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ぐるり南方旅行編
故郷で過ごす年越し
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海を見る旅行から帰った後しばらくして、師匠が<簡易転移門>を教えてくれたので、僕も使えるようになった。
使ってみて分かったが、確かに<物品庫>の応用だった。とは言え、生き物が通っても大丈夫にする工夫とか、”門”を全員が通過するまで維持する工夫などは、僕ではまだ理解できないものだった。さすがは師匠だ。
そして、これが使えるようになったおかげで、遠くまで行くのがとても楽になった。わざわざ馬車で旅をせずとも、先に使鬼を送り込んでおけば、一瞬でそこまで行けるんだから。
これで、故郷のリュノールの町でも、王宮でも、港町でも簡単に行けるぞ。
なので、サラから「今年はリュノールに帰省するので、一緒にお祭りに行けない」という手紙が届いた時に、閃いた。
今年の年末年始はそれぞれ故郷に戻って家族と過ごすと良いんじゃないか、と言うことに。
まずは、セラフィン君とココちゃんを最初に帰省させてあげた。
急な里帰りだったが、家族は喜んでいたそうだ。
ニコレットさんはペルピナル出身なので送る必要はない。
ポリーヌさんは、故郷に帰ると「結婚しろ」とうるさく言われるらしいので、帰省しないと言う。でも、屋敷にメイドがいなくなるので、久々に自宅で過ごすと言っていた。
なお、旧5人衆については普段から守衛用宿舎で暮らしているのでメイドが不在でも問題ない。
居残りの面々に屋敷の留守番を任せて、僕とアネットさんと師匠は故郷の町リュノールへと<簡易転移門>で転移した。
人目に触れないよう、”門”はお化け屋敷の中に開く。
お化け屋敷で用事があるという師匠と別れ、僕とアネットさんはそれぞれの実家へと向かった。
「ただいまー」
夕空の下、実家のドアを開けて声をかけると、中からお母さんが顔をのぞかせ、驚いた声をだす。
「あら、テオ!どうしたの急に」
「うん、今年の年末年始は実家で過ごそうってことになってね。急だけど帰ってきたよ」
「あら。じゃあ、しばらくこっちにいるのね。大変!お夕飯も一人分増やさなきゃ」
そう言うと、慌てて台所に戻って行った。
それにしても久しぶりだな。
2年ぶりくらいだよね、確か。
家の中も家具が新しくなっていたり、少し変わっていた。
自分の部屋に行ってみると、何と姉の私物に占拠されてしまっている。
「これじゃあ、お姉ちゃんの部屋だよ」
僕のベッドの上にもいろいろと置かれてしまっているので、このままじゃ寝られない。僕は犯1の使鬼を呼びだすと、一緒に物を片づけ始めた。
数日後、帰省中のサラと合流して年末年始のお祭りを見て歩く。
このリュノールの町でもお祭りはもちろん行われている。が、ペルピナルに比べればかなりしょぼい。
昔はこれでも賑やかだと思ってたんだけどな。
「やっぱり田舎よね、リュノールって」
一緒に祭りを見て歩いているサラが、町並みを眺めながらしみじみと言う。
「さすがにペルピナルと比べちゃ、かわいそうだよ」
僕がそう言うと、久々に会うトビが目を輝かせて聞いてきた。
「ペルピナルのお祭りってやっぱスゲェのか?」
「うん、すごい人出だよ。人の流れに押し流されてしまうくらいだね」
「ひぇー、僕だったら絶対に迷子になっちゃうよ」
ポールが身をすくめて怯えていた。相変わらず臆病なのは変わらない。
トビもポールも背が高くなっていた。あとポールは横幅も大きくなっていたよ。
「そうねー。ていうか、最近のペルピナルの方がおかしいのよ。この1年で人口が2倍に増えたとか言ってたし、普通じゃありえないわ。今年のお祭りじゃ人が多すぎて、潰れる人が出るんじゃないかって噂になってたし」
