14 / 35
14.また貸し事件
しおりを挟む
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。
物部栞・・・満百合の母。ペンネームは『美作(みまさか)あゆみ』。
池上葉子・・・池上病院院長。
佐幸俊子・・・満百合の担任。
大文字学・・・おさむの父。
==============================
==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
午後3時。モール外の公園のベンチ。
「だから、また貸ししちゃダメって言ったのに。」未玖は、満百合を責めた。
「確かに、満百合は軽率だった。でも、取り戻すことを考えようよ。」と、悦子は言った。
「名前が似てるだけじゃないんだね、悦子。僕も同感だな。」と、悦司は言った。
「名前は似てないけど、僕も同じ考えだな。満百合、話して。皆で探そう。」と、おさむは言った。
「同感だ。」と、健太郎が近づいて来て言った。
「私達もよ。満百合。」みどりと千香乃が言った。
「ここには、仲間しかいない。違う?」とめぐみは言った。
昨日、今度転校して来た、厳原(いずはら)のん、って子が私の読んでいる本を覗き込んで言ったんだ。『これ、図書館で読んだ本だ。明日までに返すから、ちょっと貸して。』って。私がいい、って言ってないのに。」
満百合の話に、「何てタイトルの本?」って健太郎は尋ねた。
「『ラッキーなこおろぎ。』って本。未玖ちゃんから借りてた本。」「体裁のいいかっぱらい、ひったくりだな。」健太郎の言葉に、「窃盗罪だな。」と、悦司が言った。
2人とも親が警察官だ。犯罪には敏感だ。
「転校してきた、って満百合のクラスだよね。今日は、会わなかったの?」と、おさむが言った。
「今日、休んでいるの?それで、未玖ちゃんに『どこまで読んだ?』って聞かれて。」
満百合は、泣き出した。
「泣かなくていいよ。お休みって、風邪?担任の先生に家を聞いて、『皆でお見舞い』に行こうよ。」と。おさむが提案した。
「よし、そうしよう。担任の先生の電話番号は?」満百合は、スマホのプロテクトと電話番号のプロテクトを外した満百合が、皆に番号を見せてから、電話をかけた。
「分かったわ。先生がオウチに電話して確認してみる。会える状態なら、皆でお見舞いに行って。但し、結果は報告してね、満百合ちゃん。」
担任の佐幸先生は、気軽に返事をしてくれた。スピーカーをオンにしていたので、皆は聞いていた。
30分ほど経って、佐幸先生から電話があった。
「満百合ちゃん。のんちゃんは、交通事故に遭ったわ。繋がらないなあ、と思っていたら、警察の人が出たの。池上病院よ。」
午後4時半。池上病院。のんの病室。
看護師が、窓を開けた。
「ごめんなさい、満百合ちゃん。シオリに宝くじ挟んであったから、返そうと思って走ったら、撥ねられちゃった。運転手さんは悪くないよって、今お巡りさんに言ってたの。」
そこへ、池上院長、担任の佐幸先生、おさむの父親である高遠学、満百合の母親である栞がやって来た。
「打撲したけど、大丈夫。骨折までには至ってないわ。」と池上院長は言った。
「未玖ちゃん、満百合。のんちゃんにあげるわ、その本。」
2人が驚いていると、学が説明した。「その本は、新装丁で再販されたけど、昔、満百合ちゃんのお母さんが書いた童話だよ。ペンネームは、美作(みまさか)あゆみ。実は、僕が名付け親。AYUMIをアナグラムで置き換えて、MAYUI。語呂が悪いから、満百合にした。」
「あなたが産まれるずっと前。盗作騒ぎで裁判になった。結局、勝ったけど、その『お話』は、イヤな事思い出しちゃうから、満百合の読み聞かせには使わなかった。ごめんなさい。」と、栞は満百合に頭を下げた。
「編集長が言ってた。きっと、お母さんに負けない童話作家になるって。」と、学は笑った。
佐幸先生も、話を付け加えた。「その童話を学校に寄付してくれたのが、大文字先生よ。娘も、知らず知らずファンになっていたなんて、凄いわ。」
のんの母親が、「それで、この宝くじは・・・大事なものなのね。」と、未玖に尋ねた。
「初めて買って貰った、宝くじ。当たってるかどうかなんて関係無い。戻って来た。」
「健太郎君。お友達が、また増えたね。」「はい。」
健太郎は、池上院長に元気よく応えた。
―完―
============== 主な登場人物 ================
