アオソラ診察室

No.26

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episode1 四年経っても治らない

03

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「っ、はあ、んっ」
 ホテルについた途端。ベッドに押し倒され、首を舐められて……ゾクゾクして、息が荒くなる。
 蒼の唇が、そのまま顎の下の辺りに吸い付いた。
「やめっ、跡、つくから……っ」
 オレがそう言って引き離すと、蒼は笑って、ぺろりと自分の唇をなめた。
「つけてんだよ」
「ーー!」
 その妖艶な声と仕草に、かああっと、顔に熱が集まる。
 オレの反応を見て、蒼はニヤリと笑った。
「……興奮した?」
「し……してないし」
 そのまま顔をそらして、ベッドに横になる。蒼も横になって、オレを後ろから抱きしめた。
「何でそんなに拒否るんだ? 久しぶりにしようよ」
「……だって……」
 不安そうな蒼の声に、小さな声で答える。
「自分勝手に別れて、久しぶりに会えたと思ったら、こうやって都合の良いようにされるから……」
 それに……こんなふうにされて、すぐに許してしまいそうになる自分も、なんかチョロくて嫌だ。
「……ごめんな」
 蒼はそう言って、するりと、オレの股に手を伸ばした。
 反射的に、ビクッと腰が震える。
「っ、あっ、ちょっ……!」
「本当に、悪かったと思ってるよ。けど、おかげでちゃんと大学を卒業できたし、医者にも慣れたんだ」
 先程のキスで芯を持ってしまったオレのその突起を、服の上から撫でる。
 直接伝わらない快感がもどかしくて、ゾクゾクして、変な気分に浸っていく。
「んっ、はあっ…」
「せめて一回、就職祝いだと思ってさ。……だめ?」
「…………」
 耳元で囁かれた言葉に、思わずうなずいた。
「しょうが、ないなあっ……」
 ……ああ、オレ、やっぱすげーチョロいんじゃね?
 そんなことをぼんやり思いながらも、蒼に服を脱がされた。
「指、挿れるよ」
 くちゅ、と水音を立てて、蒼の長い指がオレの中に入る。
 久しぶりの自分以外の体温の感覚に、つい身体が敏感に反応した。
「っ、んん…」
「痛いか?」
「へ、平気」
 指だけでイきそうになってるなんて知られたくなくて、平静を装った。
 でも、更に指を奥に入れられ、前立腺を押されたら、すぐに我慢できなくなってしまった。
「ッ、あ!ぁ、ちょっ……!!」
 慌てて蒼の手首を押さえるけど、中にある指先は容赦なく、オレの感じるところをピンポイントに押して責め続ける。
「~~~ッ、や、やっ、気持ちい、とこ、ばっか、」
「そうだろ? 宙の気持ちいいところ、ちゃんと覚えてるよ」
 そう言って笑みをみせた蒼に、堪らなくなって、ちょっとイってしまった。
「……今、中すっごいしまった」
「言うな、バカ……っ」
 自分勝手な蒼に、これ以上絆されたくないのに、身体は快感に抗えなくて悔しくなる。
 指が抜かれ、今度は、蒼は自分自身をオレの前に出した。
 久しぶりに見る蒼のソレは想像よりもデカくて、ゴクリと唾を飲む。
 思わずガン見してると、蒼は笑った。
「触っていいよ」
「……っ」
 指先で触れると、蒼のそれは熱く、硬くなってて……コレが中に入る感覚を思い出して、奥がキュンキュンする。
「挿れて欲しい?」
 そんな風に聞くのはずるいと頭では思いながら、もう欲が我慢できなくて、素直に頷いた。
「……ほ、ほしい」
 蒼は笑みを濃くして、オレをベッドに押し倒した。
 腰を抑えられ、一気に蒼のがオレの中に入る。
「っ――――!!」
 ごつんと一番奥に当たって、オレの下腹をいっぱいにするその質量に、息が止まりそうになる。
「っはあ、……宙、大丈夫? お腹、苦しい?」
「っ……く、苦しい…っ」
 けど、『苦しい』より、ずっと『気持ちいい』の感覚が大きい。
 下腹を蒼に手のひらで撫でられて、でもオレはそれすらも感じてしまって、ビクビクと太ももが痙攣する。
 けれど、蒼はそんなオレを見て、さらに微笑んだ。
「可愛い……動いていい?」
「え、アッ、ま、待って」
「ごめん、待てない」
「ッ……?!」
 じゃあ、なんで聞いたんだよ――!
 そう文句を言おうと思ったのに、自分の喘ぎと快楽に邪魔されて、言うことができなかった。