「ここのお祭りはのんびり楽しめてちょうどいいくらいかもね」
「すぐ飽きるけどな」
「そうなんだよ」
4人でそんなことを言いながら笑い合った。
トビとポールにペルピナルのお祭りの様子を聞かせて羨ましがられながら、地元の素朴なお祭りを久しぶりに楽しんだ。
結局、お祭りは一日でほぼ全部見回ってしまった。「明日から暇ね」と言うサラに手を振って、僕は家路についた。
それから年が明けるまでに、自宅で家族とお祝いの御馳走を食べ、アネットさんの家のお祝いにも御呼ばれし、サラの家のお祝いにも御呼ばれしたので、3回もご馳走を食べることができた。
新年の神殿参拝にも行ったけど、ほとんど並ばずに済ませることができた。流石は田舎町だな。
年末年始のお祭りも、年が明けると惰性で開催している感じになってくる。人通りもかなり少ない。ほとんどの人は年末までに一通り見終わってしまうので、いつもこんな感じになる。
サラはお祭り明けから仕事なのだそうで、今日でもう帰ると言っていた。
見送りをしようとサラの家に向かっていると、前方からトビとポールが歩いてきた。
「あれ、テオじゃん」
「テオ君もお見送り?」
「うん、そうだよ」
と言う事で一緒に向かうことになった。
道中、お互いにどんな年末を送ったか話して、驚いたり羨ましがったりしていた。
「そうそう、聞いたか?」
トビが急に話題を変えた。
「え、何?」
「最近お化け屋敷でさ、夜な夜な窓に怪しい光が見えるって噂になってるんだ」
トビが声を潜めて、雰囲気を出すと、ポールが。
「ちょっと、やめようよー、その話」
と、相変わらずビビりのようだ。
「でもよ、もう何人も証言してるんだぜ。こりゃ、何かあるって、絶対」
そりゃねー、師匠が滞在してるからな。
以前の肝試しの思い出話も飛び出し、ポールは恥ずかしそうにしていた。
しばらく雑談をしながら歩き、サラの家に到着した。
そして馬車を見送る。
「見送りありがとうね。あんたらもちゃんと見習い頑張るのよ。それと、ポールはもうちょっと痩せなさい。テオはまたペルピナルで会おうね。
じゃ、バイバイ!元気でね」
動き出す馬車からサラが身を乗り出して僕らに一言ずつ投げかけると、手を振った。
「ああ、サラも元気でな!」
「バイバーイ!」
「うん、またね」
トビとポールと僕も手を振って、一緒に馬車を見送った。
新年の4日間のお祭り期間が終わり、町は日常に戻っていく。
僕とアネットさんも家族に別れを告げて、町の門から外に出る。
後は、人気のない所で<簡易転移門>を使い、”門”を開けば一瞬で帰還完了だ。
この楽を覚えてしまうと、もう馬車での旅行なんて無理だね。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
それからしばらくは特筆すべきことのない、平和な日常が続いた。
こまごまとした出来事はいくつかあった。
まず、屋敷にお風呂ができた。
ポリーヌさんがお湯を適温に保ちつつ汚れを浄化する魔道具を作ってくれたので、いつ入っても常に綺麗なお湯を使えるという優れものだ。
屋敷の皆にも使ってもらっていて、師匠やジルベール隊長が気に入って頻繁に入浴している。
僕は一人でお風呂に入れると言っているんだけど、アネットさんが絶対お世話すると言って聞かないので、いつも体を洗うところからマッサージまでのフルコースで、貴族のごとき贅沢な入浴になってしまうのが、ちょっと困った所だ。
ニコレットさんが前回の旅行で入手した素材から、”糸自体が水をはじく糸”を発明し、これにダヤン商会が目を付け”濡れてもすぐ乾く服”を商品化して大ヒットした。
今までは、普通の布に水をはじく素材を塗った”防水布”しかなかったから、この発明は画期的だったらしい。特に通気性と伸縮性が違うのだとか言っていた。
