3 / 35
研修生お断り
3
しおりを挟む
「学校に電話しよ」
雨が強くなる中、看板の前で携帯電話を取り出す。マントはすでに、水を含んでずっしりと重くなっていた。
「スマホは防水のやつ買っといて正解だな。マントに防水スプレーさえかけてれば完璧だったのに」
ぶつぶつと言いながら、アドレス帳から担任の先生の連絡先を選びだす。コール音が三回鳴った所で慌てて電話を切った。
「危なッ……!!」
無意識にまた大声をだす。そう、危なかったのだ。あのまま連絡しようものなら、卒業試験を受けるリストから外されてしまう。どんな理由があっても、指定された所で研修を終えなければならないのだ。
――たとえ研修先で門前払いされたとしても、例外じゃないからな!
そう言って黒板を叩く先生を思いだす。でも確か……。
――ま、そんな事あるはずがないけどな!
そう言って、教室が和やかな雰囲気にまでなったことすら思い出す。
もし、門前払いをくらっているだなんて連絡したら……。考えるだけでも恐ろしい。スマホを握りしめて、再び普通サイズの扉を一生懸命に叩いた。こちらの扉は音がよく響いた。
「すいませーーーん!あの!研修を……研修をお願いします!!私、成績は悪いですけど、一生懸命働きますからー!掃除とか洗濯とか買い物だって……」
パニックに陥り、わけの分からない言葉を繰り出すと、扉は再びほんの少しだけ開いた。
「うるさいっ!!とっとと帰りなさい!小娘がっ!」
魔女は痺れを切らしたように怒鳴った。完全に受け入れを断られている。受け入れどころか、人として拒否られている気さえする。
みんなこんな思いをしてまで研修先に挑んでいるのだろうか。
扉が閉まりそうな雰囲気を感じ取り、考えるよりも先に足が出てしまった。扉の隙間に足を突っ込む。痛い。でも……。
「お願いします!研修しないと、卒業出来ないんです!」
隙間に向かって負けずに声を張る。
「そう。それじゃあ、諦めて留年するのね」
必死の頼みにも魔女は非道な言葉を出し、再び扉を閉めようとする。
「痛たたた!留年じゃなくて退学なんです!研修ができなかったら!……痛てて!!」
足が潰れてしまう。なんて怪力なのだ。あまりにも痛くて、足を外した。外すと同時に扉はまた閉まった。
「しまった!」
慌てて開けようとしたけれど無駄だった。
こちら側にはドアノブなど付いていないのだから。
雨が強くなる中、看板の前で携帯電話を取り出す。マントはすでに、水を含んでずっしりと重くなっていた。
「スマホは防水のやつ買っといて正解だな。マントに防水スプレーさえかけてれば完璧だったのに」
ぶつぶつと言いながら、アドレス帳から担任の先生の連絡先を選びだす。コール音が三回鳴った所で慌てて電話を切った。
「危なッ……!!」
無意識にまた大声をだす。そう、危なかったのだ。あのまま連絡しようものなら、卒業試験を受けるリストから外されてしまう。どんな理由があっても、指定された所で研修を終えなければならないのだ。
――たとえ研修先で門前払いされたとしても、例外じゃないからな!
そう言って黒板を叩く先生を思いだす。でも確か……。
――ま、そんな事あるはずがないけどな!
そう言って、教室が和やかな雰囲気にまでなったことすら思い出す。
もし、門前払いをくらっているだなんて連絡したら……。考えるだけでも恐ろしい。スマホを握りしめて、再び普通サイズの扉を一生懸命に叩いた。こちらの扉は音がよく響いた。
「すいませーーーん!あの!研修を……研修をお願いします!!私、成績は悪いですけど、一生懸命働きますからー!掃除とか洗濯とか買い物だって……」
パニックに陥り、わけの分からない言葉を繰り出すと、扉は再びほんの少しだけ開いた。
「うるさいっ!!とっとと帰りなさい!小娘がっ!」
魔女は痺れを切らしたように怒鳴った。完全に受け入れを断られている。受け入れどころか、人として拒否られている気さえする。
みんなこんな思いをしてまで研修先に挑んでいるのだろうか。
扉が閉まりそうな雰囲気を感じ取り、考えるよりも先に足が出てしまった。扉の隙間に足を突っ込む。痛い。でも……。
「お願いします!研修しないと、卒業出来ないんです!」
隙間に向かって負けずに声を張る。
「そう。それじゃあ、諦めて留年するのね」
必死の頼みにも魔女は非道な言葉を出し、再び扉を閉めようとする。
「痛たたた!留年じゃなくて退学なんです!研修ができなかったら!……痛てて!!」
足が潰れてしまう。なんて怪力なのだ。あまりにも痛くて、足を外した。外すと同時に扉はまた閉まった。
「しまった!」
慌てて開けようとしたけれど無駄だった。
こちら側にはドアノブなど付いていないのだから。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる