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158.『怪人二十面相』の姪
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======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
須藤桃子医官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
金森和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
日向さやか(ひなたさやか)一佐・・空自からのEITO出向。伝子の影武者担当。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向。
江南(えなみ)美由紀・・・元警視庁警察犬チーム班長。EITOに就職。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
青山たかし元警部補・・・以前は丸髷署生活安全課勤務だったが、退職。EITOに再就職した。
渡伸也一曹・・・陸自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当の事務官。
草薙あきら・・・警視庁からのEITO出向。特別事務官。
河野事務官・・・警視庁からのEITO出向。主に警視庁担当事務官。
天童晃(ひかる)・・・EITO東京本部剣道顧問。準隊員待遇。闘いに参加することも。
須藤桃子医官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
高坂一郎看護官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
本郷弥生二佐・・・EITO大阪支部勤務。
本郷隼人二尉・・・EITOシステム部。弥生の弟。
大蔵太蔵(おおくらたいぞう)・・・EITOシステム部長。
早乙女愛・・・元EITO出向隊員。今は交番勤務の巡査。
利根川・・・元テレビ朝目社員。利根川を刺そうとした人物が縁で、EITOの協力者になっている、フリーの司会者。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。時々、伝子から「クソババア」と言われる。
藤井康子・・・大文字家のお隣さん。
物部一朗太・・・伝子の大学の翻訳部の副部長。故人となった蘇我義経の親友。蘇我と結婚した逢坂栞も翻訳部同学年だった。
物部(逢坂)栞・・・物部の妻。蘇我が亡くなってから一人だったが、物部と今年、再婚した。
依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。やすらぎほのかホテル東京支配人。
依田(小田)慶子・・・ある事件で依田と知り合い、結婚。やすらぎほのかホテル東京副支配人。
福本英二・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。大学は中退して演劇の道に進む。今は建築事務所に就職し、演劇活動は休止している。
福本祥子・・・福本の妻。福本の劇団の看板女優。
服部源一郎・・・伝子の高校のコーラス部後輩。シンガーソングライター。昭和レトロなレコードを探して、伝子達に紹介している。
服部(麻宮)コウ・・・服部の妻。夫を何とか音楽家として世に出したいと願っている。
南原龍之介・・・伝子の高校のコーラス部の後輩。高校の国語教師だったが、今は妻と共に学習塾を経営している。
南原(大田原)文子・・・南原の妻。学習塾を帰営している。
山城順・・・伝子の中学の書道部後輩。愛宕と同窓生。海自の民間登用の事務官。
山城(南原)蘭・・・美容師。伝子の後輩の山城と結婚した。
愛宕寛治・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。階級は警部。みちるの夫。
財前一郎・・・故人。かつて、伝子と闘った、「怪人二十面相」。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
=EITOガーディアンズとは、エマージェンシーガールズ後方支援部隊である。=
午前9時。蘇我の眠る墓。
墓参りにやって来た、伝子、高遠、物部、栞、依田、福本。
隣の墓のお参りをした、和服の女性が6人に黙礼をして去って行く。
思わず、黙礼を返した伝子達だったが・・・。
「あっ!!」と、伝子は真新しい、隣の墓の墓碑銘を見て叫んだ。
「どうした、大文字。」と、物部が尋ねると、「みんな、この名前に覚えはないか?」と伝子は言った。
暫くして、高遠が言った。「怪人二十面相こと財前、か。これって、偶然かな?」
「偶然では無いようですよ。」と、住職がやって来た。
