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頼もしいギャレック邸の仲間たち④
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「何をしている」
「!」
そこへ、今度は背後から一切の気配を感じさせずにエドウィン様が現れました。急に声をかけられてビックリ! とんでもない強者であろうお三方でさえビクッと肩を震わせていたので、エドウィン様の実力の高さがうかがえますね……!
いえ、そんなことよりお仕事モードの髑髏エドウィン様もやっぱり素敵ですっ! 今日も会えましたね! いえ、夜明け前にも会いましたが! 夜明け、前にも……。
ついつい思い出して、顔に熱が集まってしまいます。いやですね、私ったら変態みたいです。否定は出来ませんが。
パタパタと手で顔に風を送り、熱くなったのを誤魔化します。せっかく来てくださったのですから、少しでもお話したいですからね! 私はトコトコとエドウィン様に近付きました。
そんな私の行動に、ゾイたち三人がハッと息を呑んだのがわかりましたが、また後で! 今はエドウィン様っ!
「エドウィン様、お疲れ様です! 今、皆さんにお屋敷のことやエドウィン様のことをお聞きしていたのですよ。皆さんとても親切で、とてもありがたいです」
「そ、そうか」
遠慮なく言葉を連ねると、エドウィン様がやや戸惑ったように返事をしてくださいました。照れていらっしゃるのでしょうか? ああ、かわいいです。エドウィン様は嫌がるでしょうけれど、今日も貴方様がかわいさ一等賞です。
「そうだ! エドウィン様がゾイを私の専属メイドに任命してくださったのですよね? その、私のためにとてもすごい方を側に付けてくださったと……」
おっと忘れるところでしたよ! エドウィン様のご配慮にしっかりお礼を言いませんと!
「あ、ああ。だが、ゾイは普通のメイドとはかけ離れている。ハナが気になるというのなら他の者にしてもいいんだが……彼女はとても優秀だ。出来れば側に置いてやってもらいたいんだが」
「それはもちろんですよ! ゾイも気さくでとても優しいです。私の方こそお願いしたいくらいですよ?」
その気遣ってくださる心がとても嬉しいのです。慣れない地で私が苦労しないようにと、最大限の配慮をしてくれているのが伝わります。
私の婚約者様は、世界一素敵な人だと会う度に再認識しますね!
「やはりハナは不思議だ。不満に思われても仕方ないと思っていたのだが。それを聞いて、安心した」
エドウィン様はそう言うと、私の頬に手を伸ばしました。
ふっ、触れられる!? と思って思わず硬直したせいでしょうか。その手は直前でピタリと止まってしまいます。もしかしたら、昨日のことがあるので触れるのを躊躇しているのかもしれません。
大丈夫です。大丈夫ですよ、エドウィン様。私は貴方にされて嫌なことなど、怖いと思うことなど一つもないのですから。そりゃあ、緊張はものすごくしますけれど。
私は宙で止まってしまったエドウィン様の手に触れました。そのままその手を引き寄せて頬擦りします。
ピクリとわずかに動いた手がとても愛おしく、手袋越しに感じるエドウィン様の体温にドキドキと胸が高鳴りました。
緊張でやっぱり心臓が口から飛び出しそうでしたけれど、大丈夫だということを伝えたくて。私はそのまま真っ直ぐエドウィン様を見上げて微笑みました。
そこでようやく、エドウィン様の力も抜けたのが伝わってきます。
「……ハナ。俺の周りには変なヤツが多い。もし嫌になったのなら、言ってほしい」
「絶対に嫌な思いはしませんよ。確かに面白い方々が多いみたいですけれど、むしろ楽しいので!」
「ククッ、逞しいな」
仮面の下で、無邪気に笑うエドウィン様のお顔が脳内再生されました。いくら目の前の髑髏の仮面がおどろおどろしくても、私にはこの脳内再生があるので余裕です。かわいい。
「エドウィン様が私のためにと決めてくださったのでしょう? ちゃんと考えてもらっているってわかって、私は幸せ者です」
「っ!」
愛おしさが溢れてしまって、私もエドウィン様の頬に手を伸ばしてしまいました。仮面は冷たくて無機質でしたけれど、まったく気にもなりません。
えへへ、と笑うとエドウィン様が黙り込んでしまいました。あらら、硬直されています? 私と同じでやっぱりエドウィン様も緊張なさるのだなぁ、と思うと本当に胸の奥がくすぐったくなりますね。かわいい。
「……俺は、仕事に戻る。皆、ハナのことを頼む」
「はっ!!」
しばらくして、エドウィン様は顔を上げると、背後で待つゾイたち三人に声をかけました。お三方は声を揃えて返事をします。
はぁ、それにしてもお仕事モードでキリッとしたエドウィン様の声色もとてもカッコいいです。素敵っ!
「いってらっしゃいませ、エドウィン様!」
名残惜しいですが、エドウィン様はお忙しい身。それなのに様子を見に来てくださったのです。贅沢は言えませんね。せめて笑顔で見送ろうと私はブンブン手を振りました。
そんな私を見てエドウィン様は少しだけ悩むような素振りを見せると、何かを決めたように私を見ました。
「夕食は、その……一緒にどうだ?」
「いっ、いいんですか!? はい、ぜひ! 楽しみにしていますね!」
はうん、なんたるご褒美! 夕食が喉を通るか今から心配ですね! 食べますけど! エドウィン様は私を喜ばせる天才だと思います。はぁ、楽しみすぎます。夜が待ち遠しいです。
「!」
そこへ、今度は背後から一切の気配を感じさせずにエドウィン様が現れました。急に声をかけられてビックリ! とんでもない強者であろうお三方でさえビクッと肩を震わせていたので、エドウィン様の実力の高さがうかがえますね……!