 ――結論言うと、やっぱりオレはチョロいなって確信しました。
「宙、宙。好きだよ。俺、自分から別れた後も全然諦めきれなくて、ずっとお前のこと考えてた」
 そう囁きながら触れてくれる蒼を、もうなんか全部許した。
 ……ていうか、久しぶりにしても、やっぱりめちゃくちゃ気持ちいいし……うん、何かもう、良いよ。全然良い。
「……あのさあ、蒼」
「ん?」
 ベッドの上で、水のペットボトルの蓋を閉める蒼を見上げながら言った。
「いっそ、オレたち付き合わない?」
 すると、蒼は一拍置いて、ぱっと目を輝かせた。
「良いのか?」
「決定権オレにあるの?」
 そう笑って聞き返すと、蒼は当たり前のように、
「だって、お前は女もいけるんだろ?」
「え? いや、まあ……」
 そりゃあ、昔は女の子ともシてたけど。蒼の良さを知ってから、今更女の子とヤれるのかなって思うと、自信が全然ないけど……。
 蒼はペットボトルを置き、オレの髪を撫でながら微笑んだ。
「気遣わなくてもいいんだよ。俺なんかと無理に付き合って、宙の時間を無駄にしてほしくない。今の日本じゃ、男同士だと結婚できないし。宙にはもっと選択肢があるんだから」
「……は……?」
 予想外の答えに、言葉を失う。
 結婚? 選択肢?
「オレが、別の女と幸せになればいいって言ってるの……?! 何でだよ、結婚だけが幸せじゃないだろ!」
 起き上がって、そう反論すると、今度は蒼が黙り込んだ。
 トドメを刺すつもりで、言葉を続ける。
「それに、結婚とか以前に、蒼がオレのこと嫌いにならないことも決まってないし、」
「それは絶対ない」
 だけど、蒼はすぐにそう断言した。
「……けど、」
「宙のこと、嫌いにならないよ」
 蒼は真っ直ぐな目でそう言って、オレの頬を撫でる。
「だから心配なんだよ。宙は優しいから、たぶん俺のこと突き放せないだろ。無理に束縛するのは嫌だ」
「…………そんなこと……」
 なんか、怒っていたのがなあなあになって、蒼を見上げた。
「確かにさ、先のことはわからないよ? けど、少なくとも今のオレは、ちゃんと蒼のこと好きだから、安心してよ」
「……宙……」
 蒼は感動したように、俺を見つめる。
「蒼、とりあえず付き合おうよ。……だめ?」
「……わかった」
 蒼は微笑んで、オレを抱きしめた。
 そして、言った。
「そこまでして、俺とヤりたいのかあ……」
「はぁ?!?! そんなこと言ってねーよ!!!!」
 ………………思ってはいるけど。
 数年ぶりに蒼のアレを突っ込まれて、それはもうめちゃくちゃ気持ちよくて、またシたいって思っちゃったけど。
「いや、俺にはわかる。宙、性欲めちゃくちゃあるし」
「ふあ?!」
 急に言われて、思わず変な声が出た。せ、性欲なんて、そんなにないし?! たぶん!!
「前みたいな頻度で会えないけど、それでも本当にいいか?」
 蒼がそう言ったので、オレは一先ず聞いた。
「週どれくらい会える?」
「多くて週一かな」
「……………ふーん」
「……今、ちょっと足りないな、って思ったろ」
「おおお思ってないけど?!?!」
 見透かされて、思わず強く反論する。
 蒼は快活に笑った。
「あっはは!ごめん冗談だ、こんなふうに仕事帰りだったら、残業がない限り平日は毎日会えるよ」
「ええっ?!?! ば、ばっか!!からかうなよ!!!」
 自分でも意味のわからない反論をしながら、蒼の肩をどつくと、蒼はククッと笑った。
「じゃあ、これからは恋人としてよろしくな、宙」
 でも、そう微笑む蒼の瞳が、かっこよくて、好きで、急に心臓が苦しくなる。
「うん……蒼」
 そう答えて、蒼を抱きしめた。
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