「3ヶ月位前だったか、財前さんのお身内の方がご挨拶に見えましてね。墓仕舞いされた、前のお墓を譲り受けて、いずれ亡くなる財前さんのお墓を建てることになった、と。」
伝子達は、手早くお参りを済ませると、住職に請われて庫裡に移動した。
「財前一郎さんは、末期がんだったとか。それで、没後のことを姪御さんに託していたそうです。蘇我さん達のクラブのこともよくご存じで、是非、没後は隣に並びたい、と、おっしゃっておられたとか。」と、住職は説明した。
「知らなかった。事件の後、接見に行ったが、これきりにしてくれと言われたから、行かなかった。でも、クラブのこと、あれこれ話してやったら、とても喜んでくれてね。『先輩、先輩』ってヨーダ達のように言って。」伝子は淋しそうに言った。
「怪人二十面相だなんて名乗って、先輩を振り回して・・・でも、末期がんだったって後から聞いて。『幻の後輩』って副部長が言いましたよね。」と、依田が言った。
「ああ。今度からは、蘇我の墓参りだけで無く、『幻の後輩』の墓参りもしようぜ。」
「それが、いいわ。あんたもたまにはいいこと言うのね。」と栞が言い、「たまには、は余計だろうよ。」と、物部は膨れた。
午後1時。EITO本部。会議室。
ディスプレイにオクトパスのTick Tackの画像が流れた。
《
ごめん、ごめん。3人でいいって言ったのに、ウチの『枝』はおっちょこちょいが多くてね。でも充分遊べたよね。死人無し。いいゲームだったよね。
2回戦はさ、『おいたしちゃダメでちゅよ』って言っとくから。またねー。
》
理事官は、高坂看護官が差し出した、胃薬と水を飲み、深呼吸した。
「後で、血圧も測ってやれ、高坂。」と須藤医官は言った。
夏目警視正が声を上げて、言った。
「さて、諸君。待望の新人だ。自己紹介しろ。」と、夏目は退いた。
「仁礼らいむ一曹です。大叔父に懇願して、EITOに出向が決まりました。」
仁礼の挨拶に、「仁礼は、仁礼海将の大姪だ。だが、大文字君、遠慮は要らんぞ・・・って、遠慮なんかしないか。」と理事官は言った。
「財前直巳です。直巳は、冒険家植村直己さんの名前から取ったそうです。隊長、今朝ほどは失礼致しました。お目にかかれて光栄です。昨年は、叔父がご迷惑をおかけしました。」
「構わない。財前は『幻の後輩』だ。今でもそう思っている。自衛隊に入る時、財前に相談したのか?」「はい。自衛隊に入るのなら、EITOを志願しろと言われました。『幻の先輩』が隊長だから、と。」
「分かった。理事官。頼もしい新人です。嬉しいです。増田、馬越。教育がかりをしてくれ。」
伝子の言葉に、「了解しました。」と二人は揃って応えた。
午後3時。久保田邸。
「ふうん。仁礼海将の大姪は驚かないけど、あの財前の姪が入隊するとはね。」と愛息健太郎にミルクを与えながら、久保田警部補は言った。
「『幻の後輩』『幻の先輩』か。実は、何度か大文字君に接見の手配を頼まれたんだが、その都度財前が断って来たんだ。まあ、犯罪者には違いないからな。引け目もあったんだろうよ。」と、久保田管理官が言った。
「おねえさまの寵愛がまた減るわね。」「寵愛?あっちゃん、まさか・・・。」
「知らなかった?なぎさだけじゃないのよ、バイセクシャルは。」「えーーーー。」
「冗談よ。健太郎。パパは真面目でちゅねー。」と、あつこは健太郎をあやした。
午後3時。伝子のマンション。
「幻の先輩、後輩ねえ。現実の先輩後輩も多い伝子だけど、そういうのもありなんだ。」
「お義母さん、そんなこと言うとまた、伝子に『帰れ、クソババア!』って言われますよ。」
伝子がトイレから出てきた。「何か盛り上がってる?いや、焦げ臭い。」
高遠が、慌てて網焼き器から魚を出した。「ちょっと、炭素が多いかな?」
「天童さんに、あの事件の時の身内が入隊したって言ったら、『是非鍛えさせて頂きます』って言ってたよ。」と、伝子が言うと、「そう言えば、天童さん達、欺されて伝子と闘ったんだよね。」「うん。天童さんが一番手強かった、実は公民館の畳が古くて脆くなってた所があったんだ。勝ったのは、天童さんがよろけたからだよ。」と、伝子は笑った。
午後4時。ウーマン銭湯。
財前と仁礼は、2人だけでやって来た。
厳重なチェックが済み、洗い場でお互いを『洗いっこ』をした。
「いつも予約で一杯って聞いたけど、簡単に入れたね。暇な日なのかな?」
財前が言うと、「本当の開店は5時なんですけどね、DDバッジを着けていらしたから、EITOに連絡して確認しました。『今日だけ』貸し切りね。臨時の店長をしている、中丸と申します。」と、従業員出入り口から入って来た女性が言った。
「これは失礼しました。」と二人が出て行こうとするのを、中丸は笑って止めた。
「EITOにも大文字さんにもお世話になっております。たまにはサービスさせて下さい。それから、バッジは目立たない場所に着けるように、と伝言を預かりました。」
「恐縮です。」二人が最敬礼するのを見て、中丸は、「どうぞ、ごゆっくり。と言っても5時から予約客が街って来ますが。」と、言って、また出て行った。