海や川などの水辺で働く人たちや、雨の中でも活動する必要がある軍人やハンターなどに一気に広まっていった。
さらに”濡れても透けない”事を売りにして、湯浴み着や水泳着としても展開しているという。
ポリーヌさんは魔動船を見て、実際に乗ったことに刺激を受けて、何と空飛ぶ魔動船、”飛空船”の試作品を作ってしまった。
大きさは全長が1尋(1.5m)弱ほどのものだが、実際に物を載せて動くものとしては世界初だろうと言っていた。従来の類似品は自重だけで精一杯で荷物を載せるのは不可能だったとか。
実際、猫を一匹載せた状態で半刻(1時間)ほど飛ばせたそうだ。
これにはトムさんとシメオンさんも将来性を感じたのか、レスコー魔法研究所名義で新事業を発足させ、駐屯地の一角に飛空船工廠を建造して、人員も確保し、かなりの額の投資をしていた。もちろん僕も投資した。
なお、ポリーヌさんは試作品を作って満足したのか、大型化などの改良は他の職人に任せてしまったらしい。ポリーヌさん曰く「そういうのは苦手」だそうだ。
そして、僕はすっかり忘れてたけど、師匠は年末年始をお祭りそっちのけで、幽霊船から回収してきた大砲や小型砲などの新兵器群の研究に費やしていたらしい。お化け屋敷での用事も、それ関係の調べものだったらしい。
で、ついに砲に類する兵器を無力化するための魔術、”火砲類対抗魔術”を開発してしまった。
生活魔術並みに習得の容易な個人防御用から、軍用の大規模な妨害用魔術まで、さまざまな場面を想定した魔術が用意されている。
さらに、「これらの魔術を誰でも使えるようにすること」と条件を付けて、無償で魔法ギルドに寄付してしまったのだ。つまり、生活魔術と同じ扱いにしたのだ。
おまけに普及のための資金まで寄付したものだから、全国の魔術教室で簡単に学ぶことができるように体制が整えられた。
しかも、諜報部門にも協力してもらい、この魔術について周辺各国にもどんどん情報を拡散させていった。
この結果として、近い将来、この世界では火薬を用いた兵器が廃れていくことになるだろう。
師匠の執念の勝利だ。
使ってみて分かったが、確かに<物品庫>の応用だった。とは言え、生き物が通っても大丈夫にする工夫とか、”門”を全員が通過するまで維持する工夫などは、僕ではまだ理解できないものだった。さすがは師匠だ。
そして、これが使えるようになったおかげで、遠くまで行くのがとても楽になった。わざわざ馬車で旅をせずとも、先に使鬼を送り込んでおけば、一瞬でそこまで行けるんだから。
これで、故郷のリュノールの町でも、王宮でも、港町でも簡単に行けるぞ。
なので、サラから「今年はリュノールに帰省するので、一緒にお祭りに行けない」という手紙が届いた時に、閃いた。
今年の年末年始はそれぞれ故郷に戻って家族と過ごすと良いんじゃないか、と言うことに。
まずは、セラフィン君とココちゃんを最初に帰省させてあげた。
急な里帰りだったが、家族は喜んでいたそうだ。
ニコレットさんはペルピナル出身なので送る必要はない。
ポリーヌさんは、故郷に帰ると「結婚しろ」とうるさく言われるらしいので、帰省しないと言う。でも、屋敷にメイドがいなくなるので、久々に自宅で過ごすと言っていた。
なお、旧5人衆については普段から守衛用宿舎で暮らしているのでメイドが不在でも問題ない。
居残りの面々に屋敷の留守番を任せて、僕とアネットさんと師匠は故郷の町リュノールへと<簡易転移門>で転移した。
人目に触れないよう、”門”はお化け屋敷の中に開く。
お化け屋敷で用事があるという師匠と別れ、僕とアネットさんはそれぞれの実家へと向かった。
「ただいまー」
夕空の下、実家のドアを開けて声をかけると、中からお母さんが顔をのぞかせ、驚いた声をだす。
「あら、テオ!どうしたの急に」
「うん、今年の年末年始は実家で過ごそうってことになってね。急だけど帰ってきたよ」