物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。
物部栞・・・満百合の母。ペンネームは『美作(みまさか)あゆみ』。
池上葉子・・・池上病院院長。
佐幸俊子・・・満百合の担任。
大文字学・・・おさむの父。
==============================
==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
午後3時。モール外の公園のベンチ。
「だから、また貸ししちゃダメって言ったのに。」未玖は、満百合を責めた。
「確かに、満百合は軽率だった。でも、取り戻すことを考えようよ。」と、悦子は言った。
「名前が似てるだけじゃないんだね、悦子。僕も同感だな。」と、悦司は言った。
「名前は似てないけど、僕も同じ考えだな。満百合、話して。皆で探そう。」と、おさむは言った。
「同感だ。」と、健太郎が近づいて来て言った。
「私達もよ。満百合。」みどりと千香乃が言った。
「ここには、仲間しかいない。違う?」とめぐみは言った。
昨日、今度転校して来た、厳原(いずはら)のん、って子が私の読んでいる本を覗き込んで言ったんだ。『これ、図書館で読んだ本だ。明日までに返すから、ちょっと貸して。』って。私がいい、って言ってないのに。」
満百合の話に、「何てタイトルの本?」って健太郎は尋ねた。
「『ラッキーなこおろぎ。』って本。未玖ちゃんから借りてた本。」「体裁のいいかっぱらい、ひったくりだな。」健太郎の言葉に、「窃盗罪だな。」と、悦司が言った。
2人とも親が警察官だ。犯罪には敏感だ。
「転校してきた、って満百合のクラスだよね。今日は、会わなかったの?」と、おさむが言った。
「今日、休んでいるの?それで、未玖ちゃんに『どこまで読んだ?』って聞かれて。」
満百合は、泣き出した。
「泣かなくていいよ。お休みって、風邪?担任の先生に家を聞いて、『皆でお見舞い』に行こうよ。」と。おさむが提案した。
「よし、そうしよう。担任の先生の電話番号は?」満百合は、スマホのプロテクトと電話番号のプロテクトを外した満百合が、皆に番号を見せてから、電話をかけた。
「分かったわ。先生がオウチに電話して確認してみる。会える状態なら、皆でお見舞いに行って。但し、結果は報告してね、満百合ちゃん。」
担任の佐幸先生は、気軽に返事をしてくれた。スピーカーをオンにしていたので、皆は聞いていた。
30分ほど経って、佐幸先生から電話があった。
「満百合ちゃん。のんちゃんは、交通事故に遭ったわ。繋がらないなあ、と思っていたら、警察の人が出たの。池上病院よ。」
午後4時半。池上病院。のんの病室。
看護師が、窓を開けた。
「ごめんなさい、満百合ちゃん。シオリに宝くじ挟んであったから、返そうと思って走ったら、撥ねられちゃった。運転手さんは悪くないよって、今お巡りさんに言ってたの。」
そこへ、池上院長、担任の佐幸先生、おさむの父親である高遠学、満百合の母親である栞がやって来た。
「打撲したけど、大丈夫。骨折までには至ってないわ。」と池上院長は言った。
「未玖ちゃん、満百合。のんちゃんにあげるわ、その本。」
2人が驚いていると、学が説明した。「その本は、新装丁で再販されたけど、昔、満百合ちゃんのお母さんが書いた童話だよ。ペンネームは、美作(みまさか)あゆみ。実は、僕が名付け親。AYUMIをアナグラムで置き換えて、MAYUI。語呂が悪いから、満百合にした。」
「あなたが産まれるずっと前。盗作騒ぎで裁判になった。結局、勝ったけど、その『お話』は、イヤな事思い出しちゃうから、満百合の読み聞かせには使わなかった。ごめんなさい。」と、栞は満百合に頭を下げた。
「編集長が言ってた。きっと、お母さんに負けない童話作家になるって。」と、学は笑った。
佐幸先生も、話を付け加えた。「その童話を学校に寄付してくれたのが、大文字先生よ。娘も、知らず知らずファンになっていたなんて、凄いわ。」
のんの母親が、「それで、この宝くじは・・・大事なものなのね。」と、未玖に尋ねた。
「初めて買って貰った、宝くじ。当たってるかどうかなんて関係無い。戻って来た。」
「健太郎君。お友達が、また増えたね。」「はい。」
健太郎は、池上院長に元気よく応えた。
―完―
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる