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ミチコ・オノ日記 ①
第6話 雨だっちゅーの
しおりを挟むわたしの名前は
オノミチコ
ヤンキーは雨が似合うと
前に母が言っていた
片寄君はどうだろう
片寄君は表情があまりない
何を考えてるか読み取れない
でもそれが おもしろい
朝礼で新倉先生が
「変な髪をしてるやつがいるな」
と後ろの方にいる 片寄君に向けて言ったら
「先生だって変な髪じゃん」
と周りに聞こえるよう言った
…先生の髪型はわざとじゃない
いまだに思い出すと
笑える
片寄くんはミユキと
1年の時同じクラスだった
2人はそれぞれ浮いていたし
片寄くんもよく問題をおこして
人を遠ざけていた
席が前後になったとき
どうしたら クラスに馴染めるか
2人は相談し合った
「花壇に水をあげる」
「黒板を拭く」
「机をそれとなくまっすぐ並べる」
いろいろ案は出たが
だんだんふざけていって
「なにか強い事を言ってしまった後に
だっちゅーの って言ってポーズをする」
それに決まった
ちゃんと実行した
最初に使ったのは片寄君だ
ミユキに対してあまりに
しつこくしていた
男子を殴った時だ
「いい加減にしろ
… だっちゅーの」
ミユキは頭を抱えながら
片寄君に言った
「こんなんで 学校来れなくなったら
それこそ悲惨だよ
鬱憤ならわたしが聞いてあげるからさ」
片寄君は素直にミユキの言うことを聞いた
もう喧嘩をしなくなった
2人はそれからだんだん
クラスに打ち解けていった
片寄君はミユキが好きだったんだろう
ミユキが引越してしまうとわかってから
男子が6人告白した
「やっぱ盾矢ちゃん やるわー
男子全滅らしいよ」
放課後 女子が盛り上っていた
わたしは少しミユキがかわいそうになった
思いを伝えたいのは
わかるけど
今はミユキがこの学校での最期の時である
ミユキが言いたい事を先に聞くべきではないか
次に行く学校なんて
数ヶ月しかいない
文化祭のダンス
ミユキはそれを
中学生活のゴールに決めていた
ミユキは表情がだんだん暗くなっていった
昨日とうとう
学校を休んだ
そして今日も来ていない
文化祭は目の前だ
放課後 雨が本降りになった
ダンス部は体育館のステージで練習していた
そして
片寄君は
雨の中 花壇にいた
片寄くんは
土砂降りなのに ジョーロで
水をあげていた
「片寄君 風邪引いちゃうよ」
片寄君の顔は
びしょびしょで
なにを考えてるか
わからなかった
私は片寄君に傘をさして
隣に座った
「オノさんに頼んでもいいかな
俺が 話す事の中に もし
今の盾矢が
必要としてるものがあったら
それを伝えてくれるかな」
片寄君は話し始めた
話しが終わったとき
3階の窓に
ミユキの姿を見つけた
なんとか部活だけでも
そんな気持ちで出て来た感じだった
「じゃあ 俺は やることやって帰るわ
聞いてくれて ありがとう」
片寄君は校舎の方へ歩いて行った
ミユキに見える場所までくると
片寄君は
だっちゅーの のポーズをした
それからまたちょと歩いて
だっちゅーの をあと2回した
片寄君はそれだけやると
向きを変えて
門から出ていった
わたしは校舎に入り
階段を上がった
ミユキは水道で顔を洗っていた
片寄君が話した事は
3つだった
ミユキに対して 今まで思っていた事
これから先に願っている事
今一番 ミユキに 言いたい事
私は その中の一番言いたい事を
ミユキに伝えた
ミユキは静かに
目を閉じた
「こんなんで学校来れなくなったら
それこそ悲惨だよ
鬱憤なら俺が聞いてやるからさ」
ミユキは
体育館に走って行った
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