ヤクザと犬

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※拉致

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「んんっふ、あっは、くみ、ちょお、ああああっは」
「ほら、イけよ、イっちまえよ、おら、ここだろ、あん?ほら、ほらほら!」
「ああああっそこはだめなの、だめ、だめえっ」

幹部会の後、田嶋さんたちは撤収し、酔いもさめやらぬまま、俺は何時ものように組長に喘がされていた。何故か今日はかなり攻め方がしつこい。

「あっあああっ、もう嫌だあ、むり、やだあっ」
「淫乱のくせに、何が無理なんだよ、おら、もっと腰振れよ、気持ちいいとこ、俺ので擦れよ!」
「いやあああっ、ごりごり、きもちいいのっやだっ、つよすぎ、ひゃあああああっ、も、でるから、やだ、も、でるからあああっ」
そしてもう何度目か分からない絶頂を迎える。それでも組長は腰の動きを止めない。


「おら、出すぞ。濃いの、お前の奥に、出すぞ、ふっ、うはっあっ」
「あああんああんっ、やああっ、どぴゅどぴゅ、あついのきた、すごいよおっ、まだでてるう、ああんっ、ああっはああっ」
組長も中に精液をぶちまけると、俺のことを強く抱きしめる。
「もう、離してやんねえからな。誰にも、お前を渡さない。誰にも。」
悲しそうな、切なそうな声で囁かれ、俺の心もキュッと締め付けられる。
「…はい、もちろんですよ。俺だって、あなたのところを離れません。もう、俺はあなたのものですから。」
優しく組長の背中に手を回すと、一瞬止まった後、またさらに強く抱き締められる。
「好きだ、御園。好きなんだ。本当に、本当に好きなんだ。もうお前がいないと俺は、俺は…」
「はい、俺はずっとここにいます。俺も、あなたのこと、愛してますから。」
そう言うと、すぐに激しく唇を奪われる。息もできないほど、激しくそして情熱的な口づけだった。

組長への想いには、組長と多少なりとも温度差は感じていた。俺は、組長ほど、誰かに焦がれて焦がれて切ない恋愛などしたことなかった。それはおそらく、今までも、そしてこれからもそうであろう。だが、たしかに彼に対して愛情は感じていた。悲しい思いはさせたくないし、できるだけ願いも叶えてあげたい。彼に死の危険があれば、身を呈しても助けてあげたい。この思いは、例えるならば、忠犬ハチ公のそれに酷似していると感じていた。飼い主への絶対的な忠誠心、そして愛。俺は、彼の犬なのだと、そう思っていた。いつか、彼に捨てられるその日まで、俺は彼の忠実な下僕となるつもりであった。
そして、それは口にすることはない。組長が俺にそんなことを言われることは求めてはいないなら、俺は彼の望む言葉をあげる。それが俺の役割だと思っていた。




そして今日は、まさしく俺の忠誠心というものが、試される日だったのであろう。
「お前のとこの組長はどこに武器を隠してる」
俺は、後ろ手にしばられ、足を椅子にくくりつけられたまま座らせられていた。目の前には、近藤組本家の大まかな見取り図が書かれた紙が提示されていた。
頭を殴られたようだが、だんだん意識がハッキリしてきた。ここは、おそらく近藤組と敵対する関東北部を主に根城にしている寺部組の本家。それは、目の前の男の顔で分かった。田嶋さんのところにいた時に、敵対する組の幹部含め構成員の名前と顔は片っ端から頭に入れていた。名前は確か、長谷川。あの頃は準幹部というところだったが、もうしばらく経つので、幹部あたりに昇格していてもおかしくはない。おそらく今俺を取り囲んでいる男たち20人程は、長谷川の部下だ。
今日は、組長が関西に出張だった。俺は少し体調が悪かったから、本家に残ることになった。どうしても向野さんも行かなくてはならなかったらしく、今日は他のボディーガードについてもらっていた。お昼になって、少し庭に行く、と言って1人で庭に出ていた。もちろん、門にはたくさんの人を置いているし、庭で襲われるなんて全く思ってもいなかった。だが、その考えが甘かったようで、庭のあたりでピカピカと何かが点滅していたのが気になり、それを間近で見ようと塀に近づいた時に、上から降ってきた人間によって意識を失わさせられた。見張っていたのだ、どこかで、俺のことを。庭に出てきた時に人のいない塀付近におびき寄せ、そのまま侵入されたらしい。

完全に計画的な犯行だった。今日の、組長を含めた幹部や有能なボディーガードがいない日を狙ったものだ。セキュリティ装置も、あらかじめ死角となるところを知っていたようだ。
やられた…。本家の中だからといって、油断していた。俺の存在も、俺が組長にとって大事な存在であることも、俺が組の情報をかなり持っていることも、完全にばれている。セキュリティのことを知っているのもおかしい。内部にスパイがいた可能性が高いな、などと1人で推理していたが、突然横から脇腹を蹴られる。

「がっはっ、」
「何無視してんだよ、ボケ」
上から凄んだ顔で見下ろされ、自分の危機的状況を思い知る。
「ほら、よく見ろよ、この見取り図。正確だろ。なんたってお前のとこのやつが教えてくれたんだからよ。でも武器のありかや薬の隠し場所は下っ端は知らねえ。組長と幹部、そしてお前ぐらいしかな。」
表上は側近的立場である俺が知っていると思うのは当然であるし、実際に知っている。組長は俺に組のことはあまり教えたがらなかったが、幹部会に出席するとやはり嫌でも耳に入ってしまうのだ。俺は、情報源としてはかなりの価値があるであろう。何をしても吐かせるつもりなのは、この取り調べに投与した人員の数をみればわかる。それに、後ろの方によくは見えないが、道具や機械がたくさん置かれているのを見ると、かなり残虐な拷問をするつもりであるのは簡単に推測できた。

「俺は何も知らない。何をされても、俺からは何もでてきませんよ。」
これで通るわけはないが、俺は絶対に吐くつもりはなかった。
瞬間、腹に蹴りが入れられる。
「ぐあっは」
「知らねーわけねえだろ。死にてえのか?おら、吐けよっ」
さらに何発も拳が腹を殴打する。耐えるしかなかった。目を閉じて、他のことを考える。ここから逃げ出す方法は、それか何も言わず早く死ぬ方法は、どちらか可能性のある方を選択しなければ、苦しみが続くだけだ。激痛に耐えながら、必死に頭を回転させる。

「…っはあ、つまんねーな、だんまりかよ。疲れたから、あとはお前らに任せるわ。吐かせたやつは昇進させてやるから、せいぜい頑張れよ。」
散々なぶった挙句、飽きた長谷川は部屋を後にする。俺は、20人のガタイのいい男たちと共に部屋に残された。

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