アオソラ診察室

No.26

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episode4 恋という病

03

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 気がついたら仰向けになっていて、ベッドに押し倒されていた。
 唖然としてる間に、後ろにずぷりと、指よりずっと大きいモノが入った。
「ああッ?!」
 痛い、痛い、痛い! 
 感じたことのない強い圧迫感が怖くて、思わず叫んだ。
「ああっ!あっ、アオイっ、やッ、やめっ」
「ソラ、ソラっ……」 
 必死で止めようとしたけど、アオイはオレの声が聞こえていないのか、ずぷずぷと休みなく腰を動かし続ける。
「ア、あっ、んっ……!!」
 だけど、それを繰り返されているうちに、痛みが快感に変わっていった。
 嘘でしょ、童貞って、言ってたじゃん。
 なのに、なんでこんなに、
「っ、――ッ!」
 奥をガッと突かれて、痛みと気持ちよさで、声にならない悲鳴が漏れる。
「ソラ、」
「あ、あっ、」
 頭の中が、理性が、どろどろに溶けていく。
 肩を抑えられる。付け根まで入って、一番奥に当たって、また強い快感に身体が跳ねた。
「アッひあっ! あっ、やあ…!」
「んっ、ここ、気持ちいいんだな?」
「――――ッ!!」
 その良いところを中から突き上げられて、頭が真っ白になって、ぼろぼろと涙が溢れた。
「はあ……可愛い、ソラ」
 そう低い声で囁いた、アオイのその笑みが、あまりにもカッコ良くて、エロくて。
 我慢できずにそのままイって、自分の精液が腹にかかった。
「はぁ、…………」
 アオイもイって、そしてオレの涙が枕に落ちるのを見て、やっと我に帰ったようだった。
「ご、ごめん!! 痛かったか!? あっ、ち、血が……!」
「ううん、大丈夫……」
 布団に少し垂れた血を見て、アオイは慌てまくるけど、オレはもう痛みは感じていなかった。
 ……むしろ、快感の余韻がヤバい。
 何これ、挿れられるの、めちゃくちゃ気持ちいい。こんなに理性トんだの、初めてなんだけど。
「ソラ? 本当に大丈夫か?」
 アオイは自身を抜いたあと、不安そうにオレの顔を覗き込む。
 その目に見られてるって思うと、なんでか急に恥ずかしくなって、アオイの顔がまともに見られなくなった。
 平静を装って、アオイに聞いた。
「い、挿れるの、気持ちよかった?」
「うん。すごく」
 そう、アオイは微笑む。
 考えるより先に、思わず口走った。
「ねえ、またしない?」
「えっ! いいの?!」
「うん。……オレも、気持ち良かったし」
 そう言うと、アオイに優しく抱きしめられた。
 そして、耳元で囁かれる。
「ありがとう……嬉しい」
「っ…………!」
 その吐息に、声に、温度に、全身が火照った。
 心臓がドキドキしすぎて、爆発するかと思った。


 その後、アオイとは頻繁に会って、ホテルに行くようになった。
 もう痛いって思うことも少なくなって、抱かれるたび、ただただ快感に溺れた。
「ソラ、可愛い、」
「っ、ねえ、アオイ、」
 可愛い、じゃなくて、好きって言って欲しい。
 そう言いかけて、ハッと理性が戻った。
 何言ってるの、オレたち、セフレだし。
 ……いや、でもこれって、もう付き合ってるって言っていいのかな?
「ソラ?」
 不思議そうな顔で、アオイは動きを止めた。
 オレは息をついて見上げた。
「オレたちって、付き合ってるの?」
 そう聞くと、アオイの表情が一瞬固まる。
 そして、目を逸らされた。
「……ソラのこと、束縛したくないから」
 それだけ言われて、全部察した。
 ――アオイはオレのこと、可愛い男の子の一人としか見てない……見た目が好みだからヤってるだけなんだ。
 別にオレが好きとか、そう言うんじゃないんだ。
 すごく悲しくなって、そこで初めて気づいた。
 
 オレ、アオイのこと、本気で好きなんだ。

 その日の行為中、初めて快楽以外で涙が出た。

 だけど、その後もアオイは変わらず、オレと会おうとしてきたし、オレもそれに応えていた。
 何回目かの事後、もう吹っ切れて、アオイに聞いた。
「アオイって、オレの他に恋人とかセフレいるんでしょ」
 今思うと、童貞だってことも直接そう言われたわけじゃないんだし、全部オレとヤるための演技だったかもしれない。
 だって、セックスするの、初めてにしてはなんかめっちゃ上手かったし。
 そもそも、こんなにイケメンなのに恋人いないのおかしいし。
「ん? いないけど」
 だけど、アオイから返ってきた言葉は、予想外だった。
 ……いない?
 呆気にとられてると、アオイも聞き返した。
「ソラは?」
「今はいないよ」
 アオイは微笑んで、黙ってオレの頭を撫でた。
 ……多分、嘘だと思っているんだろうな。
「恋人もいない。シてるの、アオイだけだよ」
 そう付け加えると、頭を撫でる手が、ぴくりと反応した。
「ねえ、アオイ」
 その顔を見ると、笑顔が消えていた。
 ――オレ、アオイのことが、もっと知りたい。
「アオイは、」
 そう聞こうとしたら、キスで口を塞がれた。
「……もう一回、しようか」
 アオイは微笑んで、オレのことを押し倒した。

 だけど、もうわかるんだ。
 それが辛いのを無理して笑ってる顔だってこと。

 ――アオイは、オレのこと、どう思ってるの?

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