「あら。じゃあ、しばらくこっちにいるのね。大変!お夕飯も一人分増やさなきゃ」
そう言うと、慌てて台所に戻って行った。
それにしても久しぶりだな。
2年ぶりくらいだよね、確か。
家の中も家具が新しくなっていたり、少し変わっていた。
自分の部屋に行ってみると、何と姉の私物に占拠されてしまっている。
「これじゃあ、お姉ちゃんの部屋だよ」
僕のベッドの上にもいろいろと置かれてしまっているので、このままじゃ寝られない。僕は犯1の使鬼を呼びだすと、一緒に物を片づけ始めた。
数日後、帰省中のサラと合流して年末年始のお祭りを見て歩く。
このリュノールの町でもお祭りはもちろん行われている。が、ペルピナルに比べればかなりしょぼい。
昔はこれでも賑やかだと思ってたんだけどな。
「やっぱり田舎よね、リュノールって」
一緒に祭りを見て歩いているサラが、町並みを眺めながらしみじみと言う。
「さすがにペルピナルと比べちゃ、かわいそうだよ」
僕がそう言うと、久々に会うトビが目を輝かせて聞いてきた。
「ペルピナルのお祭りってやっぱスゲェのか?」
「うん、すごい人出だよ。人の流れに押し流されてしまうくらいだね」
「ひぇー、僕だったら絶対に迷子になっちゃうよ」
ポールが身をすくめて怯えていた。相変わらず臆病なのは変わらない。
トビもポールも背が高くなっていた。あとポールは横幅も大きくなっていたよ。
「そうねー。ていうか、最近のペルピナルの方がおかしいのよ。この1年で人口が2倍に増えたとか言ってたし、普通じゃありえないわ。今年のお祭りじゃ人が多すぎて、潰れる人が出るんじゃないかって噂になってたし」
「ここのお祭りはのんびり楽しめてちょうどいいくらいかもね」
「すぐ飽きるけどな」
「そうなんだよ」
4人でそんなことを言いながら笑い合った。
トビとポールにペルピナルのお祭りの様子を聞かせて羨ましがられながら、地元の素朴なお祭りを久しぶりに楽しんだ。
結局、お祭りは一日でほぼ全部見回ってしまった。「明日から暇ね」と言うサラに手を振って、僕は家路についた。
それから年が明けるまでに、自宅で家族とお祝いの御馳走を食べ、アネットさんの家のお祝いにも御呼ばれし、サラの家のお祝いにも御呼ばれしたので、3回もご馳走を食べることができた。
新年の神殿参拝にも行ったけど、ほとんど並ばずに済ませることができた。流石は田舎町だな。
年末年始のお祭りも、年が明けると惰性で開催している感じになってくる。人通りもかなり少ない。ほとんどの人は年末までに一通り見終わってしまうので、いつもこんな感じになる。
サラはお祭り明けから仕事なのだそうで、今日でもう帰ると言っていた。
見送りをしようとサラの家に向かっていると、前方からトビとポールが歩いてきた。
「あれ、テオじゃん」
「テオ君もお見送り?」
「うん、そうだよ」
と言う事で一緒に向かうことになった。
道中、お互いにどんな年末を送ったか話して、驚いたり羨ましがったりしていた。
「そうそう、聞いたか?」
トビが急に話題を変えた。
「え、何?」
「最近お化け屋敷でさ、夜な夜な窓に怪しい光が見えるって噂になってるんだ」
トビが声を潜めて、雰囲気を出すと、ポールが。
「ちょっと、やめようよー、その話」
と、相変わらずビビりのようだ。
「でもよ、もう何人も証言してるんだぜ。こりゃ、何かあるって、絶対」
そりゃねー、師匠が滞在してるからな。
以前の肝試しの思い出話も飛び出し、ポールは恥ずかしそうにしていた。
しばらく雑談をしながら歩き、サラの家に到着した。
そして馬車を見送る。
「見送りありがとうね。あんたらもちゃんと見習い頑張るのよ。それと、ポールはもうちょっと痩せなさい。テオはまたペルピナルで会おうね。
じゃ、バイバイ!元気でね」
動き出す馬車からサラが身を乗り出して僕らに一言ずつ投げかけると、手を振った。