「隊長に叱られるかな?この後どうする?居酒屋にでも行く?」「いいね。そう言えば、EITOの隊員は飲まない人多いらしいね。まあ、いつ出動になるか分からないから、飲んでる暇ないのかも。」
「そうね。私の部隊でも、みんな飲まなかった。規則以前の問題なのかも。」
二人は笑った。
午後5時。
ウーマン銭湯を出た二人は、隣町の居酒屋に行くことにした。ウーマン銭湯に行く時は、実は増田と馬越がバイクで送ってくれたので、どの道帰りはタクシーだ。
「キャー!!」女の悲鳴が聞こえた。
二人は、顔を見合わせ、悲鳴の声の元に走った。
路地で、震える女性が倒れていて、側にコートをはだけた全裸の男がいた。
財前は、つかつかと寄って行き、男の股間の『お宝』を握って言った。
「粗品ね。」仁礼も、それに習って、お宝を握って言った。「粗品だわ。」
そして、二人で男の股間を蹴った。男は、もんどり打って倒れた。
財前は、DDバッジと長波ホイッスルを出して、「この場合、どっちかな?」と首を捻った。
「この場合は、スマホで本部に連絡。もうちょっとだったけど、及第点あげる?」と増田が振り返って馬越に言った。
「そうね、警察の事情聴取出来たら、合格にするか。大丈夫?」と言い、襲われた女性を気遣った。
「ありがとうございます。あの、警察の方ですか?」「まあ、いいじゃない、細かいことは。」
パトカーがやって来た。
「痴漢だって?取り調べは私が・・・まあ、可愛い。」と、みちるは男の股間を見て言った。
午後7時。伝子のマンション。
みちるの報告を受けて、高遠と伝子は爆笑した。
「増田さんも馬越さんも心配だったんだね、結果オーライかな。」と高遠が言うと、「そうだな。店長に頼み込んだのも、様子を伺っていたのも、責任感が大きいからだろう。居酒屋に行くことは、みちるが勧めたのか?」「うん。今の内だと思って。いけなかった?おねえさま。」
「学。私の『妹』は皆優秀だ。」「知ってる。その『おねえさま』がもっと優秀なのもね。」
「もっと優秀なのもね。まだラブラブね。」トイレから出た綾子の嫌味を、電話の向こうの、みちるが笑った。
翌朝。午前6時。
オクトパスからまた、Tick Tackに「課題」が送られて来た。
―完―
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
須藤桃子医官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
金森和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
日向さやか(ひなたさやか)一佐・・空自からのEITO出向。伝子の影武者担当。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
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伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
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高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
青山たかし元警部補・・・以前は丸髷署生活安全課勤務だったが、退職。EITOに再就職した。
渡伸也一曹・・・陸自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当の事務官。
草薙あきら・・・警視庁からのEITO出向。特別事務官。
河野事務官・・・警視庁からのEITO出向。主に警視庁担当事務官。
天童晃(ひかる)・・・EITO東京本部剣道顧問。準隊員待遇。闘いに参加することも。
須藤桃子医官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
高坂一郎看護官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
本郷弥生二佐・・・EITO大阪支部勤務。
本郷隼人二尉・・・EITOシステム部。弥生の弟。
大蔵太蔵(おおくらたいぞう)・・・EITOシステム部長。
早乙女愛・・・元EITO出向隊員。今は交番勤務の巡査。
利根川・・・元テレビ朝目社員。利根川を刺そうとした人物が縁で、EITOの協力者になっている、フリーの司会者。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。時々、伝子から「クソババア」と言われる。
藤井康子・・・大文字家のお隣さん。
物部一朗太・・・伝子の大学の翻訳部の副部長。故人となった蘇我義経の親友。蘇我と結婚した逢坂栞も翻訳部同学年だった。
