白い。作戦、アルファ、ベータ、ガンマ、行け!」と伝子は言うが早いか、北風組に向かって行った。エマージェンシーガールズは散開した。黒装束忍者は、一旦姿を消した。
「あんたらは、隠れてろ!」と、伝子は北風組に向かって言った。
そして、少し離れた所から、アナザーストームの群れに向かって、ブーメランを投げた。
違う方向から、金森がブーメランを投げた。
また、違う方向から、あつこがブーメランを投げた。
また、違う方向から、伊地知がブーメランを投げた。
また、違う方向から、みちるがブーメランを投げた。
また、少し離れた方向から、あかりがシュータを投げた。
また少し離れた方向から、浜田がシュータを投げた。
また少し離れた方向から、小坂がシュータを投げた。
また少し離れた方向から、下條がシュータを投げた。
シュータとは、うろこ形の手裏剣で、先に痺れ薬が塗ってある。
また少し離れた所から、増田がペッパーガンで胡椒弾を撃った。
また少し離れた所から、馬越がペッパーガンで胡椒弾を撃った。
ペッパーガンとは、胡椒等の調味料を主成分にした丸薬を弾にした銃である。
アナザーストームから機関銃を持った者が現れた。
少し離れた所から、田坂が弓で矢を放った。
また少し離れた所から、安藤が弓で矢を放った。
ホバーバイクが3台現れた。EITOガーディアンズだ。
青山は水流ガンでグミ状の水を放った。
高木は水流ガンでグミ状の水を放った。
馬場は水流ガンでグミ状の水を放った。
ホバーバイクとは、民間開発の『宙に浮くバイク』をEITOが採用、改造した、移動や後方支援の為に使用されるバイクである。
水流ガンとは、圧縮した特殊な水を撃つことで。グミ状になる水を放つ銃である。
なぎさが、長波ホイッスルを吹いた。
長波ホイッスルとは、犬笛に似た、特殊な音波で簡単な通信を行う笛である。待機している警官隊に合図を送る。犬笛としても使うことが出来る。
静音が、江南が、稲森が、葉月が、越後が、飯星が、日向が、結城が、大町がバトルスティックを持って、アナザーストームに突っ込んで行った。
ホバーバイク隊は待避した。弓矢隊がバトルスティックを手に携え、突進した。
ペッパーガン隊が、銃を仕舞い、バトルスティックで突撃した。
黒装束の忍者達が、木刀らしき武器で雪崩込んだ。
ブーメラン隊もシュータ隊もバトルスティックで闘った。
午後4時。
アナザーストームの集団は、全員空を向いていた。
黒装束忍者は、挨拶も無く、どこかへ消えた。
トラックの陰に隠れていたらしき、アナザーストームの一人が、伝子目がけて、突進してきた。
伝子は素早く身を交わし、男のナイフを手刀で払い落した。
警察官に取り押さえられた男は叫んだ。「貴様、何様だ!!」
「ただの『おねえさま』さ。」伝子は、相手に『デコピン』をした。
伝子は長波ホイッスルを吹いた。
野球のユニフォームを着た、北風組組員が寄って来た。
原田警部が来て、こう言った。
「野球の練習試合があるって言うから来てみたら、どうやら邪魔が入って出来なかったようだな。公園じゃ危ないから、今度どこかのグラウンド借りてやるよ。北野。そろそろ引退してもいいんじゃないか?女の子達は、一旦全員家に帰す。また働くかどうかは本人の自由意思だ。ただ、『ヒモ』に縛られている場合は、行政が面倒を見る。異存はないな。」
「ああ。旦那に泣きついた時点で、もう終ってる。実は、窪内からも遠山からも引き際考えろって言われていたんだ。行く末は、少し考えさせてくれ。」
北野は、そう言ってから、「隊長さん。あんたすげえな。ダークレインボーを助っ人に頼んだのか?」と、伝子に尋ねた。
「相手が勝手にやったことだ。今、分かっていることは、アナザーストームは、オクトパスとは関係ないってこと位かな。」と、伝子が応えた。
「とにかく、大きな借りが出来た。恩に着るぜ。」原田と北野達は去って行った。
愛宕と警官隊が到着し、アナザーストームの一団を逮捕連行に取りかかった。
「先輩は、やはり無敵ですね。」「無敵?本部で恐いおばさんが待っているのにか?」
「ご愁傷様です。じゃ。」愛宕は警官隊と去って行った。
午後3時。総理官邸。
どこを走って来たのか、バイクが10台、官邸に突っ込んだ。
いや、突っ込んだ筈だった。バイクはみな転倒し、ライダーは怪我をした。
新しいSAT隊長守谷哲夫は言った。「流石、エマージェンシーガールズはやることが違うな、と隊長に伝えてくれ。」
「了解しました。」と、陰に隠れていた仁礼が出てきて言った。
仁礼は、スマホを取り出して、言った。
「EITO本部。DDメンバーの皆さん、終了しました。」
河野事務官が応えた。「了解しました。」
物部が応えた。「了解しました。」
福本が応えた。「了解しました。」
南原が応えた。「了解しました。」
松下が応えた。「了解しました。」
午後3時。総理私邸の表。
どこを走って来たのか、バイクが10台、官邸に突っ込んだ。
いや、突っ込んだ筈だった。バイクはみな転倒し、ライダーは怪我をした。
新しいSAT副隊長東山英一は言った。「こんなやり方があるなんて。エマージェンシーガールズはやることが違うな、と隊長に伝えてくれ。」
「了解しました。」と、陰に隠れていた財前が出てきて言った。
財前は、スマホを取り出し、言った。
「EITO本部。DDメンバーの皆さん、終了しました。」
渡が応えた。「了解しました。」
依田が応えた。「了解しました。」
山城が応えた。「了解しました。」
服部が応えた。「了解しました。」
辰巳が応えた。「了解しました。」
総理の部屋。
この様子を総理と早乙女は見ていた。「流石、大文字さんね。強行突破されたら、SPが何人いても同じだったわ。ありがとう。」「SPとしては、お役に立ってません。」
「いいえ。マルタイって言ったかしら?守る人を安心させることもSPの仕事だと思うわ。ねえ、皆さん。」
いつの間にか、国賓館から派遣されたSP隊がいた。
「ところで、早乙女さん。なんで、バイク、ひっくり返ったの?」と、総理は疑問を口にした。
「あれは、テグスです。テグスに引っかかったんです。EITOが開発した、強化されたテグスです。テグスは、烏や鳩の被害に遭いそうな軒下等に張っておくと、近寄らないそうです。光線の加減にも寄りますが、見えないんです。烏や鳩にはバリアと思えて脅威を感じて2度と近寄らなくなるそうです。夜ならピアノ線を張る方法もありますが、今は真っ昼間。ばれてしまいますから。特殊テグスを使いました。」
「鳥目、ですか。勉強になりました。」と、SPの隊長鳥居は言った。
午後3時。安芸津由奈の家の近く。
「人間国宝の海女の安芸津さんですよね?」と、尋ねる男がいた。
「人違いですわ。」と、綾子は、振り向きざま言った。
「確かに、人違いだ。失礼しました。」男が去ろうとすると、「懐のモノは何かな?」と後ろから来た天童は言った。男がナイフを出そうとした時、天童は手刀でナイフを叩き落とし、長波ホイッスルを吹いた。
「誘拐でもする積もりだった?」と陰から出た中津警部は言った。「人間国宝って、そんなに儲からないらしいよ。」男は逮捕連行された。
午後3時。テレビ2。社長室。
ピッキングして侵入した男がいた。
部屋に入った途端、男は手錠をかけられた。久保田警部補だった。
「ありがとう、利根川さん。テレビ局に『おんな』社長さんがいたなんて、想定外でした。
「普通、テレビ局の女性というと、メイクさんやADさんを想像するし、『おんなだけ』じゃないしねえ。お役に立てて良かったです。」と、利根川は言った。
男は、久保田警部補と部下に逮捕連行された。
午後4時。ウーマン銭湯。
10人位の男が銭湯に入ろうとした。その途端、セキュリティシステムが作動し、けたたましいアラームが鳴った。
「女装はしてなかったんだ。レイプしようとしたのかな?理由は署で聴くよ。ご苦労さん。入れたとしても、今日は休業。女性客がいる時に入れても、入り口でアラーム。染色体チェックするから、そこでもアウト。勉強不足だね。」
橋爪警部補と警官隊は、男達を逮捕連行した。
午後4時半。EITO司令室。
「全て、終りましたよ、理事官。」と、夏目警視正が言った。
須藤医官が幸田看護官と入って来た。「終った、と言ったか?」
「はい。」「怪我人は?」「報告にはありません。軽傷はあるかも知れませんが、医療機関に行く怪我の報告はありません。」
「そうか。大文字に、よくやった、と言っておけ。」と、言い捨て、須藤医官は出て言った。
理事官と夏目警視正は、ため息をついた。緊張感が解けた。
「また、叱られるのかと思ったよ。」「私もです。」
「コーヒーでも入れましょう。」と草薙が言った。
「ああ、頼む。」と、理事官は言い、草薙と渡は給湯室に向かった。
「俺、またちびっちゃった。」「俺も。緊張感、半端じゃないな。」
午後5時。伝子のマンション。
「それはそうと、お前、犬並みに聞こえたのか?」「まさか。以前のTick Tackと比べて、終るのに時間がかかってたから。福本のお母さんに頼んで、サチコに聴かせたら、台詞の後で吠えたって言うんだ。それで、本郷君に相談したんだ。」
「犬並みの耳なら、私たちが入って来たのに気づくわよ。」と、綾子が藤井と入って来て言った。
「母さん、今回はありがとう。」「珍しく素直ね。人間国宝さんね、もう介護生活で、家族によると、もう長くないそうよ。私が身代わりになれて良かったわ。天童さんがいれば、怪我もしないと思ったし。」
「さ、反省会は後々。そうめん茹でましょ。」と、藤井が言った。
高遠は、『抜け』があったかどうか気にかかったが、気にしても仕方がない、と諦めて、台所に向かった。伝子は、やはり自分は幸せだと感じていた。
―完―
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