「ああ、サラも元気でな!」
「バイバーイ!」
「うん、またね」
トビとポールと僕も手を振って、一緒に馬車を見送った。
新年の4日間のお祭り期間が終わり、町は日常に戻っていく。
僕とアネットさんも家族に別れを告げて、町の門から外に出る。
後は、人気のない所で<簡易転移門>を使い、”門”を開けば一瞬で帰還完了だ。
この楽を覚えてしまうと、もう馬車での旅行なんて無理だね。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
それからしばらくは特筆すべきことのない、平和な日常が続いた。
こまごまとした出来事はいくつかあった。
まず、屋敷にお風呂ができた。
ポリーヌさんがお湯を適温に保ちつつ汚れを浄化する魔道具を作ってくれたので、いつ入っても常に綺麗なお湯を使えるという優れものだ。
屋敷の皆にも使ってもらっていて、師匠やジルベール隊長が気に入って頻繁に入浴している。
僕は一人でお風呂に入れると言っているんだけど、アネットさんが絶対お世話すると言って聞かないので、いつも体を洗うところからマッサージまでのフルコースで、貴族のごとき贅沢な入浴になってしまうのが、ちょっと困った所だ。
ニコレットさんが前回の旅行で入手した素材から、”糸自体が水をはじく糸”を発明し、これにダヤン商会が目を付け”濡れてもすぐ乾く服”を商品化して大ヒットした。
今までは、普通の布に水をはじく素材を塗った”防水布”しかなかったから、この発明は画期的だったらしい。特に通気性と伸縮性が違うのだとか言っていた。
海や川などの水辺で働く人たちや、雨の中でも活動する必要がある軍人やハンターなどに一気に広まっていった。
さらに”濡れても透けない”事を売りにして、湯浴み着や水泳着としても展開しているという。
ポリーヌさんは魔動船を見て、実際に乗ったことに刺激を受けて、何と空飛ぶ魔動船、”飛空船”の試作品を作ってしまった。
大きさは全長が1尋(1.5m)弱ほどのものだが、実際に物を載せて動くものとしては世界初だろうと言っていた。従来の類似品は自重だけで精一杯で荷物を載せるのは不可能だったとか。
実際、猫を一匹載せた状態で半刻(1時間)ほど飛ばせたそうだ。
これにはトムさんとシメオンさんも将来性を感じたのか、レスコー魔法研究所名義で新事業を発足させ、駐屯地の一角に飛空船工廠を建造して、人員も確保し、かなりの額の投資をしていた。もちろん僕も投資した。
なお、ポリーヌさんは試作品を作って満足したのか、大型化などの改良は他の職人に任せてしまったらしい。ポリーヌさん曰く「そういうのは苦手」だそうだ。
そして、僕はすっかり忘れてたけど、師匠は年末年始をお祭りそっちのけで、幽霊船から回収してきた大砲や小型砲などの新兵器群の研究に費やしていたらしい。お化け屋敷での用事も、それ関係の調べものだったらしい。
で、ついに砲に類する兵器を無力化するための魔術、”火砲類対抗魔術”を開発してしまった。
生活魔術並みに習得の容易な個人防御用から、軍用の大規模な妨害用魔術まで、さまざまな場面を想定した魔術が用意されている。
さらに、「これらの魔術を誰でも使えるようにすること」と条件を付けて、無償で魔法ギルドに寄付してしまったのだ。つまり、生活魔術と同じ扱いにしたのだ。
おまけに普及のための資金まで寄付したものだから、全国の魔術教室で簡単に学ぶことができるように体制が整えられた。
しかも、諜報部門にも協力してもらい、この魔術について周辺各国にもどんどん情報を拡散させていった。
この結果として、近い将来、この世界では火薬を用いた兵器が廃れていくことになるだろう。
師匠の執念の勝利だ。
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