物部(逢坂)栞・・・物部の妻。蘇我が亡くなってから一人だったが、物部と今年、再婚した。
依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。やすらぎほのかホテル東京支配人。
依田(小田)慶子・・・ある事件で依田と知り合い、結婚。やすらぎほのかホテル東京副支配人。
福本英二・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。大学は中退して演劇の道に進む。今は建築事務所に就職し、演劇活動は休止している。
福本祥子・・・福本の妻。福本の劇団の看板女優。
服部源一郎・・・伝子の高校のコーラス部後輩。シンガーソングライター。昭和レトロなレコードを探して、伝子達に紹介している。
服部(麻宮)コウ・・・服部の妻。夫を何とか音楽家として世に出したいと願っている。
南原龍之介・・・伝子の高校のコーラス部の後輩。高校の国語教師だったが、今は妻と共に学習塾を経営している。
南原(大田原)文子・・・南原の妻。学習塾を帰営している。
山城順・・・伝子の中学の書道部後輩。愛宕と同窓生。海自の民間登用の事務官。
山城(南原)蘭・・・美容師。伝子の後輩の山城と結婚した。
愛宕寛治・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。階級は警部。みちるの夫。
財前一郎・・・故人。かつて、伝子と闘った、「怪人二十面相」。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
=EITOガーディアンズとは、エマージェンシーガールズ後方支援部隊である。=
午前9時。蘇我の眠る墓。
墓参りにやって来た、伝子、高遠、物部、栞、依田、福本。
隣の墓のお参りをした、和服の女性が6人に黙礼をして去って行く。
思わず、黙礼を返した伝子達だったが・・・。
「あっ!!」と、伝子は真新しい、隣の墓の墓碑銘を見て叫んだ。
「どうした、大文字。」と、物部が尋ねると、「みんな、この名前に覚えはないか?」と伝子は言った。
暫くして、高遠が言った。「怪人二十面相こと財前、か。これって、偶然かな?」
「偶然では無いようですよ。」と、住職がやって来た。
「3ヶ月位前だったか、財前さんのお身内の方がご挨拶に見えましてね。墓仕舞いされた、前のお墓を譲り受けて、いずれ亡くなる財前さんのお墓を建てることになった、と。」
伝子達は、手早くお参りを済ませると、住職に請われて庫裡に移動した。
「財前一郎さんは、末期がんだったとか。それで、没後のことを姪御さんに託していたそうです。蘇我さん達のクラブのこともよくご存じで、是非、没後は隣に並びたい、と、おっしゃっておられたとか。」と、住職は説明した。
「知らなかった。事件の後、接見に行ったが、これきりにしてくれと言われたから、行かなかった。でも、クラブのこと、あれこれ話してやったら、とても喜んでくれてね。『先輩、先輩』ってヨーダ達のように言って。」伝子は淋しそうに言った。
「怪人二十面相だなんて名乗って、先輩を振り回して・・・でも、末期がんだったって後から聞いて。『幻の後輩』って副部長が言いましたよね。」と、依田が言った。
「ああ。今度からは、蘇我の墓参りだけで無く、『幻の後輩』の墓参りもしようぜ。」
「それが、いいわ。あんたもたまにはいいこと言うのね。」と栞が言い、「たまには、は余計だろうよ。」と、物部は膨れた。
午後1時。EITO本部。会議室。
ディスプレイにオクトパスのTick Tackの画像が流れた。
《
ごめん、ごめん。3人でいいって言ったのに、ウチの『枝』はおっちょこちょいが多くてね。でも充分遊べたよね。死人無し。いいゲームだったよね。
2回戦はさ、『おいたしちゃダメでちゅよ』って言っとくから。またねー。
》
理事官は、高坂看護官が差し出した、胃薬と水を飲み、深呼吸した。
「後で、血圧も測ってやれ、高坂。」と須藤医官は言った。
夏目警視正が声を上げて、言った。
「さて、諸君。待望の新人だ。自己紹介しろ。」と、夏目は退いた。
「仁礼らいむ一曹です。大叔父に懇願して、EITOに出向が決まりました。」
仁礼の挨拶に、「仁礼は、仁礼海将の大姪だ。だが、大文字君、遠慮は要らんぞ・・・って、遠慮なんかしないか。」と理事官は言った。
「財前直巳です。直巳は、冒険家植村直己さんの名前から取ったそうです。隊長、今朝ほどは失礼致しました。お目にかかれて光栄です。昨年は、叔父がご迷惑をおかけしました。」
「構わない。財前は『幻の後輩』だ。今でもそう思っている。自衛隊に入る時、財前に相談したのか?」「はい。自衛隊に入るのなら、EITOを志願しろと言われました。『幻の先輩』が隊長だから、と。」
「分かった。理事官。頼もしい新人です。嬉しいです。増田、馬越。教育がかりをしてくれ。」
伝子の言葉に、「了解しました。」と二人は揃って応えた。
午後3時。久保田邸。
