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22.家族

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 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
 久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
 大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
 福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
 依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
 服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
 南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
 山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
 愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。

 久保田誠・・・健太郎の父。警視庁警部補。
 久保田あつこ・・・健太郎の母。警視庁警視正。
 物部一朗太・・・喫茶店アテロゴマスター。おさむの母伝子と同級生。
 ==============================
 ==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 午後7時。モール内のファミリーレストラン。
 健太郎は、久しぶりに父母と夕食を共にしていた。
「早く食べなさい!」という声に驚いて健太郎達がテーブルを見ると、女性が老婦人に向けて怒鳴っている。
「思うように進まないんだよ。」と、老婦人はおろおろしている。
 隣の男は知らん顔をし、息子らしき男の子はゲームをしていた。
 健太郎は、男の子に近づき、ゲームを取り上げ、頬をぶった。
「何をする!このガキ!!」と、父親らしき男は健太郎を殴ろうとした。
 あつこが、すかさず寄って、その父親の手を捻った。
「てっててって。何する、このアマ!!」
「まあ、お上品な言葉ですこと。警部補。こういうの何て言うんだっけ?」
 振られた誠は苦笑しながら、「公務執行妨害ですね、警視正。」と応えた。
 健太郎は、少年に言った。
「君のおばあちゃんは、虐待に遭ってた。ギャクタイって、言葉が分からないなら、イジメに遭ってた。分かるよね、もう。来年1年生なんだから。そのランドセル、おばあちゃんに買って貰ったんだよね。おばあちゃんに、ありがとう、って言った?」
「言って無い・・・まだ。」「じゃ、今言おう。おばあちゃん、ランドセル買ってくれてありがとう。」
 少年は健太郎に気圧されて、「おばあちゃん、ランドセル買ってくれてありがとう。」と言った。
「ありがとう、いいのよ、文昭。沢山、勉強してね。」「うん。」
 誠は店員を連れて戻って来た。
 店員は、その場で老婦人の肉にナイフを入れて細かくし、箸とお手拭きを置いて、下がって行った。
 老婦人は、泣いて、健太郎達に礼を言った。
「おばちゃん、レジで精算する時でいいから、お礼を言って、文昭君に『いい見本』を見せてね。それと、自分を産んでくれた母親に甘えてランドセル買って貰って、『早く食べなさい!』ってみっともないこと言ったお詫びも言ってね。出来れば、今。クルマに乗ってる間に忘れちゃいけないものね。」
 健太郎の言葉に、「ランドセル買ってくれてありがとう。クルマの時間があると思って、怒鳴ったりしてごめんなさい。」と、文昭の母は、自分の母に頭を下げた。
「あのう、私達は逮捕されるんですか?警視正さん。」と、文昭の父はあつこに尋ねた。
「まあ、執行猶予かな。確かに、帰り道は混んでるかもね。お盆のUターンラッシュで。でも、高齢者の扱い方は、『勉強』しなさい。」
 健太郎達は、席に戻って、何食わぬ顔で食べた。
 その内、老婦人が完食したのを確認した家族は、出て行った。
 物部が近寄ってきて言った。「なかなかの『大岡裁き』だったな、警視正も健太郎も。」
「マスター。ありがとう。」と、あつこが言った。
「さっきの店員さん、シェフ?」「なかなかの推理だな、健太郎。普通、ウエイターは、あんなことしないものな。」
 物部は健太郎を撫でた。
「警部補。これ。」と、物部は誠にメモを渡した。「抜け道。ここ、工事中ね。」
 店が混んで来たので、物部は去った。
 あつこ達は完食し、帰り支度を始めた。
 ―完―

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