いえ、そんなことよりお仕事モードの髑髏エドウィン様もやっぱり素敵ですっ! 今日も会えましたね! いえ、夜明け前にも会いましたが! 夜明け、前にも……。
ついつい思い出して、顔に熱が集まってしまいます。いやですね、私ったら変態みたいです。否定は出来ませんが。
パタパタと手で顔に風を送り、熱くなったのを誤魔化します。せっかく来てくださったのですから、少しでもお話したいですからね! 私はトコトコとエドウィン様に近付きました。
そんな私の行動に、ゾイたち三人がハッと息を呑んだのがわかりましたが、また後で! 今はエドウィン様っ!
「エドウィン様、お疲れ様です! 今、皆さんにお屋敷のことやエドウィン様のことをお聞きしていたのですよ。皆さんとても親切で、とてもありがたいです」
「そ、そうか」
遠慮なく言葉を連ねると、エドウィン様がやや戸惑ったように返事をしてくださいました。照れていらっしゃるのでしょうか? ああ、かわいいです。エドウィン様は嫌がるでしょうけれど、今日も貴方様がかわいさ一等賞です。
「そうだ! エドウィン様がゾイを私の専属メイドに任命してくださったのですよね? その、私のためにとてもすごい方を側に付けてくださったと……」
おっと忘れるところでしたよ! エドウィン様のご配慮にしっかりお礼を言いませんと!
「あ、ああ。だが、ゾイは普通のメイドとはかけ離れている。ハナが気になるというのなら他の者にしてもいいんだが……彼女はとても優秀だ。出来れば側に置いてやってもらいたいんだが」
「それはもちろんですよ! ゾイも気さくでとても優しいです。私の方こそお願いしたいくらいですよ?」
その気遣ってくださる心がとても嬉しいのです。慣れない地で私が苦労しないようにと、最大限の配慮をしてくれているのが伝わります。
私の婚約者様は、世界一素敵な人だと会う度に再認識しますね!
「やはりハナは不思議だ。不満に思われても仕方ないと思っていたのだが。それを聞いて、安心した」
エドウィン様はそう言うと、私の頬に手を伸ばしました。
ふっ、触れられる!? と思って思わず硬直したせいでしょうか。その手は直前でピタリと止まってしまいます。もしかしたら、昨日のことがあるので触れるのを躊躇しているのかもしれません。
大丈夫です。大丈夫ですよ、エドウィン様。私は貴方にされて嫌なことなど、怖いと思うことなど一つもないのですから。そりゃあ、緊張はものすごくしますけれど。
私は宙で止まってしまったエドウィン様の手に触れました。そのままその手を引き寄せて頬擦りします。
ピクリとわずかに動いた手がとても愛おしく、手袋越しに感じるエドウィン様の体温にドキドキと胸が高鳴りました。
緊張でやっぱり心臓が口から飛び出しそうでしたけれど、大丈夫だということを伝えたくて。私はそのまま真っ直ぐエドウィン様を見上げて微笑みました。
そこでようやく、エドウィン様の力も抜けたのが伝わってきます。
「……ハナ。俺の周りには変なヤツが多い。もし嫌になったのなら、言ってほしい」
「絶対に嫌な思いはしませんよ。確かに面白い方々が多いみたいですけれど、むしろ楽しいので!」
「ククッ、逞しいな」
仮面の下で、無邪気に笑うエドウィン様のお顔が脳内再生されました。いくら目の前の髑髏の仮面がおどろおどろしくても、私にはこの脳内再生があるので余裕です。かわいい。
「エドウィン様が私のためにと決めてくださったのでしょう? ちゃんと考えてもらっているってわかって、私は幸せ者です」
「っ!」
愛おしさが溢れてしまって、私もエドウィン様の頬に手を伸ばしてしまいました。仮面は冷たくて無機質でしたけれど、まったく気にもなりません。
えへへ、と笑うとエドウィン様が黙り込んでしまいました。あらら、硬直されています? 私と同じでやっぱりエドウィン様も緊張なさるのだなぁ、と思うと本当に胸の奥がくすぐったくなりますね。かわいい。
「……俺は、仕事に戻る。皆、ハナのことを頼む」
「はっ!!」
しばらくして、エドウィン様は顔を上げると、背後で待つゾイたち三人に声をかけました。お三方は声を揃えて返事をします。
はぁ、それにしてもお仕事モードでキリッとしたエドウィン様の声色もとてもカッコいいです。素敵っ!
「いってらっしゃいませ、エドウィン様!」
名残惜しいですが、エドウィン様はお忙しい身。それなのに様子を見に来てくださったのです。贅沢は言えませんね。せめて笑顔で見送ろうと私はブンブン手を振りました。
そんな私を見てエドウィン様は少しだけ悩むような素振りを見せると、何かを決めたように私を見ました。
「夕食は、その……一緒にどうだ?」
「いっ、いいんですか!? はい、ぜひ! 楽しみにしていますね!」
はうん、なんたるご褒美! 夕食が喉を通るか今から心配ですね! 食べますけど! エドウィン様は私を喜ばせる天才だと思います。はぁ、楽しみすぎます。夜が待ち遠しいです。
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