「ふうん。仁礼海将の大姪は驚かないけど、あの財前の姪が入隊するとはね。」と愛息健太郎にミルクを与えながら、久保田警部補は言った。
「『幻の後輩』『幻の先輩』か。実は、何度か大文字君に接見の手配を頼まれたんだが、その都度財前が断って来たんだ。まあ、犯罪者には違いないからな。引け目もあったんだろうよ。」と、久保田管理官が言った。
「おねえさまの寵愛がまた減るわね。」「寵愛?あっちゃん、まさか・・・。」
「知らなかった?なぎさだけじゃないのよ、バイセクシャルは。」「えーーーー。」
「冗談よ。健太郎。パパは真面目でちゅねー。」と、あつこは健太郎をあやした。
午後3時。伝子のマンション。
「幻の先輩、後輩ねえ。現実の先輩後輩も多い伝子だけど、そういうのもありなんだ。」
「お義母さん、そんなこと言うとまた、伝子に『帰れ、クソババア!』って言われますよ。」
伝子がトイレから出てきた。「何か盛り上がってる?いや、焦げ臭い。」
高遠が、慌てて網焼き器から魚を出した。「ちょっと、炭素が多いかな?」
「天童さんに、あの事件の時の身内が入隊したって言ったら、『是非鍛えさせて頂きます』って言ってたよ。」と、伝子が言うと、「そう言えば、天童さん達、欺されて伝子と闘ったんだよね。」「うん。天童さんが一番手強かった、実は公民館の畳が古くて脆くなってた所があったんだ。勝ったのは、天童さんがよろけたからだよ。」と、伝子は笑った。
午後4時。ウーマン銭湯。
財前と仁礼は、2人だけでやって来た。
厳重なチェックが済み、洗い場でお互いを『洗いっこ』をした。
「いつも予約で一杯って聞いたけど、簡単に入れたね。暇な日なのかな?」
財前が言うと、「本当の開店は5時なんですけどね、DDバッジを着けていらしたから、EITOに連絡して確認しました。『今日だけ』貸し切りね。臨時の店長をしている、中丸と申します。」と、従業員出入り口から入って来た女性が言った。
「これは失礼しました。」と二人が出て行こうとするのを、中丸は笑って止めた。
「EITOにも大文字さんにもお世話になっております。たまにはサービスさせて下さい。それから、バッジは目立たない場所に着けるように、と伝言を預かりました。」
「恐縮です。」二人が最敬礼するのを見て、中丸は、「どうぞ、ごゆっくり。と言っても5時から予約客が街って来ますが。」と、言って、また出て行った。
「隊長に叱られるかな?この後どうする?居酒屋にでも行く?」「いいね。そう言えば、EITOの隊員は飲まない人多いらしいね。まあ、いつ出動になるか分からないから、飲んでる暇ないのかも。」
「そうね。私の部隊でも、みんな飲まなかった。規則以前の問題なのかも。」
二人は笑った。
午後5時。
ウーマン銭湯を出た二人は、隣町の居酒屋に行くことにした。ウーマン銭湯に行く時は、実は増田と馬越がバイクで送ってくれたので、どの道帰りはタクシーだ。
「キャー!!」女の悲鳴が聞こえた。
二人は、顔を見合わせ、悲鳴の声の元に走った。
路地で、震える女性が倒れていて、側にコートをはだけた全裸の男がいた。
財前は、つかつかと寄って行き、男の股間の『お宝』を握って言った。
「粗品ね。」仁礼も、それに習って、お宝を握って言った。「粗品だわ。」
そして、二人で男の股間を蹴った。男は、もんどり打って倒れた。
財前は、DDバッジと長波ホイッスルを出して、「この場合、どっちかな?」と首を捻った。
「この場合は、スマホで本部に連絡。もうちょっとだったけど、及第点あげる?」と増田が振り返って馬越に言った。
「そうね、警察の事情聴取出来たら、合格にするか。大丈夫?」と言い、襲われた女性を気遣った。
「ありがとうございます。あの、警察の方ですか?」「まあ、いいじゃない、細かいことは。」
パトカーがやって来た。
「痴漢だって?取り調べは私が・・・まあ、可愛い。」と、みちるは男の股間を見て言った。
午後7時。伝子のマンション。
みちるの報告を受けて、高遠と伝子は爆笑した。
「増田さんも馬越さんも心配だったんだね、結果オーライかな。」と高遠が言うと、「そうだな。店長に頼み込んだのも、様子を伺っていたのも、責任感が大きいからだろう。居酒屋に行くことは、みちるが勧めたのか?」「うん。今の内だと思って。いけなかった?おねえさま。」
「学。私の『妹』は皆優秀だ。」「知ってる。その『おねえさま』がもっと優秀なのもね。」
「もっと優秀なのもね。まだラブラブね。」トイレから出た綾子の嫌味を、電話の向こうの、みちるが笑った。
翌朝。午前6時。
オクトパスからまた、Tick Tackに「課題」が送られて来た。
―完―
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「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【R18】もう一度セックスに溺れて
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